宇宙マイクロ波背景輻射 Bモード偏光観測の為の小型科学衛星

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Transcript 宇宙マイクロ波背景輻射 Bモード偏光観測の為の小型科学衛星

宇宙マイクロ波背景輻射
Bモード偏光観測の為の小型科学
衛星LiteBIRDの測定感度に関する
シミュレーション
Mar. 20, 2010
日本物理学会 第65回年次大会
片山伸彦(KEK)
小松英一郎(テキサス大)
LiteBIRDワーキンググループ
アウトライン
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研究の背景
CMB Bモード偏光の測定感度
シミュレーション結果
まとめと今後の予定
2010/3/20
N. Katayama (JPS)
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研究の背景
• 測定の意義等については、二つ後の松村さんの
講演や、22日午後のシンポジウムで詳しく。
• 解析パイプラインの構築
– 実験を進めて行くなら、国内で自前の解析パイプライ
ンを構築する必要あり
• 新しいアルゴリズムの開発
– 日々、解析に関する論文が発表されており、若く、進
展の激しい分野
• 計算科学的興味
– 計算量が非常に多くなる可能性
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測定方法
WMAP:Q/Uのマップ
WMAP:温度とEモード偏光の
相関スペクトラム
宇宙論パラメタ
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テンサー/スカラー比 r
前スライドのTEのレベル
• インフレーション時の原
始重力波が、CMBのB
モード偏光を引き起こす
• その大きさを表すパラメ
タとしてテンサー/スカ
ラー比 r が使われる
• モデルにもよるが、rの
大きさはインフレーショ
ンを引き起こすポテン r~0.001の測定を
シャルの強さに依る
目指して実験を計画!
rの値を測定したい
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小型科学衛星LiteBIRD
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測定感度
• センサー・測定装置に起因する要素
– センサー数、ノイズ、偏光にかかわるもの
• 測定に起因する要素
– 測定可能時間、方向、ビームにかかわるもの
• フォアグラウンド
– 銀河からの偏光した電波
• 解析に起因する要素
– 計算量、行列の大きさなど解析手法の限界
• 他の宇宙論パラメタに起因する要素
– re-ionization, lensing
シミュレーションの
沢山の事が絡みあっている
必要性
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実験の最適化
• 小型科学衛星:極めて制約が多い
– シミュレーションによるフィージビリティ・スタディが
必至
• 衛星・実験装置の最適化
– 観測周波数、周波数数・センサー数の選択
– 軌道・姿勢・測定時間・方向・通信量の選択
– 衛星重量・構造・打ち上げロケットの選択
• 打ち上げロケットにより、かかる加速度が違う
どういう設計パラメタがあって、それらの
因果関係がどうであるかも自明ではない
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r 測定のシミュレーション
• 宇宙論パラメタを仮定し、ボルツマン方程式
を解いてCMBのスペクトルを計算する
– 既存のプログラムCAMBを用いて行う。
– r に依存するBモード偏光のスペクトルは、大きさ
がr に比例するが、形は変わらない
• スペクトルから、CMBのマップを生成する
– 乱数が必要。実際に観測できる宇宙は一つだが、
シミュレーションでは沢山の「宇宙」を生成する
• マップにノイズ・ビームサイズの影響を加え銀
河系による不可視領域のマスクをかける
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マップから r へ
• 最も簡単(理想的)な場合:
– 全天が観測できる、ノイズが小さい、ビームサイ
ズが小さい、スペクトルの形がわかっている
• 球面調和関数の直交性を利用して、誤差は無限小
• rの誤差を解析的にも計算出来る
ノイズなしの場合
ノイズありの場合
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スペクトルのガウシアンフィット
• ビームサイズ、ノイズが
比較的小さい
– 34 arcmin
– 3.01 mKarcmin
r=0.003
• マスクあり
EE
– PolSpiceを使用してスペク
トルを得る
BB
• lensingの寄与は既知
• 沢山のrealizationsを行い、
rだけを変化させて2-fit
lensing
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rのsignificance (Likelihood fit)
• lの小さい所でClの分布はガウ
シアンでない
– Harmonic spaceでのlikelihood fit
• マスクなし
– マスクありだとlが小さい所でうまく
いかない
• Cl = x*Cltensor + y*Cllensed + Noise
• Log L =(2l+1)( (Cldata/Cl) + log(Cl))
• LiteBIRDの目標とするノイズレ
ベルでr=0.003は>5s
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ピクセル空間でのlikelihood fit
• L = 1/det(C) exp(-1/2mtC-1m)
– m = [Qp, Up]
– C (=S+N)はピクセル空間での共分散
行列
• シグナル部分のCは解析的にも計
算可能
マスク
なし
– シミュレーションで作ることも可能
– マスク部分は無視(補正する事も可)
– ClBBのみ
• 計算量多い
– Cは61446144(マスクなし)
– 変数がrだけだと予めC-1を計算して
おく事が可能
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マスク
あり
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前景輻射
シンクロトロン放射: 銀河中の
相対論的な電子が銀河磁場
の中でらせん運動することに
よる。n βs, (βs~-3)のような周
波数依存性を持つ
熱的ダスト放射: 銀河中の熱
的平衡状態にあるダストによ
る黒体放射。ダストの粒は磁
力線と垂直な向きに整列しや
すい。そのために、その向き
の偏光成分を含みやすい。
シグナル(Q, r=0.01)
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前景輻射の除去
• 銀河系をマスクする
• 周波数依存性をもつテンプレートを使用
• 2 = S(Tcmb – asynchTsynch – adustTdust)2
P
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を最小化するasynch、adustを求める
T = Q, U
p:ピクセル
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前景輻射除去後のLikelihood fit
• 共分散行列には前景輻射の寄与を含める
– C = S + N + F (それぞれは独立とする)
• 前景輻射が完全には除去出来ない為rの値
にオフセットが加わってしまう
r=0.01で
シグナルを
生成
with foregrounds
without foregrounds
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aを場所の関数として求める
• 全天を48に分割し,それぞれの領域で2を最小
化し、aを求める
– 残留する前景輻射は小さくなる
• C = S + N + F を別々に計算する事が出来ない
– 計算量が更に増える
分割しない場合のQ
48分割の場合のQ
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前景輻射を場所毎に除去
比較的シンプルな除去法を使
用して、前景輻射をある程度
除去できた
オフセットが大幅に減少
r_input = 0.001
r = 0.0064  0.0011
r = 0.0024  0.001
r_output
全体で除去
場所毎に除去
r_input
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歯抜けはテクニカルな問題
まとめとこれから
• 宇宙マイクロ波背景輻射Bモード偏光観測の
為の小型科学衛LiteBIRDのfeasibility studyを
開始した
– r検出の有意性を調べる
• LiteBIRDの特徴を出来るだけ生かして、現実
に打ち上げられる衛星計画を立てる必要あり
– どのパラメタがどういう風に効いてくるのかの理
解を深める
– 目標達成の為に何が何処まで出来れば良いか、
言える様になりたい
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