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データベースOVOの自動化システム開発
鹿児島大学 物理科学科 宇宙物理学研究室
4年
木塲 亮太
概要
OVOは世界に向けてVERA単一鏡観測によるデータを公開しているデータベースである。このデータベースは上田さんが開発し、塩崎さんへ引き継がれ、そして自分が引き継
ぐことになった。単一鏡観測によるデータはOVOの管理者によって手動でアップロードされていた。この作業は毎回時間と労力がかかってしまい、管理者が変わるたびにデータ
をアップロードする方法を引き継がなければならない。また、データは約1カ月に1度、不定期にアップロードされていた。この作業をなくすために1日1回自動でデータのアップ
ロードを行うシステムの開発を行っていった。データの移動にDorpboxを導入し、データの送受信に新しく2台のPCを用意することで今回アップロードの自動化に成功した。
はじめに ・・・ OVOとは
VERA入来局にある20m電波望遠鏡で水・一酸化珪素メーザーの観測を行っている。
観測されたデータはsingle計算機の中に保存される。このデータを格納し、データから
スペクトル図とライトカーブ図を作成し、データベースとして一般公開することを目的と
して作られたデータベースがOVOである。
OVOは世界に公開しているデータベースであるため、グローバルIPを持つmilkywayサーバーに
データを持っていかなければならない。これまでは、管理者が天文台ネットワークに接続し、single
計算機にリモートログインすることで観測データを管理者のPCへ移動させ、その後鹿児島大学ネッ
トワークに切り替えmilkywayサーバーに移動させていた。また、サーバー内で移動させたデータか
らスペクトル図とライトカーブ図の作成を行っていた。
自動化システムの導入
milkywayサーバーにデータを移動させる必要があるが、ここで問題になってくるのが
直接つながっていない2つのネットワーク間でのデータ転送をどのように行うかであ
る。single計算機のデータをmilkywayサーバーに送るためのシステムを開発する必要
があった。仕組みは以下のようなになっている。
鹿児島大学ネットワークに接続したPCではデータ
を受け取るだけでなく、スペクトル図、ライトカーブ
図、天体のリストなどの作成も行う仕組みになって
いる。完成したものをmilkywayサーバーに転送する
ことで、milkywayサーバーでプログラムを走らせる
負荷をなくことができる。
天体のリスト
OVOポータル
スペクトル図とライトカーブ図の作成には上田さんが作成したプログラムを使用してい
る。今回新しく作成したプログラムは、観測データから天体名と座標を抜き出し、リストを
作成するプログラムである。自動で上の図のようなリストを作成している。
データ転送にはDropboxを用いている。Dropboxとは、無料のオンラインストレージサービス
である。operation計算機とmilkywayサーバーにDropboxを導入しようと考えていたが、VERA
運用やサーバーに余計な負荷がかかってしまうため、今回新たに2台のPCを用意した。この2
台のPCをそれぞれデータの送受信の役割として設置した。Dropboxによるデータの共有は
2GBまでなのでOVO-K PCでデータを受け取ると削除する仕組みになっている。
今後の展望
データベースとしての展望
データベースとしての機能が乏しく、天体名と座標での検索しかできていない。また、検索も
打ち間違いをしてしまうと検索できない。今後は多くの用途に答えるべく観測日での検索や予
測変換などの機能も付けていくことが必要だと考えられる。また、新しく観測された天体は一つ
の名前しか持てていない。同じ天体でも複数名前が存在するため、どの名前で検索しても該当
するようになることが望まれる。
OVO PC
データ送信側のPC
OS : SentOS
OVO-K PC
データ受信側のPC
OS : Mac OS X
まとめ
直接つながっていない2つのネットワーク間でのデータ転送にDropboxを使い、データ
の送受信する2台のPCを用意することでmilkywayサーバーにデータを移動させることに
成功した。また、データを受け取るPCでスペクトル図、ライトカーブ図を作成することで
milkywayサーバーに負荷をかけてしまうことも回避することができた。
初めて観測された天体もリストに追加され、見ることができるようになった。データ
ベースとしての機能はまだまだ足りないものが多いが、観測データの自動アップロード
宇宙物理に役立てるために望まれること
ライトカーブ図は今まで観測されたデータをもとに作成される。
そのため、1つでも間違ったデータ、いわゆるごみデータが存在
すると目的とするライトカーブを得ることができない。そのため、
ごみデータは自動で判断し、除外するようなプログラムを作る
ことが望まれる。右図のライトカーブもごみデータが混ざっている
可能性が高い。
という目的を果たすことができた。
参考文献
上田○○修士論文 (2009) 「」
http://milkyway.sci.kagoshima-u.ac.jp/groups/lab/wiki/25937/the_Portal_of_OVO.html