資料組織概説 第14回 オンライン目録と書誌ユーティリティ

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資料組織概説 第13回
オンライン目録と書誌ユーティリティ
2010年12月21日(火)
第4時限
R101教室
書誌レコードと所蔵レコード
• 目録データベースでは、書誌情報と所蔵情報を別
のレコードとして持つことが多い
• レコード
– データベースにおいて、規定の形式のデータ項目の集
まりで、一つの単位として扱われるもの
• 書誌レコード
– 個々の資料に対する書誌的事項のレコード
– 書名、著者名、出版に関する事項など
• 所蔵レコード
– 個々の資料の所蔵にかかわる事項のレコード
– 所蔵館、登録番号、排架場所、請求記号など
オンライン目録の作業過程(1)
• 作業用ファイルへ目録データ作成
• 目録データベースの重複チェックから始まる
• 完全な複本の場合→所蔵レコードの追加の
み
• 流用入力(既存書誌データの利用)
– 目録データベース中の書誌レコードを利用
– 外部データベース(JAPAN/MARC等)の利用
オンライン目録の作業過程(2)
• オリジナル入力
– 利用できる書誌データがない場合、カタロガー
が一からデータを入力
• 入力データの点検(機械的なチェック、人の
目によるチェック)
• 作業用ファイルから公開用ファイルへの
データ移動
– 夜間処理などで自動的に行われる
オンライン目録作業の流れ
所蔵あり
所蔵データ追加
所蔵なし
重複
チェック
新規目録
データ作成
既存の目録
データの利用
が可能か?
YES
流用
入力
NO
オリジナル
入力
所蔵データ追加
<BB00108632>
ハリー・ポッターと賢者の石 / J. K. ローリング
作 ; 松岡佑子訳||ハリー ポッター ト ケンジャ
ノ イシ
東京 : 静山社 , 1999.12
462p ; 22cm
ISBN:4915512371
高校 図書室
900311697 933.7/R/1
本館 図書館地階 002649481 J/R/1
本館 図書館地階 002649482 J/R/1
流用入力(1)
• 目録データベース中の既存の書誌の利用
• 図書館概論 / 塩見昇編著. -- 三訂版.
東京 : 日本図書館協会 , 2001.4
284p ; 26cm
ISBN:4820401009
図書館概論 // 塩見昇編著.
塩見昇編著. –--四訂版.
三訂版.
図書館概論
東京
:
日本図書館協会
,
2001.4
東京 : 日本図書館協会 , 2004.4
284p ;; 26cm
26cm
284p
ISBN:4820401009
ISBN:4820404008
•書誌データ作成後、所蔵データ作成
流用入力(2)
• 外部データベース(JAPAN/MARC等)のデータ
を利用
251 $A史記 $F司馬遷
270 $A東京 $B徳間書
店 $C2005.11
275 $A8巻 $B19cm
MARC
ファイル
ダウンロード
MARC形式
レコード
フォーマット変換
TITL: 史記 / 司馬遷
PUB: 東京 : 徳間書店 ,
2005.11
PHYS: 8巻 , 19cm
目録システム
の形式のレ
コード
書誌データの検索
•書誌データ作成後、所蔵データ作成
オリジナル入力
書名
史記
責任
表示
司馬遷
版
改訂版
出版
事項
形態
東京:○○書店, 2005
8巻 ; 19cm
全項目を一から入力
•書誌データ作成後、所蔵データ作成
MARC
machine readable catalog[ing]
• 書誌記述、標目、所在記号などの目録記入に記載
される情報を、一定のフォーマットにより、コン
ピュータで処理できるような媒体に記録すること、
または記録したもの
『日本目録規則1987年版改定2版』用語解説
• もともとは米国議会図書館(LC)で開発された
フォーマットのことで、磁気テープにデータを収録し
て提供。世界中で利用されている
– LC-MARCからUS MARCに名称変更
JAPAN/MARC(ジャパン・マーク)
• 国立国会図書館に納本された資料の書誌
(日本全国書誌)の機械可読データ
– 米国議会図書館(LC)等のMARCが手本
– 日本語処理で独自の拡張
• 日本の刊行物の約90%を網羅(?)
