Transcript ppt - 九州大学
インターネット上の通信と経路情報の 相関関係に関する研究 原田 義明* 岡村 耕二** 千代延 隆嗣*** * 九州大学 システム情報科学府 ** 九州大学 情報基盤センター ***九州大学 工学部電気情報工学科 1 発表内容 背景 研究目的 研究内容 インターネット上の通信データと経路情報の収集 解析方法 解析結果 ASと経路制御 ASパス長と各種データの相関関係の解析 ある組織の通信相手分布の解析 まとめ 2 背景 – Autonomous System AS(Autonomous System) 単一の管理ポリシー(方針)で統一されたルータ やネットワークの集合(システム)を指す 企業の情報システムやISP(インターネット・サービス・ プロバイダ)などは、1つのAS(自律システム)となる それぞれのグループを一意に識別するためのAS 番号が振られる(16bit = 65535) 例) AS2508 AS17522 : : 九州大学 NTT西日本 3 背景 ルーティング(経路選択) – インターネットルーティング 行き先に応じて最適なルートを選択すること AS間、AS内で別々に制御されている ルーティングプロトコル IGP(Interior Gateway Protocol) AS内で使用される。最適な経路をコストを基に計算しルーティングを行う(RIP,OSPF) EGP(Exterior Gateway Protocol) AS間でのネットワーク到達情報を伝達するプロトコル(BGP等) 通過ASの数(ASパス長)を一つの指標として経路制御を行う IGP EGP IGP AS:1 IGP EGP AS:3 AS:2 EGP IGP AS:4 4 背景 – インターネットの経路変化 IIJ AS2497 九州大学からKorean telecomへの通信 ASパス長5 QGPOP AS2523 ATT-internet4 AS7018 新しいAS 新しい回線 が出現 新規AS AS???? 九州大学 AS2508 より短い通信経路を選択 より短い通信経路を選択 今までより ASパス長3 ASパス長4 今までより 短い通信経路 短い通信経路 Korean telecom AS4766 通信 接続 AS 5 背景 韓国の大学 – 通信相手の分布 KOREN AS9270 (韓国の 学術情報ネットワーク) 九州大 学 AS2508 QGPOP AS2523 SINET AS2907 アジアの 学術情報 ネットワーク (日本の 学術情報ネットワーク) 東京大学 AS2501 京都大学 AS2504 一般のISP、 企業など 日本の大学 6 研究目的 新規ASの出現や、AS間に新しい接続が確立されるなどの要 因により、経路は変化し続けている インターネットの発展に伴う経路変化が、実際の通信へ及ぼす影響 とその傾向を知るのは、今後のネットワーク構築に有益な情報となる ある組織の通信分布を考えた時、頻繁に通信を行っている ASとそうでないASが存在し、通信データ量、相手には傾向が あると考えられる 通信相手の分布や通信データ流量の分布とその変化を把握すること で、今後必要になってくるであろう経路が予想できる 実際にインターネット上を流れるフローを解析し、 今後のインターネット構築に有益な情報を収集する 7 研究内容 – フローデータ、経路情報の取得 本研究では、QGPOPのBGP経路情報とフローデータ、九州大学のフロー データの蓄積情報を用いる フローデータ 1 / 10 にサンプリングされたデータを使用 QGPOP : 4週毎に取得 (2004/10/13~2006/01/04) 九州大学 :毎週取得 (2004/10/13~2006/01/) フローデータ と BGP 経路情報 九州大学 諸大学 様々な大学や 研究機関 SINET KOREN 韓国の学術研究ネットワーク 研究機関 日本学術研究ネットワーク QGPOP IIJ Internet Initiative Japan 8 研究内容 – フローデータと経路情報の扱い フローデータ 送信元 IP アドレス 送信先 IPアドレス BGP table フローデータと経路情報から AS(パス)情報を参照し、解 析を行う 送信先 IPアドレス 送信先(元)のAS番号 ASパス 9 研究内容 ASパス長とフローデータの相関関係の解析 – 解析内容とその手法 QGPOPのフローデータ、BGP経路情報を用いて解析を行う 年間を通した平均ASパス長の変化を、フロー、パケットについて 調べる ASパス長と通信量の分布を調べる ある組織における通信相手分布解析 九州大学のフローデータとQGPOPのBGP経路情報を用いる 年間を通した通信相手ASの時間変化を調べる 通信AS数と通信量の分布を解析する 10 解析結果 ASパス長 – 年間を通した平均ASパス長の変化 フローの 平均ASパス長 パケットの 平均ASパス長 平均ASパス長の推移(パケット、フロー、通信のあったASの組) 11 解析結果 – 通信パケットとASパス長の分布 80% のパケットがASパス長5 以下で流れている 12 解析結果 – ASパス長とフローデータの相関関係 ASパス長の短い通信が多い 年間を通して、インターネット上の通信の平均ASパス長は 増加傾向にある 全ての通信に対して解析を行うと、不正アクセス等の影 響が大きい 通信用途を一般的に使われる通信に限定して、より細か く解析を行った ポート番号を80番に限定して解析 ポート番号80番はHTTPプロトコル(webアクセス) 13 解析結果 – 年間を通した平均ASパス長の変化(ポート80) フローの 