豚コレラ

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豚コレラ (classical swine fever, hog cholera)
病原体: フラビウイルス科の豚コレラウイルスで、ゲノムは線状一
本鎖(+)RNAである。抗原的には単一で血清型はないが、遺伝子型
では少なくとも3型に分類されている(高病原性株、低病原性株、生
ワクチン株)。
感受性動物: 豚といのししのみが罹患し、経過が速く、死亡率がき
わめて高い急性ウイルス病。急性型は90%以上、治療法なし。他に、
亜急性型、慢性型がある。急性型が大半であり、慢性型は弱毒株に
感染した母豚から生まれた仔豚が生後2ヶ月以内に発病する。成豚
は仔豚より軽症で経過する例が多い。
発生原因: 罹患動物との直接接触の他、鼻汁、唾液、排泄物の飛
沫・付着物との間接接触により起こる。感染豚の導入、人・器具・車
両等の汚染により農場に侵入すると瞬く間に畜舎内に拡がる。
予防接種: 流行地では使用されているが、わが国では清浄化に成
功し、2006年3月をもって使用禁止された。本病は海外伝染病に準
ずる扱いとなっている。
急性型
高熱(40.5℃)
群れる、衰弱
食欲不振
結膜炎
下痢
よろめき
チアノーゼ(血中の酸素欠乏によって皮膚が青紫色に変色)
出血
死亡
急性型の
剖検所見
多様である。
出血
扁桃腺に壊死
漿膜と粘膜の表面に点状
や斑状の出血:腎臓、喉
頭、気管、腸管、脾臓、肺
腎臓:表面に無数の天井出血。
咽喉頭:口蓋扁桃および咽喉頭
部の粘膜に出血班の融合と壊死
肺:表面に無数の出血班、出血に囲まれた梗塞
慢性型の
死後所見
長期間で形成される病変。
腸管、喉頭蓋および喉頭に
壊死巣(ボタン状潰瘍)
先天性感染による小脳形
成不全、胸腺萎縮、奇形、
出血
結腸:粘膜が赤くなり、出血帯に
囲まれた多数のボタン状潰瘍
が確認される
腎臓:割面では、腎杯が拡張し、
出血している。
豚コレラウイルスの存続様式
① 健康なキャリア-の存在。
② 移行抗体によるワクチンブレイクによって小規模な
発生が繰り返されている(胎盤における母子感染)。
③ 慢性豚コレラ豚におけるウイルスの長期保持。
④ 持続感染豚(遅発型)の存在
⑤ 豚以外の動物(イノシシ)によるウイルスの保持等
検疫(Quarantin)
疑似または確認症例
が出た場合、接触動物
を含めて殺処分し、疾
病の拡大を防ぐため厳
重な検疫をする。
予防(Prevention)
●非加熱の残飯を与えない。過去に、海外か
らの航空機などの残飯(加熱不十分な肉)が
悪性伝染病の侵入原因となった事例がある。
●農場訪問者を制限する。
海外旅行から帰国して5日以内の者 消毒剤:次亜塩素酸ソーダ、
フェノール剤、苛性ソーダ、生
清潔な上着と履物を着用させる
石灰、pH(<3 or >11)、加熱
●新規導入家畜は最低30日間隔離
(66℃;30分、72℃;1分)、焼
●毎日健康状態を確認
却、乾燥、紫外線
異常があれば家畜保健所に通知
発生中
これまで
発生なし
疑い例
限局的発生
2012/1-6 臨床例
この期間に
発生なし
2012/7-12 情報なし
イスラム圏では豚飼育
頭数が少ないので「これ
まで発生なし」。
多くの国が「この期間に
発生なし」。
エチオピアは「疑い例」。
中国やインドなどは「限
局的発生」。
ロシアは「発生中」。
マダガスカルは「臨床例
確認」から「情報なし」に
代ったが、その他の多く
の国の情況は変わって
いない。しかし、これは
当事国からOIEへ報告
された事実をまとめただ
けである。
2005~2012年までの発生報告
中国は豚コレラを法定伝染病に指定していないので、OIEへの通知もない。
【新唐人2010年9月26日付ニュース】 中国の黒龍江省で、ここ数ヶ月豚コレラが広がっ
ています。関係者によると、大量の豚が死んでいるものの、病気で死んだ豚が処分もされ
ずに市場で売られているそうです。しかし、地元政府は対策をとっていません。
7月下旬から、黒龍江省の各地で豚コレラが発生。9月7日、黒龍江省のハルピンの付
近で豚コレラが拡大していることがネットで暴露されました。豚コレラは死亡率がとても高い
病気です。当局は今、アフリカ豚コレラなどの検閲に力を入れているといいます。
1969年 弱毒生ワクチンが開発され、組織的なワクチン接種により、発生は激減。
1992年 最後の発生。
1996年 養豚先進国と同様にワクチンを用いない防疫体制の確立による清浄化を
目指す対策を開始。
第1段階(1996年度~):ワクチン接種の徹底及び抗体検査の推進
第2段階(1998年度~):段階的なワクチン接種の中止
第3段階(2000年度~):原則として、全国的なワクチン接種中止
