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平成20年度鹿児島市「食育教室」
「食の防犯」と「食の安全」
不安の時代をどう生き伸び、次世代に何を託すか
2008年10月20日 10時~11時40分
鹿児島大学農学部獣医学科獣医公衆衛生学 教授
岡本嘉六
食品による健康障害の発生は、通常、「食中毒事故」と
して厚生労働省の統計に載る。 しかし、今年になって立
て続けに起きた中国産餃子、中国産原料乳の問題は、
「事故」ではなく「意図的混入=犯罪=事件」であり法務局
の犯罪統計に載る。
過失による「事故」と、故意による「事件」を一緒にして
「食品の安全性問題」として扱うと、適格な対応措置がとれ
なくなる。事故と事件の違いが分かりますか?
事故と事件
2008年2月
中国製ギョーザによる健康障害の発生は、6割を海外に依存して
いる日本の食料事情の危うさを浮き彫りにした。生産、加工、流通、
消費の各段階における安全性向上が求められ、それぞれが果たす
べき役割をしっかり果たすことが基本であるが、人間の為すことには
間違いがつきものである。ウッカリ・ミスで安全性を損なうことは「事
故」であり、それを最小限にすることがGAPやHACCPという手法で
ある。他方、今回の問題はミスではなく、故意による混入の疑いが濃
厚であり、「事件=犯罪」として捜査されている。「事件」という側面か
らみると、食の安全性はきわめて壊れやすいものである。
患者数 堺市学校給食事故以降、食中毒の届出は、それまでの複数
50,000
名から一人のみの発生に変更された。これによって、事故数
は見かけ上増加した。
40,500
事故数 40,000
3,500
30,500
3,000
30,000
2,500
20,500
2,000
20,000
死者数
25
21名
18名
15名
20
1,500
15
1,000
10
500
5
0
0
日本における食中毒の発生状況の推移
20
:総数
:細菌
:自然毒
化学物質による死亡者はいない
18
16
14
年 12
間
死 10
亡 8
数
6
4
2
0
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
原因物質別にみた食中毒による死者数の推移
日本における食中毒の原因物質
患者数
細菌
化学物質
死者数
自然毒
細菌
化学物質
自然毒
計
11
2
1
4
3
0
11
1
2
1
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
6
5
3
1
4
7
5
3
6
4
7
15
8
6
7
4
4
18
6
5
7
6
7
0
4.6
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
41,025
10,926
11,471
27,741
32,417
15,753
17,533
16,551
13,078
16,678
9,666
12,964
47
216
216
134
167
112
154
218
299
111
172
93
228
305
524
377
448
327
372
308
433
285
511
355
平均
18,817
162
373
3.2
食品によるノロウイルス感染が増加しているが、ここでは省いた。
7.8
25
20
累
積
死 15
亡
者 10
数
5
0
原因食品別にみた食中毒死亡者数
(1996~2002)
40
累 30
積
死
亡 20
者
数
10
分業社会の絆を大切に!
一人がみんなのために みんなが一人のために
子供の頃の「競争と 思いやり」を大切に!
