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生産環境整備学講座
灌漑排水学研究室
玉内 翔子
研究目的
現在の畑地灌漑計画
容易有効水分量を
24時間容水量からpF3.0(成長阻害水分点)までの水分量
に保つことが適当
■ pF3.0とは
毛管水が切断される水分量でもある
しかし・・・
土壌によっては,pF3.0以下で植物の吸水阻害が生じる
可能性がある
異なる土壌において
植物の吸水阻害が生じる時点の土壌水分状態を検討
実験の方法
・ニューワグネルポット 1/2000㌃を用いて
ポット実験を行う
・土壌の深さが25㎝以内であることから,ポット内は
均一な水分分布とする
【供試試料】
土性
土粒子密度
(g/㎝3)
乾燥密度
(g/㎝3)
水田土壌
砂壌土
森林土壌
砂土
河川敷土壌
砂土
2.58
1.86
2.68
1.04
0.29
1.46
土性の
異なる3種の
土壌を使用
実験の方法
【生育条件】
試験区名
植物
ビニルマルチ
蒸発
無し
無し
蒸発散
有り
無し
蒸散
有り
有り
試験区の様子
【水管理方法】
灌水区・・・24時間容水量を維持
無灌水区・・・実験開始時,24時間容水量に設定し,
それ以後,灌水を行わない
土壌面蒸発,
植物の蒸散,
それらの合
計の蒸発散
を検討
灌水を行わ
ないことで,
植物に水分
ストレスをか
ける
測定方法
【測定の目的】
24時間での蒸発・蒸散・蒸発散
の積算量を測定する.
【使用する測定器】
電子天秤
【測定した時刻・期間】
毎朝6:30~8:00
約2週間(土壌により異なる)
7月12日~7月31日
実験結果
傾きが変化した点を
【グラフの作成】
蒸発散低下時
(g)
とみなす
3500
3000
2500
無灌水区の
積算蒸発散量 2000
1500
無灌水区
1000
500
0
0
500
1000 1500 2000 2500 3000 3500
灌水区の積算蒸発散量
(g)
積算蒸発散量(g)
河川敷土壌の結果
【蒸発散試験区】
4000
3000
2000
1000
0
【蒸発散試験区】
実験開始後
3~10日目に低下
低下時の体積含水率
13.4~14.9% pF1.5~1.6
0
1000 2000 3000 4000
灌水区の積算蒸発散量(g)
毛管水が切断されるpF3.0よりも,はるかに小さいpF値1.5~1.6で
蒸発散の低下が生じている
⇒ 大部分の毛管水が利用されていない
森林土壌の結果
森林土壌の結果
【蒸発散試験区】
3000
【蒸発散試験区】
積算蒸発散量(g)
2500
2000
実験開始後
3~8日目に低下
1500
1000
低下時の体積含水率
22.0~24.2% pF1.5~1.6
500
0
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
灌水区の積算蒸発散量(g)
毛管水が切断されるpF3.0よりも,はるかに小さいpF値1.5~1.6で
蒸発散の低下が生じている
⇒ 大部分の毛管水が利用されていない
水田土壌の結果
積算蒸発散量(g)
【蒸発散試験区】
10000
【蒸発散試験区】
8000
実験開始後
7~8日目に低下
6000
4000
低下時の体積含水率
13.7~15.4% pF4.2以上
2000
0
0
2000
4000
6000
灌水区の積算蒸発散量(g)
8000
毛管水が切断されるpF3.0よりも,大きいpF4.2以上において
蒸発散低下が生じている
⇒ すべての毛管水,一部の吸着水を利用し,永久シオレ
点のpF4.2以上で蒸発散の低下が生じた
水分特性曲線
100000
吸引圧(㎝H2O)
10000
河川敷
森林
水田
1000
100
10
1
0
10
20
30
体積含水率(%)
40
50
【森林土壌・河川敷土壌】
吸引圧の増加に伴い急激に土壌水分が減少している
【水田土壌】
pF4.2においてもまだ22.5%の水分が残っている
間隙量の検討
pF値
4
3
2
1
Θ/pF値
0
0
50
40
30
20
10
0
20
40
60
体積含水率(%)
80
100
体積含水率(%)
【グラフの作成】
50
40
30
20
10
0
0~1
1~2
pF値
2~3
3~4
横軸:pF値の上限値と下限値
の平均値(pF値)
縦軸:体積含水率ΘをpF値の
幅で除した値(土壌水分量)
0
1
2
pF値
3
4
間隙量の検討と蒸発散低下
蒸発散低下
横軸:pF値
縦軸:土壌水分量
【河川敷土壌】
100
Θ/pF値
80
60
40
20
0
0
1
2
3
pF値
土壌水分量が急激に減少するpF値において
蒸発散低下が生じている
4
間隙量の検討と蒸発散低下
蒸発散低下
Θ/pF値
【森林土壌】
60
50
40
30
20
10
0
0
横軸:pF値
縦軸:土壌水分量
1
pF値
2
3
土壌水分量が急激に減少するpF値において
蒸発散低下が生じている
4
間隙量の検討と蒸発散低下
横軸:pF値
縦軸:土壌水分量
【水田土壌】
蒸発散低下
12
Θ/pF値
10
8
6
4
2
0
0
1
2
pF値
3
4
5
永久シオレ点であるpF4.2以上において蒸発散低下が
生じている.粘土成分が多いことから,pF3.0以上で植物
が利用できる水分量が多いと考えられる
結果と考察
本研究のまとめ
森林土壌・河川敷土壌のようなpF値の増加に伴い急激に
土壌水分が減少する土壌においては,そのpF値の前後で
植物の吸水阻害が生じる可能性がある
結 論
成長阻害水分点は土壌の水分特性の違いによって
pF1.6~4.2以上で大きく異なっていた。