腹部・末梢血管疾患が修練の主体となるプログラムについて

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Transcript 腹部・末梢血管疾患が修練の主体となるプログラムについて

第45回日本心臓血管外科学会学術総会
『パネルディスカッション2 新専門医制度
Up-to-date』
山王病院・山王メディカルセンター
血管病センター
宮田哲郎
心臓血管外科専門医
先天性
成人
胸部
心疾患
心疾患
大血管
腹部・
末梢血
管疾患
専攻医は全てを研修する
心臓血管外科専門医
先天性
成人
胸部
心疾患
心疾患
大血管
腹部・
末梢血
管疾患
専攻医は全てを研修する
腹部・末梢血管疾患が修練の主体となるプログラム
=血管外科医が対象
腹部・末梢血管疾患が
修練の主体となるプログラム
=どういう血管外科医を育てたいか
血管(大血管, 末梢動脈, 静脈, リンパ管)
疾患の病態を理解し、
診断ができる(血管機能検査、画像検査:超音波、
CT、MR、IADSA)
血管内治療ができる(EVAR,
PTA/stent)
直達手術ができる(標準手術、一部応用手術)
血管外科の研究を推進できる
血管外科学会での取り組み
2011~2014 教育システム検討委員会
次世代の血管外科医を如何に育成するか!
「血管外科修練施設」を認定し、血管外科医
を目指す医師にその施設での修練を推奨する
教育システム検討委員会
安達秀雄(委員長)、末田泰二郎(副委員長)、大木隆生、
古森公浩、佐藤紀、椎谷紀彦、種本和雄、宮田哲郎
ワーキンググループ
安達秀雄(委員長)、井上芳徳、小泉信達、重松邦広、菅野
範英、墨誠、前田英明、松本春信
血管外科学会での取り組み
教育システムを検討する目的は
 理念「血管外科のアイデンティティーを確立する」の具体化
 血管外科治療の標準化と質の保証
 現行の「心臓血管外科専門医」制度の不備の補完(血管外科
のトレーニングについては充分に吟味されていない)
 「血管外科修練施設」
認定規則(案)
 同認定細則(案)
pubcome
理事
評議員
現在の心臓血管外科専門医制度のなかに
我々の検討事項を反映する!
血管外科手術取り扱いの改訂提案
1.血管外科手術カテゴリー分類
•
•
•
現在は血管外科手術に関してregulationがない
多種の手術をまんべんなく研修することが大切
血管外科手術をカテゴリー分類して研修施設の実施手術を
評価する
カテゴリー3(末梢動脈)
 動脈血栓摘除術
 下肢の非解剖学的バイパス術
 末梢動脈瘤手術 カテゴリー1(胸部大動脈)
カテゴリー2(腹部大動脈)
 末梢動脈血管内治療
腹部大動脈置換術(含腸骨動脈瘤)
 上行大動脈置換術
 腹部内臓動脈に対する血管内治療
 脛骨腓骨動脈幹以上の血行再建術
腹部大動脈ステントグラフト内挿術
 弓部大動脈置換術
 上肢の血行再建術(腋窩動脈含む)
破裂性腹部大動脈瘤手術
 下行大動脈置換術
 頸動脈ステント留置術
 胸腹部大動脈置換術
感染性/炎症性腹部大動脈瘤手術
 肺動脈血栓摘除術(急性、直達術)
 血管外傷手術  大動脈解離手術
腎動脈遮断を伴う腹部大動脈手術
カテゴリー5(血管外科疾患)
カテゴリー4(静脈系)
 下腿3分枝以下の血行再建術
分枝再建を伴う腹部大動脈ステントグ
 破裂性胸部大動脈瘤手術
 頸動脈内膜摘除術 静脈血栓摘除術(直達術)
血管アクセス手術
ラフト内挿術
 異型大動脈縮窄症手術
 椎骨動脈血行再建術
 下肢静脈瘤手術
交感神経切除・焼灼術
