ストレンジネス_ローレンツ祭2012

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Transcript ストレンジネス_ローレンツ祭2012

ストレンジクォーク
クォーク
大強度加速器J-PARC@茨城県東海村
通常の原子核=陽子と中性子
陽子
中性子
ハドロン実験施設
通常の原子核ではパウリの排他律のた
め、原子核深部の情報は引き出せない
陽子・中性子=uクォークとdクォーク
Λ粒子
通常は存在しないsクォークを含んだ粒
子(ハイペロン)を用いる
ハイペロンはパウリの排他律を受けな
いので、原子核内部まで入り込むことが
できる
K1.8BR
K1.8
原子核内部をさぐるprobeとなりうる!
K1.8
K1.8BR
SKS
CDC
Superconducting Kaon Spectrometer
Cylindrical Drift Chamber
磁場内での荷電粒子の軌道を測定すること
により運動量を求めることができる。
大立体角を有する超電導双極子電磁石を用いる
ことにより高分解能の測定をすることができる。
復興
実験紹介
2011年3月11日に起きた東日本大震災で、我々の実験グループも多大な
被害を受けました。しかし今では見事復興し、順調に研究を行なって
います。
Ξハイパー核分光実験
ペンタクォーク探索実験
【E05実験】
S=-2(ストレンジクォークを2個含んだもの)の系は
ダブルΛハイパー核が2種類見つかっているだけ
で未開拓の領域です。特にΞ粒子を含んだΞハ
イパー核に関する情報はなく、その存在自体確定
していません。また、ΞN相互作用はSUf(3)での
統一的理解に不可欠な要素でもあります。
我々はSKSを用いて(K⁻,K+)反応によるmissing
mass分光によって、束縛状態のピーク位置を確定
すと同時にΞの核内での強い相互作用(ΞN
→ΛΛ)による転換幅の情報を得ようと考えてい
ます。
【E19実験】
クォークの束縛状態としてクォークが3つで構成さ
れているバリオン、クォーク・反クォーク対で構成さ
れるメソンがあります。しかし、量子色力学(QCD)
はカラー一重項であることを要求しているだけで、
4つ以上のクォークからなるエキゾチック粒子の存
在を禁止していません。
1997年にuudds で表わされるペンタクォークΘ+の
存在が理論的に予想され、SPring-8において実験
的に発見されました。それ以降、様々な実験施設
からΘ⁺発見の報告が相次ぎましたが、観測されな
かったという報告も数多くあり、未だ存否が確定し
ていません。
我々は、p(π⁻,K⁻)反応を用いたmissing mass分光
を行い、Θ+の存否を確かめました。結果、Θ+は観
測されませんでした。
2012年2月に追実験が行われ、現在データを解析
中です。
※通常の核子では、核子とΔはエネルギー的に300MeV程度も離
れているのでNとΔの結合はあまり生じませんが、S=-2の世界に
おいてはΞNとΛΛの質量差はたった30MeVしかないため、
channel couplingが非常に起きやすいと予想されています。
SKS
震災後、修復のため測定器が
取り払われた
測定器がインストールされた
様子
2012年2月、ビームタイム終了時の写真
予想されるスペクトル
予想されるスペクトル
実験で得られたスペクトル
K中間子原子核探索実験
K中間子原子核とは、反K中間子が原子核中に強い相互作用で束縛された系です。K中間子
原子核は、実粒子の中間子がバリオンと強い相互作用で束縛するという意味で、存在自体が
興味深いものです。
反K中間子と核子がアイソスピン0を組んでいる状態で強い引力となることは以前から知られ
ていましたが、近年になって3He・4 Heなどの軽い原子核中に反K中間子を束縛した系におい
ては100MeV程度の大きな束縛エネルギーをもつという理論予想が出てきました。これは、通
常の原子核における核子の束縛エネルギー約8MeVと比べて1桁大きいのです。これほどの強
い引力が加わると、反K中間子がその周囲の核子を引き寄せ、原子核内部に高密度状態が
形成されることが示唆されています。そうなると「密度の飽和性」を超えた物理を見ることがで
きるかもしれません。
【E27実験】
【E15実験】
3He(K-,n)により、K-中間子と2つの陽子
d(π+,K+)により、K-中間子と2つの陽子
の束縛状態であるK-pp束縛状態の探索
の束縛状態であるK-pp束縛状態の探索
を行います。K1.8において、K+の運動量
を行います。K1.8BRにおいて、CDS
をSKS測定してmissing mass分光によって、
(Cylindrical Detector System)と中性子検
束縛エネルギーと崩壊幅を決定します。
出器を用いて生成・崩壊反応に伴う粒子
また、崩壊から生じる陽子をレンジカウン
を全て測定することができます。 (missing
ターで捕えることで、K-pp束縛状態である
mass法とinvariant mass法の両方用いた
ことを確認します。
実験を行います。)
ダブルハイパー核探索実験
Ξ原子からのX線測定実験
【E07実験】
2002年にΛ粒子を2つ含んだダブルハイパー核が
KEK E373実験により見つかりました(Nagaraイベン
ト)。この実験により、Λ-Λ間の相互作用ΔBΛΛ
が決定されました。この値は多くの理論予想に反し
て、ΛΛ相互作用が弱い引力である事を発見しま
した。
我々は、K-ビームをダイヤモンド標的に入射し、準
自由反応p(K-,K+)Ξ‐で生成されたΞ‐がエマルショ
ン(原子核乾板)中の原子と反応してダブルハイ
パー核を生成・測定することで、 ΔBΛΛの核種依
存性とダブルハイパー核の崩壊分岐比を測定しよ
うと考えています。
【E03実験】
我々は、Ξ− 原子からのX 線のエネルギーを測
定することで現在あまり知られていないΞ粒子と
原子核の間に働く強い相互作用の情報を得たい
と考えています。
鉄ターゲットにK− ビームを当て、(K−,K+) 反応に
よってΞ− 粒子を作り、同一ターゲット内でFeΞ−
原子を生成させます。このターゲットを高エネル
ギー分解能をもったGe 半導体検出器(HyperballJ)で覆い、FeΞ− 原子からのX 線を測定します。
このX 線のエネルギーシフト、幅、yield からΞ−
粒子と原子核の間の光学ポテンシャルを求める
のがこの実験の目的です。
※ΛΛからのΣN崩壊の分岐比は0.1%と理論的に見積もられてい
るにも関わらず、一例のΣN崩壊が報告されています。よって、統
計をあげてS=-2の核からの崩壊の分岐比を求める事で、uuddssの
6つのクォークからなるHダイバリオンの存否について議論する事
ができるのです(Hダイバリオン核からのΣN崩壊の分岐比は50%
程度と予想されている)。
Nagaraイベント
予想されるスペクトル
Hyperball-J