0
食事場所別にみた食中毒死亡者数
(1996~2002)
平成19年8月16日
厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長
ムシロガイ科キンシバイ(巻貝)での食中毒の発生事例について
長崎市内の農水産物直売所で販売されたムシロガイ科キンシバイ(学名:Alectrion
glans)で、テトロドトキシンによる食中毒の発生事例がありました。長崎市では本事例を受け、
当該巻貝を喫食しないよう注意喚起するとともに、採取及び販売を中止するよう漁業関係者に
指導しているところです。ついては、水産担当部局と連携し、貴管内の水産及び魚介類販売
等の関係者に対し、念のため、当該巻貝の採取及び販売を控えるよう指導方お願いします。
平成2 0 年7 月4 日
各検疫所御中
厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課
中国産及び台湾産小型巻貝の取扱いについて
今般、中国及び台湾において、ムシロガイ科、タマガイ科及びマクラガイ科の小
型巻貝を摂取することによる、テトロドトキシン食中毒が発生し、死亡事例が頻発し
ているとの情報を入手しました。
ついては、輸入者に対し、当該情報提供を行うとともに、中国産及び台湾産小型
巻貝の輸入届出がなされた際には、学名(科名及び属名)の確認を求め、下記に
該当する場合にあっては、輸入を自粛するよう指導方お願いします。
学名
科名
属名
ムシロガイ科
Nassariidae
Nassarius
Niotha
Zeuxis
Natica
タマガイ科
Naticidae
Polinices
マクラガイ科
Olividae
Oliva
平成20年7月16日
厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長
巻き貝(キンシバイ)による食中毒について
天草市内で、巻き貝(キンシバイ)による動物性自然毒(テトロドトキシン)に起因すると思わ
れる食中毒が発生しました。 一般の方々が市場等で手に入れることは、まずないと思われま
すし、巻き貝の毒化は極めてまれな例ではありますが、十分に注意してください。なお、あさり
等の二枚貝については、定期的に毒性の検査を行っており、貝毒は検出されておりません。
テトロドトキシンはフグ毒として知
られているが、実は、細菌が産生する
毒素であり、食物連鎖を通してアカハ
ライモリ、ツムギハゼ、ヒョウモンダ
コ、スベスベマンジュウガニ、トゲモ
ミジガイ等の毒化が知られていた。今
回判明した貝類は?
新たに判明した巻貝類の毒化は、地球温暖化による生態系の
変化を反映するものかも知れない。細菌の増殖は温度、酸素、
栄養素によって左右されるが、海水温の上昇によって細菌の生
息範囲が変化したことによるのかも知れない。
自然毒の脅威との戦いが人類史の一側面
50%致死量
μg/kg mouse
ボツリヌス毒
破傷風毒
ジフテリア毒
パリトキシン
テトロドトキシン
サキシトキシン
産生・保有
0.00003
細菌
0.0001
細菌
文化(Culture;耕す)
0.3
細菌
人間が改良を加えてきた物心両面の成果、
とくに西洋では精神的生活に関わるものを
0.6
イソギンチャク類
「文化」とし、「文明」と区別する。危害を取り
8.7
フグ、ヒョウモンダコ
除いて<安全に食べる>ことが文化であり、
「ナチュラル=非文化」は危険です。
10
二枚貝
ボツリヌス毒の1億倍食べないと死なない
ギンナン中毒:
10,000
青酸カリ 国内で過去約80人の患者が学会報告され、うち約30人が死亡
青酸配糖体:アミグダリン(ウメ、アンズ、モモ)、ドーリン(イネ科)
ファゼオルナチン(アオイマメ)、リナマリン(キャサバ)
青酸配糖体を含む生薬: キョウニン(杏仁)、トウニン、ショウキョウ
パート 2
危害とリスク
安全性確保の科学的根拠
危害(Hazard)とリスク(Risk)
「危害とは、ヒトに障害を起す可能性のある食品の、生物
学的、化学的、あるいは物理学的因子、もしくは状態をいう。
他方、リスクとは、食品中の危害の結果として起こる、暴
露集団の健康に対する悪影響の発生確率と重篤度の推
定値である。」
「危害を減らすこととリスクを減らすことの関係を理解す
ることは、適切な食品の安全性制御を発展させる上でとく
に重要である。 不幸なことに、食品について『ゼロ・リス
ク』のような事態はありえない(その他の何についても言え
ることだが)。」
