Transcript 第13回講義資料
法学部 1年生配当科目 民法入門 第13講 民法総則 大阪大学大学院国際公共政策研究科 教 授 大久保 邦彦 1 民法典はパンデクテン体系を採っている 民法典の構造 第1編 第2編 第3編 第4編 第5編 総 物 債 親 相 則 権 権 族 続 財産法 家族法 2 「総則」の意義 「総則」=共通ルール 「第1編 総則」は、形式的には、 「第2編 物権」~「第5編 相続」の共通ルール 実際には、「第2編 物権」「第3編 債権」 のみの共通ルールが多い。 結局、「第1編 総則」は、 財産法の共通ルールと言える。 3 権利スキーマ 4 権利・義務・法律関係 法律関係 権 利 X 要求できる Y 義 務 5 権利スキーマ (a)権利主体 (b)権利内容 (ア) 権利客体 (イ) 権利の効力 (c)権利変動 出典: 山本敬三『民法講義Ⅰ〔第2版〕』 24頁 6 権利スキーマ 権利主体 ⇒誰が権利を持ち、 それを行使できるか? 権利内容⇒権利があれば、 何をどうすることができるか? 権利客体 権利変動⇒ 権利は、どのような原因により、 どのように発生・変更・消滅するか? 7 「第1編 総則」の構造 第1章 第2章 第3章 第4章 第5章 第6章 第7章 通 則 人 法 人 物 法律行為 期間の計算 時 効 権利主体 権利客体 権利変動 8 民法総則の権利スキーマ (a)権利主体 (b)権利内容 人、法人 (ア) 権利客体 (イ) 権利の効力 (c)権利変動 物 法律行為、時効 9 権利の客体 著作物 発明 知的財産権 債権 人格権 生命・身体 自由・名誉 氏名・肖像 プライバシー 他人の行為 物 権 物 10 契約 法律行為 遺言 権利の変動原因 時 効 不法行為 不当利得 11 権利の主体 12 権利主体 権利の帰属 権利能力 誰が権利を持つことができるか? ー自然人・法人・権利能力なき社団 権利の行使 行為能力・代理 誰が権利を行使できるか? 13 権利主体 自然人 権 利 主 体 権利保有資格 権利能力 権利行使資格 意思能力 法人 行為能力 14 法 人 SONY 所有 あれがSONYだよ しかし、法人は 観念的なものであり 目には見えない 15 権利の帰属と行使 権利の帰属主体(X)が、 自己の権利を行使できるとは限らない。 (例)法人、乳幼児、精神病患者・・・・・ そこで、他人YがXの権利を行使する ことを可能とする制度が必要となる。 ⇒代理制度 16 権利能力 17 権利能力 権利義務の主体となる資格 Rechtsfähigkeitの訳語 権利 できる こと able ability 「人格」「法人格」ともいう。 18 権利能力を持つ存在 ①自然人 ②法 人 ③権利能力なき社団 ④権利能力なき財団 19 権利能力の始期と終期 胎 児 人 出 生 死 体 死 権利能力あり 亡 相続と不法行為についてのみ権利能力を持つ 20 出生の時期 ①陣痛説 ②一部露出説 ③全部露出説 ④独立呼吸説 刑法の通説 民法の通説 21 胎児の権利能力 《原則》 権利能力はない(民3Ⅰ) 《例外》 ①不法行為(民721) ②相続(民886) ③遺贈(民965) 22 胎児の権利の行使 《前提》 胎児は自分で権利を行使できない。 ①代理可能性肯定説(通説) 解除条件説 ②代理可能性否定説(判例) 停止条件説 23 意思能力 24 意思能力 自分のしている行為の 法的な意味を理解する能力 意思無能力 条文はない 無 効 意思無能力者の側のみ 無効を主張できる 25 契約の拘束力の根拠 私的自治の原則・自己決定原理・意思原理 自己責任の原則(契約信義・帰責原理) 信頼原理・取引安全 等価性原理 基本的な人格的利益の保護 自由原理 経済的効率性 26 行為能力 27 行為能力 1人で確定的に有効な 法律行為を行う能力 行為=法律行為 制限行為能力 取消権 28 行為能力制度の趣旨 (1)意思能力の判定が困難である (a) 意思無能力者側の要請 (b) 相手方保護の要請 (2)独立して取引する能力がない 者を保護する必要がある 出典: 山本敬三『民法講義Ⅰ〔第2版〕』41-42頁 29 意思能力と行為能力 0 歳 7 歳 意思無能力 制限行為能力 20 歳 行 為 能 力 30 行為能力=財産管理権 制 限 行 為 能 力 者 保護者による補充 同意方式 代理方式 行 の為 制 能 限 力 財産管理権 31 制限行為能力者の類型 未成年者 成年被後見人 被保佐人 (被補助人) 32 未成年者 33 未成年者の契約 (同意方式) 親権者 P 同意 契約締結 未成年者 X 相手方 Y 効果帰属 34 未成年者の契約 (代理方式) 代 理 人 親権者 P 契約締結 本 未成年者 X 人 効果帰属 相手方 Y 35 未成年者が 単独で契約を結んだとき 取 消 権 親権者 P 追認権 追 認 権 契約締結 取 未成年者 消 X 権 相手方 Y 効果帰属 催 告 権 36 取消し・追認の方法 取消権 追認権 親権者 P 取消し 追認 同意 取消権 未成年者 追認権 X 追認 取消し 相手方 Y 37 成年後見 38 成年後見 法定後見 任意後見 後見 保佐 補助 39 後見開始の審判 (民7) 精神上の障害により事理を弁識する能 力を欠く常況にある者については、 家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内 の親族、未成年後見人、未成年後見監 督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補 助監督人又は検察官の請求により、 後見開始の審判をすることができる。 