 腹部内臓動脈血行再建術(含腎動脈)
内腸骨動脈瘤に対する内腸骨動脈再
 胸部大動脈ステントグラフト内挿術
 末梢静脈血管内治療
虚血肢大切断術
 人工血管・動脈感染に対する根治術
建を伴う腹部大動脈瘤手術
 分枝再建を伴う胸部大動脈ステント
 上肢の血行再建術(末梢側吻合が上腕動脈以遠)
 下大静脈フィルター留置術
膝窩動脈/静脈捕捉症候群手術
グラフト内挿術
 拡大大腿深動脈形成術(大腿深動脈末梢へのバイパス術を含む)
 末梢静脈血行再建術
外膜嚢腫手術
 血行再建を伴う胸郭出口症候群手術
 大静脈血行再建術
胸郭出口症候群手術
 破裂性末梢動脈瘤手術
 肺動脈内膜摘除術(慢性)
 静脈血栓除去術
血管アクセス手術(人工血管使用、静
 体腔内の血管外傷手術
脈表在化内シャント)
 B難度に対する再手術(初回手術より3ヶ月以上経過した直達手術)
血管外科手術カテゴリー分類
•
•
•
•
•
カテゴリー1(胸部大動脈)
カテゴリー2(腹部大動脈)
カテゴリー3(末梢動脈)
カテゴリー4(静脈系)
カテゴリー5(血管外科疾患)
 リンパ管微小静脈吻合術
血管外科手術カテゴリー分類
カテ ゴリー 1(胸部大動脈)
カテ ゴリー 2(腹部大動脈)
術式名
術式名
難易度
A
カテ ゴリー 3(末梢動脈)
術式名
カテ ゴリー 4(静脈)
カテ ゴリー 5(その他血管疾患)
術式名
術式名
動脈血栓摘除術
静脈血栓摘除術(直達術)
血管アクセス手術*3
下肢の非解剖学的バイパス術
下肢静脈瘤手術*3
交感神経切除・焼灼術
末梢動脈瘤手術
末梢静脈血管内治療*1,2
虚血肢大切断術*1,2
末梢動脈血管内治療
下大静脈フィルター留置術*1,2
膝窩動脈捕捉症候群筋切離術
(動脈露出下の外科的IABP/PCPS抜
去*1,2)
外膜嚢腫手術
腹部内臓動脈に対する血管内治療
B
上行大動脈置換術
腹部大動脈置換術(含腸骨動脈瘤)
脛骨腓骨動脈幹以上の血行再建術
下行大動脈置換術
腹部大動脈ステントグラフト内挿術
上肢の血行再建術(腋窩動脈含む)
胸部大動脈ステントグラフト内挿術
末梢静脈血行再建術
胸郭出口症候群
血管アクセス手術(人工血管使用、静
脈表在化内シャント)
大静脈血行再建術
リンパ管微小静脈吻合術
頸動脈ステント留置術
肺動脈血栓摘除術(急性、直達術)
血管外傷手術
C
弓部大動脈置換術
腎動脈遮断を伴う腹部大動脈手術
下腿3分枝以下の血行再建術
胸腹部大動脈置換術
感染性/炎症性腹部大動脈瘤手術
頸動脈内膜摘除術
大動脈解離手術
破裂性腹部大動脈瘤手術
椎骨動脈血行再建術
破裂性胸部大動脈瘤手術
分枝再建を伴う腹部大動脈ステントグ
ラフト内挿術
腹部内臓動脈血行再建術(含腎動脈)
異型CoA手術
内腸骨動脈瘤に対する内腸骨動脈再
建を伴う腹部大動脈瘤手術
人工血管・動脈感染に対する根治術
分枝再建を伴う胸部大動脈ステントグ
ラフト内挿術
上肢の血行再建術(末梢側吻合が上
腕動脈以遠)
拡大大腿深動脈形成術(大腿深動脈
末梢へのバイパス術を含む)
血行再建を伴う胸郭出口症候群手術
破裂性末梢動脈瘤手術
肺動脈内膜摘除術(慢性)
体腔内の血管外傷手術
B難度に対する再手術(初回手術より
3ヶ月以上経過した直達手術)
新規専門医認定要件:手術経験
•
•
•
•
前年の心臓・胸部大血管手術が40例に満たない修練施設で
行った当該手術は手術経験に算入できない
前年の血管外科手術カテゴリー①+②+③が25例に満
たない修練施設で行った、カテゴリー②、③の手術は手
術経験に算入できない