2006年 ワクチン接種を全面的な中止した。
2007年 全面中止より1年が経過し、豚コレラ清浄国としてOIEに報告。
頭
罹
患
率
許可を得た農場以
外では、ワクチンを
接種できなくなった。
2000年10月 専門家会議の結論 → 第3
段階への移行
(1) 1993年以降、国内で豚コレラの発生
が認められていないこと、
(2) 約32万頭の豚及びイノシシを検査し
異常がなかったこと、
(3) 未接種及び一部接種農家の2300戸
(全飼養戸数の2割)の立入検査でも異常
が認められなかったこと
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
82
83
84
85
86
87
88
89
90
91
日本における豚コレラ罹患数の推移
92
93
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豚コレラ疑似患畜確認事例検証報告書
(鹿児島県豚コレラ疑似患畜確認事例検証チーム)
2004年鹿児島県内で発生した豚コレラ擬似患畜数
事例番号
1
2
3
4
5
計
発生頭数
殺処分頭数
1,144
1,131
521
512
657
653
879
844
468
448
3,669
3,588
今回の豚コレラ擬似患畜連
動衛研資料2
続発生事例は、初発農場で使
用された内容不明の薬品の中
に含まれていた可能性の高い
豚コレラウイルスによるであろ
うと結論された。・・・・・・このよ
うな薬品にはどのような病原
体が含まれているか不明であ
り、いかなる場合も絶対に使
用してはならない。・・・・・・・
豚コレラウイルスであるが、GPE- ワクチンウイルスではない
未承認医薬品の使用
アフリカ豚コレラ(African swine fever)
病原体: asfarviridae科に分類される唯一の大型2本鎖DNAウイ
ルス。
対象家畜: 豚、いのしし
臨床症状: ウイルスの病原性の強さにより、甚急性、急性、亜急性、
慢性および不顕性と激しいものからまったく症状の認められないも
のまで様々である。致死率もこれに伴い0~100%まで様々である。
急性例では臨床症状や病理所見は豚コレラと酷似する。
発生原因: アフリカ大陸においてイボイノシシなどの野猪とダニに
不顕性感染していた。そこに家畜として豚が導入されたことによって
致死率100%に達する本病の発生が認められるようになった。残飯
養豚、野生化豚など・・・
予防接種: ウイルスは単球・マクロファージ
などの細胞でよく増殖するので、感染動物に
抗体ができない。したがって、有効なワクチン
は存在しない。徹底した殺処分。
RECOGNIZING AFRICAN SWINE FEVER: A Field manual
ナガヒメダニ( Tampan ): オルニトドロ
ス属の眼がなく、柔らかいダニ。洞窟のイ
ボイノシシに寄生している。
「森の感染環」
イボイノシシ(Warthog): 成獣は無症状で
低または無ウイルス血症だが、洞穴内の4
~6週齢の幼獣は高ウイルス血症。
アフリカの草原(サバンナ)や森林に生息する。
巣穴は自然に出来た穴や岩陰の隙間、他の動
物が作った穴を使う。メス1-2頭と子どもだけの
群れで生活し、昼間は活発に活動するが、夜は
巣穴に帰る。繁殖期は雨季で、その時はこの群
れにオスが1頭加わり、繁殖活動を行う。
介卵伝達
●
●
●
●
●
農場への伝播経路
感染ダニの寄生するイボイノシシと飼育豚との接触
例えば品評会や種雄豚の委託などによる豚の移動
近隣の村からの感染豚肉の導入
生あるいは非加熱の豚肉を含む残飯の給餌
発生農場からのヒトや車両の移動
ウイルスは、肉、血液、糞便および骨髄などの
蛋白質を含む生体に由来するものの中では長い
期間感染性を失うことがない。冷凍や非加熱の豚
肉、特に熟成ハムなどの加工処理肉の中では何ヵ
月もの間感染性を保持する。
感染した豚は、発病する
24 時間前から臨床症状が
みられるまでの間にも大量
のウイルスを、唾液、涙、鼻
汁、生殖器官などの分泌液、
尿および糞便などの排泄物
に排出する。
感染豚、汚染飼料、飲料水、床敷などあらゆる
汚染物が間接的な接触で感染源になる。汚染物
品は車両やヒトにより遠くに運ばれることもある。
サシバエは、体内でウイルスの増殖はないが、
機械的に伝播できる。
同じ注射針を使用すると、豚から豚にウイルス
が伝播する。
感染した豚の死体が水を汚染して、これが伝播
源になることはあり得る。
汚染厨芥を介してグルジアに侵入 アゼルバイジャン、ロシア、ウクライナ
2000年にイタリアに侵入したが
徹底した殺処分で清浄化した
2005-6
2007
2008
2009
養豚業が盛んな地域で広がり続けている
2010
2011
2012
2013/1-9