「食品の品質と安全性システム」
FAO: Food Quality and Safety Systems - A Training Manual on Food Hygiene
and the Hazard Analysis and Critical Control Point (HACCP) System. 1998
◆ 健康と食事の関係 ◆
閾値がない
化学物質
▲
栄養素
▲
健
康
へ
の
悪
影
響
▲
閾値がある
化学物質
●
●
●
NOAEL
●
無有害作用
濃度
●
●
●
●
●
●
●
化学物質の用量・反応関係
LOAEL
最小有害作用
濃度
用量(摂取量)
WHO: Hazardous chemicals in human and environmental health - A resource
book for school, college and university students. 2000
死亡率でみたリスクの比較
糖尿病
年
1960
1065
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2004
10万人当り死亡率
男性
女性
3.2
5.1
7.4
8.0
7.1
7.3
7.5
11.7
10.7
10.9
3.6
5.3
7.4
8.2
7.5
8.0
8.0
11.2
9.1
9.2
食中毒
年間 10万人当り 10万人当り
死亡数
死亡率
罹患率
218
139
63
52
23
12
5
5
4
5
0.2312
0.1401
0.0602
0.0465
0.0196
0.0099
0.0040
0.0040
0.0032
0.0055
39.5
29.2
31.1
40.4
28.0
36.4
30.4
21.0
34.1
22.2
無有害作用濃度
一日摂取許容量(ADI )=
100
健
康
へ
の
悪
影
響
ADI
一日摂取許容量
●
NOAEL
無有害作用
安全係数 不確実係数 濃度 ●
(10倍)
(10倍)
●
●
●
LOAEL
最小有害作用
濃度
用量(摂取量)
閾値がある化学物質の安全基準
一日摂取許容量(ADI )
許容残留量(MRL)
食品A
食品B
食品C
動物の生涯に亘る投与試験から求め
られた一日摂取許容量(ADI)は、ヒト
が生涯に亘って摂取しても健康に影
響しない量である。
食品D
食品E
食品F
当該の有害物質が含まれる全ての食
品について、摂取量を加味しながら、
それぞれの食品について許容残留量
(MRL)が設定される。
実際の残留量
食品A
一過性の超過は健康に影響せず
食品D
食品A
食品D
食品B
食品B
食品E
食品C
食品F
それぞれの食品の実際の残留分析値
はMRLを大幅に下回っている。
分かりやすい安全性の考え方
(リンク)
一日摂取許容量と許容残留量
(リンク)
食品E
食品C
食品F
仮に、特定食品Bの残留値がMRLを超
えても、総体としてはADIの範囲内にある。
しかも、一過性のことであり、一生涯を通
しての摂取を想定したADIであるから、短
期間の暴露は健康に全く影響しない。
農薬不要論は正しいか?
食糧生産に果たす農薬の役割 (リンク)
「有機農業をやれば害虫の発生は少なく、
農薬を使う必要はない」といった「とんでも
ないウソ」がまかり通っている。これだけ増
加した世界人口の食料を賄うために、農薬
は欠かせないものであることを、生産者は
明確に伝えなければならない。
農薬を使わない
場合の
減収率(%)
トウモロコシ
キャベツ
なす
もも
ジャガイモ
パールバック著 「大地」 で名高い 支那の蝗害 (リンク)
りんご
中国大陸において、水害と旱害に並んで恐れられてきた災害が
トマト
蝗害(こうがい)だ。地面を覆い尽くし、空を暗くするほど大量の蝗
大豆
(いなご)は、通過した土地のあらゆる草木を食い尽くしてしまう。 キュウリ
蝗群に襲われた村は食うに食なく、住民は出稼ぎを余儀なくされ
小麦
る。大規模な場合は飢饉が発生する。そのうえ被害が数年に及
大根
ぶ場合も少なくない。1927年に山東省で発生した蝗害(こうが
水稲
0
100
い)は三年間続き、被害は九省二百余県、罹災者七百万人に達
し、浙江一省の受けた損害だけでも、穀類二万トン弱、金額にし
FAOが緊急援助要請:
て一億元に及んだという。
アフリカの農業・食料生産、バッタが追い討ち
(μg/ Kg/ day)
1
カビ毒
AFB1
アフラトキシン
ニトロソアミン
癌 1O
原
性
の
強 1O 2
さ
(
動
