消費税 - 近畿税理士会

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高校生用Ⅱ
税のしくみから
社会のあり方を考えよう
近畿税理士会
平成27年●月
1.税理士って何ですか?
納税者(個人や会社)が税金を納める計算をするお手伝いをし
ています。
税金のことでわからないことがあったら相談にのります。
納税者の代わりに税務署などと、話し合いをします。
税金のことで裁判になったら、補佐人として裁判所に出廷して
陳述します。
信頼のバッジ
1
2.はじめ
に・・・
今、日本は少子高齢化で社会保障費が増大していることも
あり、財政の再建が問題となっています。
日本の財政の現状はどうなっているのでしょうか?
増税をする必要があるのでしょうか?
今日は、税金の基本的なお話しと
日本の現状について考えてみましょう!
授業の内容
●税金の基本的なしくみについて確認します。
●日本の現状を確認します。
●ディスカッション
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3.どうして税金が必要なんだろう?
税金
公的サービス
国や地方公共団体は、民間では供給されにくい公共的な
サービスを提供するために膨大な資金が必要です。
その資金が「税金」です。
3
4.
高校生用Ⅱ
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5.税金は約50種類あります!
直
接
税
直接税は税金の負担者と
税金を払う義務を負った納税義務者が同じ税金
間
接
税
間接税は税金の負担者と
納税義務者が一致しない
ことが予定されている税金
買い物をした人が消費税の負担者
お店が納税義務者
お店が消費税を税務署に納めます。
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6.所得税(直接税)の特徴を見てみよう
2,000,000
1,500,000
1,000,000
所得税
500,000
給与年収
0
所得税
1,200万
円
348,500 1,539,600
300万円 600万円
77,000
※所得控除は基礎控除のみで計算
給与年収300万円と1,200万円を比較すると・・・
年収は4倍だけど所得税は約20倍!
■所得税は、所得が少ないと低い税率で課税し、所得が多くなると
高い税率で課税して、所得が多くなると負担する税金も多くなる
「累進課税制度」が特徴です。
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7.消費税(間接税)の特徴を見てみよう
商品
108円
消費税
(内、消費税等8円)
消費者 (消費税負担者)
事業者 (納税義務者)
税務署
■消費税は所得が多い、少ないにかかわらず、一律8%の税率で税金を
負担します。
■食料品など日常生活に必要な商品の消費は、所得の多い少ないによって
大きく違うことはなく、所得が低い人ほど消費税の負担割合が大きくな
る傾向があります。このことを「逆進性」といいます。
■経済状況が悪くなっても極端に物を購入しないということが無いため、
消費税は景気の変動に左右されにくく、安定した税収を確保しやすい
税金です。
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8.「課税の公平性」とは?
「応能負担の原則」
「税金は支払能力に応じた公平な負担にする」というルール
垂直的公平
経済力のある人には、より大きな
負担を求める考え方。
所得税
水平的公平
経済力が同等の人に、等しい負担
を求める考え方。
消費税
特徴は?
個人の
に担税力を求め
「累進税率」により課税。
財・サービスを消費するという
に担税力を求め、「比例税
率(一律8%の税率)」により課税。
問題点は?
累進課税は富の再分配を図る機
能があるが、累進度が強すぎる
と「働く意欲を無くす」という
意見がある。
食料品などの消費は所得の多い少ない
によって大きく違うことはなく、所得
が低い人ほど消費税の負担割合が大き
くなる「逆進性」の問題がある。
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9.税金の使いみちはどのように決めている?
税に関する法律(税負担の方法)と税の使いみち(予算)は、国民の代表者で
ある議員が国会で決めています。
議決
予算案/税に関する法律案
日本国憲法
第30条 【納税の義務】 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
第84条 【課税】あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
政治への参加と国を支える税金を国民が負担することが、
対になっているのが、民主主義の基本です。
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10.税金の使いみち(歳出)を見てみよう
●国の一般会計歳出額内訳(平成27年度当初予算)
一番多く使われているのは、医療、年金、介護などの社会保障関係費で全体の
32.7%
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11.どのような税金による収入(税収)があるか見てみよう
●国の一般会計歳入額内訳(平成27年度当初予算)
!?
公債金収入
(国の借金)
38%
!?
税収合計
57%
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12.歳入(国の1年間の収入)と歳出(1年間の支出)(平成27年度一般会計予算)
●国の一般会計歳入額内訳(平成27年度当初予算)
税収合計
約55兆円
公債金収入
36兆8,630億円
●国の一般会計歳出額内訳(平成27年度当初予算)
公債費支出
23兆4,507億円
歳出総額
96兆3,420
億円
■一般会計歳出総額約96兆円に対して税収は約55兆円(約57%)
税収が足りない?それとも使い過ぎ??
■公債金収入約37兆円に対して、公債費支出は約23兆円
公債金残高はどんどん増えていく!?
