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電気回路学
Electric Circuits
情報コース4セメ開講
分布定数回路
山田 博仁
理想線路
R = G = 0 と仮定すると、無損失(a = 0)かつ無歪となり、理想線路と呼ばれている
a j ( R jL)(G jC ) 2 LC j LC
よって、 a 0, LC ,
R jL
L
G jC
C
また、 Z 0
減衰極小条件
R と G を一定として L および C を変化させた場合に、a が極小になる条件は、
をL または C で微分して、
a
j
j
L L
L
2
Z0
G j C
j
R jL 2 Z 0
R 1 j ( L / R )
G 1 j (C / G )
従って、 Z 0
R
L
G
C
であるから、
a
0 となるためには、Z0は実数
L
L C
R G
であれば、Z0は実数となる
a min RG , LC
無歪線路
f(t)
g(t)
t
A0
t0
t
g (t ) A0 f (t t0 )
無歪線路の条件
(ⅰ) 減衰定数(或いは増幅利得)が周波数に無関係に一定 (A0は周波数に依らない)
(ⅱ) 位相定数は周波数に比例する (或いは、位相速度 vp が一定である)
2
2 f
vp
vp
伝送線路のパラメータとしてこの条件を与えるには、
・ a が一定
・ が に比例
・ Z0が一様
一様でないと不連続点で反射が起こる
t
L C
は無歪の条件でもある
R G
Z01
Z02
+
Z03
t
t
装荷線路
装荷ケーブル
L
C
通常の架空伝送線路では、Gが非常に小さいため
となり、無歪や減
R
G
L C
衰極小条件からは大きくかけ離れたものとなっている。そこで、
に近
R G
づけるために、線路の途中に L を装荷したものを装荷ケーブルと言い、伝送距
離を大きく延ばすことができたために、真空管が発明される以前には広く使わ
れていた。しかし、真空管による電気信号の増幅が可能になってからは、次第
に下記の無装荷ケーブルに置き換わっていった。現在ではさらに同軸ケーブル
による伝送が主流となっている。
L
L
L
L
無装荷ケーブル
松前重義氏がその発明と実用化に大きく貢献
興味がある方は、以下のページを参照
http://www.u-tokai.ac.jp/annai/movie/genryu/musouka.html
松前重義 1901-1991
複合線路
2種類の線路の縦続接続
I0
I1(x)
Z01 1
V1(x)
V0
x
I1 I1
1
V
Z01 1
V2(x)
I1 ( x ) I e
2 x
2
I 2 ( x) I e
1 x
1
I e
2 x
2
I e
ZL
1
V
および
I 2 I 2
2
電圧および電流
ベクトルの方向
V
2
V
V1 ( x) V1 e 1 x V1 e 1 x , V2 ( x) V2 e 2 x V2 e 2 x
1 x
1
Z02 2
x=0
各々の線路上の電圧、電流
接続点(x=0)での
電圧、電流
I2(x)
Z02 2
電圧波および電
流波の進行方向
ただし、 V1 V1 V2 V2 V0
V1 1 x V1 1 x
e
e ,
Z 01
Z 01
V1 V1
I I
Z 01 Z 01
V2 2 x V2 2 x
e
e
Z 02
Z 02
V2 V2
I I
I0
Z 02 Z 02
1
(9.1)式
(9.2)式
1
2
2
複合線路
負荷インピーダンス ZLが第二の線路の特性インピーダンス Z02に等しいか、
或いは第二の線路が無限に長いとき、第二の線路上に反射波はない。
I1 I1 I0
V1
V1
Z01 1
I 2
V0 V2
Z02 2
Z02
x=0
従って、 V1 V1 V2 V0 ,
両式より V2 , I 2 を消去すると、
V1 Z 02 Z 01
Γ
V1
Z 02 Z 01
I 2 0
V1 V1
V2
I1 I1
I2
I0
Z 01 Z 01
Z 02
電圧反射係数
両式より V1 , I1 を消去すると、
2Z 02
V2
1 Γ
V1
Z 02 Z 01
即ち、
V2 0
電圧透過係数
I1
V1
Γ
I1
V1
電流反射係数
( I1 V1 / Z 0 , I1 V1 / Z 0 )
2Z 01
I 2 V2 / Z 02
1 Γ
I1 V1 / Z 01 Z 02 Z 01
電流透過係数
複合線路
