LHC ATLAS - 東京大学素粒子物理国際研究センター

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高速中性子を用いた
マイクロメガスのビームテストの結果報告
川西裕基, 川本辰男A, 越智敦彦B, 片岡洋介A
増渕達也A, 寺尾伸吾, 竹本強志B, 山根史弥B
東京大学理学系研究科
素粒子物理国際研究センターA
神戸大学大学院理学系研究科B
日本物理学会 2013年秋季大会
9月20日@高知大学
20pSM-4
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目次
● マイクロメガスのintroduction
● 中性子ビームテストの概要
● ビームテストの解析結果
− 今回の解析方法
− 放電レートのHV依存性
− config.(入射角)依存性
− 新・旧型機での放電レートの違い
● まとめ
− 今後の予定
20 September 2013
JPS meeting @ Kochi
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ATLASにおけるマイクロメガス
● 現在のLuminosity = 7×1033 cm-2s-1
● 2018年のupgradeでLuminosityが、
現行の検出器のrequirement
(現行機はdrift tubeのMDTを使用)の
1×1034 cm-2s-1を大きく超える。
→ high ηの部分(small wheel)が限界。
→ high rateに耐えられる検出器を
作成したい。
● 要求性能:
Luminosityは5〜7×1034 cm-2s-1
位置分解能や時間分解能は、
現行の性能維持
● 現在は基本的なdesign & test
2013年〜来年
本番に用いる試作機のテスト
(1m×2mの大型試作機)
その後、量産体制に入る計画。
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マイクロメガスの構造
● ガス検出器の一種で、5 mmのgap間にガス(Ar+CO2)
を用いて、このgap間でガスを電離し、clusterを作る。
● Ar=93%, CO2=7% gas gainは約104
● meshによってドリフト領域とガス増幅領域を分けている。
● 放電を防ぐためresistive stripを読出しstripの前に設置。
● strip間の距離は400μm, 256ch, Meshは80 μm格子
● ガス増幅での陽イオンが約100 nsで回収されるため、
pile upに強いと期待される
狭い領域に高電位が
掛かっているのが特徴
試作機の写真
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これまでの日本グループのactivity
放電をコントロールするためには、
resistive stripの部分が鍵になる。
→改良を中心にR&Dを進めている。
2つの方法を日本グループが提案
従来:炭素製のresistive stripをprintする製法
→試作機を作製、test beamに投入した経験あり。
•
•
2013春季大会 LHC ATLAS検出器のアップグレードに向けたMicromegas検出器の開発と試験
http://atlas.kek.jp/sub/documents/jps201303/kataoka_mm130327.pdf
•
•
2012秋季大会 LHC ATLAS検出器アップグレードに向けたマイクロメガスのビームテストの結果報告
http://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/~kataoka/jps/kawanishi_2012aut_13pSG-7.pdf
新型:resistive stripをspatterによって作製
(日本グループが主導的に提案)
→既に2台の試作機が完成。
→この製法のものとprint製法のものの比較を行う。
どちらかの製法を採用し、5年後にATLASに投入される。
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printとspatterの2種の比較
スクリーンプリント(従来)
スパッタ(新型)
400um
400um
200um
• 微細加工可能 (精度高い)
• 一様(σR~10%)、均一(薄い<0.1um)
• 耐久性に優れる
• テスト未経験で性能が未知数
• 実機をテスト投入(実績がある)
• 安価
• 微細加工が困難(写真参照)
• 摩擦による剥落が起こる
(耐久性に難あり)
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中性子ビームテストの概要
場所:神戸大学海事科学科@RI実験棟 (2013年 6/17〜23日)
動機:我々の小型機の放電耐性をCheckする。
spatterは初めてgas chamberに用いられるので特に興味あり。
イオン源
加速器
エリアモニ
ター
電磁石
9Be
target
今回用いた加速器(タンデム型加速器)
9Be
+ D(3MeV) → 10B + n (Q=4.36MeV) の反応を利用
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試作機近辺の拡大図
液シン
to エレキ
測定したdataは
・HV monitor(CAMAC)
・SRS
・液シン(CAMAC)
Front end card
(SRS-APV)
Be target
ガス
(Ar:CO2=93:7)
ガス
マイクロメガス
targetから
7.5cm
beam
external trig.として
・ Scinti trig.
(フラックスを調べるために)
・ Random (clock) trig.
(HV monitor~4kHz)
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ビームの環境について
•
およそ100 nAのカレント
→ 100×10-9 A / 1.6×10-19 C = 6.3×1011 個/sec のdeutron
• 液シンとGeant4の解析結果から、neutron/deutron = 6×10-5
→ 6.3×1011 個/sec × 6×10-5 = 4×107 個/sec のneutron (4π)
→ 5×104 Hz/cm2
Q=4.36MeVなので、
(7.5cm離れたところ)
nのenergyはMaxで〜7MeV
Liquid scinti. 2inch(dia) x
2inch(length) at 60 cm distance
Energy[keV] = 0.28 x ADC + 37
(2000keV => 582)
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今回の収集したdata set(run)について
Chamber, configuration, HV, trigger の4つを変化させ、runを収集。
正面
J2 (旧型)
J3 (新型)
J4 (新型)
裏
45°
90°
480V
490V
500V
510V
520V
530V
540V
Sci. trig.
