Transcript ppsfile - 建設コンサルタンツ協会
Slide 1
4.土質・地質調査の計画、
実施および結果の評価
4.1 エラー事例の技術的な分析
1
Slide 2
土質・地質調査のエラー内容別の事例数
コード
A
B
C
エラーの内容
計画段階エラー
(調査の計画段階のエラー)
調査実施段階エラー
(調査実施中のエラー)
技術的判断エラー
( 調 査 結 果 を解 釈 す る 段 階の エ ラ ー
設計に用いる段階を含む)
事例数
5
14
21
その他
D
( エ ラ ー が 発生 し た 段 階 が明 確 で な
いエラーや改善策が明確にできな
いエラーなど)
合
計
3
43
2
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土質・地質調査の構造物別の事例数
対象構造物等
道路盛土
道路切土
トンネル
橋梁基礎(土質) 10
橋梁基礎(岩盤) 2
上下水道
河川・港湾・砂防
その他
合 計
事例数
5
5
4
12
3
8
6
43
注)その他は「盛土造成」「土留め」「配合試験」「単位系」に関するエラー事例である
3
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調査不足に関する事項
調 査 不 足
調査計画段階
調査実施段階
(発注者が計画立案)
調査計画の照査⇒
追加調査の提 案
調査実施中に把握できた事項から新たな
課題の抽出
発注者のパートナー
としての責務
発注者に追加調査の提 案
調査受注者
発注者のパートナーとしての責務
調査不足の解消
発注者に追加調査が受け入れられない場合
発注者の状況により対応 ex.)予算不足・調査時の用地問題⇒施工時の確認調査として提案
対応がとれない場合には発注者との協議の上、設計条件等に明記する
(誰も不明なこと、不都合なことを放置しようとは考えない)
4
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「D:その他」の事例の想像図
地表面
橋台
盛土
橋脚
深度20m付近
中間支持層
深度40m付近
過圧密粘土
深度50m付近
支持層
過圧密粘土は、橋の増加荷重を考慮しても過圧密領域にある
上図のような構造で施工した結果、橋台で1.7cm、橋脚で1.4cm
の沈下が発生した
5
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4.2 エラー事例とその改善策
4.2.1 調査計画段階のエラー
-詳細地盤調査位置の選定エラ-
6
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【業務の概要】
橋梁基礎設計で影響度の高い、液状化強度設定
するための詳細な地盤調査業務
(凍結サンプリング~室内液状化強度試験)
【エラーの内容】
・既往地盤調査結果のみから調査位置を選定した。
・しかし、調査目的である沖積砂質土の大半が埋
土であることが、調査のほぼ終了時点に判明し
たという、調査地点の選定エラ-。
7
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調査地点の地層構成
調査
液状化対象層
(沖積砂質土
層)
地点
N値
0 10 20 30 40 50
B
As
As
Ac
Ac
Ds
Dg
Dc
Ds
Dc
Ds
;実際は埋立て土であった部分
8
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液状化強度試験の整理
0.8
既往データ(当該地点(沖積))
既往データ(当該地点(洪積))
既往データ(他地域1)
既往データ(他地域2)
既往データ(他地域3)
今回沖積土
今回埋立土
繰返し三軸強度比 RL× σv'
0.7
0.6
0.5
FC>10%のデータ
0.4
礫分>10%のデータ
0.3
沖積地盤用
沖積地盤用
埋立土用
埋立土用
0.2
当初データ追加を
当該ルートでの埋立土の範囲
0.1
0
想定した範囲
0
20
40
60
80
100
換算せん断剛性 G1=G0/ σv' (MN/m2)
120
9
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基礎への影響検討結果
「道示」
0
0
00
埋立
土層
砂質
土層
2/3
2/3
2/3
1/3
1/3
1/3
フーチング寸法
11.4m×8.4m×3.5m
11.4m×8.4m×3.5m
杭本数
(場所打ち杭
φ1200、L=38m)
4列×3列 計12本
1. 2
計12本
5列×3列(千鳥配置)
計14本
5列×3列 (千鳥配置) 計14本
2@ 3. 0=6. 0
1.2
1.2
杭配置図
(単位:m)
8.4
2@ 3.0= 6. 0
1. 2
4列×3列
14.4m×8.4m×3.5m
14.4m×8.4m×3.5m
1.2
3@ 3.0=9 .0
1 1. 4
1. 2
8.4
土質定数の
低減係数
DE
設定式
1.2
4@ 3 .0= 12. 0
1.2
14.4
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【エラーの原因分析と改善策】
・調査位置が臨海部であり、地形の変遷の可能性
が十分にあり得ることに気づかなかった
・その確認調査のための情報収集方法を知らな
かっ た、知っていたが情報収集を怠った
→問題認識や情報入手方法やその活用に対する知
識の無さ
・古地形図は全国レベルで整備されている(入手
も簡単)
・地形図、地質図、防災情報は序々にデジタル化
されつつある(情報公開との絡みもある)
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調査位置の
地形の変遷
今回調査位置
今回調査位置
貯木場
貯木場
今回調査位置
今回調査位置
H.11発行
H.11
発行
貯木場
貯木場
S.47発行
S.47
発行
既存調査位置
;既存調査位置
今回調査位置
今回調査位置
T.12発行
T.12
発行
今回調査位置
今回調査位置
S.23発行
S.23
発行12
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地形・地盤図の例(微地形分類図)
国土地理院発行「土地利用図」より抜粋および加筆
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ItemFile: afd20y.itm
Palette: afd.pal
防災情報の例(活断層、地震履歴)
1/20万(資料表記載あり)
LF:陸上活断層
CF:伏在活断層
SF:海底活断層
MC:海底活撓曲
EF:地震断層
AX:活背斜軸
5≦M<6
SX:活向斜軸
6≦M<7
HJ:補助線
上諏訪断層群 延長 16km
