Transcript PPT

図書館概論 第9回
図書館行政と公共図書館
2013年6月11 日(火)
第4時限
R001教室
前回の復習
1. 図書館法はどういう種類の図書館につい
て規定した法律か?
2. 図書館法の上位法は?
3. 戦前の図書館法にあたる法令は?
4. 図書館法の成立に大きな影響を与えた
GHQの図書館担当者の名前は?
5. 公共図書館は入館料を取ってもいいか?
その根拠は?
国の図書館行政
• 図書館の種類によって所掌が異なる
– 公共図書館
→文部科学省生涯学習政策局社会教育課
– 学校図書館
→文部科学省初等中等教育局児童生徒課
– 大学図書館
→文部科学省研究振興局情報課
– 国立国会図書館や各種専門図書館はまた別
公立図書館に対する国の施策(1)
• 施設整備補助事業(旧文部省)
– 地方公共団体の図書館建設に国から補助
金(図書館法第20条に基づく)
– 国庫補助を受けるには、最低基準を満たす
必要があった(19条→1999年に削除)
– 1996年までに916館(公立図書館の4割)
– 1998年廃止(一定程度整備されたとの認識)
公立図書館に対する国の施策(2)
• 複合施設の場合、補助金は他省庁からも
– 自治省の地域総合整備事業など
– 図書館法の最低基準を満たす必要がなかった
– 複合施設の一部にすることに反対意見も
• 図書館設置自治体は年々増加
– 県立100%, 市区立98.4%, 町村立53.2%
• 『日本の図書館』2010年調査結果(『図書館雑誌』
2011.1)による
公立図書館に対する国の施策(3)
• 文部科学省は別種の補助事業に転換
–
–
–
–
–
–
子どもの読書活動推進
図書館情報ネットワーク整備
学習活動支援設備整備事業
図書館司書等専門研修
社会教育研修支援事業
社会教育施設情報化・活性化推進事業など
• 情報化に関しては経済産業省などの情報
ネットワーク構想も
公立図書館に対する国の施策(4)
• 「公立図書館の設置及び運営上の望まし
い基準」(2001年7月18日文部科学省告示)
– 図書館法第18条(公立図書館の基準)
• 2008年改正で7条の2へ
• 文部大臣が定めて示す
– 生涯学習審議会で審議
– 図書館法成立の50年後にようやく実現
– 具体的な数字はなし
地方自治体の図書館行政(1)
• 公立図書館の設置・運営の主体は地方自治体
– 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的を
もってその利用に供するための施設(これを公の施
設という。)を設けるものとする
地方自治法第244条(公の施設)
– 地方公共団体は、法律で定めるところにより、学校、
図書館、博物館、公民館その他の教育機関を設置す
る
地方教育行政の組織及び運営に関する法律
(地方教育行政法、地教行法)第30条
– 地方公共団体の条例で定める
図書館法第10条(設置)
地方自治体の図書館行政(2)
• 都道府県から市町村への助成事業
– 図書館建設費補助
• 国の補助金に上乗せ
– 設備費補助
• 移動図書館車、コンピュータ、ネットワーク整備
など
– 運営費補助
• 資料購入費、職員研修など
– 東京都(1970年代前半)、滋賀県(1980年
代)などの振興策は成果があったとされる
教育委員会の役割(1)
• 公立図書館に関して責任と権限を持つのは
都道府県の教育委員会
– 図書館の設置及び管理に関し、必要な指導及
び調査を行なうこと
社会教育法第6条(都道府県の教育委員会の事務)
– 学校その他の教育機関のうち、大学は地方公
共団体の長が、その他のものは教育委員会が
所管する
地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地
教行法)第32条
教育委員会の役割(2)
• 図書館法第8条(協力の依頼)
都道府県の教育委員会は、当該都道府県内の
図書館奉仕を促進するために、市町村の教育
委員会に対し[…]協力を求めることができる
県教委 ---→ 市町村教育委員会
↑
↓
県立図書館
市町村立図書館
公立図書館の役割分担(1)
• 市町村立図書館
– 住民のために資料や情報の提供等直接的な
援助を行う機関
– 住民の需要を把握するよう努める
– それに応じ、地域の実情に即した運営に努め
る
「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」
(2001年7月文部科学省告示)
公立図書館の役割分担(2)
• 都道府県立図書館
– 住民の需要を広域的かつ総合的に把握して資
料及び情報を収集,整理,保存及び提供
– 市町村立図書館に対する援助に努める
– 都道府県内の図書館間の連絡調整等の推進
に努める
「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」
(2001年7月文部科学省告示)
図書館作りへの住民参加
• 図書館協議会
– 図書館の運営に関し館長の諮問に応ずるととも
に、図書館の行う図書館奉仕につき、館長に対
して意見を述べる機関(図書館法第14条)
– 委員は学校や社会教育関係団体の代表者など
から教育委員会が任命
• 図書館ボランティア
• 図書館友の会
住民運動と図書館
• 1964年 町田市の青少年読書普及会による地
域文庫作り運動
– 図書館から文庫への貸出の大幅増加を市議会に請
願
• 1970年代 図書館づくり住民運動の全国的拡大
– 日野市立図書館などの成功例が知られるようになる
– さまざまな住民運動の高揚期で、その一環
– 図書館の設置、資料費増額、サービス改善などを要
求
塩見昇『図書館概論』四訂版による
子ども文庫
• 1960年代末に始まった私設の子供図書館活動
• 母親が主体となり、個人の家や公共施設の一角
で地域の子どもたちに本を貸し出す
• “BUNKO”として国際的にも知られる
• 石井桃子『子どもの図書館』(岩波新書, 1965)
– 著者が開設した「かつら文庫」の7年間の経過報告
• 公共図書館から文庫側へ本の提供も
• 日本図書館協会『市民の図書館』1970
– 児童サービスを最重点課題の一つと位置づける
• 財団による助成例などもある
第9回のまとめ
• 公立図書館に対する国の施策
– 補助金交付と「望ましい基準」
• 図書館の設置・運営の主体は地方自治体の
教育委員会
• 県立図書館と市町村立図書館の役割分担
• 図書館作りへの住民参加として図書館協議
会やボランティア活動
• 1960年代から70年代にかけて「子ども文
庫」や図書館設置を求める住民運動