心臓血管外科新専門医制度 腹部末梢血管分野修練プログラム例について
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Transcript 心臓血管外科新専門医制度 腹部末梢血管分野修練プログラム例について
心臓血管外科新専門医制度
腹部・末梢血管分野修練プログラムについて
第45回日本心臓血管外科学会学術総会 PD2-6
佐藤 紀
埼玉医科大学総合医療センター 血管外科
心臓血管外科修練の現況
修練医3名中の1名(埼玉医科大学総合医療センター 血管外科)
Apr-07
初期研修
Apr-09
Oct-12
修練開始
市中病院出向
院内
市中病院1
血管外科修練
出産
市中病院2
一般外科修練
院内
Jul-05
Nov-16
修練再開
(6ヶ月休み)
1
一般外科手術執刀
Dec-13
血管外科修練
カテゴリー 1, 2
カテゴリー 3
Aug-13
251
9
25
58 (distal bypass 含む)
カテゴリー 4
66
53
カテゴリー 5
21
29
34
歳
心臓血管外科
外科専門医取得
約9.5年
カテゴリー
1
胸部大動脈
2
腹部大動脈
3
末梢動脈 (EVT含む)
4
静脈
5
その他血管疾患
専門医取得?
1回以上の更新を行った専門医
難度B,C手術100例以上,うちCが30例以上
指導的助手手術20例以上
筆頭論文5編以上
用語の説明
用語
説明
専攻医
研修を行う修練医
専門医
心臓血管外科専門医定義を満たす資格取得者
指導医
修練指導者資格を有する専門医
修練指導責任者
施設責任者となる指導医
専門研修プログラム統括責任者
基幹施設における修練指導責任者
研修基幹施設
専門研修プログラムの中心となる研修施設
研修連携施設
基幹施設と連携してプログラムを運営する
(手術症例数は施設群の総数に含まれる)
研修連携協力施設
複数の施設群と連携協力する施設
(手術症例数を施設群に配分する必要はない)
新しい専門医修練プログラム
今までの制度
• 単独の施設で修練を行う事
が可能
新制度
• 基幹施設,連携施設,連携
協力施設で施設群を作る
• 基幹施設における6ヶ月以上
の修練が必要
• 筆記試験に合格すれば,血
管外科のみの修練で専門
医を取得することが可能
• 修練医の数に制限なし
• (先天性心疾患),成人心疾
患,胸部大血管疾患,腹
部・末梢血管疾患の4領域
の実習が必要
• 施設群の手術症例数により
修練医の受け入れ可能数
が決まる
血管外科を目指す者の修練内容
原則は4領域すべての研修が必要
• 成人心臓,胸部大血管疾患の研修は必須
• 修練内容は,カンファレンスへの出席,手術への(助手としての)参画を
想定している
• 各分野の修練期間は各修練プログラムに任されているが,常識的な期
間を
• 血管外科プログラムでは先天性心疾患手術経験要件は選択
制
• 先天性心疾患領域を選択しない場合には,小児心臓領域に関する卒
後セミナーの受講が必須である.
• 先天性心疾患領域の研修を希望する者のために,この領域の連携協
力病院を定めておくことが望ましい
修練医の数は施設群の手術症例数により
決まる
施設群における手術
総数500例につき修練
医1名+予備1名
連携施設を共有する場合は症例数は案分
する
例外:小児心臓専門施設
小児心臓施設は少な
いので,複数の施設群
の連携協力施設となる
ことが可能.この場合,
症例数の配分は不要.
