5月11日の配布資料

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無差別曲線
C
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無差別曲線の性質
• 右下がり
• 2本の無差別曲線は交わらない
• 右上方に位置する無差別曲線のほうが、効
用の値が高い。
• 原点に対して凸
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限界代替率
• 無差別曲線の傾きを限界代替率と呼ぶ。
• 限界代替率は、消費者の主観的な、2財の交
換比率である:同じ効用水準を維持するため
に交換してもよい(=等価である)と考える比
率。
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限界代替率の計算(1)
• 以下の効用関数の限界代替率を計算する
U   ln( l )  (1   ) ln( C )
• 【一般的に成り立つ性質】
– ある効用の水準
をゼロと置く:
U
l
l 
U
C
U で全微分をして、その結果
U0
C  0
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限界代替率の計算(2)
• 全微分した式を変形して
M R S lC  
C
l

U / l
U / C
• 具体的な効用関数について限界代替率を計
U / と
C
算するためには、上記の式の
U / l
に、具体的な効用関数から計算され
た微係数を代入する。
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上記の効用関数の場合
U
l
U
C


l

1 
C
となるので、代入して整理すると

C
l


1 

C
l
となる。
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限界代替率と効用関数のパラメー
ターβの関係:練習問題
• 上記の効用関数のパラメーターβは、限界代
替率の大きさにどのような影響を与えるか?
他の条件を一定として、βの値が大きいと限
界代替率は大きくなるか、小さくなるか?
• そのことは、βの値が労働供給とどのような関
係にあることを意味するか?
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【補足】 自然対数の微分
• 自然対数
 ln( X )
X
ln( Xの
)

X
に関する微係数は
1
X
である。ただし、
X .0
このことは、自然対数は指数関数の逆関数であり、
指数関数の微係数はもとの関数そのものになること
 exp( X )
から理解できる(
)。  X  exp( X )
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労働供給
C
• 予算制約に加えて、時
間制約があることに注
意( l  T )。 l は余
暇時間、 T は時間の
総量。
• 予算制約の傾きは賃金
率
C  w (T  L )  I
• C: 消費財の消費量
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労働供給
C
• 予算制約の傾きは賃金
率
P C  w (T  l )  I
T
• C: 消費財の消費量
• I: 非労働所得
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無業の選択
C
•
lT
が最適点で成立
している場合が、無業
が選択されるケース。
• この場合、
M RS (I ,T )  w / P
となり、限界代替率と予
算制約の傾きは一致しな
い(なぜか?不等号の向
きにも注意)。
l
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労働供給とスルツキー方程式
• 単純化のため、P=1という基準化を行なう(こ
れによって一般性は失われない)。
• スルツキー方程式は、以下のように表される
l
w

I
l
w
 (T  l )
U
l
I
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労働供給とスルツキー方程式
• 賃金変化の効果
l
w
•
•
U
 (T  l )
I
l
w
 (T  l )
U
l
I
代替効果:賃金が上昇すると余暇の消
費量を減らす
l
w