前年の血管外科手術カテゴリー④+⑤が25例に満たな
い修練施設で行った、カテゴリー④、⑤の手術は手術経
験に算入できない
前年の心臓・胸部大血管手術が40例に満たない、且つ、
血管外科手術カテゴリー①+②+③が25例に満たない
修練施設で行った、胸部大動脈ステントグラフト内挿術
は手術経験に算入できない
修練施設は血管外科カテゴリー分類別手術数
が
修練基幹施設の手術数要件
• 年間心臓・血管手術症例数100例以上(外科専門医制
度との連動の場合はNCD登録症例数150例以上)
• 地域に修練基幹施設基準を満たす施設がない場合、医
修練基幹施設といえども血管外科手術カテゴリー
学部を有する教育機関の場合は、症例数基準のみ緩和
①+②+③、あるいは、カテゴリー④+⑤が25
• 先天性心疾患修練施設としての認定は年間30例以上の
例以上
先天性心疾患手術を行っていることが条件
なければ専攻医は手術経験として算入できない!
• 腹部・末梢血管疾患が修練の主体となるプログラム
の場合は手術数100例以上に加え、以下の年間血管
外科手術カテゴリー数を全て満たすこと
• カテゴリー①+②(大動脈)
20例以上
• カテゴリー③(末梢動脈:下肢3分枝以下への血
行再建術を複数含むこと)
30例以上
• カテゴリー④+⑤(静脈その他) 25例以上
修練連携施設の手術数要件
• 年間平均手術症例数は50例以上、且つ、以下のいず
れかの年間手術数満たすこと
• 心臓・大血管手術が40例以上
• 先天性心疾患修練施設としての認定は30例以上の
先天性心疾患手術を行っていること
• カテゴリー①+②+③(動脈)
25
例以上
• カテゴリー④+⑤
(静脈その他) 25例以
年間手術数70例
上
心臓手術
30
例
カテゴリー①+②+③ 20例
血管外科手術取り扱いの改訂提案
1.血管外科手術カテゴリー分類
•
•
•
Qualityが高い手術教育を行うはずが、現在は血管外科手
術に関してregulationがない
多種の手術をまんべんなく研修することが大切
血管外科手術をカテゴリー分類して研修施設の実施手術を
評価する
2.血管外科手術の細分類
•
同じ血管手術でも難易度が異なるものは細分類する
血管外科難易度Cの手術手技の増加
 腎動脈遮断を伴う腹部大動脈手術
 感染性/炎症性腹部大動脈瘤手術
 下腿3分枝以下の血行再建術
 頸動脈内膜摘除術
 破裂性腹部大動脈瘤手術
 分枝再建を伴う腹部大動脈ステン
 椎骨動脈血行再建術
 腹部内臓動脈血行再建術(含腎動脈)
トグラフト内挿術
 人工血管・動脈感染に対する根治術
 内腸骨動脈瘤に対する内腸骨動脈  上肢の血行再建術(末梢側吻合が上
再建を伴う腹部大動脈瘤手術
腕動脈以遠)
 拡大大腿深動脈形成術(大腿深動脈
 大静脈血行再建術
末梢へのバイパス術を含む)
 リンパ管微小静脈吻合術
 血行再建を伴う胸郭出口症候群手術
 破裂性末梢動脈瘤手術
難易度Aの手術
 肺動脈内膜摘除術(慢性)
下肢静脈瘤手術
 体腔内の血管外傷手術
難易度Bの手術
 B難度に対する再手術(初回手術より
血管アクセス手術(人工血管使
3ヶ月以上経過した直達手術)
用、静脈表在化内シャント)
血管外科手術取り扱いの改訂提案
1.血管外科手術カテゴリー分類
•
•
•
Qualityが高い手術教育を行うはずが、現在は血管外科手
術に関してregulationがない
多種の手術をまんべんなく研修することが大切
血管外科手術をカテゴリー分類して研修施設の実施手術を
評価する
2.血管外科手術の細分類