Random
trigger.
↑
変化させたHVの値はMesh〜strip間の増幅領域
測定時間は、Sci trig. = 3min (2min)
Random trig. =10min (5min)
カッコ内の時間は、各Chamberに最高電圧を掛けたときの測定時間
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放電に関しては、以下の定義によって
countを行った。
base lineから一定以上の値(0.23μA, 1.03μA)
を thresholdとし、このthresholdを超えた数を
countし、放電レートを求める。
current [μA]
今回の解析方法
run time [sec]
← なお、放電の継続時間については、
左図の通り。(秒単位の連続放電は稀)
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HV依存性・安定性
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config.による放電レートの違い
count [/neutron/cm /s]
thresholdはbaseline + 1.03μA
HV [volt]
Geant4 simulation
実験精度と安定性の問題から、config.による有為な差が見られなかった。
右図は100nAでの中性子(陽子・イオン)のhit rate(chamber全体)のsimulation。
裏面は直にPCBなので(meshやpackageガスなどなく)rateが一番大きく、
横は壁面の立体角が小さいので陽子反跳の寄与が少ないと解釈できる。
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Chamber間での比較
1.00E-03
count [/neutron/cm /s]
460V 470V 480V 490V 500V 510V 520V 530V 540V
1.00E-04
J2
J3
1.00E-05
J4
1.00E-06
1.00E-07
thresholdはbaseline + 0.23μA
このシフトは、増幅領域間隔の差による(J2: 128μm, J3, J4: 100um)と解釈できる。
nominal voltageが50 Vほど違うため、新旧chamberで有意な差は見られない。
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まとめ
● ATLASのアップグレードのためにマイクロメガスを開発中。
(resistive stripの部分の新しい技術を提案している)
● 中性子ビームでのperformanceを確認
→少なくともビームテスト中は、新型機のresistive strip部分
が焼損・蒸発などせず、放電に耐えうることが分かった。
→性能も、旧型機と同等程度のパフォーマンスだった。
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今後の見通し
[提案したchamberのtest]
● tracking、agingについても理解を深めていく
● 現在、神戸大学にて宇宙線を用いたtrackingのテスト中
● 荷電粒子を用いたビームテスト@Spring8→tracking
(11/15〜23を予定)
[提案した方法での大型moduleの製作]
● 大型化のためのR&D
→ 1m×50cmを予定(冬から春にかけてテスト予定)
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backup
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連続放電時の波形
J3 480Vのときのfit
J3 520Vのときのfit
DAQ・SRSシステムについて
external trig.として
・ Scinti trig.
・ Mesh trig.
・ Random (clock) trig.
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加速器周辺の動作原理
(1) イオン源
Csの負イオン蒸気を発生させ、薄い層を形成する。ここへ重水素を衝突させ
る
と、イオン化傾向の小さいCsから電子を奪い、D-イオンができる。
(2) 加速器
2段階で加速する。両端がグラウンド。前段部分(GND→+1.5MeV)で
D-イオンを加速。中間部分で窒素分子と衝突させ、重水素の電子をはぎ取る
ことでD+イオンを生成する。生成されたD+イオンが後段部分(+1.5MeV→GND)
で 更に加速される。
(3) 電磁石
加速されたD+イオンを四重極磁場で収束させ、ビーム状にしたのち、電磁石
に
よりビームラインの切り替えを行う。
(4) 9Beターゲット
加速されたD+イオンが9Beターゲットに衝突し、9Be + D → 10B + n の反応により
中性子ができる。
(5) エリアモニター
中性子の空間線量を測定
新型の試作機について
● 読み出しストリップとレジスティブ層に
スパッタリング技術を用いた。
● レジスティブ層の材質はタングステン+炭
素
● レジスティブ層の間隔を200 um間隔に変更
● 読み出しストリップは基板側。(400 um間隔)
● メッシュはbulk法で作成
新型試作機の写真
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マイクロメガスのsignal
↑
● マイクロメガスにはAPV25というチップが接続されている。
● CMSのシリコン用チップで128 ch.
● 本番は別のチップを使用する予定。
● shaping timeは50 nsec、pre amp付。
● 25 nsecおきに各stripの電圧情報を記録。
● APV25の電圧情報から
各stripのsignalの時間発展をreconstructする(下図参照)。
● strip(位置)とtime bin(時間)の2次元で情報を読み出せる。
時
間
strip number (位置) →
shapingされた波形
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