平均ASパス長 パケットの 平均ASパス長 14 解析結果 – 通信フローとASパス長の分布(ポート80) 15 解析結果 – QGPOPのフローデータの内約 実際にフローデータを参照することで、ポート番号 80番における通信の平均ASパス長が減った原因 を調査した その結果、以下二つの原因を特定 Microsoftの所有ASが1つに統合 AS8072がAS8075に統合されていた AS8072はAS8075を経由していたため、パス長が減少 通信頻度の高いASの通信経路が短くなった ASパス長の短いASの組における通信が増加 AS18088(QIC)とAS2508(九州大学)の通信、等 ASパス長3という、非常に短いASパスの通信 16 解析結果 フローデータとASパス長の相関関係 – ASパス長とフローデータの相関関係 ASパス長の少ないAS間において通信が頻繁に行われてい る フローごとの平均ASパス長は増加傾向にある フローデータとASパス長の相関関係(ポート80) 各パケットごとに計算した平均ASパス長は年間を通して減少傾向にある 短いASパス長を持つ、もともと存在したAS間の通信の増加 通信量の多いAS間のASパスが変更され、ASパス長が減少 パケットとASパス長の分布については、全フローの結果と同様、短いAS パス長を持つ通信において多くの通信がなされていた 17 解析結果 –通信相手AS数の時間変化 9,000個前後のASと通信 インターネット上に存在してい るASの総数は約20,000個 九州大学は、ほぼ半数のAS と通信を行っている計算にな る 18 解析結果 2005/8/31 九州大学(18%) – パケットと通信相手AS数の分布 100個のAS (全体の約0.5%) によって、70%のパケットが 通信されている。 2004/10/20 SINET(14%) 19 解析結果 通信相手ASの時間変化について – 九州大学の通信相手の分布 2004/10 から 2006/01 にかけての通信相手ASの変化を調査し た 九州大学は、時に9000個のASと通信を行っていた 通信相手の偏り 少数のASによって、ほとんどの通信が行われていた インターネット上に存在するASの約半分が九州大学と通信 を行っているとは考えにくい 一般的に用いられるポート80の通信にフロー データを限定して解析を行う 20 解析結果 –通信相手AS数の時間変化 九州大学は、2000~2500個の ASと常に通信を行っている 2000個のASは、インターネッ ト上に存在するASの約10% 通信相手分布は偏って いる 21 解析結果 – パケット数と通信相手ASの分布(ポート80) 80個(インターネット上の0,4%)程度の ASによって、約80%の通信が行われて いる 2005/8/31 京都大学 20個(インターネット上の0,1%)のASによっ て、約50%の通信が行われている 22 解析結果 通信相手AS数の時間変化(ポート80) – 九州大学の通信相手の分布(ポート80) 九州大学は、年間を通して2000~2500個のASと通信を 行っていた 通信相手分布の偏り 全通信に対する解析と同様に、ごく少数のASによってほと んどのパケットが通信されていることがわかった 20個 (0.1%) のASによって、全体の約50%のパケットが通信され ていた 80個 (0.4%)のASによって、全体の約80%のパケットが通信され ていた 23 解析結果 – 1年を通した通信相手の時間変化 通信傾向の変化の内約をしらべるために、2005/11/09 と 2004/11/10 の通信データの変化の比較を行った 通信AS数 2005/11/09 : 2286 2004/11/10 : 2256 921 1365 1232 半分ほどの通信ASが1年の 間に変化しているが、 通信パケットの90%は変化 していない 通信パケット数(%) 2004 : 95% 2005 : 91% 年間を通して存在しているASに よる通信がほとんどを占める 24 解析結果 – ある組織のおける通信相手の分布 通信相手ASの1年間の変化(ウェブアクセス) 2004年11月10日と2005年11月9日の通信分布を比較 年間を通して通信量の多かったASの例 2004年11月のみ通信のあったASの例 AS23816(Yahoo! Japan)、AS4713(OCN)など、日本の大手商用ISP …常に通信量が上位にあり、大きな変動は無い 定期的にAS2504(京都大学)が多くなる 他のASに吸収されたASなど 2005年11月のみ通信のあったASの例 AS5572(BOTIK)、AS30968(Infobox)…ロシアのネットワーク組織のASとの通 信が2005年11月に新たに増えている 25 まとめ ASパス長とフローデータの相関関係 年間を通して平均ASパス長には増加傾向が見られた ポート80に通信を限定すると、平均ASパス長に減少 傾向が見られた 通信相手分布 九州大学は全体の約半分のASと通信を行っていた ポート80においては、九州大学は2000~2500程度の ASと年間を通して通信を行っていた 通信の80%以上が、インターネット上に存在するASの 1%以下のASと行われていることがわかった 26 まとめ 今後の課題 ポート80の通信において、ASパス長とパケット との相関関係を得ることができなかった データの取得間隔を短くして、より詳しくデータを解 析することで傾向が見える 通信相手分布の解析において、AS単位では なく、国や地域単位で解析を行うと、また別の 傾向が見えるかもしれない 九州大学では、ロシアとの通信が増えていた 27