物 1O 3
に
癌
を
4
作 1O
る
用
量 1O 5
)
STRC
(魚の二級アミン + 野菜の硝酸塩)
4NQO
BP
BNU
DMBA
MNU
DBNA
3MCA
魚の焼け焦げ
Trp-P2
TOX
DBA
Trp-P1
AF2
DAN
1O 6~
TCE
~
~
~
-3
10
-2
-1
2
3
4
5
10
10
1
10
10
10
10
10
Ames法による突然変異原性の強さ(変異コロニー数/μg)
生活環境中物質の発癌性と突然変異原性
10
6
日常的に暴露されているリスク、避けることのできないリスクより
十分に低いことをもって安全とする。
一生の間に100万人に1人以下でしか起きない確率
発
癌
率
閾値がない
化学物質
10-6
低濃度直線性
実質的安全量
用量
DNA 障害性物質の安全性基準
パート 3
食の防犯
犯罪やテロによる
食料の意図的汚染
平成20年度日本獣医公衆衛生学会(九州)
国際法の改正とバイオテロ
「食の安全」と「食の防犯」
鹿児島大学農学部教授 岡本嘉六
獣医学科獣医公衆衛生学分野
天洋食品工場: 中国河北省石家荘市
ギョーザ中毒事件後に回収さ
れ、「天洋食品」の冷凍庫に
山積みされたギョーザ(2月)
中国製ギョーザに関する製造者と販売者の責任
2008年2月1日
中国製ギョーザによる健康障害については、最初の事例から1ヶ月経過した段階で公開
され、製品回収が遅れたことが大きな社会問題とされている。この「遅れ」がなければ千葉
県における重大事故を未然に防げたと考えられるが、その予防活動が可能だったのは誰
か? 少人数の単発事例で原因が特定されていない時点で、行政がその製品を公表するこ
クレーム対策
とは不適切であり、社会的混乱を招くだけである。また、数少ない検疫担当官が輸入時点で
あらゆる危害要因を検査することも不可能である。しかし、今回のような事態を早期発見す
るための情報が集中する場所が1箇所だけある。それは輸入販売元ジェイティフーズである。
中国製ギョーザのメタミドホス汚染: 過失か故意か
2008年2月4日
偶然起きた「過失」であれば食品衛生上の問題であるが、何らかの目的を達成
するための「故意」であったとすれば刑法上の問題である。1984年に起きた「グリ
コ・森永事件」は未解決のまま時効となったが、それに触発されてスーパーの商品
に「針」を差し込む等のイタズラが流行した。こうした「故意」による安全性への脅
防犯対策=治安当局との連携
威は、フードチェーンの関係者には手におえないものであり、警察に頼るしかない。
いや、警察とても事件が起きてからしか動けないのであり、「故意」による犯罪を防
ぐのは一般社会の良識を育てる以外に策はない。
非食用事故米
意図的混入
<事故米転売>ほとんどテロに近い
イオンの岡田社長
9月19日21時44分 毎日新聞
汚染米がおにぎりに調理され、コンビニ
エンスストアやスーパーで販売された事態
を受け、流通大手イオンの岡田元也社長
は19日、記者団に「ほとんどテロに近い。
我々も確認作業などに大変なコストがか
かる。今回の事件をやった人を許してはい
けない」と述べた。農林水産省の対応につ
いても「結果としてここまで許した責任は重
大だ」と厳しく批判した。
事故米が加工された三笠フーズの工場
福岡県筑前町
毎日新聞 2008年9月5日 22時40分より
伝
票
偽
装
食用米
産地偽装
正
規
米
に
混
入
悪徳業者を業界から追放しよう! 9月7日(日)
意図的汚染に対する備え 9月9日
「食の安全」と「食の防犯」 9月12日
食への犯罪と、食へのテロ 9月16日
犯罪捜査権はどこにあるか? :危うい法治国家 9月18日
「罪と罰」: これ以上の犠牲者が出ませんように 9月19日
事故米事件が中国産餃子事件の汚染濃度を大幅に下回ることを指摘した農水大
臣が非難を受けているが、私には理解できない。不安の大合唱をすることで、何が
解決できるのか!? 同じく意図的汚染であるが、事故米事件は単なる金銭欲であ
り、中国産餃子事件は健康障害を引起す明確な意図があったことが汚染濃度の差
となっていることを理解することが大切なのではなかろうか? この点では、中国産
餃子事件はテロ行為に極めて近いものと考えられる。
治安当局とは異なって、民間事業を監督する省庁は善意で行っている過程で起き
る過失を防ぐことを主任務としており、最初から悪意を持って法の間隙をすり抜ける
犯罪やテロの防止を考慮した組織ではない。
通常業務と犯罪は区別されなければならない
犯罪捜査権はどこにあるか?