確実度Ⅰ 活動度 B
7≦M<8
8≦M
LF:陸上活断層
CF:伏在活断層
SF:海底活断層
MC:海底活撓曲
EF:地震断層
AX:活背斜軸
SX:活向斜軸
HJ:補助線
※1活断層データは、活断層研究会:「新編日本の活断層」、東京大学出版会
(1991)((有)ジオデータサプライによる数値データ)による。
※2地震データは、日本気象協会:「気象庁震源データ」(1996)による。
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防災情報の例(液状化履歴)
液状化履歴
関東地震
西埼玉地震
千葉県東方沖地震
etc
:
西埼玉地震
1931(昭和 6)9.21
千葉県東方沖
関東大地震
1987(昭和 62)12.17
1923(大正 12)9.1
※ 液状化履歴データは、若松加寿江:「日本の地盤液状化履歴図」、
東海大学出版会(1991)による。
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4.2.2 調査実施段階エラー
(1) 道路盛土計画時の
湧水対策の不足
16
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この事例の概要とエラーの内容
【概 要】
・
・
・
・
・
トンネルとトンネルの間の谷を埋めた盛土
谷は盛土計画部付近でボトルネック状を呈する
谷上方は集水地形で谷底に湧水が見られる
盛土材料はトンネル掘削ズリ(花崗岩類のマサ土)を流用
豪雨時の水の影響で、表層崩壊と地すべり性の変位が発生
【エラーの内容】
・ 豪雨時の湧水の盛土に与える影響についての想定の甘さ
→ 豪雨時に盛土内の水位が上昇し崩壊に至る
・ 盛土材(マサ土)の材料特性に関する認識不足
→ 盛土内の浸透水により細粒分が流失し、パイピングが
発生して崩壊に至る
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対象箇所の地形的特徴
・ 盛土計画箇所はボトルネック状の谷
> 水が集まりやすい
・ 谷の上方は凹状の集水地形
高
低
盛土
トンネル
トンネル
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崩壊・変状箇所想定模式断面図
変状としては、表層崩壊的なものと地すべり性の
挙動とが確認された。
表層崩壊線
地すべり性変位線
Bs
dt
Gdm
wGd
記号
地層名
Bs
盛土層
dt
崖錐堆積物
Gdm
強風化部
花崗岩
wGd
風化部
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エラーの原因分析
・ 盛土地点のみで地盤を評価し、周囲が集水地形であること
を見落とした。また、谷底の湧水について気にとめなかった。
→ 豪雨時の盛土内の水位の上昇が崩壊の最大要因
・ マサ土の材料特性について認識せず、盛土内の排水層を
設けなかった
→ 盛土内の浸透水により細粒分が流失し、盛土全体に
緩みが生じて表層崩壊を起こした
・ 盛土地盤の表層に軟弱な粘性土が分布するが、盛土の
底面に排水施設を設けなかった
→ 粘性土に関する認識も甘く、盛土と旧地盤との境界で
地すべりが発生
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エラーに対する改善策
・ 周辺地形に対する認識と対応
盛土の計画段階では、地形地質踏査によって周辺の地形
状況・水の問題等を的確に把握する。
調査手法 : 地形地質踏査
・ 盛土地盤の湧水対策
盛土の不安定化の大きな要因の一つは「水」。
盛土計画段階では、この水の分布状況や降雨時の水位
変動を把握する必要がある。
調査手法 : 調査ボーリング・地下水検層・電気探査など
・ 盛土材料の特性の把握と対応
盛土に用いる材料の特性を的確把握する。
調査手法 : 室内土質試験(物理試験・材料試験)
21
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盛土排水の分類(参考)
路面排水
表面水を対象
とするもの
の り面 排 水
隣接地からの
地表水の排水
盛 土 安 定 の
た め の 排 水
盛土内の排水
盛土内への浸
透水を対象と
するもの
排水
の り面 地 下 排 水
切 盛 り境 部 の 排 水
基礎地盤の排水
構造物裏込めの排水
準備排水
施工の円滑化を
図るための排水
工事中排水
隣接地排水
22
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対策工の実施状況模式断面図
・ 表面付近の水の処理 : 排水路工・地下排水工
・ 盛土内部の水の処理 : 水抜きボーリング
・ 盛土のり面侵食防止 : ふとん籠工
地下排水工
小段排水路工
ふとん籠工
Bs
dt
Gdm
wGd
水抜ボーリング
23
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4.2.2 調査実施段階エラー
(2)山岳トンネル坑口部の
地すべり崩壊に対する調査不足
Point
・トンネル坑口斜面における不安定要因の見落とし
・トンネル掘進によるゆるみ域の進展を想定した評価の
欠如
24
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【概 要】
片押しで施工されてきた山岳トンネル。
出口側坑口の貫通間際に、坑口部上部斜面において大規模な地すべり
崩壊が発生した。
原因は、トンネル掘進によるゆるみ域の進展が潜在的なすべり面におけ
る強度低下を誘発したこと。
25
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【エラーの内容】
トンネル施工に先立つ事前の地質調査
において、地すべり・斜面崩壊を前提とし
た調査が行われていなかった。
事前の調査では、トンネル本体の地山
区分(地質・岩質)および地下水状況(トン
ネル湧水)を中心に調査が計画・実施さ
れていた。
26
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【エラー発生原因の分析】
原因1. 坑口斜面における不安定要因の見落とし
[斜面上の不安定要因]
坑口斜面上部には複数の段差地形(旧滑落崖)が馬蹄形
を呈し、崖錐堆積物が分布する。
斜面下部は河川侵食を受けている。
[事前の地質調査]
地すべり・斜面崩壊を前提とした地質調査を実施しなかっ
た。
27
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地すべりの地形的特長
表-1 地すべり型による地形図および写真判読のポイント
(『道路土工-のり面工・斜面安定工指針』,(社)日本道路協会 p.112 より)
