カラーグラス凝縮

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Transcript カラーグラス凝縮

原子核三者若手夏の学校
原子核パート研究会
重イオン衝突反応に基づく
高温高密度QCD物質の
物性物理
平野哲文
東大駒場
[email protected]
http://nt1.c.u-tokyo.ac.jp/~hirano/
2006年8月8日@パノラマランド木島平
Outline
• QGPと相対論的重イオン衝突反応
• 基本チェック
• 重イオン衝突のダイナミクスと流体力学
• 完全流体QGPの発見
• ジェットの抑制&カラーグラス凝縮
• 今後の展望
QGPと相対論的
重イオン衝突反応
はじめに
我々の物質は
何からできているか?
最小構成要素(クォーク)が
あらわな自由度として
振舞う物質は?
クォーク
クォークの閉じ込め グルーオン
プラズマ
クォーク
レプトン
+ゲージ粒子
物質粒子:クォーク
ゲージ粒子:グルーオン
支配する力学:量子色力学(QCD)
物質形態:クォーク・グルーオン・プラズマ
スケールによるQCDの二面性
クォーク・反クォーク間
ポテンシャルの温度依存性
F.Karsch and E.Laermann
真空中でのクォークの閉じ込め
QCD結合定数の
エネルギー依存性
S. Eidelman et al.
QCDの漸近的自由性
低エネルギー高エネルギー
× 摂動  ◎ 摂動
QGPのレシピ
ブルックヘブン国立研究所のサイトより
1.圧力を加える密度スケールの上昇
2.熱を加える温度スケールの上昇
弱結合  wQGPの生成  実際は?
第一原理計算(格子QCD)によるQGP
Karsch et al.
規格化された温度
•相転移温度
Tc ~ 170MeV ~ 2兆K !
ec ~ 0.3-1.3GeV/fm3
•Tc付近でエネルギー密度
が急激な増加
クォークやグルーオンの
自由度の解放?
江尻さんの
講義
ステファンボルツマン則
(エネルギー密度)∝(自由度)×(温度)4
ハドロン(p):3  QGP:37 (color,flavor,…)
宇宙と共に進化する物質
QGP
ハドロン生成
元素合成
QGPの研究
初期宇宙の
理解(開闢後
数マイクロ秒後)
相対論的重イオン衝突反応
(リトルバン)
Relativistic Heavy Ion Collider(2000-)
RHIC as a time machine!
正面
STAR
横
STAR
衝突エネルギー
核子当たり100 GeV
金(197×100)と金(197×100)の衝突
現在のエネルギーフロンティア
粒子生成
熱エネルギー
私個人が感じている
極限状態の物質としてのQGPの魅力
• 電磁気力(QED)ではなく強い力(QCD)が基礎
理論となる物質
• 高温・高エネルギー密度物質のフロンティア
究極の物質(最高温度、最高エネルギー密度)を
目指して
• 重イオン加速器によるQGPの再現
ビッグバン直後の原始宇宙を実験室で再現
• 宇宙と共に進化してきた物質の起源を理解
重イオン衝突のダイナミクス
ハドロンの“晴れ上がり”
ハドロンへの再閉じ込め
QGPの生成・膨張・冷却
熱平衡化
衝突(グルーオンの塊)
時間のスケール
10fm/c~10-23sec
温度のスケール
100MeV~1012K
cf.)ビッグバンとの定性的な類似性
基本チェック
チェック I: エネルギー密度は十分か
観測量
Bjorkenの公式
t: 固有時
y: ラピディティ
R: 有効半径
mT: 横質量(横方向のエネルギー)
Bjorken(’83)
Lattice QCD計算
Stolen from Karsch(PANIC05)
エネルギー密度の中心度依存性
第一原理計算による
ec よりも十分上
(t=1fm/c)
第一原理によるec
エネルギーの
カウントではOK
しかし熱平衡は達成?
PHENIX(’05)
局所熱平衡に基づく
ダイナミクスの重要性
中心度~重なり具合~衝突径数
流体力学!
注意事項 I
• 必要条件o.k.でも熱平衡しているか?
• どうやって時間tを決めるか?
• どうやって面積pR2を決めるか
• 描像は正しいか?
チェック II: 化学平衡に達しているか?
(“温度”情報)
直接放出
レゾナンスからの寄与
Two fitting parameters: T, m
Good job!?