食料の意図的汚染を防ぐための法律とそれを執行する行政組織
「食品衛生法」、「不正競争防止法違反」等は善意の過失を
防止するための法律であり、意図的汚染を謀る犯罪者を想
定した法律ではない!
通常業務:
指導、助言
癌患者の終末医療に欠かせない鎮痛剤 モルヒネは、医薬品であり「薬事法」お
よび「麻薬及び向精神薬取締法」によって規制されている。麻薬は痛みを伴う終末期
患者にとって安らかな最期を迎えるために欠かせない薬剤であり、その適正な使用
と管理を定めているのは厚労省が所管する法律であり、医療業界、医薬品業界、お
よび厚労省はその法律に基づいて活動している。
犯罪: 強制捜査
他方、麻薬は暴力団やテロリストの資金源でありその管理は発展途上国の重要
課題となっているが、薬物の不法使用、さらには不法流通を取り締まる法律は、「あ
へん法」、「大麻取締法」、「覚せい剤取締法」、「国際的な協力の下に規制薬物に係
る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の
特例等に関する法律(麻薬特例法)」など、多数用意されている。
治安当局が麻薬の不法流通を阻止する効果的な活動を保障するとともに、無関
係の一般市民を巻き添えにすることがないように規制されている。
食 品 の 安 全 性 を 脅 か す 事 件
グリコ・森永脅迫事件
1984年(昭和59年)3月18日、江崎グリコ社長が自宅で入浴中、侵入してきた犯行グ
ループの男3人に全裸のまま誘拐され、身代金10億円と金塊100キログラムを要求さ
れた。
10月7日 「どくいり きけん たべたら しぬで かい人21面相」と関西弁で書かれた紙
が張られた森永製菓製品の菓子が発見され、青酸ソーダが検出された。
その後、かい人21面相と書かれた脅迫状が丸大食品、森永製菓、ハウス食品、不二
家、駿河屋に次々と送りつけられ現金を要求。
2000年(平成12年)2月13日に時効となった。
和歌山毒物カレー事件
地下鉄サリン事件
(1995年3月20日)
亀戸異臭事件: 炭疽菌を培養していた!
1998年の7月25日に園部地区で行われた夏祭りで、カレーを食べた67人が腹痛や吐
き気などを訴えて病院に搬送された自治会長を初めとした4人が死亡し、63人が急性
砒素中毒になった。警察庁の科学警察研究所が亜ヒ酸の混入を明らかにした。
2002年12月11日の一審・和歌山地裁は、被告に死刑を言い渡した。
2005年6月28日の二審・大阪高裁は、死刑判決を再び言い渡した。
「被告」は無罪を主張し、公正な裁判を求めて「支援する会」が活動している。
化学物質による事件の例
発生年月日
1998. 8.10
原因物質
都道府県
アジ化ナトリウム 新潟
(出典: 東京衛研年報、2001)
事件の状況
会社の電気ポットに混入、社員10人が入院
1998. 8.15
パラコート
鹿児島
簡易水道施設に混合除草剤を混入
1998. 8.31
青酸カリ
長野
スーパーで購入したウーロン茶缶を飲み1名死亡
1998. 9. 2
DDVP
奈良
自動販売機取出口のドリンク剤を飲み入院
1998. 9.18
カドミウム
京都
京大農学部の研究室で玄米茶を飲み6名
1998.10.12
パラコート
茨城
自動販売機取出し口の缶コーヒーを飲み入院
1998.10.15
アジ化ナトリウム 三重
大学研究室の電気ポットに混入、教員・学生6名
1998.10.27
アジ化ナトリウム 愛知
研究所の電気ポットに混入、助教授ら4名入院
1998.10.28
アジ化ナトリウム 京都
国立療養所の電気ポットに混入、医師8名
1998.11. 5
1999. 6.18
有機リン剤
山口
アジ化ナトリウム 埼玉
県立高校校務員室内湯沸かし室のやかんから
研究所の電気ポットに混入、研究員1名
1999. 7.19
有機リン剤
福島
コンビニのペットボトル入り清涼飲料水,1名
1999.10. 8
亜ヒ酸
鹿児島
設計事務所で電気ポットに混入、従業員5名
1999.12.10 水酸化ナトリウム 奈良
2000. 5.20
有機塩素剤
茨城
小学校で給食のカレーを食べた児童4人入院
社員寮食堂の缶ジュースに混入、一時意識不明
第二次世界大戦で焼け野原となった時代、
満足な食料を入手できなかった時代、闇市で
暴力団が跋扈していた時代、その時代より犯
罪が増加している・・・・。
「平和に暮らせるヒトとヒトの絆」の崩壊!