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【エラー発生原因の分析】
原因2. トンネル施工を想定した評価の欠如
トンネル坑口では、事前の地質調査の段階でさほど不安定性が認
められないような斜面においても、斜面下部の坑口部の施工(切土)
およびトンネル掘削による地中のゆるみ域の進展などによって不安
定化する。
比較的安定した斜面
不安定化した斜面
トンネル掘削による
ゆるみ域
(a) トンネル施工前
(b) トンネル施工後
図-2 トンネル掘削による斜面の不安定化
29
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類似したエラー事例
山岳トンネル坑口上部の地すべり面の評価エラー
坑口斜面において地すべり対
策工(アンカー工)を施工。
アンカー工が効果を発揮しな
かったため、追加施工を実施。
※当初施工したアンカー定着部
はトンネル掘削によるゆるみ域
に含まれてしまった。
※トンネル掘削後の再調査に
よって、想定すべり面を再設定。
30
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【改善策・対応策】
[計画段階]:問題点の回避
計画段階の調査
現地踏査(概査)
地形判読(空中写真判読)
資料調査
計画地点に予想される地形・地質学的問題点を抽出し、
ルート選定に反映させる。
参考資料
『道路事業における地質・土質調査計
画の立て方(案)』,平成13年12月,(社)
建設コンサルタンツ協会
エラー防止およびコスト縮減につながる
31
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【改善策・対応策】
[詳細調査段階]:問題点への対応
トンネル坑口部における地すべり・斜面崩壊の評価方法
周辺地域および類似した地形・地質・岩質におけ
る事例の収集
円弧すべり・FEM解析などの数値解析手法による
検討(トンネル掘削によるゆるみ域の影響を評価
する)
32
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4.2.3 技術的判断エラー
(1) 橋梁基礎設計における沖積粘性土層の
設計用地盤定数(強度・変形特性)の
設定エラー
33
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【概要】
橋梁基礎の設計、特に保有水平耐力法で重要となる、
地盤の強度・変形特性の設計用定数値を合理的に設定
すること
【エラーの内容】
・沖積粘性土の一般的な土質工学的特性が考慮されて
いない。
・サンプリングに伴う試料の乱れや試験方法の精度など
に着目した、試験結果の吟味・評価が不十分で ある。
・単に、設計上安全側であるとの判断から定数が設定さ
れている。
34
Slide 35
物理特性の整理結果
細粒分含有率 FC(%)
平均粒径 D50(mm)
0 20 40 60 80 100
0
10-410-310-210-1 100 101
0
1
0
-5
<砂>
1.4
1.8
2.2
<埋土>
<埋土>
<埋土>
-5
湿潤密度 ρt(g/cm3)
<砂>
-5
<砂>
砂分多い
<粘土>
-15
-10
<粘土>
-15
標高(T.P.m)
-10
標高(T.P.m)
標高(T.P.m)
砂分多い
-10
砂分多い
<粘土>
-15
-20
-20
-20
-25
-25
-25
;設定値
;除外データ
35
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強度・変形特性の整理(初期設定)
〈埋土〉
‐10
〈粘土〉
‐15
‐20
砂分
多い
‐5
〈砂〉
‐10
‐15
〈粘土〉
砂分
多い
標高(T.P.m)
〈砂〉
〈埋土〉
〈埋土〉
標高(T.P.m)
標高(T.P.m)
‐5
砂分多い
E50,Em
2
10 20 )30 40 50
0(kgf/cm
0
C(kgf/cm2)
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
細粒分含有率FC(%)
0 20 40 60 80 100
0
‐5
‐10
〈粘土〉
‐15
‐20
‐20
;三軸
;直接せん断
;一軸qu/2
‐25
‐25
〈砂〉
;孔内水平載荷
;一軸 E50
‐25
36
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【エラーの原因分析と改善策】
・沖積粘性土の土質工学的性質とは
→一般的には正規圧密であり、力学特性は深度方向
に増加する
・試料の乱れの程度は採取深度や試験方法で異なる。
①サンプリングも乱れの程度は深度によらず一定か
→ 深いほど乱れやすいのが一般
②その影響程度は一軸試験と三軸試験で同一か
→ 一軸の方が大きく表れやすいのが一般
③それは何を見れば確認できるか
→ 応力~ひずみ関係
37
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採取試料の乱れが与える影響
圧縮応力σ(kgf/cm2)
■一軸圧縮試験での応力-ひずみ曲線
サンプリングに伴う乱れの影響なし
→明確なピークの出現
破壊ひずみεf小
(TP-15m以浅)
サンプリングに伴う乱れの影響あり
→明確なピークが現れない
破壊ひずみεf大
(TP-15m以深)
εf
εf
圧縮ひずみε(%)
38
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強度・変形特性の整理(最終設定)
〈埋土〉
‐5
砂分多い
〈砂〉
E50,Em
2
10 20 )30 40 50
0(kgf/cm
0
C(kgf/cm2)
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
細粒分含有率FC(%)
0 20 40 60 80 100
0
〈埋土〉
〈埋土〉
砂分
多い
‐5
〈砂〉
砂分
多い
‐5
〈砂〉
〈粘土〉
‐15
‐20
‐10
本設定
‐15
〈粘土〉
標高(T.P.m)
‐10
標高(T.P.m)
標高(T.P.m)
暫定設定
‐10
〈粘土〉
‐15
試料の
乱れ
試料の
乱れ
‐20
‐20
;三軸
;直接せん断
;一軸qu/2
‐25
‐25
暫定設定
本設定
;孔内水平載荷
;一軸 E50
‐25
;設定値
;除外データ
39
Slide 40
4.2.3 技術的判断エラー
(2) 河川掘削・築堤における
地盤評価エラー
40
Slide 41
[工事実施前のモデ
ル]
地下水位
砂層が挟在する
工事の概要
・新規河道を掘削する
・掘削土を安定化処理し築堤する
41
Slide 42
[工事実施後のモデ
ル]
①掘削盤で盤ぶくれが発生した
②盛土施工中に斜面崩壊が生じた
42
Slide 43
