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日本銀行の業務と金融政策
2013年10月 於麗澤大学 経済学部
日本銀行 情報サービス局 矢野 浩
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本日の内容
I. 日本銀行の組織
II. お札の発行
III.金融システムの安定確保
IV. 物価の安定と金融政策
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I-1. 日本銀行の概要
 設立
1882年(明治15年)
 組織
本店、支店(32)、事務所(14)、
海外事務所(7)
職員数:約4,700名
 資本金
1億円(政府出資55%)
 法的性格
認可法人(職員は 「みなし公務員」)
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I-2. 国内の支店・事務所
※ 海外事務所: ニューヨーク、ワシントン、ロンドン、パリ、フランクフルト、香港、北京
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II-1. お札の発行・流通・管理
 日本銀行は我が国唯一の「発券銀行」
 日本銀行券は、法貨(法律により強制通用力を付与された通
貨)として、無制限に通用(日銀法第46条第2項)
 偽札を作ったり、変造した場合(刑法第148条第1項)や、偽
札と知りながらそれを使用した場合(同第2項)、罰せられる
(主な取締法規)
通貨偽造・変造罪(刑法第148条第1項)
偽造通貨・変造通貨の行使罪(刑法第148条第2項)
→ 無期又は3年以上の懲役
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II-2. お札の発行・流通・管理(続き)
流通高91.2兆円
家計・企業など
保有高82.6兆円
預
入
預金引出
損傷した銀行券
の引換
国立印刷局
新 札
(注1)図中の計数は2012年中もしくは2012年12月末時点。
(注2)流通高および保有高には貨幣も含む。
金融機関
保有高8.7兆円
(発行)
支払 58兆円
(還収)
受入 55兆円
日本銀行
鑑査・消却
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II-3.お札の偽造防止技術
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II-4.お札が破れたり、燃えてしまったら?
 損傷銀行券の引換基準
 面積2/3以上
→ 全額として引換
 面積2/5以上2/3未満
→ 半額として引換
※表裏両面があることが条件
 面積2/5未満
→ 失効
※表裏両面があることが条件
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II-5.東日本大震災時の対応
 損傷銀行券の引換作業の様子
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II-6. 東日本大震災時の対応(続き)
 水に浸かった現金や火災で損傷した現金の引換依頼に対応
 被災地に所在する支店の損傷現金引換事務を円滑に進め
るため、他の本支店から応援要員を派遣
 支店のない岩手県においても引換事務を実施できるよう、
盛岡市内に臨時引換え窓口を設置(4月20日~7月20日)
 東北地方所在の日本銀行の支店および盛岡市内の臨時窓
口での損傷現金引換実績は、震災発生から6月21日までの
間で24.2億円(阪神・淡路大震災後6か月間での日本銀行
神戸支店における引換実績は約8億円)
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Ⅲ-1.金融システムの安定とは
 「金融システム」とは、お金の受け払いや貸し借りを行う総合的な
仕組みで、さまざまな金融市場・金融機関から構成されている
 「金融システムの安定」とは、このような仕組みが正常に機能し、
企業や個人などがその仕組みを安心して利用できる状態
金融機関
・
・
・
・
金融市場
都銀
地銀、地銀Ⅱ、信金
証券会社
短資会社
等
取引
・ 短期金融市場 (コール、レポ市場など)
・ 証券市場 (国債、株式市場など)
・ 外国為替市場
等
取引
日本銀行
決済システム
決済
資金決済システム
決済
証券決済システム
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Ⅲ-2.金融システムの安定のために
決済手段の提供
→ 銀行券の発行・流通・管理のほか、金融機関から預金
(日銀当座預金)を預かり、これらの預金を通して金融機関
に決済サービスを提供する
 金融機関の経営実態の把握
→ 取引先金融機関への立入り調査(考査)、調査・経営分
析(オフサイト・モニタリング)を行い、必要に応じて取引先金
融機関に対して指導・助言する
「最後の貸し手」
→ 金融システムの安定確保のため、特別な資金供給
(貸出)を行う
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Ⅲ-3.決済システム(資金決済の例)
