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観測&装置ゼミ(4月30日) シリーズ現代の天文学 宇宙の観測Ⅰ 第3章 光学系の基礎 廣瀬公美 3.1 ガウス光学 3.1.1 反射・屈折 • 屈折の法則 (1) 入射光と反射光は 屈折面の法線を含む 同一平面内にある (2)屈折角rと入射角iとの 関係は sini=nsinr (スネルの法則) 3.1.1 反射・屈折 • 反射の法則 (1)入射光と反射光は 反射面の法線を含む 同一平面内にある。 (2)入射角と反射角は 絶対値が等しく 逆符号である。 注:スネルの法則は反射の場合にはn=-1と 置けばOK (sini=‐sinr) 3.1.2 結像公式 • レンズや鏡の対称軸・・・光軸 • 反射・屈折の法則を用いて光線が各面でど のように曲げられるかの計算・・・光線追跡 • 三角関数を展開して sinx=x , cosy=1 と近似したとき・・・ガウス光学 3.1.2 結像公式 • ガウス光学による結像式 𝑛𝑖 𝑛𝑖−1 𝑛𝑖 − 𝑛𝑖−1 − = = 𝑃𝑖 𝑠′𝑖 𝑠𝑖 𝑟𝑖 𝑛𝑖−1 ,𝑛𝑖 :i番目の面の前および後の屈折率 𝑠𝑖 ,𝑠′𝑖 :i番目の面頂点から測った物点 および像点までの距離 𝑟𝑖 :第i面の曲率半径で面頂点から曲率中心までの距離 𝑃𝑖 :焦点距離の逆数で第i面のパワーと呼ばれる 光線追跡では光線は第1面に左から入射するものとし、 光学面から左に測った距離をマイナス、右に測った距離をプラスとする。 3.1.2 結像公式 • 𝑑𝑖 ・・・第i番目から測った次のi+1面までの 距離(面間隔) 次の面への移行公式は 𝑠𝑖+1 = 𝑠′𝑖 − 𝑑𝑖 • 焦点・・・レンズまたは反射鏡による軸上無限 遠物点の像点 • 焦点面・・・焦点を通る光軸に垂直な平面 • 焦点距離f・・・面頂点(正しくは主点)から焦点 までの距離 f=-r/2 , P=-2/r 3.1.2 結像公式 • 薄レンズ・・・レンズ厚を無視できるレンズ • 薄レンズの焦点距離fは 1 𝑓 = (𝑛 − 1 1)( 𝑟1 1 − ) 𝑟2 で与えられる。 𝑟1 および𝑟2 はレンズ前面および後面の曲率半径 𝑛はガラス材の屈折率 3.1.2 結像公式 • 𝑟2 +𝑟1 レンズ形状係数σ:𝜎= で定義される値。 𝑟2 −𝑟1 • σを変えるとレンズの形状は図3.1のように変わ る。 • パワーを一定に 保ってレンズの 形状を変える ことをレンズの ベンディングと いう。 3.1.2 結像公式 • 主平面・・・横倍率が1である共役な二つの面 3.1.2 結像公式 • 主平面は一般に2つある。ゆえに主点も2つ ある。 (左から光を入れたときと 右から光を入れたとき) 但し一枚の反射鏡では二つの主点は 面頂点に縮退していて、 薄レンズでは二つの主平面はレンズ面に 縮退している。 3.2 ザイデル収差 • 球面鏡や球面レンズによる投影は実際には光学系 の周辺(中心からはずれたところ)でずれが生じ る・・・横収差 光学系には光線の広がりを制限している 開口(入射瞳)があり、入射瞳の結像光学系 による像が射出瞳である。 図3.2のようにξ、ηをとる。 (これは入射光線の入射瞳上での高さを表す。) ξ、η、yを微小量として横収差を展開すると ∆3 𝑥, 𝑦 = (𝜉, 𝜂, 𝑦)の3次+5次 ξ、ηの1次項がある・・・ピンボケ →像平面がガウス像平面 であることに矛盾 ξ、ηの偶数次項がある・・・y=0のときξを-ξと しても光線のずれは 変化しない→不合理 3.2 ザイデル収差 • ザイデル収差・・・3次の横収差 次の5つがある。 