40 成年被後見人の法律行為 (民9) 成年被後見人の法律行為は、 取り消すことができる。 ただし、日用品の購入その他 日常生活に関する行為に ついては、この限りでない。 41 後見人の代理権(民859) ①後見人は、被後見人の財 産を管理し、かつ、その財 産に関する法律行為につ いて被後見人を代表する。 42 成年被後見人の契約 (代理方式のみ) 代 理 人 後見人 A 契約締結 本 被後見人 X 人 効果帰属 相手方 Y 43 成年被後見人が 単独で契約を結んだとき 取消権 追認権 後見人 A 取消し 追認 被後見人 取消権 X 取消し 相手方 Y 44 保佐開始の審判 (民11) 精神上の障害により事理を弁識する能 力が著しく不十分である者については、 家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内 の親族、後見人、後見監督人、補助人、 補助監督人又は検察官の請求により、 保佐開始の審判をすることができる。 ただし、第7条に規定する原因がある者 については、この限りでない。 45 保佐人の同意権(民13) ① 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保 佐人の同意を得なければならない。・・・・・・ ③ 保佐人の同意を得なければならない行為につい て、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれが ないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁 判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意 に代わる許可を与えることができる。 ④ 保佐人の同意を得なければならない行為であっ て、その同意又はこれに代わる許可を得ないでし たものは、取り消すことができる。 46 保佐人の同意を要する行為 (民13Ⅰ) ① 元本を領収し、又は利用すること。 ② 借財又は保証をすること。 ③ 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を 目的とする行為をすること。 ④ 訴訟行為をすること。 ⑤ 贈与、和解又は仲裁合意をすること。 ⑥ 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。 ⑦ 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の 申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。 ⑧ 新築、改築、増築又は大修繕をすること。 ⑨ 第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。 47 被保佐人の契約 (原則:同意方式) 保佐人 A 同意 契約締結 被保佐人 X 相手方 Y 効果帰属 48 保佐人の代理権 (民876の4) ① 家庭裁判所は、第11条本文に規定する者 又は保佐人若しくは保佐監督人の請求に よって、被保佐人のために特定の法律行為 について保佐人に代理権を付与する旨の 審判をすることができる。 ② 本人以外の者の請求によって前項の審判 をするには、本人の同意がなければならな い。 49 被保佐人の契約 (例外:代理方式) 代 理 人 保佐人 A 契約締結 本 被保佐人 X 人 効果帰属 相手方 Y 50 被保佐人が 単独で契約を結んだとき 取消権 追認権 保佐人 A 取消し 追認 同意 取消権 被保佐人 追認権 X 追認 取消し 相手方 Y 51 補助開始の審判 (民15) ① 精神上の障害により事理を弁識する能力が 不十分である者については、家庭裁判所は、 本人、配偶者、4親等内の親族、後見人、 後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検 察官の請求により、補助開始の審判をする ことができる。 ただし、第7条又は第11条本文に規定する 原因がある者については、この限りでない。 52 補助人の同意権(民17) ① 家庭裁判所は、・・・被補助人が特定の 法律行為をするにはその補助人の同 意を得なければならない旨の審判をす ることができる。 ただし、その審判によりその同意を得 なければならないものとすることができ る行為は、第13条第1項に規定する行 為の一部に限る。 