粒子比が固定される温度:T=177MeV, mB = 29 MeV
Latticeの予言するTcに近い
注意事項 II
• 実はe+e-やpp衝突でもfitできてしまう
See, e.g., Becattini&Heinz(’97)
• そうなると得られた結果の意味は?
See, e.g., Rischke(’02),Koch(’03)
• 何故Tcに近い?
 重イオン衝突におけるハドロン物質は化学平衡
にない!?
 本質的に動的な過程
膨張の割合
 散乱する割合
(素過程に依存)
see, e.g., U.Heinz, nucl-th/0407067
チェック III: 運動学的平衡に達して
Sollfrank et al.(’93)
いるか?
Blast waveモデル
圧力勾配がフローの駆動力
Inside: 高圧(運動学的平衡)
Outside: 真空
重い粒子ほどフローの影響を
受けやすい
(熱平衡+ドップラーシフト)
p
p
スペクトルの形の変化
d
Au
Au
Au
O.Barannikova, talk at QM05
pp & dAu: べき則
Au+Au: 上に凸
べき則
熱平衡+ドップラーシ
フトの描像とコンシス
テント
注意事項 III
• 実はppでも有限のフローが得られる!?
– (T,vT)~(140MeV,0.2)
– 単純なblast waveモデルは定量的に信用できるか?
• 完全な熱平衡でなくてもスペクトルの変化は起こ
る
– 例)ハドロンカスケードモデル
• どのようにフローが作られるか?
基本チェックから何が言えるか?
• QGP探索のための必要条件(これらなしでは
これ以上進む必要なし?)
– エネルギー密度>ec
– 温度~Tc
– 圧力大(?)
時空発展を追えるフレームワークで
解析する必要性
重イオン衝突の
ダイナミクスと
流体力学
QGP物理に対するボトムアップ的
アプローチ
•第一原理(QCD)
•現象論へのインプット
(状態方程式、輸送係数)
QGP物理の複雑さ
グルーオンの非線形相互作用
強結合による摂動の困難
多体系
•現象論(流体力学)
カラーの閉じ込め
•現象(実験結果)
4つの実験グループから
6年間で139本の論文
ト
ッ
プ
ダ
ウ
ン
ボ
ト
ム
ア
ッ
プ
何故、流体力学か?
静的(温度・密度一定)
•状態方程式
•有限温度・密度の場の理論
•臨界現象
•媒質中でのハドロンの性質
エネルギー運動量保存:
保存流の連続の式:
動的(重イオン衝突反応)
•生成・熱平衡化・膨張・冷却…
•熱力学量の時空発展
•第一原理と現象を結ぶ
最も自然な枠組み
•局所熱平衡が前提
•適用領域に注意が必要
•現在のところ第一原理
計算は時間発展を追えない
非等方的な粒子の“流れ”
y
f
x
z
x
散乱平面
横平面(衝突軸に垂直な面)
A.Poskanzer & S.Voloshin (’98)
楕円型フロー
Ollitrault (’92)
空間的に歪んだ分布を持ってきて系の応答を見てみよう
相互作用なし
流体力学的な振る舞い
y
f
x
インプット
空間的な 非等方性
2v2
アウトプット
dN/df
dN/df
粒子間の相互作用
運動量の非等方性
0
f
2p
0
f
2p
エネルギー密度分布の非等方性  運動量空間の非等方性
TH&Gyulassy(’06)
QGP
mixed
hadron
横平面におけるエネルギー密度
速度平面におけるエネルギー
あくまでもドミナントな膨張は縦(衝突軸)方向境界は内側へ向かう。
パートンの世界における楕円型フロー
完全流体の極限
Zhang et al.(’99)
v2
Time evolution of v2
View from collision axis
b = 7.5fm
時間
v2 は
• オーバーラップ領域に一様にグ
ルーオンをばらまく
• dN/dy ~ 300 @ b = 0 fm
• 運動量分布はT = 500 MeVを仮
定
生成粒子間の相互作用によって作られる
早い時期に飽和
断面積~平均自由行程~粘性に敏感
楕円型フローは衝突初期の輸送的性質の情報を担う!
