基礎物理学コロキウムポスター

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Belle SVD2.0 Trigger Specification
基礎物理学専攻 渡邊研究室 M1 倉城秀行
CP対称性の破れとBelle実験
現在の宇宙論によれば、宇宙には物質と反物質が同じだけ存在し
ていなければならないが、実際には物質しか存在しない。
このような非対称性はどこから来るのであろうか?
その鍵を握るのがCP対称性の破れであると考えられている。CP対
称性とは粒子と反粒子の対称性のことであり、1964年にV.L.Fitch、
J.W.Croninらによって K 0 中間子の崩壊過程の中で初めて発見され
た。 (C:荷電共役変換 P:パリティ変換)
現在、茨城県つくば市にある高エネルギー
加速器研究機構(KEK)でCP対称性の破れ
を検証するための実験が行なわれている。
(Belle実験)
この実験では、加速器によって電子(8GeV)
と陽電子(3.5GeV)を衝突させ、大量(年間1
億個)のB中間子対を生成しその崩壊位置の
差を測定することで、CP対称性の破れを観測
しようとする実験である。そのため高い位置決
定精度をもつ検出器が必要となる。
Belle Detector
KEKB加速器
Silicon Vertex Detector
この高い位置決定精度を実現するのがSilicon Vertex Detectorで
ある。これは板状のシリコンストリップ検出器(DSSD)を円筒形状4層
に配置した検出器であり、通過した粒子の2次元位置情報をトラッキン
グすることでB中間子の崩壊点を数十μmの精度で測定できる。
2003年7月、このSVDがアップグレードされる(SVD2.0)。
Belle Trigger System
VA1TAは128chの信号をシリアルに読み出すため、信号を一旦
ホールドし、その後順次読み出す。ホールドに使うトリガーをLevel 0
Trigger、また信号を読み出すためのトリガーをLevel 1 Triggerと呼
ぶ。L0TはSVDとsmall-CDC、TOFからの信号を基に生成され、L1T
はSVDとCDCのMatchingによって生成される。
仕様
内径:40mm
外径:176mm
全長:458mm
Ladderのサンプル図
SVD2.0全体図
Global Decision Logic(GDL)
からの要請により、
L0T:~600ns
L1T:2400ns
でトリガーを生成しなければな
らない。
左にトリガーのタイミング・ダ
イアグラムを示す。
ビーム軸から見た図
が粒子のヒット位置情報
これらをトラッキングすること
で粒子の崩壊位置を決定
SVD2.0 Readout System
SVD2.0のヒット情報の読み出しはVA1TAと呼ばれるチップで行なわ
れる。このチップは1枚で最大128chの並列読み出しができる。VA1TA
はVApartとTApartに分かれていて、それぞれ以下のような特徴がある。
Level 1 Trigger
現在私は、L1TのロジックをFPGAを使って開発しています。
L1TはSVDのヒット情報とCDCのヒット情報のMatchingによって生
成される。下の図にあるように、SVDを18のエリア(wedge)、CDCを
64のwedgeに分割し、それぞれのwedgeにおいてMatchingを行な
う。このとき、1本でも有意なトラックが存在するとL1Tは出力される。
VA part
128chの各ストリップからの信号を
multiplexerによりシリアル化して、
単一ラインにて読み出す。
TA part
VA1TAのダイアグラム
VAからの信号を受け取り、fast shaper
によりVAよりも早く信号(トリガー)を生
成する。出力は128chの論理和(OR)で
出力される。
L1TのロジックはVerilogと呼ばれる
ハードウェア記述言語(HDL)で書か
れ、VME9UボードのFPGAにダウン
ロードされます。現在は、L1Tのロジッ
クの実機とシミュレーションとの比較を
行い、デバッグを行なっています。