細粒 上層

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Transcript 細粒 上層

No.3
河川管理に向けた砂州上の樹林化予測モデルの開発
Modeling of forestation on the sediment bar for river management
渡部裕介(Yusuke Watanabe)
村形和也(Kazuya Murakata)
浅枝隆(Takashi Asaeda)
荒川上流河川事務所、(株)建設技術研究所(relevant organizations)
河川内の砂州において樹林化が進行している事例が日本各地で報告されている。植生の破
壊、裸地化、植生の回復が繰り返される独特の環境下で成立している砂州本来の生態系が、
樹林化の進行により消失することも懸念される。樹木の概略の形態的特性に対しては、胸高直
径によるアロメトリーの関係が広く成立していることが知られている。今回、経験的に得られるこ
れらの関係をもとに、樹林化の状況や拡大を把握すること、樹林化の今後の動向を把握するこ
とを目的として、樹種別に樹木の生長量の予測を行った。樹高、バイオマスの計算結果は、樹
齢10年ころまでの期間においては3種それぞれについて、現地観測結果と同様の変化傾向を
示した。
We investigated the sandbar forestation process in. The forestation has a decisive influence on the
sandbar ecosystem .Therefore,it is important that to grasp the system of forestation. Our study
focused on tree species that predominated at the sandbar, i.e. Salix giogiana Seemen, and Robinia
pseudoacacia L. and Albizia julibrissin Durazz. We measured below and ground biomass, tree
diameter at knee height, tree’s age. We tried to apply the model to the observed species. Biomass
measurements are calculated from regressions. A mathematical model was developed to simulate
the growth dynamics of a monospecific stand of these species.
The result of simulation is similar to of the investigation.
・研究概要
・調査内容
河道内の砂州において草本類、木本類が生い茂り、樹林化の進
行事例が日本各地で報告されている。
有益な点
樹林化原因の1つ―堆積したリターによる土壌内栄養塩の促進
埼玉県熊谷市付近を流れる荒川中流部に位置する熊谷大橋上流の砂州で実施。
各リターを設置し、土壌への栄養塩の浸透していく過程やリターが腐敗していく過程を
比較、考察していく。設置場所には、礫質土壌と細粒土壌を選択し、土壌条件の違い
が与える影響にも着目する。定期的に土壌とリターのサンプルを回収して分析を行う。
問題点
・河川における緑地の拡大
・河川敷などの侵食抑制
・洪水時の災害誘発、洪水流下
能力の低下による水面上昇
・繁殖力旺盛な外来種樹木の侵
入定着により在来植物の駆逐
(生態系の変化)
支流
Fig.3 Salix.spp
Fig.4 Robinia
Fig.5 Phragmites
Fig.6 Kudzu
・分析内容
・土壌内の栄養塩(TN,TP,TC),重量含水率
・リター重量,リター内の栄養塩濃度(TN,TP,TC)
本流
・特徴
Fig.1 Sediment bar in the Arakawa River
ヤナギ―根粒菌をもたない
ハリエンジュ―根粒菌と共生し窒素固定する
ツルヨシ―イネ科、茎と葉の両方を対象
クズ―つる性、1枚当たりの葉の面積が大きい
Fig.2 Forestation on the sediment bar
樹林化が進行している砂州において、樹林化の状況や拡大を把握し、そ
の原因を解明して、今後の樹林化の動向を把握することを目的とする。
Fig.7 A look of samples
・結果
土壌の 通過質量百分率(%)