ずれ粘性の運動学的記述
See, e.g. Danielewicz&Gyulassy(’85)
超相対論的粒子を想定(体粘性はゼロ)
Shear flow
flowの平均化
完全流体:
l=1/sr  0(強結合)
ずれ粘性  0
次のタイムステップ
完全流体
QGPの発見
楕円型フローのラピディティ依存性
QGP+hadron
QGPのみ
3次元流体を以って初めて
計算できる物理量!
T.Hirano,Phys.Rev.C65,011901(2002);
T.Hirano and K.Tsuda, Phys.Rev.C66,
054905(2002); T.Hirano et al., Phys.
Lett. B636 (2006)299.
h<0 h=0
h>0
“大きな”楕円型フローの発見
•実験結果は90度(h=0)方向
で流体計算の予言と同オーダー!
•ガス的なQGPの描像とは違う!
•90度以外の領域でのずれが
大きい
ハドロンコロナの重要性(次頁)
T.Hirano and M.Gyulassy,
Nucl.Phys.A769 (2006)71;
T.Hirano and M.Gyulassy,Nucl.Phys.A769 (2006)71.
完全流体的なQGP相のコアと粘性の
無視できないハドロン相のコロナ
QGPを取り巻くハドロンの雲(コロナ)
QGP core
QGP:液体的(流体描像)
ハドロン:ガス的(粒子描像)
相対論的重イオン衝突
反応におけるレイノルズ数
物質固有の部分:
(ずれ粘性)/(エントロピー密度)
大
小
ハドロン相
QGP相
T.Hirano et al.,Phys.Lett.B636(2006)299.
ハドロンコロナの重要性
QGP fluid+hadron gas
QGP+hadron fluids
QGPのみ
•ハドロン相は流体の代わり
にボルツマン方程式で記述
•粘性(有限の平均自由行程)
を考慮
•エントロピー密度の急激な
増大を示唆
•QGP流体描像の妥当性
~QGPのシグナル!
身近な流体では?
粘性 h:
~1.0x10-3 [Pa s]
~1.8x10-5 [Pa s]
動粘性 n=h/r:
~1.0x10-6 [m2/s]
~1.5x10-5 [m2/s]
[Pa] = [N/m2]
(Water 20℃)
(Air 20℃)
(Water 20℃)
(Air 20℃)
hwater > hair であるが nwater < nair
非相対論的なNavier-Stokes方程式 (外場を無視)
流速の拡散方程式「動」粘性が拡散係数
得られた重イオン衝突反応の物理量
注)中心衝突を想定
• 局所熱平衡に達した時刻
0.6fm/c ~ 10-23 sec
• 初期エネルギー密度の最大値
45GeV/fm3 ~1031J/cm3  ec ~ 0.3-1.3GeV/fm3
• QGPの寿命
~4fm/c
今後、これらを含めたQGPの
パラメータを精度良く決定
ジェットの抑制&
カラーグラス凝縮
平野、浜垣、日本物理学会誌59,862(2004).
流体計算とジェットのエネルギー損失
核子-核子衝突
重イオン-重イオン衝突
エネルギーを
失ったジェット
ジェット
y
f
?
媒質なし
x
媒質あり
ジェットはQGPの時空発展をトレース
流体とジェットのエネルギー損失を同時に記述
(未だに他のグループが、なし得ない計算)
T.Hirano and Y.Nara, Phys.Rev.C69,034908(2004).
流体成分とジェット成分
流
体
成
分
ジ
ェ
ッ
ト
成
分
長波長:流体モデルにより
スペクトルをよく再現
短波長:実験結果は流体
モデルからのずれを示唆
エネルギーを損失した
ジェットの成分で再現
QGP中を通過するジェット
は大きなエネルギーを損失
例)10GeVのクォークが系の中心から
出てくるまでに6GeVのエネルギーを損失
長波長短
T.Hirano and Y.Nara, Phys.Rev.Lett.91,082301(2003).
ジェット対生成相関の消失
前方-後方相関(180度)消失
のメカニズム:
QGP流体中の
•エネルギー損失による吸収
~60%
•弾性散乱による「ふれ」
~40%
QGP流体
“QGPの種”としてのカラーグラス凝縮
カラーグラス凝縮:
高エネルギーにおけるハドロン
や原子核の普遍的な姿
(グルーオンの塊の一形態)
•数少ない(3つ)パラメータ
で粒子生成のグローバル
な様相を再現
h<0 h=0
h>0
QGPの種としてのカラーグラス
凝縮の可能性
時空間、運動量(波長)すべての領域
をカバーしたダイナミカルモデル TH&Y.Nara
カラーグラス凝縮
パートン分布関数
エネルギー
“カラーグラス凝縮
の衝突”
衝突
3次元流体(QGPコア)
摂動論的QCD
ジェットと流体の
相互作用
時間
ハドロンガスコロナ
パートンの
エネルギー損失
•非弾性
破砕過程
純国産!
