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米国製ドラム缶の発見に伴う調査結果と 今後の方向性について 概要 サッカー場を天然芝から人工芝に張替えることで、ほぼ毎日の施 設利用が可能となる。これにより、市民や競技者の競技力向上 に資することはもちろん、スポーツ合宿・大会の誘致拡大に取り 組むなど、スポーツコンベンションを推進し観光の振興を図ること ができる。また、沖縄市をホームタウンとして活動するプロサッ カーチームFC琉球の活動支援も趣旨としている。 工期 平成25年3月5日~8月16日 内容 ① 舗装工(ロングパイル人工芝舗装工、ゴムチップ舗装工) ② 付帯施設工(ダッグアウト、本部席、収納式ゴール、ミスト散 水設備工) 囲障工事(防球ネット張替え) ③ 270 530 合計800 (80㎝) 1.業務の名称:沖縄市サッカー場土壌等調査業務委託 2.受注者:株式会社 南西環境研究所 3.調査日:平成25年7月2日(サッカー場)、7月4日(北谷町) 4.納品日:平成25年7月29日 5.主な業務内容: 調査内容 ドラム缶 付着物調査 土壌調査 分析項目 ○ダイオキシン類 ○油調査 ○枯葉剤主要混合剤 ジクロロフェノキシ酢酸 トリクロロフェノキシ酢酸 ○PCB含有調査 ○土対法溶出試験25項目 ○土対法含有試験9項目 ○油調査 ○ダイオキシン類 数量等 【23検体】 ①サッカー場より発見されたドラム缶 (22検体) ②ドラム缶周辺水(1検体) 【5検体】 ①サッカー場ドラム缶埋設場所 (1検体) ②サッカー場残土(1検体) ③サッカー場表層土(1検体) ④北谷町搬出土壌(2検体) 3 3 1 ドラム缶付着物 2 サッカー場残土 1 埋設場所土壌 2 ドラム缶周辺水 3 サッカー場表層土 3 3 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 北谷町搬出土壌 4 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 3 ~ サッカー場表層土 ~ ~ ~ 2 サッカー場残土 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 1 ドラム缶付着物 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 2 ドラム缶周辺水 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 1 埋設場所土壌 ~ ~ ~ ~ 7月30日 7月31日 調査報告書が納品される 市議会報告、報道発表 3.調査結果(概要) (1) ドラム缶内容物は、全ての検体よりダイオキシン類 が検出された。検出されたダイオキシン類は76~ 8400pg-TEQ/gで、土対法の環境基準を参考に すると2検体超過となる。枯葉剤主要混合剤として は、2,4-Dは検出されなかったが、2,4,5-Tは18 検体から検出され、0.2~8.8mg/kgの範囲となっ ている。また、PCBは11検体で検出され0.5~ 3.2mg/kg、油分は全ての検体で検出され68~ 51000mg/kgの範囲となっている。 ダイオキシン類 ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン (PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン (PCDF)、ダイオキシン様 ポリ塩化ビフェニル (DL-PCB) の総称である。これらは塩素で置換された2つのベンゼン環と いう共通の構造を持ち、類似した毒性を示す。 ダイオキシン類は塩素を含む物質の不完全燃焼や、薬品類の合成の際、意図しない副合成 物として生成する。 約200種類あるが、これらのうち毒性があるとみなされているのは29種類である。 2,3,7,8-TCDD ダイオキシン類の中では最も毒性が高く、IARCにより「人に対する発がん性がある」と評価さ れている。マウスならびにラットの動物実験では催奇性が確認されている。 過去においては、米軍がベトナム戦争で散布した枯葉剤の中に2,3,7,8-TCDDが不純物と して含まれていたことは有名である。日本においても、PCBや農薬の一部に不純物として含ま れて、環境中に排出されたという研究結果もある。 TEQ(毒性等量) ダイオキシン類は、毒性の強さがそれぞれ異なっており、その中でも2,3,7,8-TCDDが最も 毒性が強く、毒性が最も弱いものと比較すると10万倍の差がある。 そこで、最も毒性が強い2,3,7,8-TCDDの毒性を1として他のダイオキシン類の毒性の強さ を換算した係数であるTEQでダイオキシン類の強さが表現される。 ●●pg(ピコグラム) 重さを図る単位。単位としては千分の1毎に、 g(グラム)→㎎(ミリグラム)→μg(マイクログラム) →ng(ナノグラム)→pg(ピコグラム)。 1pg=10-12g (1兆分の1グラム) 例えると、東京ドームいっぱいに水を入れ、角砂糖1個(1g)を溶かし、その水1㏄に含まれて いる砂糖が1pg(ピコグラム)になる。 2,4-D 、 2,4,5-T 枯葉剤で使われていた主要成分。ベトナム戦争で使用された枯葉剤は2,4-Dと2,4,5-Tの 混合物であるが、その合成過程で猛毒の2,3,7,8-TCDDを生成し問題となっている。 2,4-D、 2,4,5-Tそれぞれは除草剤や植物ホルモン剤として使用されるが、2,4,5-Tにつ いては1975年に農薬登録は失効している。(2,4-Dは現在でも製品化されている) 環境基準 人の健康の保護及び生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準として、終局的 に、大気、水、土壌、騒音をどの程度に保つことを目標に施策を実施していくのかという目標 を定めたものが環境基準である。 