• UNIMARCフォーマットに変換し、国際的な
書誌情報交換にも利用される
JAPAN/MARCフォーマット(1)
• ある資料の書誌的記録がレコード、各書誌
的事項や標目(アクセスポイント)がフィー
ルドに相当
• フィールドの識別子としていわゆるタグ番号
を規定
– 001:レコード識別番号
– 251~259:書名と著者に関する事項
– 270:出版に関する事項 など
JAPAN/MARCフォーマット(2)
• 各書誌的事項のなかの項目をサブフィール
ドし、サブフィールド識別文字で区切る
(例)270のAは出版地、Bは出版者、Dは出版年月
270 $A東京$B山川出版社$D1972.9
• JAPAN/MARCフォーマット仕様書
• JAPAN/MARC UNIMARC版フォーマット仕
様書
JAPAN/MARCと日本全国書誌
• 国立国会図書館の書誌データの基本方針
と書誌調整
• OPACで書誌情報を公開→NDL-OPAC
• 標準的なフォーマットによる電子ファイル提
供
– JAPAN/MARCフォーマット、UNIMARCフォー
マット、汎用出力フォーマットの3種類
• 『日本全国書誌』をWebで提供
TRC MARC
• (株)図書館流通センターが販売している
MARC
• JAPAN/MARCより新刊のデータが早く作
成される
• 本とMARCデータをセットで図書館に納入
するサービスを行っている
共同目録作業
cooperative cataloging
• 複数の図書館が共同で全体の目録(総合
目録)を作ると同時に個々の目録も作成
• 市販のMARCを導入し、共同で利用
• どこか一つの図書館がオリジナル入力した
書誌データは共有財産となり、以後、他の
図書館が利用できる
• 作業を分担するという意味で分担目録作業
(shared cataloging)とも言われる
• 書誌ユーティリティを利用して行われる
書誌ユーティリティとは
• Bibliographic utilityの訳語
• 「国または地方レベルの総合目録の作成、
維持、提供、利用を中心とした情報システ
ムのサービス、またはその提供機関」
宮澤彰『図書館ネットワーク:書誌ユーティリティの世
界』国立情報学研究所, 2002. pp.3-4
• 参加館によるオンライン共同目録構築が活
動の中心
書誌ユーティリティと共同目録
書誌ユー
ティリティ
総合目録データベース
MARC
ロ
ー
カ
ル
目
録
図書館A
ロ
ー
カ
ル
目
録
図書館B
ロ
ー
カ
ル
目
録
図書館C
OCLC
(Online Computer Library Center)
• 世界で最初の、そして最大の書誌ユーティリティ
• 1967年Ohio College Library Centerとして発足
• 1971年オンライン共同目録システム開発
– 当初の参加館は49だったが、5年後には850に急増
– 現在では世界中から多くの図書館が参加
– WorldCat (共同目録の検索サイト)を提供
• 会員制の非営利団体だが、さまざまなサービス
を有料で提供
• 研究開発、実験プロジェクトも積極的に推進
消滅した書誌ユーティリティ
• RLG (Research Libraries Group)
– 1974年ハーバード、イェール、コロンビアの各大学図書館
とニューヨーク公共図書館が中心となって設立
– 1982年CJK(中国語、日本語、韓国語)目録サービス開
始(OCLCより数年早い)
– 2006年、OCLCに吸収される
• WLN (Western Library Network)
– 1976年ワシントン州で設立。1999年OCLCに吸収される
• UTLAS (University of Toronto Library Automation
Systems)
– 1971年設立、1973年サービス開始
– トロント大学内の機関から営利企業に。現在はサービス
停止(?)
世界各国の書誌ユーティリティ
•
•
•
•
ABES(フランス)
GBV,HBZ,HEBIS,BSZ 等(ドイツ)
LIBRIS(スウェーデン)
Libraries Australia(オーストラリア)
– 前はKinetica
• CALIS(中国)
• KERIS(韓国)
日本の書誌ユーティリティ:
国立情報学研究所(NII)
• 目録所在情報サービス (NACSIS-CAT/ILL)
– NACSIS-CAT(目録システム)
• 全国の大学図書館、県立図書館等が参加
• US MARC, JAPAN/MARCなどを導入
• 独自のデータ構造、プロトコル(CATP)、目録情報の基
準を策定
• 目録データはWebcat Plusとして公開
– NACSIS-ILL(ILLシステム)
• NACSIS-CATで作成した目録データを利用し、ILL
メッセージのやりとりを電子化したシステム
遡及入力(変換)
retrospective conversion
• カード目録時代のデータを遡ってコンピュータに
入力する作業
• 利用者にとってはカード目録を検索せずに済む
ことになり便利
• 遡及入力が完了したカード目録は廃棄が可能
• カードから入力する場合と現物から入力し直す
場合がある
• コストパフォーマンスを考慮し、あえて遡及入力
しない図書館も
第13回のまとめ
• オンライン目録の作業過程では、既存の書
誌データやMARCを利用して目録作業の
効率化が図られている
– US MARC、JAPAN/MARC、TRC MARC
• 書誌ユーティリティとはオンライン共同目録
の作成を中心とした情報システム提供機関
– 国立情報学研究所(NII)、OCLC
• カード目録データをコンピュータ化する遡及
入力