長波長
短波長
ここまでのまとめ(RHIC実験から引き出し
たQGPの物理)
• 高エネルギー密度物質(QGP)の生成
• 流体力学で記述できるほど強く相互作用している
•
•
•
QGP物質の生成(素朴な漸近的自由性の描像とは
異なる物質)
QGPのシグナルとしての粘性の小さい流体的振る
舞い
高エネルギージェットを通さないほど「不透明な」物
質
QGP生成のメカニズムとしてのカラーグラス凝縮の
可能性
RHICによりQGPの理解が飛躍的に進んだ
今後、より定量的な議論へ
今後の展望
QGP物理の拡がり:将来の実験
LHC(2007-)
より長寿命
より高い初期温度
より精密なデータ
より稀な現象
GSI
高バリオン密度
QCD臨界終点
中性子星内部の
状態方程式
RHIC II & eRHIC
より稀な現象
より精密なデータ
QGPの種
(カラーグラス凝縮)
様々なエネルギーの加速器による
QCD多体系の相図の理解に向けて
初
クォーク・グルーオン・プラズマ
期
温度(MeV)
宇
宙
QCD 臨界終点?
高温高密度
ハドロン相
中性子星
我々の世界
バリオンポテンシャル
天体・原子核
超新星爆発
ニュートリノ輸送
との類似性
高密度物質の
状態方程式
QGP物理の拡がり:
A Bigger Picture
原子物理
強結合フェルミ原子気体
の動的振る舞い
相対論的重イオン
衝突反応
における
QGPの物理
素粒子
AdS/CFT対応による強結合
ゲージ理論の輸送係数
不可逆過程の熱力学
「拡張された不可逆過程
の熱力学」の適用対象
さいごに
• Welcome to physics of the QGP in H.I.C.!
– QCDが好きな人
– 物性が好きな人
– 宇宙が好きな人
– ダイナミクスな現象が好きな人
– 実験結果から物事を理解したい人
• 今日のプレゼンテーションは
http://nt1.c.u-tokyo.ac.jp/~hirano/talks.html
にアップロードする予定です。ご参考に。
相対論的粘性流体方程式
Basic question:
究極の物質QGPの輸送的性質は?
QGP中でどれだけ大きな粘性が許されるか?
逆に、どれほど粘性が小さいか?
•相対論的Navier-Stokes方程式(Landau, Eckart)
因果律を破る
•Israel-Stewart流の相対論的粘性流体方程式
•Müllerによる基礎付け
“Extended irreversible thermodynamics”
•特殊相対性理論(方程式のローレンツ共変性)
•熱力学第2法則(エントロピー増大)
熱力学的力に対する応答が時間発展方程式
超新星爆発シミュレーションとの手法
の類似性
重力崩壊型超新星爆発
相対論的重イオン衝突
QGP時空発展
爆発のシミュレーション
流体力学的
時空発展
ジェットのエネルギー損失
衝撃波(Machコーン)生成
重いクォークの拡散過程
ニュートリノ加熱
流体背景中
の粒子輸送
弦理論の実験的検証?????
強結合領域の超対称
ヤンミルズ理論における
相関関数
線型応答による粘性係数
Maldacena
AdS/CFT
5次元超重力理論の
弱結合領域での計算
Gubser,Klebanov,Polyakov,Witten…
Kovtun, Son, Starinet…
(自然単位系)
Viscosity (lower) bound conjecture
RHICにおける強結合QGPの粘性がどこまで小さいか?