[エラー発生原因の分析]
軟弱な粘性土の掘削時の異常事例
①
盤ぶくれ(ボイリング)の誘発
適切な地下水の評価エラー
調査不足又は、土質分布の判断エラー
②
掘削後の応力開放による強度低下
を評価しなかったこと。
設計定数の評価エラー
※ 河川土工マニュアル(掘削時の留意点)参照
43
Slide 44
[改善策]
土質分布の判断エラー
地層判断の不確実性(連続性、層厚の評価など)を
踏まえた上で適切な地盤モデルを設定する。
設計定数の評価エラー
①施工条件(施工時期、施工スピード等)を勘案し、
適切な条件での正確な土質試験を実施する。
②土質試験(調査)と設計定数(設計)の相互関係
地盤材料の特性は、試験方法や時間的な経過によっても異なる。
構造物の重要度等含め総合的な判断により設計値を評価する。
44
Slide 45
砂層が連続する場合の盤ぶくれの検討
Ta =α
As
ρw
Ta=α・
h
ρs
ここに Ta :最小掘削残し厚さ(m)
α :α=1.0とする
ρw :地下水の密度(t/m3)
ρs :土の密度(t/m3)
h :被圧水頭(m)
45
Slide 46
粘性土地盤掘削時のせん断強度低下
※ 掘削土の長期安定問題
46
Slide 47
4.2.3 技術的判断エラー
(3) 砂防ダム基礎(断層破砕帯部)
の地盤条件判断エラー
47
Slide 48
【業務の概要】
小規模(堤高7m)な砂防ダムの調査・設計業務
【エラーの内容】
・基礎的な地質情報の収集を実施せず大規模な
断層破砕帯を見逃す
・調査結果による地盤強度を基に通常の重力式
砂防ダムを計画し、基礎の施工中に掘削のり
面に地すべりが発生
・地すべりが発生した結果、計画した砂防ダム形
式では施工が困難となり、計画をまったく別形
式に変更。
48
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砂防ダム計画地点の平面図
大規模な地質構造
は地形図や地質調
査所発行の地質図
等の調査により把握
可能
多少熟練した技術
者が付近の平面図
を見るだけでも図に
示すような断層破砕
帯の存在を推定可
能な場合あり
49
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砂防ダム計画地点の拡大図
エラー発生後の調
査で砂防ダム基礎
のほぼ全面に渡っ
て断層破砕部が
分布
崩壊土砂は、下流
の民家や県道にま
で及ぶ恐れあり
50
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地すべり発生個所の地質断面
エラー発生前
は図の左端の
ボーリングの
み実施
地すべり発生
時点でそれ以
上の掘削が不
可能となり、押
え盛土の機能
を持ったダム
形式に変更し
て施工
51
Slide 52
【エラー原因の分析】
・基礎的な地質情報の収集を怠る
・ボーリング調査のみを実施、他の手法の提案
や実施を怠たる
・特殊な地質状況であるのに、近傍の調査結
果を流用し正確な地質状況を把握していな
い
・断層による破砕部を、崖錐堆積層や風化によ
り劣化した岩盤と判断。その結果著しく劣化
が速い岩石であること見逃す
52
Slide 53
【改善策】
・構造物の大小に関わらず,基礎的な地盤に関す
る情報収集が重要
・調査実施段階では、構造物の計画地点のみでな
く、周辺の状況を把握する
・設計施工者に岩石の性質についての留意事項を、
正確に伝達する
・地質調査の限界点を示し、疑問や問題点がある
場合には、追加調査の必要性を明示する
・施工時に調査担当者や設計担当者が基礎地盤
のチェックを行なう
53
Slide 54
4.3 エラーの特徴と留意点
54
Slide 55
土質・地質に関するエラー事例の分析
コード
エラーの内容
事例数
内容の詳細
A
計画段階エラー
5
地形・地質に関する認識・評価の
不足によるもの
B
調査実施段階
エラー
14
調査不足により建設を行った結果、
不具合が工事中に発覚したもの
C
技術的判断
エラー
21
土質・地質の評価が不十分で容易な
判断(調査等も不十分)により設計を
進めた結果、最終段階の設計や工事
中に不具合が生じたもの
D
その他
3
・単純ミス(岩盤評価、単位系)
・調査~設計間での情報伝達不足によるもの
合計
43
55
Slide 56
土質・地質に関するエラ-の特徴
・調査不足や調査時点の判断ミスが設計中の不具
合や工事中の事故として現れて、初めてエラ-とし
て発覚することが多い。
・逆にエラ-として認識されず、結果として過大設
計となっている事例もある(これも本当はエラ-で
ある)。
建設コスト増大に大きく影響する
56
Slide 57
エラー低減・防止のために
・設計技術者は、土質・地質に関する認識・知識を
高める。
・土質・地質技術者は、構造物設計の目的・内容
(地盤調査の精度)や地盤評価の設計への感度を
十分認識する。
・設計技術者、土質・地質技術者、発注者の三者
の連携・協動(コミュニケーション) 。
57
Slide 58
整備計画
段階
【道路計画・設計・施工・維持管理】
整備計画
【土質・地質調査の流れ】
道路基本計画
基本計画
段階
①概略調査
路線選定のための
広範囲で大局的な
調査
②予備調査
構造形式、施工法検討
のための全般的な調査
③詳細調査
細部構造検討および
施工法決定のための
密度の濃い調査
道路概略設計
ルート決定・事業化
道路事業設計
事業計画
段階
・各構造物予備設計
・道路中心線決定
各構造物詳細設計
施工・維持
管理段階
工事設計・積算
④補足調査
工事施工
⑤施工段階調査
供用
維持管理
⑥維持管理調査
道路事業の
基本的な流れ
58
Slide 59
河川事業の 【河川計画・設計・施工・維持管理】
【土質・地質調査の流れ】
基本的な流れ
整備計画
①予備調査
整備計画
段階
予備設計
最適案の抽出
〈事業決定〉
設計条件・設計方針
基本計画
段階
②本調査
概略設計(or基本設計)
〈用地決定〉
③追加調査
事業計画
段階
詳細設計
〈詳細図面〉
積算
施工・維持
管理段階
工事施工
④施工管理調査
供用
維持管理
⑤維持管理調査
59
Slide 60
詳細地盤調査の計画立案の例
約250m
A1
盛土
A2
盛土
基盤面
掘進用(l=28m),PS検層
サンプリング用(l=17m)
掘進用(l=42m),PS検層
サンプリング用(l=23m)
掘進用(l=45m),PS検層
60
Slide 61
詳細地盤調査実施の方針
①
対象橋梁:5本の既往調査Borが存在
しかし、建設前で詳細な地盤物性が不明
②
橋台背面は盛土
→橋台部周辺地盤はその影響により地盤物性が変化していると考えられる
③
表層20mまでは、極めて軟弱な腐植土と砂(礫も混入)の互層からなる沖積層
→盛土による圧密沈下や地震時の液状化とそれに伴う側方流動発生の程度
基礎補強設計において問題
④
基礎設計では...
