数値流体解析による住宅用厨房の温熱空気環境に関する

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Transcript 数値流体解析による住宅用厨房の温熱空気環境に関する

数値流体解析による住宅用厨房の温熱空気環境に関する研究
その1 調理レンジ上の温度・気流・
汚染質濃度分布に関する検討
正会員 ○坂口
赤林
富岡
都丸
淳
伸一
誠子
恵理
研究背景
全電化住宅の普及による
IHレンジ使用の一般化
IHレンジやガスレンジ上の
流速、温度分布の違い
特性の違いによるレンジ周辺の
空気環境の検討と
適切な厨房設計の必要性
研究背景
多様な住宅用調理レンジの
配置パターン
L型
ガスレンジ
IHレンジ
U型
I型
ヤマハリビングテック株式会社HPより
対面型
ヤマハリビングテック株式会社HPより
実験に比べ、比較的容易に空気環境の予測が
出来る数値流体解析を用いることは有効
研究目的
レンジ上の熱上昇流の解析
及び廃気捕集率の算出
昨年までの実験による結果との比較
数値解析の
精度の検証
IHレンジとガスレンジの
特性の違いを
明らかにする
解析対象
断面②
断面③
(鍋中央)
(ダクト中央)
流出
流出
600
④⑤
断面①
(鍋中央)
180
4510
180
排気ダクト
600
600
800
図2.レンジ上面
排気フード
600
600
2250
流入
流入
②
レンジ台
800
①③
900
2700
(1)前面
流入
600
1440
(2)側面
※図中の①~③は流入面、④⑤は流出面を示す
図1.解析対象の概要
(単位:mm)
図3.鍋とレンジの概要
解析方法
表1 解析case
IH
case1-1
case1-2
case1-3
case1-4
case1-5
case1-6
case1-7
case1-8
case1-9
case1-10
解析種類
気流解析
濃度解析
フード排気風量
100 ㎥/h
150 ㎥/h
200 ㎥/h
300 ㎥/h
フードなし
100 ㎥/h
150 ㎥/h
200 ㎥/h
300 ㎥/h
フードなし
ガス
case2-1
case2-2
case2-3
case2-4
case2-5
case2-6
case2-7
case2-8
case2-9
case2-10
解析種類
気流解析
濃度解析
フード排気風量
100 ㎥/h
150 ㎥/h
200 ㎥/h
300 ㎥/h
フードなし
100 ㎥/h
150 ㎥/h
200 ㎥/h
300 ㎥/h
フードなし
解析方法
表2 解析条件
計算コード
乱流モデル
移流項精度
流速境界
対流
壁面条件
熱境界
固体間
輻射境界
レンジフード吸込
壁面流入(①~③)
流出条件
壁面流出(④、⑤)
鍋上流速
温度条件
ソフトウェアクレイドルSTREAM Ver.7
標準k-εモデル(非等温)
QUICK
ノースリップ
炎:対流熱伝達率20[W/㎡K]、その他の表面:温度対数則
各温度の炎間:断熱、鍋-水間:熱伝達率80[W/㎡K]、鍋-レンジ台(IH):断熱
炎-レンジ台(ガス):断熱、その他の固体間:熱伝導
輻射率=0.9
排気風量=150[㎥/h]; 吸込風速=1.286[㎥/s] 排気風量=200[㎥/h]; 吸込風速=1.714[㎥/s] 排気風量=400[㎥/h]; 吸込風速=3.429[㎥/s] 流入風速=0.05[m/s]、流入温度=20[℃]
k=1.25×10-3[m2/s2]、ε=①、③:2.7621×10-6、 ②:1.7678×10-6[m2/s3]
(壁面流入面①~③の総流量)
(各排気風量)
[m/s]
2 1.44  0.6  3600
流出速度=
各レンジの鍋内水面に水の蒸発に伴う流速(50g/min):0.035[㎥/s]、吹出温度:100℃
k=6.00×10-6[m2/s2]、ε=6.821×10-9[m2/s3]