強結合フェルミ原子気体
強結合フェルミ原子気体
における「楕円型フロー」
Feshbach共鳴による
相互作用の制御
強結合多体系の動的振る舞いの理解へ
パートン分布関数
グルーオン分布の
爆発的な増大
高エネルギーの
ハドロンや原子核
はグルーオンの塊
放出と融合のせめぎあい
カスケード的にグルーオンを放出
数が多くなるとグルーオンの融合も重要
ハドロンの“相図”
non-perturbative region
CGC
Q2: 分解能
x: 運動量の割合
BFKL
dilute parton
DGLAP
0
カラーグラス凝縮(CGC)
•Color: グルーオンはカラー荷を持つ
•Glass: ガラスとの類似性
•disorder
•ローレンツの時間遅れのため非常にゆっくり変化
•Condensate: 高密度のグルーオン
•密度 r ~ 1/as>>1
•コヒーレンス
•特徴的な運動量スケール(飽和運動量)
“saturation”
Gribov, Levin Ryskin (’83)
Mueller, Qiu (’86)
Blaizot, Mueller (’87)
(応答)=(アウトプット)/(インプット)
プレスリリースの根拠となる流体計算
の結果(一部)
流体極限
STAR(’02)
PHENIX(’03)
長“波長”依存性短
長波長で流体力学の
予言に一致!
“密度”依存性
高密度で流体の
予言に到達
流体計算の結果: Huovinen, Kolb, Heinz,…
粒子のスペクトル分布
長波長領域ではモデルが実験結果をよく記述できている
基本チェックOK!
短波長側は流体力学の適用を超えた領域
QGP流体+ハドロンガスモデルによる
Hirano et al.
楕円型フロー(1)
最後まで流体
ハドロンはガス
かすり衝突
正面衝突
ハドロンはガス
最後まで流体
擬ラピディティ
衝突軸方向の相対論的速度
ハドロンガスの粘性が確かに重要な役割を果たす
QGP流体+ハドロンガスモデルによる
Hirano et al.
楕円型フロー(2)
20-30%
長  波長  短
従来再現できていた量は、
別の正しいメカニズムで再現
QGP流体+ハドロンガスモデルの
Hirano et al.
計算例(3)
衝突エネルギー依存性~粒子密度依存性
v2/e(応答)は単調に増加(赤い線)
なぜQGP流体+ハドロンガス描像が成功し
Hirano and Gyulassy
たか?
輸送係数のモデル計算(温度依存性)
ずれ粘性
(ずれ粘性)/(エントロピー密度)
!
エントロピー密度の急激な増加
のおかげで流体描像が良い?
閉じ込めの破れ(QGPの現れ)のシグナル!?
流体モデルに基づく重イオン衝突の
統合的記述に向けて
“カラーグラス凝縮”
“カラーグラス凝縮
の衝突”
衝突
3次元流体(QGP)
•粘性
•化学非平衡
幾何学的
スケーリング
領域
パートン分布関数
エネルギー
摂動論的QCD
ジェットと流体の
相互作用
パートンの
エネルギー損失
•非弾性、弾性
クォーク再結合
時間
ハドロンガス
長波長
破砕過程
中間領域
短波長
高温高密度物質「内部」情報
QCD物質をQED相互作用で“見る”
(実験と比較しうる物理量)=(ダイナミクス)
(静的性質)
N: 放出個数
R: 温度Tにおける単位時空体積辺りの生成率
xi : 流体素片の位置
実験結果と定量的な比較をするため
にはダイナミクスが必須!
Chiku-Hatsuda(’98)
QCDカイラル対称性の回復のシグナル
s,p 質量の温度依存性
p,s チャンネルのスペクトル関数
ある温度における生成率
生成率(反応率)~
単位時空体積辺りの反応数
ここまでのまとめ(RHICの物理への寄与)
• 3次元相対論的流体モデルの構築とRHICの現象
への適用
– QGPの輸送的性質を引き出すための楕円型フローの3
次元流体計算
– QGP流体+ハドロンガス描像の確立
– 3次元QGP流体計算を利用したジェットエネルギー損失
の系統的かつ定量的解析
– QGP生成メカニズムを含めたダイナミカルモデルに先鞭
• 3次元相対論的流体モデルを核
• すべての時空領域をカバー(衝突前から測定される粒子まで)
• すべての運動量領域をカバー(流体成分からジェット成分まで)
– 重イオン衝突の物理を、より成熟した分野へ発展するの
に貢献(タイムスケール、エネルギースケール毎に適切
な物理描像を採用し、モデルの不定性やパラメータの数
を減らす。いまや、QGP物理は定量的な議論が可能と
なった。)