震度法
:基礎上部(表層から10m程度)の地盤の変形特性(E) 重要な
保有水平耐力法:変形特性に加え、強度特性(c、φ)
地盤定数
精度良く設定のための調査・試験を実施
⑤
橋梁の耐震設計では…
橋梁全体系の動的挙動把握が重要
:上・下部~基礎~地盤を一体としたモデルによる動的解析を実施
表層から基盤面までの動的変形特性(S波速度)が必要
61
Slide 62
想定柱状図と試験深度
GL-17m ま で は
別孔にて採取
62
4.土質・地質調査の計画、
実施および結果の評価
4.1 エラー事例の技術的な分析
1
Slide 2
土質・地質調査のエラー内容別の事例数
コード
A
B
C
エラーの内容
計画段階エラー
(調査の計画段階のエラー)
調査実施段階エラー
(調査実施中のエラー)
技術的判断エラー
( 調 査 結 果 を解 釈 す る 段 階の エ ラ ー
設計に用いる段階を含む)
事例数
5
14
21
その他
D
( エ ラ ー が 発生 し た 段 階 が明 確 で な
いエラーや改善策が明確にできな
いエラーなど)
合
計
3
43
2
Slide 3
土質・地質調査の構造物別の事例数
対象構造物等
道路盛土
道路切土
トンネル
橋梁基礎(土質) 10
橋梁基礎(岩盤) 2
上下水道
河川・港湾・砂防
その他
合 計
事例数
5
5
4
12
3
8
6
43
注)その他は「盛土造成」「土留め」「配合試験」「単位系」に関するエラー事例である
3
Slide 4
調査不足に関する事項
調 査 不 足
調査計画段階
調査実施段階
(発注者が計画立案)
調査計画の照査⇒
追加調査の提 案
調査実施中に把握できた事項から新たな
課題の抽出
発注者のパートナー
としての責務
発注者に追加調査の提 案
調査受注者
発注者のパートナーとしての責務
調査不足の解消
発注者に追加調査が受け入れられない場合
発注者の状況により対応 ex.)予算不足・調査時の用地問題⇒施工時の確認調査として提案
対応がとれない場合には発注者との協議の上、設計条件等に明記する
(誰も不明なこと、不都合なことを放置しようとは考えない)
4
Slide 5
「D:その他」の事例の想像図
地表面
橋台
盛土
橋脚
深度20m付近
中間支持層
深度40m付近
過圧密粘土
深度50m付近
支持層
過圧密粘土は、橋の増加荷重を考慮しても過圧密領域にある
上図のような構造で施工した結果、橋台で1.7cm、橋脚で1.4cm
の沈下が発生した
5
Slide 6
4.2 エラー事例とその改善策
4.2.1 調査計画段階のエラー
-詳細地盤調査位置の選定エラ-
6
Slide 7
【業務の概要】
橋梁基礎設計で影響度の高い、液状化強度設定
するための詳細な地盤調査業務
(凍結サンプリング~室内液状化強度試験)
【エラーの内容】
・既往地盤調査結果のみから調査位置を選定した。
・しかし、調査目的である沖積砂質土の大半が埋
土であることが、調査のほぼ終了時点に判明し
たという、調査地点の選定エラ-。
7
Slide 8
調査地点の地層構成
調査
液状化対象層
(沖積砂質土
層)
地点
N値
0 10 20 30 40 50
B
As
As
Ac
Ac
Ds
Dg
Dc
Ds
Dc
Ds
;実際は埋立て土であった部分
8
Slide 9
液状化強度試験の整理
0.8
既往データ(当該地点(沖積))
既往データ(当該地点(洪積))
既往データ(他地域1)
既往データ(他地域2)
既往データ(他地域3)
今回沖積土
今回埋立土
繰返し三軸強度比 RL× σv'
0.7
0.6
0.5
FC>10%のデータ
0.4
礫分>10%のデータ
0.3
沖積地盤用
沖積地盤用
埋立土用
埋立土用
0.2
当初データ追加を
当該ルートでの埋立土の範囲
0.1
0
想定した範囲
0
20
40
60
80
100
換算せん断剛性 G1=G0/ σv' (MN/m2)
120
9
Slide 10
基礎への影響検討結果
「道示」
0
0
00
埋立
土層
砂質
土層
2/3
2/3
2/3
1/3
1/3
1/3
フーチング寸法
11.4m×8.4m×3.5m
11.4m×8.4m×3.5m
杭本数
(場所打ち杭
φ1200、L=38m)
4列×3列 計12本
1. 2
計12本
5列×3列(千鳥配置)
計14本
5列×3列 (千鳥配置) 計14本
2@ 3. 0=6. 0
1.2
1.2
杭配置図
(単位:m)
8.4
2@ 3.0= 6. 0
1. 2
4列×3列
14.4m×8.4m×3.5m
14.4m×8.4m×3.5m
1.2
3@ 3.0=9 .0
1 1. 4
1. 2
8.4
土質定数の
低減係数
DE
設定式
1.2
4@ 3 .0= 12. 0
1.2
14.4
10
Slide 11
【エラーの原因分析と改善策】
・調査位置が臨海部であり、地形の変遷の可能性
が十分にあり得ることに気づかなかった
・その確認調査のための情報収集方法を知らな
かっ た、知っていたが情報収集を怠った
→問題認識や情報入手方法やその活用に対する知
識の無さ
・古地形図は全国レベルで整備されている(入手
も簡単)
・地形図、地質図、防災情報は序々にデジタル化
されつつある(情報公開との絡みもある)
11
Slide 12
調査位置の
地形の変遷
今回調査位置
今回調査位置
貯木場
貯木場
今回調査位置
今回調査位置
H.11発行
H.11
発行
貯木場
貯木場
S.47発行
S.47
発行
既存調査位置
;既存調査位置
今回調査位置
今回調査位置
T.12発行
T.12
発行
今回調査位置
今回調査位置
S.23発行
S.23
発行12
Slide 13
地形・地盤図の例(微地形分類図)
国土地理院発行「土地利用図」より抜粋および加筆
13
Slide 14
ItemFile: afd20y.itm
Palette: afd.pal
防災情報の例(活断層、地震履歴)
1/20万(資料表記載あり)
LF:陸上活断層
CF:伏在活断層
SF:海底活断層
MC:海底活撓曲
EF:地震断層
AX:活背斜軸
5≦M<6
SX:活向斜軸
6≦M<7
HJ:補助線
上諏訪断層群 延長 16km
確実度Ⅰ 活動度 B
7≦M<8
8≦M
LF:陸上活断層
CF:伏在活断層
SF:海底活断層
MC:海底活撓曲
EF:地震断層
AX:活背斜軸
SX:活向斜軸
HJ:補助線
※1活断層データは、活断層研究会:「新編日本の活断層」、東京大学出版会
