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長岡モノづくりアカデミー 3D-CAD/CAE コース
’15.9
破壊基準
材料内部の発生応力が材料自体の強さに達すると
その材料は破壊する。
金属のような延性材料は破壊の代わりに降伏し変形し
機械の機能を失う。この応力が降伏応力 σy
σu=P/A で棒を引っ張った場合、A面に直角に
σu=P/A が作用し破断する。この σu を引っ張り強さ
という。
破壊(変形)は応力がどの状態に
なった時に起きるか?
現実は3次元で考える必要がある。
1
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1)最大主応力基準(破損包絡面)
3個の主応力のどれかが
引張り強さに達したら破損
する。=脆性材料(ガラス)
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2)最大せん断応力基準(延性材料=金属)
モールの応力円は主応力は90度で交差し
最大せん断力は主応力と45度をなすことを示
している。
モールの円
σ2=0
τmax
延性材料は σu に応力が大きくなる前に耐力
σy で降伏(塑性変形)する。そしてその値は σu
の約半分である。
一軸引張り実験をするとリューダースラインが
観察でき、その傾きは45度である。
(この塑性変形は刃状転移の移動の結果と言
われている。)
実験結果から、
延性材の場合、材料はまず最大せん断応力面
で塑性変形をおこすことが示される。
σ1
最大せん断応力面で滑りが真っ先に起きる。
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最大せん断応力基準(その2)
• 最大せん断応力基準
降伏応力が τy の材料の場合
となるような主応力が
生じたとき降伏する。
1
( 1   2)   max  y
2
単純一軸引張りの場合
1
2
 max  y  y
:トレスカの降伏条件
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最大剪断応力基準の破損包絡面(トレスカの降伏条件)
線図の範囲以内なら材料は降伏せず健全
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トレスカの降伏条件:演習
図のような内圧がかかる薄肉円筒型圧力容器
(タンク)がある。
発生応力は
周方向: σθ=pr/t
軸方向: σx=pr/2t
材料の降伏応力σy=240(MPa)
r=240mm、t=12mmの時
トレスカの降伏条件より容器の降伏限界圧力を
求めよ。
(解:12MPa、軸と平行に破断線が入る)
6
3)せん断歪エネルギー基準(1)
3次元等方性体応力歪関係は
1
x  (y  z ),
E
1
y  y  (z  x ),
E
1
z  z  (x  y ),
E
x 
1
yz
G
1
zx  zx
G
1
xy  xy
G
yz 
単位体積当たりの歪エネルギーUは
1
(xx  yy  zz  yzyz  yzzx  xyxy)
2
1

(x 2  y 2  z 2 )
2E

1
 (xy  yz  zx ) 
(yz 2  yz 2  xy 2 )
E
2G
U
7
せん断歪エネルギー基準(2)
U= 式に
xy  yz  zx 
x  y  z 
2
2
2


1
(x  y ) 2  (y  z ) 2  (z  x ) 2  x 2  y 2  z 2
2

1
(x  y  z ) 2  (x  y ) 2  (y  z ) 2  (z  x ) 2
3

という恒等式を代入。
1  2
Uv 
(x  y  z ) 2
6E
1 
1
Ud 
(x  y ) 2  (y  z ) 2  (z  x) 2 
(yz 2  yz 2  xy 2 )
6E
2G
U  Uv  Ud


Uは全歪エネルギ、
Uvは体積変化を伴う歪エネルギ
Udは体積変化を伴わない歪エネルギ
これらの式を主応力で表現すると τ はゼロとなり次のように書ける。
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せん断歪エネルギー基準(3)
1  2
( 1   2   3) 2
6E
1 
Ud 
( 1   2) 2  ( 2   3) 2  ( 3   1) 2
6E
U  Uv  Ud
Uv 


1
参考:  max  ( 1   2)
2
今、このエネルギーのうちせん断歪エネルギUdがある値になると降伏するとい
う考えがある。
つまり、 一軸で考え、 σ1=σe(相当応力=一軸でいう降伏応力), σ2=σ3=0
とするなら、
1  2
Ud 
e
3E
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せん断歪エネルギー基準(4)
e 

