Transcript ダウンロード
平成25年度 教員免許更新講習 平成25年8月23日 千葉大学教育学部 長根 光男 (教育心理学・教育生理学) 1 プロローグ 現代社会はストレスだらけ! グローバリゼーション& 24時間型社会 うつ病 摂食障害 心身症 WHOの定義 健康とは・・・・・ “complete physical, mental and social well-being” 2 まずは ストレスと生理的反応の基礎 視床下部 下垂体 ① 内分泌系 (視床下部-下垂体-副腎皮質系によるホルモン分泌) ② 自律神経系 (視床下部→神経細胞) ③ 免疫系 (内分泌系、自律神経系から受ける影響) 3 視床下部 下垂体 脳が司令塔 副腎 4 キャノン(Cannon, W.B.)の緊急反応 • 恒常性(ホメオスタシス, homeostasis) • 「生体の恒常性(ホメオスタシス)を障害する 刺激に対する生物学的反応」 急性ストレス反応 ・心拍数増加,血圧上昇 ・血糖値上昇 ・筋への酸素供給増加 闘争か逃走か Fight-or-flight system 5 強烈なストレスは・・・ ストレスにより成長ホルモンの分泌が抑制された事例 セリエ(Selye, H)のストレス学説 汎適応症候群 非特異的反応が見られた 警告反応期:適応力を獲得するために,生体を目覚めさせる時期 ショック相 -血圧低下,体温低下,血糖値低下,筋緊張低下,白血球減少 反ショック相-副腎皮質ホルモン分泌亢進,交感神経系機能亢進 血圧上昇,体温上昇,血糖上昇 抵抗期:積極的にストレスに抵抗する時期 副腎皮質肥大,副腎皮質ホルモン分泌亢進が続き,生体の抵抗力が高まる 疲弊期:適応のためのエネルギーが消耗され,再び抵抗力が低下 7 ラザルスの心理的ストレス学説 ラザルス(Lazarus, 1966) 「Psychological stress and the coping process」 ストレッサーへの対処過程 現代は・・・心理的スト レスの時代 Coping 8 例) 運動会に対するA君の反応 ストレス コーピング 認知 評価 ラザルス提唱のコーピング理論 A君は,運動会に対するストレスにどう対処するのだろうか。 まず、1次評価。運動会がどのくらい脅威か評価する。 次に2次評価。その脅威を解決・軽減できるか評価する。 その結果,A君は運動会を自分の運動能力アップのための試練と評 価し,前向きに解決した。 9 (Problem-focused coping 問題焦点型コーピング) 状況は変わりやすいものであり、問題を認め、どのようにするか を決めること 問題の所在を 明確化 情報を収集 解決策を考えたり, 実行する (Emotion-focused coping 情動焦点型コーピング) その状況について、何も出来ることがない時の方策 ・回避 ・静観 ・気晴らし 10 ストレスに関連した新たな課題や概念 ・ PTSD (Post Traumatic Stress Disorder) 心的外傷後ストレス障害 ・ タイプ A 行動 ・ バーンアウト ・ Self Esteem Feeling of self worth ・ Self-Efficacy Belief in own abilities or confidence in skills 11 不適応行動はすべて問題行動か? • 逃避行動 (escape behavior) • 合理化 (rationalization) • 攻撃行動 (aggressive behavior) 不適応行動も身体の防御システムとして機能している。 12 ストレスを軽減する! • • • • • • • 森林浴 フィトンチッド 笑いの効果 NK細胞の活性化 音楽療法 モーツァルト 動物療法 ペットロス症候群 園芸療法 運動療法 化粧の効果 13 STRESSを軽減するには・・・・・ S T R E S S Sports Travel Rest Eat Smile Sleep 子ウシはのんびりしているのが好き 14 ヒトは誰しも適度な刺激や情報を求めている まとめーストレスの自己管理の重要性 1.適切なストレスレベルになるように自己調節する 2.適度なストレスは,自分を鍛えてくれるとの意識を持つ 「乗り越える」経験の重要性 3.ストレスを楽しむ 「サーフィン理論」 4.良質な睡眠,良質な食事,適度な運動などバランスのとれた生活 5.支えあう友達関係,親子関係 そして自分自身を見つめる 「ソーシャルサポート」,「自己開示」の重要性