ヘッジファンドにレバレッジ規制を導入すべきか -肯定派-
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Transcript ヘッジファンドにレバレッジ規制を導入すべきか -肯定派-
我々は、
①そもそものヘッジファンドのレバレッジ比率が高い
②ヘッジファンド自身のリスク管理では不十分
③資産規模の小さいFXでもレバレッジ規制が課されて
いるので、規模の大きいヘッジファンドにもレバレッ
ジ規制を課すべき
以上の3点から、ヘッジファンドに
レバレッジ規制を導入すべきである
と主張する!!!
ヘッジファンドの総資産額の推移
単位:10億ドル
200
180
160
140
2007年
レバレッジ比率:60倍
規制が必要!!
自己資本比率:1.67倍
120
100
40
レバレッジ比率が
高い!
回復の兆し
20
=今後、市場が回復する可能性
80
60
0
出所:xinhua NEWS,アブラハム・グループ,ヘッジファンド投資の時代
さらに
今回の金融危機でヘッジファンドはハイ
レバレッジを効かせていた。
今回の金融危機において、損失を被ったヘッジファンドの
投資家からの解約請求が相次ぎ、解約に応じるために大
量のポジションの解消を行った。
金融市場の安定化のためにも、ヘッジファンド
の自己資本を強化することが必要。
株価や原油の一層の
下落!!
よってレバレッジ規制
を導入すべき!!!
ヘッジファンドを評価する際、
もっとも重要な項目は?(複数回答)
100%
80%
60%
40%
20%
0%
リスク管理は投資家
しかし、過去の事例を見てみると
がヘッジファンドを
ヘッジファンドのリスク管理は適
評価するにあたって
切になされたとはいえない!!!
も上位項目!!
LTCM危機
ノーベル経済学賞受賞者2人をスタッフとして、高度な金融技術
2006年9月には米国系ヘッジファンドであるアマラン
アマランス・アドバ
を駆使して、高い収益率を記録していた有名な米国のヘッジファ
ス・アドバイザーズ(Amaranth
Advisors,総資産95億ド
ンド。設立当初は債券アービトラージ戦略で収益を上げていたが、
イザーズの巨額損失
ル)が天然ガス価格の急落で約60億ドルの巨額の損
収益性の低下から、その他の戦略も手掛けるようになったほか、
レバレッジを引き上げて大規模なポジションを造成。1998
年8月、
失を出し,事実上破綻。リスクの大きな天然ガス取
ロシア財政問題の顕現化を契機とする信用リスク懸念から起こっ
引への過度の依存と,それを防ぐはずのチェック機
た「質への逃避」による流動性の低下により、ポジションを手仕
能が働いていなかったとされる。
舞う過程で多額の損失を被った。
リスク管理が不十分!!
金融危機
ヘッジファンドハイリスク・
ヘッジファンドが投資した
→リスク管理の甘さにより、市場の
ハイリターンな部分に投資 CDOの約8割が損失!!
急変に対応できなかった。
していた。
ヘッジファンドがリスク管理手法として用いて
いるのは以下の方法
ミスリーディングな情報を投資家
保有資産の下方リスクを評価するリスク管理
手法。時価会計への移行に伴い、企業、特に
VaRのリスク指標としての妥当性に関しては、
に与え、期待効用を最大化する投
金融機関の保有資産リスクを評価するために
以下の問題点がある。
資家に信頼区間外における損失が
(バリューアットリスク)
考案された。金融資産を一定期間保有する場
①VaRが信頼区間外のリスク(テイル
より大きくなるポジションをとる
合、特定の保有期間内に、特定の確率の範囲
インセンティブを与える!!
リスク)を捉えられないこと
内で評価される期待最大損失額を見積もるこ
とが可能。資産構成の見直しや損失に対して
②VaR期待ショートフォール
が劣加法性を満たさないこと
自己資本の増強の必要性がわかる。
VaR
ヘッジファンドがリスク管理手法として用いて
いるのは以下の方法
ヘッジファンド自身でのリスク管理に
VaRの問題を解決する新たなリスク管理
期待ショートフォールを実務に応用するには、
手法。信頼区間外のリスクも織り込むこ
は限界がある。投資家保護の観点から
妥当性に欠け、現在のリ
推計値の安定性確保やバックテスティング手法
の確立といった課題がある。
とができるため、投資家にミスリーディ
もリスク管理を徹底するために、ヘッ
スク管理手法では不十分
(バリューアットリスク)
また、期待ショートフォールは主観的になりが
ングな情報を与える可能性が低く、概念
ジファンド自身のリスク管理に加え、
ちである。(VaRは客観的)
であると言える!!
上VaRに比べて優れたリスク指標。
レバレッジ規制をかけるべき!!!!
VaR
期待ショートフォール
FXとは
通貨ごとに定められた保証金(または証拠金)を証券会社等に預託しておこなう通
貨の売買取引のことをいう。売買の際は、証拠金にレバレッジをかけて取引できる
ため、FX取引で保有するポジションに有利に為替相場が変動すると、レバレッジ
効果により大きく収益をあげることができる。一方、不利に相場が変動すると大き
く損失を被る可能性もある。
店頭取引・取引所取引共通の規制として、
取引の額(想定元本)の4%以上の証拠金の
預託を受けずに業者等が顧客にFX取引を行
わせることが禁止されることとなった。つ
FXとヘッジファンドは高いレバレッジを
まり、レバレッジが25倍に規制されるこ
ととなった。
かけられる点で類似している。
図2
FXの資産規模
2009年3月期の市場規模は5951億円
図3
日本のヘッジファンドの資産規模
2005年度の市場規模は約3兆円
資産規模が小さいFXでも投資家保護の観点から、レバレッジ規制
がかけられている。ヘッジファンドも高レバレッジのヘッジファンド
が存在することからレバレッジ規制をかけるべき!!
我々は、
①そもそものヘッジファンドのレバレッジ比率が高い
②ヘッジファンド自身のリスク管理では不十分
③資産規模の小さいFXでもレバレッジ規制が課されて
いるので、規模の大きいヘッジファンドにもレバレッ
ジ規制を課すべき
以上の3点から、ヘッジファンドに
レバレッジ規制を導入すべきである
と主張する!!!