連携協力施設は症例数を配分する必要は
ない
血管外科修練施設基準の導入
基幹施設
連携施設
• 常勤の(心臓血管外科)指
• 常勤の(心臓血管外科)指
導医2名以上の在籍
• 手術数-以下のすべてを満
たす
導医1名以上の在籍
• 手術数
• 年間平均100例以上
• カテゴリー1+2が20例以上
• カテゴリー3が30例以上(下腿3
分枝以下へのバイパスが2例
以上)
• カテゴリー4+5が25例以上
現行350 → 100~150
• 年間平均50例以上
AND
• カテゴリー1+2+3が25例以上
OR
• カテゴリー4+5が25例以上
充足されていないカテゴリー群
に属する手術は経験としてカウ
ントできない
血管外科 手術カテゴリー
カテ ゴ リー 1(胸部大動脈)
カテ ゴ リー 2(腹部大動脈)
カテ ゴ リー 3(末梢動脈)
カテ ゴ リー 4(静脈)
術式名
術式名
術式名
術式名
難易度
A
カテ ゴ リー 5(その他血管疾患)
術式名
動脈血栓摘除術
静脈血栓摘除術(直達術)
血管アクセス手術*3
下肢の非解剖学的バイパス術
下肢静脈瘤手術*3
交感神経切除・焼灼術
末梢動脈瘤手術
末梢静脈血管内治療*1,2
虚血肢大切断術*1,2
末梢動脈血管内治療
下大静脈フィルター留置術*1,2
膝窩動脈捕捉症候群筋切離術
(動脈露出下の外科的IABP/PCPS抜
去*1,2)
外膜嚢腫手術
腹部内臓動脈に対する血管内治療
B
上行大動脈置換術
腹部大動脈置換術(含腸骨動脈瘤)
脛骨腓骨動脈幹以上の血行再建術
下行大動脈置換術
腹部大動脈ステントグラフト内挿術
上肢の血行再建術(腋窩動脈含む)
胸部大動脈ステントグラフト内挿術
末梢静脈血行再建術
胸郭出口症候群
血管アクセス手術(人工血管使用、静
脈表在化内シャント)
頸動脈ステント留置術
肺動脈血栓摘除術(急性、直達術)
血管外傷手術
C
弓部大動脈置換術
腎動脈遮断を伴う腹部大動脈手術
下腿3分枝以下の血行再建術
胸腹部大動脈置換術
感染性/炎症性腹部大動脈瘤手術
頸動脈内膜摘除術
大動脈解離手術
破裂性腹部大動脈瘤手術
椎骨動脈血行再建術
破裂性胸部大動脈瘤手術
分枝再建を伴う腹部大動脈ステントグ
ラフト内挿術
腹部内臓動脈血行再建術(含腎動脈)
異型CoA手術
内腸骨動脈瘤に対する内腸骨動脈再
建を伴う腹部大動脈瘤手術
人工血管・動脈感染に対する根治術
分枝再建を伴う胸部大動脈ステントグ
ラフト内挿術
上肢の血行再建術(末梢側吻合が上
腕動脈以遠)
拡大大腿深動脈形成術(大腿深動脈
末梢へのバイパス術を含む)
血行再建を伴う胸郭出口症候群手術
破裂性末梢動脈瘤手術
肺動脈内膜摘除術(慢性)
体腔内の血管外傷手術
B難度に対する再手術(初回手術より
3ヶ月以上経過した直達手術)
*1:施設認定基準には含まれない
*2:専門医更新申請の点数には含まれない
*3:専門医更新申請には10例実施して1例としてカウントする
専門医新規申請の手術件数・点数においては、下肢静脈瘤手術と動静脈シャント作成術は1括りとする
大静脈血行再建術
リンパ管微小静脈吻合術
連携施設における手術経験
新規心臓血管外科専門医認定要件として
カテゴリー
1+2+3
カテゴリー
4+5
• 充足されていない(25例に満たない)カテゴリー群に属する手
術は経験としてカウントできない
動脈瘤・動脈血
行再建 40例
静脈瘤・
シャント
10例
経験症例としてカウント
できる
経験症例としてカウント
できない
動脈瘤・動脈血
行再建 20例
経験症例としてカウント
できない
静脈瘤・
シャント
40例
経験症例としてカウント
できる
二つの研修プログラム
• 単独型=外科専門医取得後に心臓血管外科専門医取得を目指す,卒後
最短8年のコース
• 連動型=外科専門医取得と心臓血管外科専門医取得を同時に目指す,
卒後最短7年のコース
研修期間の猶予
大学院・研究専念
最長4年
留学
最長4年
期間中の手術実績は認めない
学会,論文,講習ポイントは認める
出産・育児
最長3年
血管外科中心の施設連携の1例(単独型)
A大学病
院心臓外
科
D県立病
院心臓血
管外科
A大学
病院血
管外科
B県立こ
ども医療
センター
連携施設
連携協力施設
基幹施設
血管
外科
連携施設
C医学研
究所病院
血管外科
成人
心臓
外科
連携施設
小児
心臓
外科
単独型プログラムでは
プログラム指導医と専門領域
専門研修基幹施設
研修プログラム統括責任者: ○○ ○○ (診療科長)(血管外科)
指導管理責任者 : ○○ ○○ (診療科長)(血管外科)
指導医:○○ ○○ (診療副科長、医局長)
○○ ○○ (病棟医長) (血管外科)
○○ ○○ (外来医長) (血管外科)
○○ ○○ (病棟医) (血管外科)
○○ ○○ (病棟医) (血管外科)
○○ ○○ (病棟医) (血管外科)
専門研修連携施設
〇〇県立中央病院
指導管理責任者: ○○ ○○(心臓血管外科全般)
〇○市立○○病院
指導管理責任者: ○○ ○○ (冠動脈外科)
専門研修連携協力施設
○○県立こども病院
指導管理責任者:○○ ○○(先天性心疾患)
一方,連動型プログラムを持つ基幹施設となるには
外科専門医の研修基幹施設の基準を満たすことが必要
• (1)
•
•
•
•
•
•
・
(4)日本外科学会指導医,外科専門医が合計3人以上常勤し,
うち2名はプログラム統括責任者の基準を満たしている.