l
I
所得効果:賃金上昇は実質所得の上昇
を意味し、余暇が正常財であれば余暇
の消費量を増加させる。
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消費者の支出最小化
• 複数の財を消費する消費者を想定。
m in E ( p 1 , p 2 ; u )  p 1 x 1  p 2 x 2
x1 , x 2
subject to U ( x1 , x 2 )  u
支出関数
E ( p1 , p 2 ; u )
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補償需要関数
• 支出関数の導出においては、x1,x2が内生変
数である。
• これらのx1,x2を需要量とする、需要関数を導
くことができる。この需要関数を補償需要関
x ( p , p ;u)
数とよぶ。
と表記(Cは
compensatedに対応)。
• この需要関数は、費用関数における要素需
要関数と同じであることに注意。
C
i
1
2
シェパードの補題
• 補償需要関数について、以下が成り立つ:
 E ( p 1, p 2 ; u )
pi
 x ( p 1, p 2 ; u )
C
i
i  1, 2
シェパードの補題の考え方(1)
• 支出関数とは以下である:
E ( p 1, p 2 ; u )  p 1 x 1 ( p 1, p 2 ; u )  p 2 x 2 ( p 1, p 2 ; u )
C
C
• この左辺の変化分を、  E と書く。
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シェパードの補題の考え方(2)
• いま、 p1 のみが変化すると考える。このとき、
支出額の変化は
 E  p1  x1   p1 x1  p 2  x 2
= p1  x1  p 2  x 2   p1 x1
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シェパードの補題の考え方(3)
• ここで、以下が成り立つ:
p1  x1  p 2  x 2  0
• 効用が一定水準に保たれていることから、
 x1 ,  x 2 は無差別曲線に沿って動いている
ことに着目する。
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シェパードの補題の考え方(4)
• 【復習】支出最小化の条件とは、限界代替率と価
格比率が一致すること。
• 限界代替率の定義を用いて、この条件は以下の
ようになる。
M RS  
x2
 x1

 U /  x1
U / x2

p1
p2
•
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シェパードの補題の考え方(5)
• 無差別曲線に沿って動くとは、  x1 ,  x 2
が以下を満たすことを意味する:
M RS  
 x2
 x1

 U /  x1
U / x2
• しかし一方で、最適解の条件とは:
M RS  
x2
 x1

 U /  x1
U / x2

p1
p2
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支出最小化
等支出曲線
傾きの絶対
値:p1/p2
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シェパードの補題の考え方(6)
• 支出関数は、費用最小化の最適点での支出
である。最適解の条件を変形すると:
p1  x1  p 2  x 2  0
• これを代入して:
 E  p1  x1   p1 x1  p 2  x 2
=  p1 x1
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シェパードの補題の考え方(7)
• 以上から、一般性を失うことなく
x ( p 1, p 2 ; u ) 
C
i
E
 pi

 E ( p 1, p 2 ; u )
pi
i  1, 2
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スルツキー方程式
• 財i価格の変化の効果を所得効果と代替効果に
分解
x j
 pi
x j
 pi
I
 pi
 xi
U
x j
I
所得を一定として
pi
が変化したときの効果
I
x j
 pi

x j
効用を一定として
pi
が変化したときの効果
U
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スルツキー方程式
•
 pi
•
:代替効果
x j
U
 xi
x j
I
:所得効果。最初の部分に
 xi
が
かかっていることと、シェパードの
補題との関連に注意。
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補償需要曲線と通常の需要曲線
• 補償需要曲線は、効用を一定にしている需要
曲線(ヒックスの需要曲線とも呼ばれる)
• 通常の需要曲線は、所得を一定にしている需
要曲線(マーシャルの需要曲線とも呼ばれる
)
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補償需要曲線と所得一定の需要曲線
P1
補償需要曲線1
(U=u1)
0
p1
1
p1
代替効果
所得効果
所得一定の需要曲線
補償需要曲線0
(U=u0)
x1
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スルツキー方程式と支出関数
• 以下の等式が成立することに着目:
x i ( p1, p 2 ; E ( p1, p 2 u ))  x i ( p 1, p 2 ; u )
C
• 上記を p1 で微分し、所得効果の項を移項す
ると、スルツキー方程式を得る:

 p1
x i ( p1, p 2 ; I ) 

 p1
x ( p1, p 2 ; u )  x1 
C
i
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x j
I
参考図書
• シェパードの補題、支出関数、については、
以下の本に明快な説明がある:
• Dixit, Avinash Optimization in Economic
Theory, 2nd Edition, Oxford University
Press, 1990, Chapter 5 (邦語訳もあり)
• 等価変分・補償変分については:西村和雄『ミ
クロ経済学』東洋経済 1990年 第3章、第4
章
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