2005.09.14(水) レーザー干渉計制御のデジタル化

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レーザー干渉計制御のデジタル化
中川憲保,新井宏二A,佐藤修一A,高橋竜太郎A,
阿久津智忠B,辰巳大輔A,長野重夫A,福嶋美津広A,
山崎利孝A,川村静児A,藤本眞克A,黒田和明
東大宇宙線研,国立天文台A,東大天文B,
2005.09.14(水)
2005年物理学会秋季大会(大阪市大)
中川 憲保
1.レーザー干渉計
重力波検出器としてのレーザー干渉計
干渉計には制御が欠かせない
干渉計構成の複雑化
FP共振器
リサイクリング
他のアップグレード
Lock acquisition
干渉計が複雑化するほど、Lockしにくくなる
アナログでは複雑になりすぎる制御が今後必要になってくる
今回デジタル制御によるLock Acquisitionに取り組んだ
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2005年物理学会秋季大会(大阪市大)
中川 憲保
2.Lock Acquisition
Error signal と制御
動作点を0としてその周りの線形域の信号を頼りに動作点に引き込む
のがLock
変位に対する感度が高くなるように干渉計を構成
線形領域が狭くなった
理想のerror signal
電
圧
干渉計のerror signal
電
圧
線形域がせまい
x10
-3
x10
変位
-3
変位
短い瞬間の間に限られた力で引き込む難しさ
2005.09.14(水)
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中川 憲保
3.アナログとデジタル
TAMAはアナログフィルタで制御されてきた
世界に先駆けて大型干渉計を稼働させるのが目的だった
安価である
ノウハウの蓄積がある
低ノイズ回路を作りやすい
Lock acquisitionの改善をしたい
アナログでは演算、調整に限界がある
デジタルフィルタを用いて制御の改良を行う
アナログフィルタだと厄介な複雑な信号演算が出来る
臨機応変にフィルタの変更が出来る
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中川 憲保
4.今回用いたデジタルシステム
DSP
IO-board
TI社 TMS320C6711 DSK
クロック周波数
150MHz
浮動小数点演算器
平塚エンジニアリング社 DSK6000IFA
Sampling frequency
Max200kHz
16bit 8ch-ADC, 4ch-DAC
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5.デジタルフィルタにおける遅延
TAMAでのデジタル制御
UGFが数十Hzの制御サーボはある
現在のCPUではこれが限界
時間遅れ問題
サンプリング、ADC、DACなどで時間遅れが生じる
これが制御ループの伝達関数にかかってくる
制御に非常に重要な位相に関して、遅れてしまう
DSPを用いたシステムの遅延
時間遅れ 21.7us (200kHz sampling)
↓
位相遅れ 8.1°@ 1kHz
UGFとして数百~1kHzくらいは期待できる
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6.片腕のmass制御によるlock
時間がかかるLock acquisition
レーザー周波数は10m Mode-Cleaner (MC)を用いて安定化
• 腕による安定化はしない
片腕を自分のmassのみでロックする
アナログフィルタでは典型的には5分程度かかる
300m
10m
Front mirrorを用いて300m-Cavityを片腕mass lock
MC : Cavity = 1 : 30
腕CavityはMC変位の30倍したものに追従しなくてはならない
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7.デジタルフィルタ
アナログ
デジタルフィルタの周波数応
答
アナログフィルタと同一になるよ
う設計
ロック後の低周波ゲインブースト
Magni t ude
10
1
0. 1
デジタル
0. 01
0. 001
0. 0001
10
Phase [ degr ee]
アナログフィルタとほぼ同一
のフィルタを実現
デジタル系の時間遅れに相
当する位相遅れが見られた
デジタル(Gain up)
150
100
50
0
-50
-100
-150
10
1
2
3
10
10
Fr equency [ Hz]
4
10
アナログ
デジタル
デジタル(Gain up)
10
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0
0
10
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1
2
3
10
10
Fr equency [ Hz]
中川 憲保
4
10
8. Error signalの演算
Lockをかかりやすくするため
Error signalに演算を加える
(cf. LIGO, VIRGO)
Error signal と透過光量
規格化後
Error signal
線形域
工夫その1
透過光量を用いて規格化する
• Error signalの線形領域を増やす
工夫その2
生Error signal
透過光量を用いてトリガーにする
透過光量がある閾値以下ではerr=0
にする
• ノイズ部分を消す
1
トリガー
0
透過光量
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演算後
Error signal
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変位
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9.改良フィルタでのLock acquisition
既存のアナログフィルタでは、典型的に5分程度かかった
lockだったが、制御開始数秒後…
Lock!
透過光量
生error signal
演算後
error signal
トリ
ガー
Feed back
0
0 .0 1
0 .0 2
Ti me [ sec]
0 .0 3
Lock acquisitionに成功!
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0 .0 4
10.Open loop伝達関数
1
Magnitude
1
-1
10
アナログ
-3
10
位相余裕
800
-5
10
2
10
Phase [ degree]
Unity Gain Frequency
800Hzを達成
デジタル
10
30°
3
10
Frequency [ Hz]
4
10
アナログに対する位相遅
れ
アナログ
100
0
今回のDSPシステムの時
間遅れと一致
デジタル
-100
2
10
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3
4
10
10
Frequency [ Hz]
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11.既存のLock acquisitionとの比較
200秒間測定し、lockがかかれば手動で強制的に落として
何回lockするかを調べた
Lockするまでの時間のヒストグラ
ム
10
アナログ(従来のTAMA)
5分に1回程度
平均所要時間
8
3.0 sec / Lock
6
4
デジタル(改良後)
2
35回/200秒
0
0
2
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4
6
8
10
Time [ sec]
12
14
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12.デジタルフィルタ設計上の困難
1サンプリング以内に演算を終える必要
DSPの演算機能による問題(e.g.除算)
デジタルフィルタの形
桁落ち(e.g.縦続型、直接Ⅱ型)
ノイズレベル
300nV / rtHz
ホワイトニングの必要性
PCと接続する事によるノイズレベル悪化
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中川 憲保
13.まとめ
デジタルで現状のアナログフィルタは再現できた
UGF、800Hzを達成
規格化とトリガーにより飛躍的にLock acquisitionが向
上
周波数安定化無しによる片腕Lock
典型的に5分
→ 3.0秒/Lock
今後の予定
RFPMIをデジタルフィルタでlockさせる
ノイズが影響する時のホワイトイング、デホワイトニング
他の制御servoへの取り組み
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