接続点における電圧 V0および電流 I0によって、各線路上の電圧および電流を表せば、
V2 V0 , V2 0, I 2 I 0 , I 2 0 より、
V1 V0 /(1 Γ ), V1 ΓV0 /(1 Γ )
I1 I 0 /(1 Γ ), I1 ΓI 0 /(1 Γ )
上式を(9.1)式、(9.2)式に代入して、
V1 ( x) e 1 x Γe 1 x
,
V0
1 Γ
V2 ( x)
e 2 x ,
V0
I1 ( x) e 1 x Γe 1 x
I0
1 Γ
I 2 ( x)
e 2 x
I0
入射電流波
入射電圧波
反射電流波
反射電圧波
一様な線路上の任意の点には入射波と反射波が存在するかも知れないが、一様な
線路の途中で反射波が生じることはなく、その反射波は、線路の不連続点(受電端と
か接続点とか)において発生した反射波が、その点を通って送電端の方へ戻っていく
途中のものである。
3種類の線路の縦続接続
x=0
Z01 1
l
Z02 2
x=- l
G23
Z03 3
Zi
各線路上の電圧 Vn(x) (n =1, 2, 3)および電流 In(x) (n =1, 2, 3)は、
Vn ( x) Vn e n x Vn e n x , Z 0 n I n ( x) Vn e n x Vn e n x
負荷を第 3の線路の特性インピーダンス Z03に等しいとすると、
第2と第3の線路の接続点(x =-l)における反射係数 G23は、
Γ 23
Z 03 Z 02
Z 03 Z 02
第1と第2の線路の接続点(x =0)より右を見たインピーダンス Ziは、
1 Γ 23e 2 2 l
V2 (0)
Zi
Z 02
I 2 (0)
1 Γ 23e 2 2 l
Z03
無反射
3種の線路の縦続接続
従って、x =0の点において、第1の線路から見た反射係数 G は、
Z i Z 01 Γ12 Γ 23e 2 2 l
Γ
Z i Z 01 1 Γ12 Γ 23e 2 2 l
ただし、 Γ12
Z 02 Z 01
Z 02 Z 01
Γ 23e 2 2 l
Γ12 (1 Γ12 )
(1 Γ12 )
1 Γ12 Γ 23e 2 2 l
Γ12 (1 Γ12 ){e 2 l Γ 23e 2 l e 2 l Γ 23e 2 l ( Γ12 )e 2 l Γ 23e 2 l }(1 Γ12 )
3種の線路の縦続接続
Γ Γ12 (1 Γ12 ){e 2 l Γ 23e 2 l e 2 l Γ 23e 2 l ( Γ12 )e 2 l Γ 23e 2 l }(1 Γ12 )
ただし、 Γ12
Z 02 Z 01
Z 02 Z 01
Γ 23
Z 03 Z 02
Z 03 Z 02
l
Z01 1
送電端より
1次反射
2次反射
3次反射
Z02 2
x=0
1
(1 Γ12 )
Γ12
(1 Γ12 )
(1 Γ12 )
( Γ12 )
Z03 3
Z03
x=- l
e
2 l
e
2 l
受電端へ
Γ 23
e 2 l
e
( Γ12 )
G23
2 l
Γ 23
e 2 l
Γ 23
(1 Γ 23 )
1次伝達波
(1 Γ 23 )
2次伝達波
(1 Γ 23 )
3次伝達波
複合線路と縦続行列
l1
l2
Z01, 1
A B A1
C D C1
B1 A2
D1 C2
Z02, 2
cosh 1 l1
B2
1
sinh 1 l1
D2
Z 01
A1
B1
A2
B2
C1
D1
C2
D2
Z 01 sinh 1 l1 cosh 2 l2
1
cosh 1 l1
sinh 2 l2
Z 02
Z 02 sinh 2 l2
cosh 2 l2
インピーダンス整合
例 9.1.1 特性インピーダンスが Z01および Z02の線路の間に、特性インピーダンス Z0,
伝搬定数 0 = j, 長さ l の無損失線路を挿入し、
l
Z0, 0
Z01, 1
Z02, 2
Z1
Z2
Z01の線路との接続点から右方を見たインピーダンスを Z1
Z02の線路との接続点から左方を見たインピーダンスを Z2
Z1 Z 0
Z 02 Z 0 j tan 0l
Z 02 j tan 0l Z 0
Z2 Z0
Z 01 Z 0 j tan 0l
Z 01 j tan 0l Z 0
ここで、l =/4であるように長さを定めれば、 l
Z 02
Z1
Z 02
2
であるから、
4 2
Z 02
Z2
となり、 Z 02 Z 01Z 02 のとき、 Z1 Z 01
Z 01
これを、インピーダンス整合と呼ぶ
Z 2 Z 02 となる