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ALICE実験のためのPWOカロリメータの
宇宙線を用いたエネルギー較正
広大理 尾林秀幸
岩崎天 植木祐介 坂口拓明 志垣賢太 杉立徹
中馬文広 鳥井久行 日浅貴啓 日栄綾子 翠純平
2010年3月22日
日本物理学会2010年春季大会(@ 岡山)
2010/3/22
2010 JPS
1
内容
•
•
•
•
•
LHC/ALICE/PHOS
本実験の目的
テストベンチ
解析手法
結果とまとめ
2010/3/22
2010 JPS
2
Heavy Ion Collisions at LHC
p+p
s =14 TeV
Pb+Pb sNN=5.5 TeV
Energy
LHC = 28 x RHIC =320 x SPS = 1000 x AGS
CMS実験
LHCb実験
ATLAS実験
ALICE実験
3/22/2010
2010/3/22
JPS 2010
2010 JPS
3
3
Detector:
Size: 16 x 26 meters
Weight: 10,000 tons
3/22/2010
JPS 2010
Collaboration:
> 1000 Members
> 100 Institutes
> 30 countries
4
4
PHOSカロリメータ
PbWO44Crystal
PbWO
Crystal
Fast Signal
–– Fast
Signal(~nsec)
(~nsec)
Operation at
–– Operation
at -25deg
-25deg
Small Moliere
(2cm)
–– Small
MoliereRadius
Radius
(2cm)
Good
Good 22 photon
photonSeparation
Separation
PbW04 crystal
Avalanche Photo Diode (APD)
– High Q.E.(60%-80%)
– Thin photo-sensor
– Operational in magnetic field
2x2cm
APD: Hamamatsu
S8148/S8664-55
3/22/2010
JPS 2010
5x5mm
5
目的
• ALICE実験PHOS検出器のチャンネルのゲインを揃えることに
よって、ダイナミックレンジを広くし、トリガー性能を揃え、オフ
ライン解析に役立てる
• PHOS検出器において、宇宙線を用いてどの程度までゲイン
を揃えることができるか調べる
• PHOSを再現した読み出しシステムであるテストベンチを広島
大学に構築する
• 解析手法としてアイソレーションカットとクラスター法の2種類
を用い、両手法の利点と欠点を定量的に評価する
3/22/2010
JPS 2010
6
テストベンチ
トリガー以外、PHOSと同じ回路
プラスチックシンチレータのHV
上:-1500 V, 下:-1550 V
冷蔵庫内温度
3/22/2010
PHOS実機を再現
-25℃
JPS 2010
7
実験風景
得られる信号
ADC count
ADC count
パルス高
100 ns / count
100 ns / count
イベントごと、チャンネルごとに生データをガンマ関数
でフィットし、宇宙線の落としたエネルギー情報を得る
パルス高がエネルギーに対応
3/22/2010
JPS 2010
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アイソレーションカット
宇宙線が一つのPWO結晶のみを通過するイベントを選び出す方法
×
解析アルゴリズム
○
アイソレーションカットの
パルス高 = パルス高(主要部)
主要部: パルス高 > Threshold(A)
周辺部: パルス高 < Threshold(B)
解析の一例
0.5
1.5
0.6
PWO結晶
(横から見た図)
1
20
1
0.8
0.2
(数字:パルス高の値)
赤:周りで最大
かつ 8(A)以上
青: 2(B)以下
アイソレーショ
ンカットの
パルス高 = 20
PWO結晶(上から見た図)
rate ~ 1.34 × 10-4 sec-1
3/22/2010
0
(一日で 12 events / crystal)
エネルギー損失量が正確に分かるが、レートが低い
JPS 2010
10
クラスター法
宇宙線が複数のクリスタルへ落したエネルギーを足し合わせる方法
ジオメトリー上の制限により、
宇宙線が通過するクリスタル
の本数は3本程度
∴ 3×3のクラスターで十分
解析アルゴリズム
クラスター法の
パルス高 = パルス高(主要部)
+ パルス高(周辺部)
主要部: パルス高 > Threshold(A)
周辺部: パルス高 > Threshold(C)
解析の一例
2
2
1
rate ~ 3.35 × 10-3 sec-1
3
10
5
1
7
3
(数字:パルス高の値)
赤:周りで最大
かつ 8(A)以上
橙: 4(C)以上
クラスター法の
p0 = 10+5+7
= 22
(一日で 290 events / crystal)
短期間でのエネルギー較正が可能だが、イタレーションが必要
JPS 2010
11
3/22/2010
APDバイアス電圧調整前
クラスター法で解析
解析条件
Threshold(A) > 約8 [ADC count]