100
75
surface
50
bottom
25
0
0.01
0.1
1
10
重量含水率 (%)
18.00
16.00
14.00
12.00
10.00
8.00
6.00
4.00
2.00
0.00
100
Fig.8 Sediment grain size
Fig.10 Under the samples
上層
下層
上層
下層
細粒
細粒
礫質
礫質
リター設置前の土壌含水率。
粒径分布の違いからは、あま
り差は見られない。
上層と下層では、下層の方が
含水率が大きい値を示し、上
層の1.5倍~3倍となってい
た。
リター設置後の土壌
含水率。
設置前と違い、細粒
土壌の方が礫質土壌
より含水率が大きい
値を示した。
上層と下層の差は見
られなくなった。
リター設置後の方が
全体的に含水率が大
きくなる傾向がある。
Fig.12 Containing water in soil
土壌の 通過質量百分率(%)
重量含水率 (%)
14.00
重量含水率 (%)
7.00
6.00
5.00
4.00
3.00
2.00
1.00
0.00
12.00
100
10.00
75
8.00
surface
6.00
50
4.00
bottom
25
2.00
0.00
0
0.01
0.1
1
10
100
Fig.9 Sediment grain size
Fig.11 Under the samples
上層 下層 上層 下層 上層 下層 上層 下層 上層 下層
上層 下層 上層 下層 上層 下層 上層 下層 上層 下層
リター リター ヤナ ヤナ ハリ ハリ ツル ツル クズ クズ
なし なし ギ
ギ エン エン ヨシ ヨシ
ジュ ジュ
リター リター ヤナ ヤナ ハリ ハリ ツルヨツルヨ クズ クズ
なし なし ギ
ギ エン エン シ
シ
ジュ ジュ
Fig.13 Containing water in soil
リター設置場所の上層と下層における粒径加積曲線。細粒土
壌の地点では粒径1mm以下の割合が90%を占める。礫質土
壌の地点では1mm以上の割合が70%を占める。
リター(%)
ヤナギ
3
ハリ
2
ヤナギ
80
60
ハリ
40
ツルヨ
シ
クズ
ツルヨ
シ
1
0
10/21
11/4
11/23
Fig.15 A decrease in weight
設置前のリター重量を100%と
した。ヤナギ、クズは減少が速
く、リターが分解される進行速
度が速い可能性がある。
ヤナギ
ハリエン
ジュ
ツルヨシ
0.15
0.125
0.1
0.5
クズ
0
20
0.2
クズ
0.075
11/4
0.2
ヤナギ
0.175
ハリエン
ジュ
ツルヨシ
0.15
0.125
0.1
クズ
0.05
10/21
Fig.16 TN
土壌とリターの窒素含有率。
細粒土壌の上層において、ヤナギのTN
値が大きく上昇した。他の土壌は値を大
きく変えたところはなかった。リターのTN
値はヤナギが僅かに減少し、他の3種は
設置前とほぼ変わらない値を示した。
リターなし
0.225
0.075
0.05
10/21
礫質 上層 (%)
0.25
リターなし
0.175
1.5
100
細粒 上層 (%)
0.25
0.225
2.5
リター重量(%)
Fig.14 Containing water in soil
11/4
10/21
Fig.17 TN
Fig.19 TN
細粒 下層 (%)
礫質 下層
0.08
0.08
リターなし
0.07
0.06
0.05
0.04
11/4
(%)
リターなし
0.07
ヤナギ
0.06
ハリエン
ジュ
ツルヨシ
0.05
ヤナギ
ハリエン
ジュ
ツルヨシ
0.04
0.03
0.03
クズ
0.02
0.01
クズ
0.02
0.01
10/21
11/4
Fig.18 TN
10/21
11/4
Fig.20 TN
・考察、課題
土壌含水率は、リター設置後の方が全体的の上昇している。リター設置後は上層と下層の値にそれほど差は見られなく共に大きい値を示した。土壌の窒素含有率は細粒土
壌のヤナギの値が大きく上昇していた。その原因として考えられるのは、細粒土壌の上層で一番栄養塩が浸透しやすい環境であったこと、リター重量減少率もヤナギが比較
的大きい値を示し、リターの分解速度が速いと予測されること、リター自身の窒素含有率も僅かに減少していること,などが挙げられる。このヤナギは分解されるのが速く栄
養塩の浸透が速いというのは、まだ仮説であり、証明できる段階ではない。そのため今後も、引き続き定期的に経過を調べていく必要がある。窒素以外の栄養塩要素としてリ
ン含有率の変化も分析していく。