実家
学生
仕送りの依頼
振込依頼
入金通知
A銀行
B銀行
実家の預金口座
学生の預金口座
- 引落し
+ 入金
データ受信
データ送信
全国銀行データ通信システム
計算結果通知
A銀行の日本銀行
当座預金口座
振替
振替 B銀行の日本銀行
当座預金口座
日本銀行
決済額
1営業日当り
約110兆円
(2012年)
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Ⅳ-1. 物価の安定とは
 個人や企業は、物やサービスの価格を手がかりにして、消
費や投資を行うかどうかを決定している。物価が不安定な
状態では、こうした判断を適切に行うことができなくなってし
まう
 日本銀行は、金融政策の運営を通じて、物価の安定に貢
献している
 「物価安定の目標」 (日本銀行が、持続可能な物価の安定
と整合的と判断する物価上昇率)は、消費者物価指数の前
年比上昇率で2%
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Ⅳ-2.誰が金融政策を決めるのか
 政策委員会
― 日本銀行の最高意思決定機関
 「金融政策決定会合」を定期的に開催
― 金融政策運営を決定する会合
 委員会は総裁、副総裁(2名) 、審議委員(6名)の計9人で
構成される
 各委員は、国会両院の同意を得て、内閣により任命
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Ⅳ-3.金融政策決定会合
 9名の委員の多数決により、金融政策の運営方針を決定
 毎月1~2回、通常2日間開催。必要に応じ、臨時に開催
 政府代表も出席するが、政策の議決権はない
 各委員は、国会両院の同意を得て、内閣により任命
 政策の決定内容は、会合終了後、直ちに公表
─ 会合終了日の同日中に、総裁が記者会見を行う
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Ⅳ-4.何をコントロールしているのか
 日々のオペレーション(公開市場操作)により、マネタリー
ベースをコントロールしている
 マネタリーベースとは、「日本銀行が供給する通貨」
マネタリーベース
= 「市中に出回っているお金」(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)
+ 「金融機関が日本銀行に保有している預金」(日銀当座預金)
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Ⅳ-5.どのようにコントロールしているのか

オペレーションとは、短期金融市場において、日銀が金融機関に資
金を供給したり、逆に吸収したりするために行う取引
短期金融市場
金融市場調節方針
日本銀行
オペレーション
(資金の供給/吸収)
オペレーション先(金融機関)
A銀行
B証券
C金庫
D短資
・・・
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Ⅳ-6.最近の金融政策運営
 2013年4月、これまでとは量・質ともに次元の違う金融
緩和(「量的・質的金融緩和」)を導入
マネタリーベース・ コントロールの採用
長期国債買入れの拡大と年限長期化
ETF、 J-REIT(注)の買入れの拡大
「量的・質的金融緩和」の継続
(注)ETF(指数連動型上場投資信託受益権)
J-REIT(不動産投資法人投資口)
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Ⅳ-7.マネタリーベースの目標
300
14年末
(兆円)
270兆円
250
見込み
200
12年末
13年末
138兆円
150
200兆
円
マネタリーベースが
年間約60~70兆円
に相当するペースで
増加するよう金融市
場調節を行う。
100
50
0
07 年
08
09
10
11
12
13
14
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Ⅳ-8. 「量的・質的金融緩和」のポイント
「2%」(消費者物価指数前年比)
物価安定の目標は
達成期間は
「2年」を念頭に、できるだけ早期に
「2倍」に
マネタリーベースは2年間で
「2倍以上」に
国債保有額・平均残存期間は2年間で
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Ⅳ-9「量的・質的金融緩和」の波及ルート
明確なコミットメント
物価の前年比+2%を、2年程度の期間を念頭においてできるだけ早期に実現
これを裏打ちする 「量」
「質」 両面で次元の違う金融緩和
ETF、J-REITの買入れ
長期国債の買入れ
資産価格の
プレミアム縮小
長期金利の
低下
貸出やリスク性資産
に運用シフト
貸
出
需要(設備投資等)の増加
期待の
抜本的な
転換
資産価格
実質金利の低下
需給ギャップの改善
予想インフレ率の上昇
物価の上昇
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さいごに
 日本銀行のホームページを活用しよう
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