(1991)((有)ジオデータサプライによる数値データ)による。
※2地震データは、日本気象協会:「気象庁震源データ」(1996)による。
14
Slide 15
防災情報の例(液状化履歴)
液状化履歴
関東地震
西埼玉地震
千葉県東方沖地震
etc
:
西埼玉地震
1931(昭和 6)9.21
千葉県東方沖
関東大地震
1987(昭和 62)12.17
1923(大正 12)9.1
※ 液状化履歴データは、若松加寿江:「日本の地盤液状化履歴図」、
東海大学出版会(1991)による。
15
Slide 16
4.2.2 調査実施段階エラー
(1) 道路盛土計画時の
湧水対策の不足
16
Slide 17
この事例の概要とエラーの内容
【概 要】
・
・
・
・
・
トンネルとトンネルの間の谷を埋めた盛土
谷は盛土計画部付近でボトルネック状を呈する
谷上方は集水地形で谷底に湧水が見られる
盛土材料はトンネル掘削ズリ(花崗岩類のマサ土)を流用
豪雨時の水の影響で、表層崩壊と地すべり性の変位が発生
【エラーの内容】
・ 豪雨時の湧水の盛土に与える影響についての想定の甘さ
→ 豪雨時に盛土内の水位が上昇し崩壊に至る
・ 盛土材(マサ土)の材料特性に関する認識不足
→ 盛土内の浸透水により細粒分が流失し、パイピングが
発生して崩壊に至る
17
Slide 18
対象箇所の地形的特徴
・ 盛土計画箇所はボトルネック状の谷
> 水が集まりやすい
・ 谷の上方は凹状の集水地形
高
低
盛土
トンネル
トンネル
18
Slide 19
崩壊・変状箇所想定模式断面図
変状としては、表層崩壊的なものと地すべり性の
挙動とが確認された。
表層崩壊線
地すべり性変位線
Bs
dt
Gdm
wGd
記号
地層名
Bs
盛土層
dt
崖錐堆積物
Gdm
強風化部
花崗岩
wGd
風化部
19
Slide 20
エラーの原因分析
・ 盛土地点のみで地盤を評価し、周囲が集水地形であること
を見落とした。また、谷底の湧水について気にとめなかった。
→ 豪雨時の盛土内の水位の上昇が崩壊の最大要因
・ マサ土の材料特性について認識せず、盛土内の排水層を
設けなかった
→ 盛土内の浸透水により細粒分が流失し、盛土全体に
緩みが生じて表層崩壊を起こした
・ 盛土地盤の表層に軟弱な粘性土が分布するが、盛土の
底面に排水施設を設けなかった
→ 粘性土に関する認識も甘く、盛土と旧地盤との境界で
地すべりが発生
20
Slide 21
エラーに対する改善策
・ 周辺地形に対する認識と対応
盛土の計画段階では、地形地質踏査によって周辺の地形
状況・水の問題等を的確に把握する。
調査手法 : 地形地質踏査
・ 盛土地盤の湧水対策
盛土の不安定化の大きな要因の一つは「水」。
盛土計画段階では、この水の分布状況や降雨時の水位
変動を把握する必要がある。
調査手法 : 調査ボーリング・地下水検層・電気探査など
・ 盛土材料の特性の把握と対応
盛土に用いる材料の特性を的確把握する。
調査手法 : 室内土質試験(物理試験・材料試験)
21
Slide 22
盛土排水の分類(参考)
路面排水
表面水を対象
とするもの
の り面 排 水
隣接地からの
地表水の排水
盛 土 安 定 の
た め の 排 水
盛土内の排水
盛土内への浸
透水を対象と
するもの
排水
の り面 地 下 排 水
切 盛 り境 部 の 排 水
基礎地盤の排水
構造物裏込めの排水
準備排水
施工の円滑化を
図るための排水
工事中排水
隣接地排水
22
Slide 23
対策工の実施状況模式断面図
・ 表面付近の水の処理 : 排水路工・地下排水工
・ 盛土内部の水の処理 : 水抜きボーリング
・ 盛土のり面侵食防止 : ふとん籠工
地下排水工
小段排水路工
ふとん籠工
Bs
dt
Gdm
wGd
水抜ボーリング
23
Slide 24
4.2.2 調査実施段階エラー
(2)山岳トンネル坑口部の
地すべり崩壊に対する調査不足
Point
・トンネル坑口斜面における不安定要因の見落とし
・トンネル掘進によるゆるみ域の進展を想定した評価の
欠如
24
Slide 25
【概 要】
片押しで施工されてきた山岳トンネル。
出口側坑口の貫通間際に、坑口部上部斜面において大規模な地すべり
崩壊が発生した。
原因は、トンネル掘進によるゆるみ域の進展が潜在的なすべり面におけ
る強度低下を誘発したこと。
25
Slide 26
【エラーの内容】
トンネル施工に先立つ事前の地質調査
において、地すべり・斜面崩壊を前提とし
た調査が行われていなかった。
事前の調査では、トンネル本体の地山
区分(地質・岩質)および地下水状況(トン
ネル湧水)を中心に調査が計画・実施さ
れていた。
26
Slide 27
【エラー発生原因の分析】
原因1. 坑口斜面における不安定要因の見落とし
[斜面上の不安定要因]
坑口斜面上部には複数の段差地形(旧滑落崖)が馬蹄形
を呈し、崖錐堆積物が分布する。
斜面下部は河川侵食を受けている。
[事前の地質調査]
地すべり・斜面崩壊を前提とした地質調査を実施しなかっ
た。
27
Slide 28
地すべりの地形的特長
表-1 地すべり型による地形図および写真判読のポイント
(『道路土工-のり面工・斜面安定工指針』,(社)日本道路協会 p.112 より)
28
Slide 29
【エラー発生原因の分析】
原因2. トンネル施工を想定した評価の欠如
トンネル坑口では、事前の地質調査の段階でさほど不安定性が認
められないような斜面においても、斜面下部の坑口部の施工(切土)
およびトンネル掘削による地中のゆるみ域の進展などによって不安
定化する。
比較的安定した斜面
不安定化した斜面
トンネル掘削による
ゆるみ域
(a) トンネル施工前
(b) トンネル施工後
図-2 トンネル掘削による斜面の不安定化
29
Slide 30
類似したエラー事例
山岳トンネル坑口上部の地すべり面の評価エラー
坑口斜面において地すべり対
策工(アンカー工)を施工。
アンカー工が効果を発揮しな
かったため、追加施工を実施。
※当初施工したアンカー定着部
はトンネル掘削によるゆるみ域
に含まれてしまった。
※トンネル掘削後の再調査に
よって、想定すべり面を再設定。
30
Slide 31
【改善策・対応策】
[計画段階]:問題点の回避
計画段階の調査
現地踏査(概査)
地形判読(空中写真判読)
資料調査
計画地点に予想される地形・地質学的問題点を抽出し、
ルート選定に反映させる。
参考資料