・
・
◆外科学会指導医 AND
・
◆サブスペシャリティ専門医資格を1回以上更新した者 AND
◆医学博士号またはpeer reviewを受けた英語による筆頭原著
・
論文3編を有する
(11)
連動型プログラムを持つ基幹施設となるには
外科専門医の研修基幹施設の基準を満たすことが必要
• (1)
• (2)
大学病院以外では困難であろう.
単独型プログラムのみの基幹施設とな
ることは,これ以外でも可能.
・
・
・
• (11) 現行の日本外科学会の指定施設であり,3領域以上の
サブスペシャルティ領域学会の修練施設
(消化器外科学会専門医制度指定修練施設,心臓血管
外科基幹(関連)施設,呼吸器外科基幹(関連)施設,
小児外科学会認定(教育関連)施設)
である.
外科専門医取得のための最低症例数
• 消化管および腹部内臓
• 乳腺
• 呼吸器
• 心臓・大血管
• 末梢血管
• 頭頸部・体表・内分泌外科
• 小児外科
• 外傷の修練
• 上記各分野における内視鏡手術
50例
10例
10例
10例
10例
10例
10例
10例
10例
血管外科中心の施設連携の1例(連動型)
D県立病
院心臓血
管外科
A大学病
院心臓外
科
E総合病
院外科
C医学研
究所病院
血管外科
F病院乳
腺外科
連携協力施設
血管
外科
A大学
病院血
管外科
A大学病
院消化器
外科
基幹施設
A大学小
児外科
B県立こ
ども医療
センター
成人
心臓
外科
小児
心臓
外科
A大学病
院呼吸器
外科
連携施設群
一般
外科
連動型プログラム
プログラム指導医と専門領域
専門研修基幹施設
研修プログラム統括責任者: ○○ ○○ (血管外科診療科長) (日本外科学会指導医)
指導管理責任者 : ○○ ○○ (血管外科診療科長) (日本外科学会指導医)
指導医:○○ ○○ (血管外科診療副科長、医局長) (日本外科学会指導医)
○○ ○○ (血管外科病棟医長) (日本外科学会指導医)
○○ ○○ (血管外科外来医長) (日本外科学会指導医)
○○ ○○ (一般外科・消化管外科診療科長) (日本外科学会指導医)
○○ ○○ (救急部病棟医長) (日本外科学会指導医)
○○ ○○ (肝胆膵外科診療副科長) (日本外科学会指導医)
○○ ○○ (呼吸器外科診療科長)(日本外科学会指導医)
○○ ○○ (小児外科診療科長)(日本外科学会指導医)
○○ ○○ (乳腺・内分泌外科診療科長)(日本外科学会指導医)
単独型と連動型の得失
単独型
Merits
Demerits
連動型
• プログラムの作成が比較的簡単
• プログラムの作成が複雑
• 心臓血管外科分野で完結する
• 外科各分野の診療科との調整が必
• 大学病院以外でも基幹施設となり
要
• 大学病院以外が基幹施設となるこ
とは困難
得る
• 専門医取得に卒後8年が必要
• 卒後7年で専門医取得が可能
• 修練開始時に定数に空きがない可
• 修練開始が早いので定数に限りが
能性がある
• 外科専門医取得後に心臓血管外
科を目指す者の数が決まる
ある場合有利
• 初期研修終了時に心臓血管外科を
目指す医師数の確定ができる
複数のプログラムについて
• 1施設に心臓外科,血管外科の診療科が別個に存在する場
合,2科がおのおの独自の研修プログラムをもつことが可能
です.
• 一つの科で心臓外科,および血管外科の診療を行っている場
合,心臓外科を目指す者のプログラム(A)と血管外科を目指
す者のプログラム(B)の2つを持つことが可能です.
• 一つの科で単独型,連動型の2種のプログラムを持つことが
可能です.ただし,修練医の総数は症例数により規定された
数を超えることはできません.
プログラムの作成
• 専門研修基幹施設は心臓血管外科専門研修カリキュラムに則った年次
ごとの到達目標を設定した教育プログラムを作成し,専門研修連携施
設とともに日本専門医機構の認定を受ける.
• 専門研修基幹施設に施設群内の各施設の専門研修指導医等からなる
専門研修プログラム管理委員会を置き,委員会には専門研修プログラ
ム統括責任者を置く.
• 専門研修プログラムは専門研修プログラム管理委員会により管理され,
委員会は定期的に専門研修プログラムの改善・見直しを行う.
専門研修プログラムの管理
日本専門医機構
プログラム提出
基幹施設
認定
専門研修プログ
ラム管理委員会
連携施設
連携施設
連携施設
専門研修プログラム委員会と専攻医
専門研修プロ
グラム統括責
任者
年2回の評価
終了認定
専門研修プログラム
管理委員会
プログラムの定期的見直し
サイトビジットの受け入れ
逆評価
(指導医,施設,プログラム)
専攻医
研修プログラムについてはまだ未定の部分も
あります.
確定次第,ネットにひな形をアップしますの
で,お願いいたします.