ダイオキシンについては、土壌が1,000pg-TEQ/g以下、水質が1pg-TEQ/L以下として定 められている。なお、今回の調査では、ドラム缶内容物としてドラム缶付着物とドラム缶周辺 の液体を調査しているが、それらについては環境基準は無いために参考的な基準となる。 3.調査結果(概要) (1) ドラム缶内容物は、全ての検体よりダイオキシン類 が検出された。検出されたダイオキシン類は76~ 8400pg-TEQ/gで、土対法の環境基準を参考に すると2検体超過となる。枯葉剤主要混合剤として は、2,4-Dは検出されなかったが、2,4,5-Tは18 検体から検出され、0.2~8.8mg/kgの範囲となっ ている。また、PCBは11検体で検出され0.5~ 3.2mg/kg、油分は全ての検体で検出され68~ 51000mg/kgの範囲となっている。 (2) ドラム缶埋設場所周辺水は、ダイオキシン類が 280pg-TEQ/L検出された。2,4,5-Tは0.066㎎ /Lであった。2,4-D、PCB、油分については検出さ れなかった。ただし、今回の液体試料については、 浮遊物を含めた分析結果となっている。 (3) 土壌分析結果について、ダイオキシン類について は、埋設場所土壌[340pg-TEQ/g]、サッカー場表 層土[1.4pg-TEQ/g]、サッカー場残土[58pgTEQ/g]、北谷町搬出土壌[1.8、2.6pg-TEQ/g]と 環境基準値内であった。油分調査についても360 ~930mg/kgの範囲で検出された。しかし、土壌 溶出量検査において、フッ素が埋設場所土壌で基 準値を超える値[5.5mg/L]が検出されている。 (4) 分析結果から、土壌については重大な汚染がないこと が確認できたが、ドラム缶内容物については、ダイオキ シン類の土壌環境基準を大幅に超過する試料が検出 された。 そのダイオキシン類の組成としては、まず、PCDDsが PCDFsよりも濃度が高く、特に8塩素-DDが高いことか ら、全体として、ポリ塩化フェノール類(ペンタクロロフェ ノール、除草剤)に起因する汚染の可能性が高いとの 結果がでた。 しかしながら、枯葉剤主要成分である2,4,5-Tが検出さ れたことや、ダイオキシン類の毒性等量に対し 2,3,7,8-TCDDが高い割合で検出されていること、ドラ ム缶が米国の枯葉剤製造会社であること、発見場所が 米国施設跡地であることを踏まえ、枯葉剤が含まれて いた可能性はあると考えられる。また、PCBや砒素も検 出されており、複合的な汚染であると考えられる。 問題なし ダイオキシン類 全部試料検出 2検体基準超過 最大8400pg-TEQ/g 2,4,5-T多数検出 0.2~8.8mg/kg PCB多数検出 0.5~3.2mg/kg 油分全試料検出 68~51,000mg/kg ダイオキシン類 340pg-TEQ/g (基準値内だが高め) ふっ素基準超過 ヒ素微量検出 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 北谷町搬出土壌 4 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 3 ~ サッカー場表層土 ~ ~ ~ 2 サッカー場残土 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 1 ドラム缶付着物 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 2 ドラム缶周辺水 ~ ~ ~ ~ ダイオキシン類 ~ ~ ~ ~ 280pg-TEQ/g 1 埋設場所土壌 (浮遊物含めた調査) ~ ~ ~ ~ 2,4,5-T 0.066mg/L 平成2 5 年7 月2 5 日 沖縄県環境保全課 沖縄市サッカー場周辺環境調査の結果について(お知らせ) 沖縄県及び沖縄市が実施した沖縄市サッカー場周辺の環境調査について、下記のとお り速報値をお知らせします。 (※なお、サッカー場からの暗きょ排水については、調査結果が出揃った時点で報告し ます。) 記 1.調査内容 ドラム缶が発見されたサッカー場の周辺及び嘉手納基地内の地下水、河川の底 質におけるダイオキシン類、人の健康の保護に関する項目等について分析を行っ た。 2.調査結果 ①地下水(サッカー場周辺運動公園2地点、嘉手納基地内2地点) ダイオキシン類対策特別措置法、人の健康の保護に関する項目で定められている 環境基準について、基準値の超過はなかった。 ②底質(サッカー場からの排水経路である大道川河口1地点) ダイオキシン類対策特別措置法で定められている環境基準値について、基準値の 超過はなかった。 また、環境基準値が定められていないその他の調査項目については、これまで県 が実施してきた同様の調査の数値とほぼ同等であった。 今回調査委託した、南西研究所および愛媛大学に健康 被害について確認し、下記の回答を頂いている。 サッカー場利用者 ◦ 現段階では問題はない ドラム缶に近寄った人 ◦ 汚染地は立ち入り禁止。近寄ったくらいでは問題なし。 ドラム缶に触れた人 ◦ 手袋の着用。手を洗剤で良く洗うくらいで良い。 今回の問題は、返還軍用地にかかる基地問題として、基本 的には国の責任は重大であり、その解決に国には、誠意を 持って迅速に対応して頂くことを強く求めてまいります。(市 長コメントより抜粋) ① ② ③ ④ ⑤ サッカー場を含む周辺全エリアの遺棄物及び土壌等の 調査を行うこと。 遺棄物の撤去や汚染土壌の除去等による現状回復を 図ること。 当該事案における工事等に関する損失補償を行うこと。 調査分析結果を公表し、市民の納得のいく説明を行うこ と。 サッカー場の整備・確保について、方策を示すこと。