球面収差係数B コマ収差係数F 非点収差係数C 球欠的像面湾曲D 歪曲係数E 以後、ξ=ρsinθ , η=ρcosθと置く 3.2 ザイデル収差 • 球面収差係数B・・・ レンズの中心から外れるほど理想的なレンズから外れて、 平行光線が焦点1点に収束せず、前後にばらつくことに より起こる。 錯乱像はガウス像点を中心とする同心円であり、その半 径はρの3乗に比例する。 ↑ 物点の高さyによらず、錯乱像は写野のどこも同じ。 • コマ収差係数・・・ずれ量は𝜌2 𝑦に比例するから写野の端ほど 大きい。 3.2 ザイデル収差 • 非点収差係数Cと球欠的像面湾曲D C=0のとき子午像面と球欠像面は重なり、 D=0のとき像は平面になる。 3.2 ザイデル収差 • 歪曲係数E・・・ 結像は完全だが像の位置がガウス像点 から移動する。移動量はyの3乗に比例す る。 • 収差論の基礎となる写像理論では平面を平 面に投影していることに注意。 3.2.1 非球面係数 • 一般の2次曲面を頂点付近で展開すると 𝑥 2 +𝑦 2 (1+𝑏)(𝑥 2 +𝑦 2 )2 𝑧= + +⋯ 3 2𝑟 8𝑟 zは対称軸、xとyは鏡の面内にとる。 rは頂点における曲率半径、bは非球面係数。 b=0:球面 b=-1:放物面 b<-1:双曲面 -1<b<0:長軸周りの楕円面 b>0:短軸周りの楕円面 3.2.1 非球面係数 • 非球面係数はパワーを持たないが収差補正 には大きな影響を与える。 ザイデル収差係数は物点および瞳の光軸追 跡の結果と各面の曲率半径𝑟𝑖 、非球面係数𝑏𝑖 、 面間隔𝑑𝑖 などの光学系のパラメータを用いて計 算される。 3.2.2 色収差 • 色収差・・・媒質の屈折率が光の波長(色)に よって変化するため生じる。 レンズに固有で、鏡には存在しない。 以下の2種類がある。 像位置色収差・・・系の焦点位置が色に依存する ため生じる。 倍率色収差・・・色によって主点位置が変化 →焦点距離が変化 →倍率が色ごとに違う 3.2.3 像の評価 • スポット図・・・最終面からの射出光線を像平 面との交点をプロットした図。 この図からずれの大きい光線が 入射瞳上のどこを通ってきた かがわかる。 →収差の性質がわかる。 3.2.3 像の評価 • RMS半径・・・像の大きさを表すのに使われる像 の平均位置から各光線までの距離 の2乗平均の平方根。 • 像の大きさは系の焦点距離に比例するから 焦点距離で割って角度の秒で表すのが一般的である。 • ストレール比・・・収差像の最大強度を無収差の 時の中心強度で割った値。 収差が残っていると無収差の時の回折像より幅が増え最 大強度が低下するためストレール比は光学系の完全さの目 安になる。 3.2.4 光学系の最適化 • 減衰最小自乗法・・・ 中心像の球面収差や周辺像の大きさ、色収 差もしくはこれらの一次結合を評価関数に取り、 その変化の様子を系のパラメータ𝑟𝑖 , 𝑏𝑖 , 𝑑𝑖 など に変分を加えて微係数を求める。そしてそれら の一次結合をつくって目標の収差量を0にする ように各パラメータに加えるべき変分量を求め る。そして、計算された変分量に0.1くらいウエイ トをかけて少しずつ最適解を求める。 3.2.4 光学系の最適化 • 最近では能動光学や補償光学によって 回折限界に近い像が得られるようになったが その機能は限定的。 (写野の一部しかできない) • 写野全面で綺麗な像を得るには色収差も含 めた望遠鏡の収差補正が完全であることが 必要。 3.3 代表的光学系 3.3.1 望遠鏡光学系 • 望遠鏡の集光力は口径の2乗に比例する。 →より多くの光を集めるため大口径の反射望遠鏡が 作られる(20世紀初頭より) • 大望遠鏡では主焦点、カセグレン焦点、ナスミス焦点、 クーデ焦点を使い分ける。 3.3.1 望遠鏡光学系 • シーイング像・・・ 星の像は地球大気のゆらぎによってある 大きさを持っている。この大きさを持つ星 像をシーイング像という。 (地球上の最良の地点で1秒角以下) • 望遠鏡の収差により星像がシーイング像より有 意に大きくなると星からの光は夜空の背景光(大 気光、黄道光)にうもれて検出できなくなる。 3.3.1 望遠鏡光学系 • 収差像の大きさ 望遠鏡の入射瞳直径(通常は口径:主鏡直径)を𝒟、角度(ラジアン)で 測った写野半径をωとすると 𝐵𝒟 3 球面収差で決まる最小錯乱像直径= 16 2 3𝐹𝒟 tan 𝜔 動径方向のコマ像の長さ= 4 (2C + D)𝒟(tan 𝜔)2 像面湾曲で決まる楕円像の動径方向軸長=𝐷𝒟(tan 𝜔)2 像面湾曲で決まる楕円像の動径方向軸長= 重要性 球面収差>コマ>非点収差>歪曲 ↑ 像のシャープさに関係ないから特別な場合しか考慮しない。 3.3.2 2面複合系 • 2面複合反射望遠鏡は図3.5のように分類。 3.3.2 2面複合系 • カセグレン系・・・ 主鏡でできた星像を副鏡で拡大して主鏡の背後 に投影する。 主鏡→放物面、副鏡→凸双曲面 (古典的カセグレン望遠鏡の場合) • グレゴリー系・・・ 主鏡でできた実像の背後に副鏡を置く。 主鏡→放物面、副鏡→凹の楕円面 (古典的グレゴリー望遠鏡の場合) 主鏡からの実像が見えるので太陽望遠鏡で よく使われる。 3.3.2 2面複合系 • カセグレン系、グレゴリー系とも球面収差は0で あるが、コマ収差は残っている。 そのコマ収差係数Fは合成焦点距離をfとすると 𝐹 = −1/4𝑓 2 (焦点距離fを持つ1枚の放物面鏡と同じ) 3.3.2 2面複合系 • 球面収差やコマ収差について補正されている光 学系をアプラナートという。 • カセグレン型のアプラナート・・・ 主鏡→放物面に近い双曲面、副鏡→双曲面 リッチー・クレティアン望遠鏡という。 例:すばる望遠鏡 • グレゴリー型のアプラナート・・・ 主鏡→放物面に近い双曲面、副鏡→楕円面 3.3.2 2面複合系 • 修正型リッチー・クレティアン望遠鏡・・・ リッチー・クレティアン望遠鏡の写野の大 きさを制限しているものは非点収差。 →非点収差を補正する試み 例:非球面板を使う レンズ補正系を使う →こうして非点収差を取り除いたものを 修正型リッチー・クレティアン望遠鏡と呼ぶ。 3.3.2 2面複合系 • クーダー系・・・ 主鏡→凹面鏡、副鏡→凹面鏡 大変明るい光学系ができる 欠点→①受光器の影の問題 (像面が入射光束の中にできるから) ②像面湾曲が著しく大きい (2枚の凹面鏡の組み合わせだから) 3.3.2 2面複合系 • ドール・カークハム望遠鏡・・・ カセグレン型望遠鏡で副鏡を球面(製作の容易さ から)にし、主鏡を楕円面(球面収差除去の条件か ら)にしたもの。 ただし古典的カセグレン望遠鏡に比べてコマが大 きいから、写野中心の小さな範囲しか使えない。 3.3.3 主焦点補償光学系 • 主焦点補償光学系・・・ 収差を像の近くに置いた複数枚のレンズ や非球面板によって補正し、写野を広げる。 (レンズ径を小さくするため像の近傍に置く。) 例:①ロスの補正系 ②3枚の非球面板を使う(各非球面板が大きな収 差を発生させて、その引き算により必要な収差量を 得る。) ③同一ガラス材を用いた3群3枚のレンズ系 3.3.4 シュミット・カメラ • シュミット・カメラ・・・球面鏡の曲率中心に 入射瞳を置く。 3.3.4 シュミット・カメラ • シュミット・カメラの利点 コマ収差と非点収差が存在しない。 • 補正板・・・球面収差を補正するために入射 瞳面に置く非球面板。 設計波長では球面収差を完全に 除去するが、設計波長から大きく 外れると不完全になる。(ガラス材の 屈折率は波長とともに変わるから。) →ストレームグレンの条件 3.3.5 3面複合系 • 3面複合系は2面より自由度が3増えるから 収差補正にいろいろなアイデアが考えられる。 例:ポール・ベイカー望遠鏡 3.4 回折限界・干渉 • 光は必ずある大きさに広がって観測される。 ↑ 光の波の性質より 像の広がる大きさは λ/D ← 回折限界 (光の波長λ、望遠鏡の口径Dとする) 回折限界の数分の一の大きさの構造を 見分けるのは難しい。 3.4.1 光の干渉 • 同一光源から出た光が違う光路を通って 1カ所に到達したとき 電場の+と+orーとー→振幅が増大 光の干渉 電場の+とーorーと+→振幅が低下 • 光の進行方向をzとしたとき 光はxとy方向に振動する独立な2つの 横波の和で表される。 注:直交する2つの偏光成分は干渉しない。 3.4.1 光の干渉 • 単色2光波の干渉 単一波長の光が二つの経路を通って 1カ所に到達する場合、ある時刻tの電場は 𝐸1 𝑒 𝑖(𝑘𝑙1 −𝜔𝑡) , 𝐸2 𝑒 𝑖(𝑘𝑙2 −𝜔𝑡) の実部となる。 波数k=2π/λ 角振動数ω=2πc/λ それぞれの光路の長さ𝑙1 , 𝑙2 それぞれの電場振幅𝐸1 , 𝐸2 3.4.1 光の干渉 • 光が重なり合うところでの電場𝐸12 は 𝐸12 = (𝐸1 𝑒 𝑖𝑘𝑙1 + 𝐸2 𝑒 𝑖𝑘𝑙2 )𝑒 −𝑖𝜔𝑡 と書ける。 • 強度Iは電場の絶対値の二乗で定義される。 𝐼12 = 𝐸12 2 = 𝐼1 + 𝐼2 + 2 𝐼1 𝐼2 cos(𝑘∆𝑙) ↑ 干渉 平均の強度 3.4.1 光の干渉 • 広帯域光の干渉縞 波長の異なる光同士では干渉縞は 観測されない。 干渉縞ができる光路長の差を可干渉長Λ 𝑐𝑜ℎ という。 𝜆2 Λ 𝑐𝑜ℎ = Δ𝜆 3.4.1 光の干渉 • 広がった光源 別々の場所から出た光は同一波長でも 干渉しない(非可干渉) • 多光路の干渉 点光源から出た光が多数の光路を通って 1カ所に集まる場合 𝐸12… = (𝐸1 𝑒 𝑖𝑘𝑙1 + 𝐸2 𝑒 𝑖𝑘𝑙2 + ⋯ )𝑒 −𝑖𝜔𝑡 3.4.2 フラウンホーファー回折 • 開口に入射した後の光 ・・・ホイヘンス‐フレネルの原理で説明される ↓ 波面の各点からの二次波の重ね合わせに よってそれらが干渉効果として任意の時 刻、任意の場所での波の大きさが求まる という原理。 3.4.2 フラウンホーファー回折 • フレネル回折 ・・・非常に遠い光源から来た光が平面波と なって開口に入射した場合、伝搬するにし たがって干渉のため波面の形が徐々に変 化すること。 • フラウンホーファー回折 ・・・フレネル回折した光が非常に遠方まで行く と開口形状で決まるある分布となること。 3.4.3 望遠鏡の焦点像 瞳関数と点像分布関数 • 瞳関数 ・・・開口面での電場の複素振幅分布。 A(x,y)=1(開口内) A(x,y)=0(開口外) ※開口面を直交座標系の(x,y)平面上にとる。 