Threshold(C) > 4 [ADC count]
(各クリスタルで
異なるため)
29個のエネルギー分布のピークの
平均値: 30.3
標準偏差: 18.4
エネルギー分解能
σ / E: 0.27 (@ 真ん中のクリスタル)
アイソレーションカットで解析
解析条件
Threshold(A) > 約8 [ADC count]
Threshold(B) < 2 [ADC count]
29個のエネルギー分布のピークの
平均値: 32.3
標準偏差: 22.9
エネルギー分解能
σ / E: 0.14 (@ 真ん中のクリスタル)
3/22/2010
JPS 2010
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APDバイアス電圧調整後(1)
クラスター法で解析
解析条件
Threshold(A) > 約8 [ADC count]
Threshold(C) > 4 [ADC count]
29個のエネルギー分布のピークの
平均値: 39.1
標準偏差: 4.6
* クラスター法で
求めたピークを
元にHV調整を
行った
エネルギー分解能
σ / E: 0.20 (@ 真ん中のクリスタル)
アイソレーションカットで解析
解析条件
Threshold(A) > 約8 [ADC count]
Threshold(B) < 2 [ADC count]
29個のエネルギー分布のピークの
平均値: 38.1
標準偏差: 6.2
エネルギー分解能
σ / E: 0.14 (@ 真ん中のクリスタル)
3/22/2010
JPS 2010
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APDバイアス電圧調整後(2)
クラスター法で解析
解析条件
Threshold(A) > 約8 [ADC count]
Threshold(C) > 4 [ADC count]
29個のエネルギー分布のピークの
平均値: 32.8
標準偏差: 1.3
* クラスター法で
求めたピークを
元にHV調整を
行った
エネルギー分解能
σ / E: 0.21 (@ 真ん中のクリスタル)
アイソレーションカットで解析
解析条件
Threshold(A) > 約8 [ADC count]
Threshold(B) < 2 [ADC count]
29個のエネルギー分布のピークの
平均値: 31.6
標準偏差: 2.0
エネルギー分解能
σ / E: 0.18 (@ 真ん中のクリスタル)
3/22/2010
JPS 2010
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較正回数による変化
エネルギー分解能
(@ 真ん中のクリスタル)
標準偏差/平均値
(チャンネルのゲインのばらつき具合)
0.8
0.3
0.7
0.25
アイソレーション
カット
0.6
クラスター法
0.2
0.5
0.4
0.15
0.3
0.1
アイソレーション
カット
0.2
0.05
クラスター法
0.1
0
0回目
1回目
2回目
較正回数
クラスター法でのばらつきは収束した
3/22/2010
0
0回目
1回目
2回目
較正回数
回数によらず、ほぼ一定
アイソレーションカットがクラスター法の約0.7倍
JPS 2010
15
結果とまとめ
• 広島大学にPHOSを再現したテストベンチを構築した
• アイソレーションカットおよびクラスター法を用いて、宇宙線
のMIPシグナルのチャンネル間のばらつきを、それぞれ
6.3%、3.9%で揃えることができ、十分な精度が得られることを
確認した
• シグナルレートはクラスター法が約25倍高く、分解能はアイ
ソレーションカットが約0.7倍よい
• ALICEでとられている宇宙線データに対しても、両手法を用い
て解析をする予定である
3/22/2010
JPS 2010
16
Back up
3/22/2010
JPS 2010
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無機シンチレータ間の比較
物質名
密度
[g/cm3]
放射長
[cm]
モリエル
半径
[cm]
減衰時間
[ns]
光量
[NaI比]
PWO
8.28
0.89
2.0
5~15
0.01
BGO
7.13
1.12
2.4
300
0.15
NaI
3.67
2.59
4.5
250
1.00
CsI
4.53
1.85
3.8
565
0.40
PWOの長所: エネルギー分解能・時間分解能がよい
短所: 発光量が小さい
3/22/2010
JPS 2010
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データの読み出し
APD CSP
PWOクリスタル
FEE board
光量→電荷量
荷電粒子が通過すると、
(1) シンチレーション光の発生
(2) APDで増幅
(3) CSPで増幅・整形
(4) FEEでデータのサンプリング
3/22/2010
JPS 2010
電荷量→電圧
アナログ信号→
デジタル信号
19
PHOS / テストベンチの比較
PWOクリスタル
APD CSP
FEE board
各チャンネルでのデータ収集回路は同じ
異なるのは
(1) トリガー方法
(2) 磁場の有無
PHOS: 3584個/1 module
テストベンチ: 29個
(3) 読み出しチャンネル数