53 補助人の同意権(民17) ③ 補助人の同意を得なければならない行為に ついて、補助人が被補助人の利益を害する おそれがないにもかかわらず同意をしない ときは、家庭裁判所は、被補助人の請求に より、補助人の同意に代わる許可を与える ことができる。 ④ 補助人の同意を得なければならない行為で あって、その同意又はこれに代わる許可を 得ないでしたものは、取り消すことができる。 54 補助人への同意権の付与 同意がないと、被補助人は行為できない 補助人による補充 同意方式 被 補 助 人 行 の為 制 能 限 力 財産管理権 55 補助人の代理権 (民876の9) ①家庭裁判所は、・・・被補 助人のために特定の法律 行為について補助人に代 理権を付与する旨の審判 をすることができる。 56 補助人への代理権の付与 被補助人は常に単独で行為できる 行為能力の制限なし 被 補 助 人 財産管理権 57 代 理 58 代理の問題構造 表見代理 代 理 有権代理 無権代理 59 代理を利用しない場合 意思表示 X Y 意思表示をした者に 法律効果が帰属する 60 代理の基本構造 代理意思 +顕名 本人 X 効果帰属 代 理 権 代理人 A 意思表示 相手方 Y 61 代理権 民法99条1項 代理人が 代理意思+顕名 その権限内において 本人のためにすることを示して した意思表示は、本人に対して 直接にその効力を生ずる。 62 顕名と代理意思 本人 X 代理意思= 本人Xのためにする意思 顕名=代理意思を相 手方に示すこと 代 理 権 代理人 A 意思表示 相手方 Y 63 代理の要件(民99Ⅰ) ○代理権 ○代理意思 △顕名(民100但) 64 民法100条 代理人が本人のためにすることを示 さないでした意思表示は、 自己のためにしたものとみなす。 ただし、相手方が、代理人が本人の ためにすることを知り、又は知ること ができたときは、 前条第1項の規定を準用する。 65 法定代理と任意代理 本人 X 代理権授与 代 理 権 代理人 A 法 律 の 規 定 本人 X 代理権 授与 代理人 A 代 理 権 66 私的自治の補充 保護者による補充 保護者への 代理権授与 制 限 行 為 能 力 者 行 の為 制 能 限 力 財産管理権 67 私的自治の拡張 本人 X 代理権 授与 代 理 権 私的自治 私的自治 代理人 A 68 無権代理 69 代理の基本構造 代理意思 +顕名 本人 X 効果帰属 代 理 権 代理人 A 意思表示 相手方 Y 70 無権代理 代理意思 +顕名 本人 X 効果不帰属 X 代 無権代理人 理 A 権 意思表示 相手方 Y 71 無権代理行為の効果 本人 X 追認権 追認拒絶権 催告権 取消権 無権代理人 A 無権代理人 の責任 相手方 Y 72 追 認(民113) 追 認 権 本人 X 効果帰属 追認 追認 無権代理人 A 悪意 相手方 Y 73 催 告(民114) 追 認 権 本人 X 無権代理人 A 無回答 催告 相手方 Y 催 告 権 74 取消し(民115) 追 認 権 本人 X Yは善意のときのみ 取消権を有する 取消し 無権代理人 A 相手方 Y 取 消 権 75 無権代理人の責任 (民117) 本人 X 善意・無過失で あることが要件 無過失責任 無権代理人 A 履行責任 損害賠償 相手方 Y 76 不法行為責任(民709) 本人 X 善意・無過失で なくてもよい 過失責任 無権代理人 A 損害賠償 相手方 Y 77 使用者責任(民715) 使用者 X 被用者Aの取引行為が、 職務権限内において適法に 行われなかったことにつき Yが悪意・重過失のときは、 使用者責任は発生しない。 民715 被用者 A 民709 相手方 Y 78 表見代理 79 帰 責 事 由 表見代理 本人 X 善意 無過失 効果帰属 代理権の外観 X 代 無権代理人 理 A 権 意思表示 相手方 Y 代 理 権 の 存 在 を 正 当 に 信 頼 80 表見法理 帰責性を前提にして、外観に対 する信頼を保護するという考え方 ① 外観の存在 ② 外観の存在に対する帰責性 ③ 外観に対する正当な信頼 が、その構成要素である。 出典: 山本敬三『民法講義Ⅰ〔第2版〕』141頁 81 不利な効果 X 表見法理 有利な効果 外観 帰 責 性 の存在 正 当 な 信 頼 Y 82 無権代理と表見代理の関係 (判例・近時の通説) 表見代理 代 理 有権代理 無権代理 83 表見代理の3類型 ①代理権授与の表示による表見代理 ⇒民109 ②権限外の行為の表見代理 ⇒民110 ③代理権消滅後の表見代理 ⇒民112 84 時 効 85 時効の意味 要 件 時の経過 効 果 86 時効の種類 1.刑事訴訟法では、公訴時効 2.刑法では、刑の時効 3.民法では、 ①取得時効 ②消滅時効 87 時効の意味(私法) 所有権や債権その他の財 産権について、占有や権利 の不行使等の事実状態が 一定期間継続した場合に、 この事実状態に従った権利 関係を認める制度。 