る。 • 光の進行方向は+zとす 原点に開口を置き、z軸から微小角で無限遠の計測を考える。観測方向をz軸からx軸方向へは かった角度α、y軸方向へはかった角度βで近似的に表せるとする。 フラウンフォーファー回折の電場E(α,β)は 𝐸 𝛼, 𝛽 = 𝐴(𝑥, 𝑦)𝑒 −𝑖𝑘(𝛼𝑥+𝛽𝑦) 𝑑𝑥𝑑𝑦←瞳関数の2次元フーリエ変換の形 焦点fの結像光学系の焦点では(αf,βf)の点での計測と考えてよい。開口面上の各点から無限 遠の一点に至る光路長の差は-(αx+βy)で表される。 フラウンフォーファー回折による像の強度分布Pは 𝑃 𝛼, 𝛽 = 𝐸(𝛼, 𝛽) 2 ↑ 点像分布関数と呼ばれる。 3.4.3 望遠鏡の焦点像 • 瞳関数の自己相関関数は 𝑇 𝑢, 𝑣 = 𝐴 𝑥, 𝑦 𝐴 𝑥 + 𝑢, 𝑦 + 𝑣 𝑑𝑥𝑑𝑦 ↑ 光学伝達関数と呼ばれる。 Δ𝑥 ,𝑣 𝜆 Δ𝑦 と波長で規格化しておく。 𝜆 但し𝑢 = = • ウイナー‐キンチンの公式 ・・・𝑃 𝛼, 𝛽 = 𝑇(𝑢, 𝑣)𝑒 −2𝜋𝑖(𝛼𝑢+𝛽𝑣) 𝑑𝑢𝑑𝑣 ※光学伝達関数Tは点像分布関数Pとフーリエ 変換の関係にある。 3.4.3 望遠鏡の焦点像 • 円形開口では点像分布関数は 𝑃 𝜃 = 2𝐽1 (𝜋𝜃𝐷/𝜆) 2 ( ) ←エアリーパターン 𝜋𝜃𝐷/𝜆 ただし𝜃 = 𝛼 2 + 𝛽2 • 幅Dの1次元の開口では 𝑃 𝛼 = sin( 𝜋𝛼𝐷/𝜆) 2 ( ) 𝜋𝛼𝐷/𝜆 回折格子やプリズムでは使用面が矩形なのでこれが適 用される。 →分光器の波長分解能を決める一因となっている。 3.4.3 望遠鏡の焦点像 • 回折限界の角度分解能 ・・・回折像の第一極小点までの半径。 矩形開口ではλ/D 円形開口では1.22λ/D ※点像分布関数の半値全幅に近い値。 • アポダイゼーション ・・・点像分布関数の特性を改良するために開 口の透過率分布を操作すること。 3.4.3 望遠鏡の焦点像 天体の強度分布と焦点像の関係 • 非可干渉な任意の強度分布の天体を望遠鏡で観測した像I は天体の各点が作る強度分布を加算したものになる。 • Iは天体の強度分布Oと点像分布関数Pの畳み込み積分 𝐼 𝛼, 𝛽 = 𝑂 𝛼 ′ , 𝛽′ 𝑃 𝛼 − 𝛼 ′ , 𝛽 − 𝛽′ 𝑑𝛼 ′ 𝑑𝛽′ で表される。 • この両辺を畳み込み積分すると 𝑋 𝑢, 𝑣 = 𝑉 𝑢, 𝑣 𝑇 𝑢, 𝑣 但しVは天体の強度分布の空間的なフーリエ変換 Tは光学伝達関数 3.4.3 望遠鏡の焦点像 3.4.4 打ち消しあう干渉 • ナル干渉 ・・・二つの波を常に半波長ずらして干渉させ 打ち消しあって強度をゼロにすること。 • ナル干渉計 ・・・二つの望遠鏡で受けた光をナル干渉計に 導入すれば光軸上の星だけが消える。 • コロナグラフ ・・・単一望遠鏡の焦点面に像の一部の光の位相 を180度ずらすマスクを置く。(ナル干渉型コ ロナグラフ) 3.4.4 打ち消しあう干渉 3.4.5 波面誤差があるときの回折像 • 回折による結像性能の評価 ・・・瞳関数に光路長の差Δl(x,y)の位相項を追 加して複素数に拡張すれば 𝐴 = 𝐴(𝑥, 𝑦)𝑒 2𝜋𝑖Δ𝑙(𝑥,𝑦)/𝜆 となって光学系の収差や大気揺らぎから の波面誤差を組み込んで評価できる。 • 回折像の中心強度であるストレール比Sは 𝑆 Δ𝑙𝑅𝑀𝑆 = 1 − (2𝜋Δ𝑙𝑅𝑀𝑆 /𝜆)2 但し光路長差の標準偏差をΔ𝑙𝑅𝑀𝑆 とし、波面誤差 がない時のP(0,0)を1に規格化したとき。