IHレンジ:鍋内の水は100℃に温度固定し、鍋には初期温度100℃を与える。
ガスレンジ:鍋内の水及び鍋には初期温度100℃を与える。
また炎の温度は下から500,700,1500℃に温度固定する。
解析方法
汎用流体解析ソフト(STREAM)を用いる
レンジ上の流れ場、温度場、汚染質の
濃度分布を解析
廃気捕集率の算出
実験結果との比較検討
解析方法
排気捕集率 =
排気ダクト吸込口の平均濃度 [g/㎥]
全捕集時の濃度[g/㎥]
×100 [%]
式(1)
解析結果
解析結果
<温度分布>
24℃~40℃
24℃~60℃
24.0
■
36.0
■
32.0
■
24.0
■
■
52.0
56.0
■
温度[℃]
32.0
■
60
右鍋
左鍋
左鍋
右鍋
20
断面①
断面①
(1)case1-5(IH)
(2)case2-5(ガス)
図6
フードなしの時の鍋中央断面の温度分布
解析結果
<風速分布>
フード外へ
流れている
左鍋
左鍋
右鍋
右鍋
右鍋
右鍋
正面(断面①)
側面(断面③)
流速 1.0[m/s]
(1)case1-1(IH:排気風量100m3/h)
図7 代表的なcaseのIHレンジ上の流速ベクトル
解析結果
<風速分布>
100[㎥/h]と比べて
フード外への流れが
見られない。
左鍋
左鍋
右鍋
右鍋
右鍋
右鍋
正面(断面①)
側面(断面③)
流速 1.0[m/s]
(2)case1-2(IH:排気風量150m3/h)
図7 代表的なcaseのIHレンジ上の流速ベクトル
解析結果
<風速分布>
フード外へ
流れている
左鍋
左鍋
右鍋
右鍋
右鍋
右鍋
正面(断面①)
側面(断面③)
流速 1.0[m/s]
(1)case2-1(ガス:排気風量100m3/h)
図8 代表的なcaseのガスレンジ上の流速ベクトル
解析結果
<風速分布>
フード外へ
流れている
左鍋
左鍋
右鍋
右鍋
右鍋
正面(断面①)
側面(断面③)
流速 1.0[m/s]
(2)case2-2(ガス:排気風量150m3/h)
図8 代表的なcaseのガスレンジ上の流速ベクトル
汚染質濃度
[%]
解析結果
解析点の平均濃度[g/㎥]
全捕集時の濃度[g/㎥]
=
×100
<汚染質濃度分布>
65.0
■
5.0
■
70.0
■
25.0
■
5.0
■
50.0
■
5.0
■
■
10.0
5.0
■
5.0
■
15.0
■
70.0
■
80[%]
5.0
■
10.0
■
左鍋
右鍋
鍋中央断面
右鍋
ダクト中央断面
(1)case1-7(IHレンジ)
左鍋
右鍋
右鍋
0
鍋中央断面
ダクト中央断面
(2)case2-7(ガスレンジ)
図7 各鉛直断面の汚染質濃度分布(排気風量150[㎥/h])
解析結果 <壁面表面の汚染質濃度分布>
5.0
■
5.0
■
5.0
■
10.0
■
■
20.0
50.0
■
10.0
■
5.0
■
80[%]
5.0
■
5.0
■
左鍋
右鍋
右鍋
(1)case1-7(IHレンジ)
図8
左鍋
右鍋
右鍋
0
(2)case2-7(ガスレンジ)
各壁等の表面の汚染質濃度分布(排気風量150[㎥/h])
<廃気捕集率>
廃気捕集率[%]
解析結果
排気風量[m3/h]
図11
実験と解析の廃気捕集率の比較
まとめ
①IHレンジと比較してガスレンジは上昇気流が高温になる。こ
のためガスレンジは上昇気流の流速がIHレンジよりも大きく、
流量が多い。
②IHレンジでは汚染質は上昇する際、フード下の壁面に付着
する傾向がある。ガスレンジではフードから漏れた汚染質が
フード側面に付着し、レンジ周辺に高い濃度で拡散している。
③70~80%の排気捕集率を得るための排気風量はガスレンジ
よりもIHレンジの方が少なく、排気捕集率は排気風量300㎥
/hでIHレンジ、ガスレンジ共に90%となる。これは実測と同じ
傾向を示す。