『道路事業における地質・土質調査計
画の立て方(案)』,平成13年12月,(社)
建設コンサルタンツ協会
エラー防止およびコスト縮減につながる
31
Slide 32
【改善策・対応策】
[詳細調査段階]:問題点への対応
トンネル坑口部における地すべり・斜面崩壊の評価方法
周辺地域および類似した地形・地質・岩質におけ
る事例の収集
円弧すべり・FEM解析などの数値解析手法による
検討(トンネル掘削によるゆるみ域の影響を評価
する)
32
Slide 33
4.2.3 技術的判断エラー
(1) 橋梁基礎設計における沖積粘性土層の
設計用地盤定数(強度・変形特性)の
設定エラー
33
Slide 34
【概要】
橋梁基礎の設計、特に保有水平耐力法で重要となる、
地盤の強度・変形特性の設計用定数値を合理的に設定
すること
【エラーの内容】
・沖積粘性土の一般的な土質工学的特性が考慮されて
いない。
・サンプリングに伴う試料の乱れや試験方法の精度など
に着目した、試験結果の吟味・評価が不十分で ある。
・単に、設計上安全側であるとの判断から定数が設定さ
れている。
34
Slide 35
物理特性の整理結果
細粒分含有率 FC(%)
平均粒径 D50(mm)
0 20 40 60 80 100
0
10-410-310-210-1 100 101
0
1
0
-5
<砂>
1.4
1.8
2.2
<埋土>
<埋土>
<埋土>
-5
湿潤密度 ρt(g/cm3)
<砂>
-5
<砂>
砂分多い
<粘土>
-15
-10
<粘土>
-15
標高(T.P.m)
-10
標高(T.P.m)
標高(T.P.m)
砂分多い
-10
砂分多い
<粘土>
-15
-20
-20
-20
-25
-25
-25
;設定値
;除外データ
35
Slide 36
強度・変形特性の整理(初期設定)
〈埋土〉
‐10
〈粘土〉
‐15
‐20
砂分
多い
‐5
〈砂〉
‐10
‐15
〈粘土〉
砂分
多い
標高(T.P.m)
〈砂〉
〈埋土〉
〈埋土〉
標高(T.P.m)
標高(T.P.m)
‐5
砂分多い
E50,Em
2
10 20 )30 40 50
0(kgf/cm
0
C(kgf/cm2)
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
細粒分含有率FC(%)
0 20 40 60 80 100
0
‐5
‐10
〈粘土〉
‐15
‐20
‐20
;三軸
;直接せん断
;一軸qu/2
‐25
‐25
〈砂〉
;孔内水平載荷
;一軸 E50
‐25
36
Slide 37
【エラーの原因分析と改善策】
・沖積粘性土の土質工学的性質とは
→一般的には正規圧密であり、力学特性は深度方向
に増加する
・試料の乱れの程度は採取深度や試験方法で異なる。
①サンプリングも乱れの程度は深度によらず一定か
→ 深いほど乱れやすいのが一般
②その影響程度は一軸試験と三軸試験で同一か
→ 一軸の方が大きく表れやすいのが一般
③それは何を見れば確認できるか
→ 応力~ひずみ関係
37
Slide 38
採取試料の乱れが与える影響
圧縮応力σ(kgf/cm2)
■一軸圧縮試験での応力-ひずみ曲線
サンプリングに伴う乱れの影響なし
→明確なピークの出現
破壊ひずみεf小
(TP-15m以浅)
サンプリングに伴う乱れの影響あり
→明確なピークが現れない
破壊ひずみεf大
(TP-15m以深)
εf
εf
圧縮ひずみε(%)
38
Slide 39
強度・変形特性の整理(最終設定)
〈埋土〉
‐5
砂分多い
〈砂〉
E50,Em
2
10 20 )30 40 50
0(kgf/cm
0
C(kgf/cm2)
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
細粒分含有率FC(%)
0 20 40 60 80 100
0
〈埋土〉
〈埋土〉
砂分
多い
‐5
〈砂〉
砂分
多い
‐5
〈砂〉
〈粘土〉
‐15
‐20
‐10
本設定
‐15
〈粘土〉
標高(T.P.m)
‐10
標高(T.P.m)
標高(T.P.m)
暫定設定
‐10
〈粘土〉
‐15
試料の
乱れ
試料の
乱れ
‐20
‐20
;三軸
;直接せん断
;一軸qu/2
‐25
‐25
暫定設定
本設定
;孔内水平載荷
;一軸 E50
‐25
;設定値
;除外データ
39
Slide 40
4.2.3 技術的判断エラー
(2) 河川掘削・築堤における
地盤評価エラー
40
Slide 41
[工事実施前のモデ
ル]
地下水位
砂層が挟在する
工事の概要
・新規河道を掘削する
・掘削土を安定化処理し築堤する
41
Slide 42
[工事実施後のモデ
ル]
①掘削盤で盤ぶくれが発生した
②盛土施工中に斜面崩壊が生じた
42
Slide 43
[エラー発生原因の分析]
軟弱な粘性土の掘削時の異常事例
①
盤ぶくれ(ボイリング)の誘発
適切な地下水の評価エラー
調査不足又は、土質分布の判断エラー
②
掘削後の応力開放による強度低下
を評価しなかったこと。
設計定数の評価エラー
※ 河川土工マニュアル(掘削時の留意点)参照
43
Slide 44
[改善策]
土質分布の判断エラー
地層判断の不確実性(連続性、層厚の評価など)を
踏まえた上で適切な地盤モデルを設定する。
設計定数の評価エラー
①施工条件(施工時期、施工スピード等)を勘案し、
適切な条件での正確な土質試験を実施する。
②土質試験(調査)と設計定数(設計)の相互関係
地盤材料の特性は、試験方法や時間的な経過によっても異なる。
構造物の重要度等含め総合的な判断により設計値を評価する。
44
Slide 45
砂層が連続する場合の盤ぶくれの検討
Ta =α
As
ρw
Ta=α・
h
ρs
ここに Ta :最小掘削残し厚さ(m)
α :α=1.0とする
ρw :地下水の密度(t/m3)
ρs :土の密度(t/m3)
h :被圧水頭(m)
45
Slide 46
粘性土地盤掘削時のせん断強度低下
※ 掘削土の長期安定問題
46
Slide 47
4.2.3 技術的判断エラー
(3) 砂防ダム基礎(断層破砕帯部)
の地盤条件判断エラー
47
Slide 48
【業務の概要】
小規模(堤高7m)な砂防ダムの調査・設計業務
【エラーの内容】
・基礎的な地質情報の収集を実施せず大規模な
断層破砕帯を見逃す
・調査結果による地盤強度を基に通常の重力式
砂防ダムを計画し、基礎の施工中に掘削のり
面に地すべりが発生