88 時効の種類 ①取得時効 権利者としての事実状態が一定期間継続 した場合に、権利の取得を認めるもの ②消滅時効 権利の不行使という事実状態が一定期間 継続した場合に、権利の消滅を認めるもの 89 所有権の取得時効 (民162) ① 20年間、所有の意思をもって、平穏 に、かつ、公然と他人の物を占有した 者は、その所有権を取得する。 ② 10年間、所有の意思をもって、平穏 に、かつ、公然と他人の物を占有した 者は、その占有の開始の時に、善意 であり、かつ、過失がなかったときは、 その所有権を取得する。 90 債権等の消滅時効 (民167) ①債権は、10年間行使しない ときは、消滅する。 ②債権又は所有権以外の財産 権は、20年間行使しない ときは、消滅する。 91 時効の存在理由 92 時効の存在理由 出典: 松久三四彦「時効制度」『民法講座1』542-543頁 時効は道徳的な制度か? ①非権利者保護・実体法説 ②権利者保護・訴訟法説 ③多元説 但し、この対応関係は 必然でない。 93 多元説 1. 権利者保護説と非権利者保護説の 統合 ①社会の法律関係の安定 ②権利行使の懈怠 ③証明困難の救済 2. 個別制度に応じた多元的理解 94 債権消滅の証明 債 権 者 G 債 務 者 S 95 受取証書の交付請求 (民486) 弁済をした者は、 弁済を受領した者に対して 受取証書の交付を 請求することができる。 出典: http://www.rakuten.co.jp/nakano/426155/ 96 仮定主張・仮定抗弁 事実上の陳述は、矛盾して一貫しないも のは無意義であるが、ある主張事実が 認められず、攻撃防御の目的が達せら れないことを慮って、あらかじめこれと同 時に、その事実が認められれば法律上 は無意義に帰する他の事実を仮定的に 陳述しておくことは許される。 出典: 新堂幸司 『新民事訴訟法〔第3版〕』388頁 97 所有権の証明 所 X Y Z 物 98 占有の承継(民187) ① 占有者の承継人は、その選択に従い、 自己の占有のみを主張し、又は自己の 占有に前の占有者の占有を併せて 主張することができる。 ② 前の占有者の占有を併せて主張する 場合には、その瑕疵をも承継する。 悪意・有過失・強暴・隠秘 99 占有の承継(民187) 民162Ⅱの10年の時効取得が成立する 悪意の占有 8年 善意の占有 13年 民162Ⅰの20年の時効取得が成立する 100 民法の歴史 101 1868 明治維新 1890 旧民法公布 フランス法 ボワソナード 改正 1896 -1898 法典論争 新民法公布 民法出でて、 忠孝亡ぶ (穂積八束) ドイツ法 102 穂積陳重・富井政章・梅謙次郎 民法の基本原理 103 基本原則(民1) ①私権は、公共の福祉に 適合しなければならない。 ②権利の行使及び義務の履行は、 信義に従い誠実に 行わなければならない。 ③権利の濫用は、これを許さない。 104 解釈の基準(民2) この法律は、 個人の尊厳と 両性の本質的平等を旨として、 解釈しなければならない。 105 日本国憲法 13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由 及び幸福追求に対する国民の権利については、公 共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上 で、最大の尊重を必要とする。 24条1項 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が 同等の権利を有することを基本として、相互の協力 106 により、維持されなければならない。 民法(財産法)の基本原理 (四宮和夫) ①権利能力平等の原則 ②所有権絶対の原則 ③私的自治の原則 法律行為自由の原則 過失責任の原則 出典: 四宮和夫『民法総則〔第4版補正版〕』16-17頁 107 民法(財産法)の基本原則 (我妻栄) ①個人財産権の絶対 ②個人意思の自治 ③過失責任 出典: 我妻栄『新訂民法総則』11頁 108 権利能力平等の原則 民3Ⅰ すべての人は平等に権利 能力を有する、という原則 109 権利能力(民3) ①私権の享有は、出生に始まる。 ②外国人は、 法令又は条約の規定により 禁止される場合を除き、 私権を享有する。 110 人と物 A 物 権 債権 請求 B 支 配 甲 乙 か とつ いて うは 存物 在扱 がい あの 「 っ奴 た隷 」 111 所有権絶対の原則 近代的所有権は、 何らの人為的拘束を受けない、 侵害をなす天下万民に対して 主張することのできる、 完全円満な、支配権であり、 国家の法よりも先在する自然権として 神聖不可侵である、という原則 出典: 四宮和夫『民法総則〔第4版補正版〕』17頁 112 憲法29条 ① 財産権は、これを侵してはならない。 ② 財産権の内容は、公共の福祉に適合 するやうに、法律でこれを定める。 ③ 私有財産は、正当な補償の下に、 これを公共のために用ひることができる。 113 所有権(民206) 所有者は、 法令の制限内において、 自由にその所有物の使用、収益 及び処分をする権利を有する。 所有権=物の全面的支配権 114