(第12週)第4章 直接金融の仕組み(2)

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(第12週)第4章 直接金融の仕組み(2)
§1
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直接金融と間接金融(p.69~74):確認
短期証券(約束手形、CPなど)
借用証書(IOU),債券,株式
直接金融と直接証券
間接金融と間接証券
証券会社とブローカー業務
金融仲介機関の仲介機能
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確認:直接金融とは(p.72,図4-2参照)
▶ 最終的借手(資金不足主体)が
直接証券(本源的証券)を発行
短期証券,債券
や株式など
▶ 最終的貸手(資金余剰主体)が
直接証券を最終的借手から購入、資金を供給
▶ 両者の間で直接証券だけがやりとりされるような
金融が直接金融
▶ 証券会社は両者の仲介(ブローカー業務)を行う
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確認:間接金融とは(p.73,図4-3参照)
▶ 最終的借手(資金不足主体)が直接証券を発行
銀行や保険会社など
▶ 直接証券を購入するのは金融仲介機関であり、
金融仲介機関は間接証券を発行
預金証書や保険証券など
▶ 最終的貸手(資金余剰主体)が間接証券を購入
▶ 最終的貸手と最終的借手の間に金融仲介機関が
介在し、間接証券がやりとりされるような金融が間
接金融
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直接金融と間接金融[ガーレイ=ショウの区分]
[直接金融]
資 金
黒字主体
赤字主体
本源的証券
(直接証券)
[間接金融]
資 金
資 金
金融仲介
機関
黒字主体
間接証券
赤字主体
本源的証券
(直接証券)
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§2 情報の非対称性(p.75~78)
① 情報の非対称性(asymmetric information)
▶ 経済取引において、取引を行う主体間で取引対象(商品)の
品質(または行動)などに関する情報に格差がある状況
→ 市場で効率的な取引が実現しない
▶ 大まかに(A)または(B)のケースとして説明される
(A)商品の品質に関する情報が入手困難
[hidden information,事前情報の非対称性]
(B)取引相手が、取引の前提となる将来の
不確実性に影響を及ぼす行動をとる可能性
[hidden action,事後的な行動に関する情報の非対称性]
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◆ 金融取引における情報の非対称性(p.75)
▶ 金融取引が効率的に行われるためには、直接証券を発行
する赤字主体の返済可能性に関する情報が取引者間で偏
りなく共有され、情報が証券の取引価格や条件(利子率や
担保の設定)に正しく反映されなければならない。
▶ このような情報が入手できない、または入手するための費
用が無視できないほど大きい場合がある。
[前述の(A)(B)に関する典型的な例]
(A)・・・証券を発行した企業がハイリスク・ハイリターンの事業
を行う企業(企業H)と、ローリスク・ローリターンの事業を行
う企業(企業L)のどちらなのか不明
(B)・・・企業Lと金融取引の契約をしたあとで、企業Lがハイリス
ク・ハイリターンの事業に変更する可能性
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§2② 逆選択(adverse selection)
▶ ①のような情報の非対称性がなければ、貸し手は企業Hと企
業Lを正しく識別して、企業Hには高い利子率をつけ、企業Lに
は低い利子率をつけて貸し出すことが可能(劣悪な借り手を
排除できる)
▶ ①の非対称情報が存在する場合、貸し手は企業Hと企業Lを
識別できないため、平均的な利子率(企業Hにとっては有利、
企業Lにとっては不利)をどの借り手に対しても要求せざるを
得ない
→ 企業Lがこの条件に応じなければ、貸し手は市場に残った企
業Hだけと取引することになる(企業Lが市場から退出)
→ 劣悪な借り手(H)との取引は成立しない可能性も
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§2③ モラル・ハザード(moral hazard)
▶ 金融取引の契約を結んだ後で企業がハイリスクな事業を実行
していないかどうかを貸し手がチェックできない(またはチェック
するのに大きな費用がかかる)ならば、企業にとってハイリスク
な事業を実行しようとする誘因(インセンティブ)が存在する
▶ ハイリスクな事業を行って成功したときの利益が大きいほど、
また貸し手が企業を監視する費用が大きいほど、モラル・ハ
ザードが生じやすくなる
▶ モラル・ハザードの可能性がきわめて高いと予測されるなら、
取引は実現しない可能性が高い
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◆ 非対称情報を克服するための手法
● シグナリングとスクリーニング
→ ①の非対称情報が存在する場合、良質な商品を供給する
主体は、あえて費用をかけて追加的な情報を発信することで、
自身を識別してもらうことが可能となる(シグナリング)。また
買い手(商品の需要者)もあえて費用をかけて追加的な情報
を相手に発信させることで、商品の質を識別できるようになる
(スクリーニング)。
● モニタリング(monitoring)と立証(verification)
→ ②の非対称情報が存在する場合、事後的な監視(モニ
ター)や裁判、会計監査などの立証を費用をかけて行う場合
がある。
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◆ 有限責任制とモラル・ハザード(p.77)
▶ 株式会社の有限責任制(Limited Liability)
株主が、所有する会社が債務不履行(default)の状態に
なったとしても、負債を返済する法的義務を負わないこと。
▶ 株式を発行しない企業(個人企業など)は無限責任制であり、
企業の所有者(経営者)は負債の返済義務を無限に負うこと
になる。
▶ 有限責任の株式会社の方が、資金の借り手としてのモラル・
ハザードが生じる可能性が高い。
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§3① わが国の直接金融市場
◆ 1970年代半ば以降、政府による国債の大量発行
◆ 戦後しばらくは企業の社債発行が厳しく規制され、またメイン・
バンクの存在が債務不履行リスクを低減
◆ 1993年に社債法改正、1996年に適債基準の撤廃
■ 証券市場の区分
発行市場(primary market)/流通市場(secondary market)
■ 証券の収益
インカム・ゲイン/キャピタル・ゲイン
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§3② 直接金融が成立する条件:
◆ 社債を公募形式で起債するケース(p.78~80)
[1] 一定数を超えるまとまった発行単位が必要
(発行にともなう固定費用が存在するから。また、一
定の流動性を確保するため)
[2] 発行体である企業が十分な情報開示を行う(例:
目論見書の作成)、また投資家が十分な情報分析を
行い、リスク評価を自己責任で行う必要がある
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小テストの結果について
総平均:15.90
4年
3年
2年
16.5
16.03
15.69
6名
30名
36名
メディア
社会
行動
14.29
16.65
14.68
7名
46名
19名
※ 20点が7名いました。
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