・地すべりが発生した結果、計画した砂防ダム形
式では施工が困難となり、計画をまったく別形
式に変更。
48
Slide 49
砂防ダム計画地点の平面図
大規模な地質構造
は地形図や地質調
査所発行の地質図
等の調査により把握
可能
多少熟練した技術
者が付近の平面図
を見るだけでも図に
示すような断層破砕
帯の存在を推定可
能な場合あり
49
Slide 50
砂防ダム計画地点の拡大図
エラー発生後の調
査で砂防ダム基礎
のほぼ全面に渡っ
て断層破砕部が
分布
崩壊土砂は、下流
の民家や県道にま
で及ぶ恐れあり
50
Slide 51
地すべり発生個所の地質断面
エラー発生前
は図の左端の
ボーリングの
み実施
地すべり発生
時点でそれ以
上の掘削が不
可能となり、押
え盛土の機能
を持ったダム
形式に変更し
て施工
51
Slide 52
【エラー原因の分析】
・基礎的な地質情報の収集を怠る
・ボーリング調査のみを実施、他の手法の提案
や実施を怠たる
・特殊な地質状況であるのに、近傍の調査結
果を流用し正確な地質状況を把握していな
い
・断層による破砕部を、崖錐堆積層や風化によ
り劣化した岩盤と判断。その結果著しく劣化
が速い岩石であること見逃す
52
Slide 53
【改善策】
・構造物の大小に関わらず,基礎的な地盤に関す
る情報収集が重要
・調査実施段階では、構造物の計画地点のみでな
く、周辺の状況を把握する
・設計施工者に岩石の性質についての留意事項を、
正確に伝達する
・地質調査の限界点を示し、疑問や問題点がある
場合には、追加調査の必要性を明示する
・施工時に調査担当者や設計担当者が基礎地盤
のチェックを行なう
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4.3 エラーの特徴と留意点
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土質・地質に関するエラー事例の分析
コード
エラーの内容
事例数
内容の詳細
A
計画段階エラー
5
地形・地質に関する認識・評価の
不足によるもの
B
調査実施段階
エラー
14
調査不足により建設を行った結果、
不具合が工事中に発覚したもの
C
技術的判断
エラー
21
土質・地質の評価が不十分で容易な
判断(調査等も不十分)により設計を
進めた結果、最終段階の設計や工事
中に不具合が生じたもの
D
その他
3
・単純ミス(岩盤評価、単位系)
・調査~設計間での情報伝達不足によるもの
合計
43
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土質・地質に関するエラ-の特徴
・調査不足や調査時点の判断ミスが設計中の不具
合や工事中の事故として現れて、初めてエラ-とし
て発覚することが多い。
・逆にエラ-として認識されず、結果として過大設
計となっている事例もある(これも本当はエラ-で
ある)。
建設コスト増大に大きく影響する
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エラー低減・防止のために
・設計技術者は、土質・地質に関する認識・知識を
高める。
・土質・地質技術者は、構造物設計の目的・内容
(地盤調査の精度)や地盤評価の設計への感度を
十分認識する。
・設計技術者、土質・地質技術者、発注者の三者
の連携・協動(コミュニケーション) 。
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整備計画
段階
【道路計画・設計・施工・維持管理】
整備計画
【土質・地質調査の流れ】
道路基本計画
基本計画
段階
①概略調査
路線選定のための
広範囲で大局的な
調査
②予備調査
構造形式、施工法検討
のための全般的な調査
③詳細調査
細部構造検討および
施工法決定のための
密度の濃い調査
道路概略設計
ルート決定・事業化
道路事業設計
事業計画
段階
・各構造物予備設計
・道路中心線決定
各構造物詳細設計
施工・維持
管理段階
工事設計・積算
④補足調査
工事施工
⑤施工段階調査
供用
維持管理
⑥維持管理調査
道路事業の
基本的な流れ
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河川事業の 【河川計画・設計・施工・維持管理】
【土質・地質調査の流れ】
基本的な流れ
整備計画
①予備調査
整備計画
段階
予備設計
最適案の抽出
〈事業決定〉
設計条件・設計方針
基本計画
段階
②本調査
概略設計(or基本設計)
〈用地決定〉
③追加調査
事業計画
段階
詳細設計
〈詳細図面〉
積算
施工・維持
管理段階
工事施工
④施工管理調査
供用
維持管理
⑤維持管理調査
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詳細地盤調査の計画立案の例
約250m
A1
盛土
A2
盛土
基盤面
掘進用(l=28m),PS検層
サンプリング用(l=17m)
掘進用(l=42m),PS検層
サンプリング用(l=23m)
掘進用(l=45m),PS検層
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詳細地盤調査実施の方針
①
対象橋梁:5本の既往調査Borが存在
しかし、建設前で詳細な地盤物性が不明
②
橋台背面は盛土
→橋台部周辺地盤はその影響により地盤物性が変化していると考えられる
③
表層20mまでは、極めて軟弱な腐植土と砂(礫も混入)の互層からなる沖積層
→盛土による圧密沈下や地震時の液状化とそれに伴う側方流動発生の程度
基礎補強設計において問題
④
基礎設計では...
震度法
:基礎上部(表層から10m程度)の地盤の変形特性(E) 重要な
保有水平耐力法:変形特性に加え、強度特性(c、φ)
地盤定数
精度良く設定のための調査・試験を実施
⑤
橋梁の耐震設計では…
橋梁全体系の動的挙動把握が重要
:上・下部~基礎~地盤を一体としたモデルによる動的解析を実施
表層から基盤面までの動的変形特性(S波速度)が必要
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想定柱状図と試験深度
GL-17m ま で は
別孔にて採取
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