使用成績調査における サンプルサイズ設計 2011年9月3日 伊藤 陽一1 西本尚樹2 江口 菜弥帆2 1 北海道大学 大学院医学研究科 臨床統計学 2 北海道大学探索医療教育研究センター レギュラトリーサイエンス学会2011 @ 学術総合センター はじめに  GPSPでは、使用成績調査の目的、予定症例数の 設定が必須  使用成績調査の目的 1.

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Transcript 使用成績調査における サンプルサイズ設計 2011年9月3日 伊藤 陽一1 西本尚樹2 江口 菜弥帆2 1 北海道大学 大学院医学研究科 臨床統計学 2 北海道大学探索医療教育研究センター レギュラトリーサイエンス学会2011 @ 学術総合センター はじめに  GPSPでは、使用成績調査の目的、予定症例数の 設定が必須  使用成績調査の目的 1.

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使用成績調査における
サンプルサイズ設計
2011年9月3日
伊藤 陽一1 西本尚樹2 江口 菜弥帆2
1 北海道大学 大学院医学研究科 臨床統計学
2 北海道大学探索医療教育研究センター
レギュラトリーサイエンス学会2011
@ 学術総合センター
はじめに
 GPSPでは、使用成績調査の目的、予定症例数の
設定が必須
 使用成績調査の目的
1. 未知の副作用の把握
2. 医薬品の使用実態下における副作用の発生状況の把握
3. 安全性または有効性等に影響を与える要因の把握
 頻用される0.1%の副作用を95%の確率で検出する
ための3000例という記述は目的1に特化したもの
他の目的には適さない
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1
目的
2
 【2】「医薬品の使用実態下における副作用の発生状況
の把握」に適したサンプルサイズ設計を考える
 副作用発現頻度のカテゴリーを確定するための方法を
提案することを目的とする
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3
方法
 添付文書でよく用いられる副作用発現頻度の
カテゴリー
•
•
1%未満、1%~5%、5%以上
0.1%未満、0.1%~1%、1%以上
 真の発現率が1%のときに、5%以上と誤って判断され
る確率および、真の発現率が5%のときに1%未満と
誤って判断される確率をそれぞれ1%未満に抑えるた
めに必要な症例数と、観測頻度に関する判断の閾値を
二項分布に基づいて求める
 カテゴリー「0.1%未満、0.1%~1%、1%以上」について
も、同様の計算を行う
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確率計算の詳細
真の発現率が1%のときに、5%以上と判断される確率
𝑚
𝑛
𝑃 =1−
0.01𝑥 0.99𝑛−𝑥
𝑚 = 𝐼𝑁𝑇 0.05 × 𝑛
𝑥
𝑥=0
判断の閾値 : 𝑚 + 1
真の発現率が5%のときに、1%未満と判断される確率
𝑚
𝑛
𝑃=
0.05𝑥 0.95𝑛−𝑥
𝑚 = 𝐼𝑁𝑇 0.01 × 𝑛
𝑥
𝑥=0
判断の閾値 : 𝑚
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4
5
N=130のときの分布
真の発現率が1%のときに、
5%以上と誤って判断してしまう
観測頻度の閾値:7例
真の発現率が5%のときに、
1%未満と誤って判断してしまう
観測頻度の閾値:1例
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真の発現率が1%のときに、5%以上と
誤って判断される確率
60例
確率0.00312
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6
真の発現率が5%のときに、1%未満と
誤って判断される確率
130例
確率0.00997
レギュラトリーサイエンス学会2011
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7
0.018
0.017
0.016
0.015
0.014
0.013
0.012
0.011
0.01
0.009
0.008
0.007
0.006
0.005
0.004
0.003
0.002
0.001
0
8
4
3
200例
130例
確率0.00113
確率0.00997
2
180 190 200 210 220 230 240 250 260 270 280 290 300 310 320
n
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@ 学術総合センター
閾値
確率
真の発現率が0.1%のときに、1%以上と
誤って判断される確率
真の発現率が1%のときに、0.1%未満と
誤って判断される確率
459例
確率0.00997
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9
考察
10
 発現率が5%以上の副作用と1%未満の副作用を
判別するには、130症例で十分
 発現率が1%以上の副作用と0.1%未満の副作用を
判別するには、459例が必要
 より稀な副作用の判別には、多くの症例数が必要
 これらの症例数は、通常の使用成績調査で設定される
症例数より少ない
 肝機能、腎機能障害患者、高齢者など、症例数を
集めにくい特定使用成績調査におけるサンプルサイズ
設計において有用
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