3/22/2010
JPS 2010
L3マグネット
ALICE検出器
20
FEE board
ガンマ関数
p0:ピークの値
P1:シグナルまでの時間
p2:立ち上がり時間
p3:ペデスタルの平均値
p4: ガンマ関数のオーダー
f ( x) p0 t
p4
exp( p 4 t ) p 3, ここで
t ( x p1) / p 2
※Sampling ADCでは、シグナルが来る15カウント前から記録される
3/22/2010
JPS 2010
22
予想されるエネルギー損失
• 最小電離損失粒子(MIP)のエネルギー損失
最小電離損失
ΔE=dE/dx × L
=9.4[MeV/cm] × 18[cm]
=169.2[MeV]
(34[ADC count] @ ゲイン50)
1[ADC count] ⇔ 5[MeV]
PbW04 crystal
dE/dx = 9.4 MeV/cm
3/22/2010
JPS 2010
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エネルギー分解能
• PWOクリスタルのエネルギー分解能
期待値
E
E
0 . 018
E [ GeV ]
0 . 132
0 . 033
0 . 011
E [ GeV ]
(@ E 170 MeV )
実験値
アイソレーションカットで σE/E ~ 0.14
クラスター法で σE/E ~ 0.20
3/22/2010
JPS 2010
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シグナルのゲインに寄与するもの
PWOの発光量、APDの増倍率、CSPの増倍率、FEEのアンプの増倍率
寄与
寄与
宇宙線:
~4GeVのエネルギーを持ち、PWO中でエネルギー損失する
LED:
~数eVのエネルギーを持ち、PWO中でエネルギー損失しない
LEDと宇宙線を組み合わせれば、短期間でのエネ
ルギー較正が可能となる
3/22/2010
JPS 2010
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データセット
APDのHV値を調整
HV調整前
HV調整後(1)
HV調整後(2)
統計数
195k
109k
103k
期間
約17日
約9.5日
約9日
3/22/2010
JPS 2010
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HVの調整方法
• LEDを用いてAPDのHV-ゲイン曲線を作り、p0ピークの値が目
標値34[ADC count]となるようなAPDのHVの値を求める
(@ (0,13))
例
前の宇宙線測定で
印加していたHV値
宇宙線
LED
p0の値
20
105
目標p0
値
34
180
次の宇宙線測定
で印加するHV値
p0ピーク値が34となるAPDの
3/22/2010
ゲインを見積もる
これを全ての読み
出しチャンネルに
ついて行う
JPS 2010
27
ペデスタルラン
• アイソレーションカット/クラスター法で用いたThreshold(A)の
値はペデスタルランから求めた。
各チャンネルでノイズを
99%カットできる点を
Threshold(A)として採用した
4~10 ADC count
(20~50 MeV @ gain 50)
3/22/2010
p0
0
JPS 2010
20
28
Thresholdの値
Threshold(A)
以後出てくる表はTest Benchのクリスタルを上から見たとき
の配置を元に書いています(本文と対応した配置)
8.6
8.3
9.9
4.9
1.4
9.5
5.8
4.8
4.9
7.4
4.5
8.7
8.1
4.7
9.0
8.3
7.9
8.2
4.2
4.9
7.3
8.4
8.5
8.3
7.9
8.2
8.4
5.1
8.4
7.9
Threshold(B,C)
※数字の単位は [ADC count]
アイソレーションで2.0、クラスターで4.0と設定
クリスタルがないときのノイズをほぼ100%カット
(前のスライドの右上(7,12)より)JPS 2010
3/22/2010
クリスタルを横から通過した時の値
(トリガーにかからない宇宙線を排除)
29
APDの印加電圧値
HV調整前
311
352
316
306
309
300
345
358
355
312
312
313
319
346
348
307
315
303
348
360
352
336
342
342
336
341
339
332
328
数字の単位は[V]
3/22/2010
JPS 2010
30
APDの印加電圧値
HV調整後(1)
342
345
352
336
339
288
334
375
367
310
285
293
310
372
363
336
290
333
370
373
367
358
320
320
355
355
360
342
300
数字の単位は[V]
3/22/2010
JPS 2010
31
APDの印加電圧値
HV調整後(2)
335
336
342
322
325
295
327
379
369
304
287
292
304
378
366
324
290
323
368
378
372
360
314
324
356
354
360
344
303
数字の単位は[V]
3/22/2010
JPS 2010
32