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13.国の財政を見てみよう
■一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移
リーマン
ショック
歳出
税収
バブル崩壊
税収が足りない
分は公債発行
(注1)25年度以前は決算額、26年度は補正後予算額、27年度は予算額です。
(注2)公債発行額は、4条公債発行額及び特例公債発行額の合計です。
■我が国の財政は、歳出が税収を上回る状況(財政赤字)が続いています。
■バブル崩壊後、経済は低迷し税収は減少しているにもかかわらず、歳出は
増加しています。
■税収の減少を補うために、公債発行額は増加し続け、国の借金はどんどん
増えています。
■歳出が増加している要因は、老年者人口の増加により社会保障給付費が増加
していることなどです。
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14.税収の推移を見てみよう
バブル崩壊
リーマン
ショック
消費税率
5%→8%
消費税
所得税
法人税
消費税率3%→5%
(注) 25年度以前は決算額、26年度は補正後予算額、27年度は予算額です。
所得税や法人税(直接税)は、景気が
悪くなると所得が減り、税収も減少
します。景気の変動の影響を受けや
すい税金です。
消費税(間接税)は経済状況が悪くなって
も極端に物を購入しないということが無
いため、景気の変動に左右されにくく、
安定した税収を確保しやすい税金です。
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15.これからの社会と税を考えてみよう
少子高齢化はこれからの社会にとって重要な課題です。
社会保障給付費と社会保険料収入の推移
働き手(20 〜64歳)と高齢者(65歳以上)の比率
医療や介護の自己負担以外の給付額や
年金の受給額
社会保障給付費
2050年、1.2人で1人のお年寄りを支
える時代に!
少子高齢化はどんどん進んでいます。
社会保険料収入
少子高齢化の問題
①高齢者の増加で社会保障関係費が
増えていくこと。
②その費用を負担する担い手が減って
いくこと。
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16.税の国際比較
国民負担率と老年人口比率
国民負担率と老年人口比率
国民負担率とは?
租税負担と社会保障
負担(社会保険料など)
の国民所得に占める
割合のことをいいます。
日本の国民負担率は
約40%で、アメリカを除
く諸外国に比べて低く
なっています。
フランス、スウェーデン
より20%も低い割合で
す。
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17.税の国際比較②
消費税の課税標準税率
消費税(付加価値税)の課税標準税率
日本の消費税率は8%
諸外国に比べて低い税率です。
所得税・住民税負担
所得税・住民税負担
日本の所得税・住民税は、諸外
国に比べて低くなっています。
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18.大きな政府?
小さな政府?
大きな政府(高福祉・高負担)
小さな政府(低福祉・低負担)
公共サービスの水準は高くなるが、
その分国民の負担も大きくなる。
公共サービスの水準は低くなるが、
その分国民の負担も小さくなる。
税金は沢山払うけど
大学の授業料はタダ!
高齢者福祉が充実して
いて老後も安心だよ。
スウェーデンは「大きな政府」
税金はあまり払わないから
医療費は、高齢者などを除
いて原則自己負担!
自分のことは自分でやるよ。
アメリカは「小さな政府」
名古屋国税局「ハロータックス」
今の日本は、大きな政府?小さな政府?
国民負担率が約40%の日本は、一般的に「中福祉・低負担」といわれています。
日本は、税金や社会保険料の国民負担が低いのに、比較的高い水準の公共
サービスが受けられるのはなぜ?
足りない分は公債を発行(借金)している!
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19.公債残高の推移を見てみよう
■平成27年度末の公債残高
は約807兆円となる見込み
■国民一人当たり約638万円
■平成27年度における税収
の約15年分に相当
将来世代の大きな負担に
財務省HP
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20.まとめ(日本の現状)
●税収より歳出が多くなっている。
●公債残高が膨らんでいる。
●社会保障給付費が増加している。
●今後少子高齢化が加速し、
社会保障給付費がますます増加する。
P12、13
P19
P10、15
P15
税金(歳入)が足りない!
●日本は公共サービスの水準が比較的高くて、国民負担が小さい
「中福祉・低負担」
P18
公共サービスの水準を下げて「小さな政府」を目指す?
国民負担率を上げて「大きな政府」を目指す?
それとも、第三の道を目指す?
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21.ディスカッション①
すべての政策を実行するにはお金が足りません。
あなたはどうしたら良いと思いますか? また、その理由は?
①増税する。(所得税で?消費税で?)
②もっと公債を発行する。
③一部の政策をあきらめる。(具体的には?)
④その他(具体的には?)
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22.ディスカッション②
すべての政策を実行するにはお金が足りないので、
歳出を削減するか増税するかなどをしないといけません。
もし増税するなら、どうすれば国民にとって公平な税負担が実現
すると思いますか? また、その理由は?
①みんな平等に負担する。(具体的には?)
②お金持ちがもっと多く負担する。(どんな方法で?)
③新しい税金を作る。(どんな税金?)
④その他(具体的には?)
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政治への参加と国を支える税金を国民が負担することが、対に
なっているのが、民主主義の基本です。
豊かで安心して暮らせる未来のためには、社会の動きに関心を
持ち、公平な税負担と給付の関係についてわたしたち一人ひとり
が考えることが大切です。
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