1
( 1   2) 2  ( 2   3) 2  ( 3   1) 2
2

右辺の計算結果(ミーゼス応力)が
一軸の実験で得られる降伏応力 σe になると降伏現象が発生する。
2次元で考えやすくするため
σ2=0
とすると、
 1   1 3   3  e
2
2
2
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せん断歪エネルギー基準(5)
45°座標変換すると楕円となる。
y
x2 3y2

 e 2
2
2
x
図に示すように実験結果は最大せん断応力説より最大歪エネルギー説
に近い線が得られている。=>ミーゼス応力は降伏が始まるかどうかを
チェックしている。
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4)ミーゼス応力(剪断歪エネルギー基準を3次元で考察)
静水圧応力軸
3
P ( 1,  2 ,  3 )
S
応力は座標軸の取り方を工夫すると
各主応力を軸方向とする3次元空間
が考えられる。
P点は3軸の主応力で表した点であり、
M点は3軸の主応力が全て等しい、
静圧状態の点を結んだ点である。
静水圧軸方向から見
2
た半径 の円
e
3
M ( m ,  m ,  m )
O ( 0 ,0 ,0 )
1
2
P-Mの距離Lは
L  ( 1  m) 2  ( 2  m) 2  ( 3  m) 2
Pが決まっているときの最短のLは
L
 0,  ( 1  m)  ( 2  m)  ( 3  m)  0
m
1
m  ( 1   2   3)
3
となり、3主応力の平均の静水圧点 σm のM点で与えられる。
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静水圧応力軸
3
P ( 1,  2 ,  3 )
S
静水圧軸方向から見
2
た半径 の円
e
3
さらに原点からMに向かうベクト
ルとベクトルSの内積をとると、
M ( m ,  m ,  m )
O ( 0 ,0 ,0 )
1
2
  1  m 


(m, m, m)  2  m   m( 1  m)  m( 2  m)  m( 3  m)
  3  m 


 m( 1   2   3)  3m 2
 3m 2  3m 2  0
よって、Sベクトルは静水圧応力軸に直行する。
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静水圧応力軸
3
P ( 1,  2 ,  3 )
S
次に、S の長さは
静水圧軸方向から見
2
た半径 の円
e
3
M ( m ,  m ,  m )
S  ST S  ( 1  m) 2  ( 2  m) 2  ( 3  m) 2
  12   2 2   3 2  3m 2  2m( 1   2   3)
O ( 0 ,0 ,0 )
2
1
2
  12   2 2   3 2  ( 1   2   3) 2  ( 1   2   3) 2
3
3
1
  12   2 2   3 2  ( 12   2 2   3 2  2 1 2  2 2 3  2 3 1)
3
1

2
1
( 12   2 2   3 2 )  (2 1 2  2 2 3  2 3 1)
3
3

1
( 1   2) 2  ( 2   3) 2  ( 3   1) 2
3


ここで、1軸引張りを仮定すると、
 1   1,  2  0,  3  0
S
2
1
3
今、σ1 が耐力 σe で在ったなら
S
なので
2
e
3
これ以上Sの長さが大きくなり円柱の外側になると材料は変形
するようになる。
水圧などは3主応力とも等しいので S の長さはゼロとなる。
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したがって s の長さが体積変化せずに単なる剪断変形に
よる変形エネルギーの指標になっているのである。
前ページの補足:
y
x
既に示した円柱が σ1、σ3 軸でできる
平面での断面が2軸の場合で交線は
したの式で与えられることを示した。
x2 3y2

 e 2
2
2
x2
y2


1
2
2
 2 
2e
 e 
 3 




この式より、円柱の半径が直接断面に現れる y軸は楕円の短軸となっ
ていて
2
e
3
で与えられる。長軸は
2e
で、最大せん断応力説
の包絡面の角を通って居る。
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ミーゼス応力の工学的意味
延性材料の降伏現象(変形すること)を実験で確認するには1軸引張りで確
認するしかないが、現場で1軸の応力状態はまずない。そこで計算で求まっ
た結果を1軸と比較する方法が必要。
するとミーゼス応力が 1軸の引張りのときの降伏応力と同値になるので
この応力で降伏現象の始まりを評価しているのである。
実験的にも2次元で確認しても、正しそうである。
つまり、静圧では降伏しないが、せん断変形によるエネルギーに関係する、
ミーゼス応力が、1軸引張りの降伏応力と等しくなったら変形が始まるのであ
る。
ミーゼス応力の使いやすいポイントは、ある接点なり要素が決まるとその
場で量(スカラー)で与えられることである。これにより降伏応力と比較する等
の比較が感覚的に理解しやすい。
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