•
同じ血管手術でも難易度が異なるものは細分類する
3.専門医更新手術
•
血管手術で多く行われている手術(下肢静脈瘤、EVT、
血管アクセス手術)を更新手術とする
専門医更新手術
専門医更新手術
• 5年間で手術100例以上実施。50例以上は難易度B
•
下肢静脈瘤手術、末梢動脈血管内治療、腹部内臓
動脈に対する血管内治療、血管アクセス手術は更
新手術としてカウントできる
•
ただし、下肢静脈瘤と血管アクセス手術は、専門
医更新申請では10例実施して1例としてカウント
する
血管外科の守備範囲でありながら、
専門医更新の条件として認められていない手術術式
は、
臨床現場に於いてないがしろにされる傾向にあった
が、
血管外科指導者に関する提案
4.暫定心臓血管外科専門医
•
•
•
心臓血管外科専門医修練施設でない血管外科プロパーの施
設がある
 血管外科症例調査参加施設にアンケート:26%
(68/264)が専門医認定施設でなかった
心臓外科をやっておらず、専門医資格を取得していない血
管外科プロパーの医師の施設をどのように現専門医制度に
引き込むか
平成29年度から始まる新専門医制度における研修プログラ
ムを充実させるため、そういった人材も指導者として専門
医制度に参加させたい
暫定心臓血管外科専門医・修練指導者
心臓血管外科専門医認定機構総会での審査承認
を前提として、暫定心臓血管外科専門医・修練指
導者資格を付与する
暫定心臓血管外科専門医・修練指導者は関連施設
修練責任者にはなれるが、基幹施設修練責任者に
はなれない。
認定5年後に通常の規則に基づく更新を行った場
合は通常の心臓血管外科専門医及び修練指導者と
同じ扱いとする。
心臓血管外科専門医・修練指導者の
資格を満たし、かつそれ以上の条件
暫定心臓血管外科専門医・修練指導者申請資格条件
医師免許
外科専門医
心臓血管外科従事期間が12年以上、かつ、卒後20年以上
これまでに術者として200例以上(5種類の手術を各10例以上
含む)。うち難度B以上150例以上(難度Cを30例以上含む)。
かつ、最近5年間で術者あるいは指導的助手として100例以上
の手術経験。うち50例以上は難易度B以上
第一助手として100例以上
総点数1250点以上(現行点数で)
心臓血管外科に関する筆頭論文5編(うち1編は英文論文)、
かつ、最近5年間で論文3編以上(共著者可)
暫定心臓血管外科専門医・修練指導者申請資格条件
全国規模の学術総会以上で6回以上の筆頭演者
最近5年間で、3学会に5回以上参加。さらに日本外科学会に1回
以上参加
最近5年間で卒後教育セミナー3回以上
最近5年間で医療安全講習会2回以上
3学会のうち2学会で5年以上、うち1学会は10年以上の会員であ
ること
循環器専門医資格あるいは脈管専門医資格
胸部外科指導医あるいは国際会員でない場合は、アジア心臓
血管外科学会に所属する(暫定専門医・指導医が認められた段
階で国際会員資格も取得する)
今年の1月から申請受付中!
締め切り未定
血管外科手術取り扱いの改訂提案
1.血管外科手術カテゴリー分類
2.血管外科手術の細分類
3.専門医更新手術、施設認定手術
4.暫定心臓血管外科専門医
今後の課題
 専門医更新術式で難易度は問わなくてもよいので
はな
いか?(100例中B難度50例以上)
→専門医に対する考え方
 施設認定の手術は難易度表にあるものは全てカウ
ント可としてもよいのではないか?
→指導医、手術種類・数でのレギュレーション
がある
 血管内治療の教育施設をどう認定するか?