どうしたら、信頼関係を取り戻せるか?
件数
人数
刑法犯の認知件数・検挙人員の推移
(平成19年版犯罪白書)
刑法犯の主要罪名別数
(平成18年)
発生率:人口10万人当たりの認知件数
平成18年において生命・身体に被害をもたらした一般刑法犯の被
害者数は,4万3,160人であり,その内訳は,死亡者1,284人,重
傷者3,046人,軽傷者3万8,830人であった。
最近の年寄りは、思慮分別に欠ける!
安全でなければならない食品だが・・・
食の安全(Food Safety)
善良な一般国民が、生産、加工、流通、消費のフード
チェーンの中で犯すウッカリ・ミス(過失)によって、健康障
害を引起すことがないこと。
業界の監督官庁
食の防犯(Food Security)
怨恨犯、私欲犯、愉快犯などの個人による単純犯罪、
ならびに、政治目的や国家権力奪取を狙った組織的犯罪
(テロ)によって、意図的に混入された有害物質が原因と
なって健康障害を引起すことがないこと。
治安当局
日本では善良な生産者を攻撃するのに懸命であり、犯罪者やテロリストに構っている暇はな
い! 「犯罪捜査権のある治安当局」と業界の監督官庁との連携を推進する組織は、・・・
アメリカ同時多発テロ事件は、世界を変えた
2001年9月11日 世界貿易センター (World Trade Center)
奇しくもその前日、日本で牛海面状
脳症(BSE)の擬似患畜が公表された
が、検査に供した頭部以外が化製場
に送られて肉骨粉になっていたことで、
行政対応への批判が噴出し、大騒動
に発展した。
それから7年経った今、貿易セン
タービルは再建されたが、日本のBSE
問題は全く解決していない。それどこ
ろか、事態は益々悪化の一途を辿っ
ている。全頭検査のために毎年
数百億円をドブに捨てているが、
それでも足りず、「消費者の目
線?庁」を作るという。
日米のこの違いは、一体何に根ざし
ているのか? 政治、経済、社会、文
2006年に完成した新世界貿易センタービル 化、国民性 ・・・ 知能?
国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を構成するおそれのある
事象の評価及び通告のための決定手続 (WHO, 2005制定, 2007施行)
バイオテロを想定して加えられた!
・
・
・
・
天然痘 :1979年に地上から消滅したはず?
野生型ポリオウイルスに起因する小児マヒ
新種の亜型を原因とするヒトインフルエンザ
重症急性呼吸器症候群(SARS)
無条件通告
公衆保健上の影響は深刻か?
通常と異なる又は予期しないものか?
条件付き通告
国際的拡大の危険性が大きいか?
国際旅行又は取引が規制される危険性が大きいか?
・
・
・
・
・
・
コレラ
これまでの国際検疫伝染病
肺ペスト
黄熱病
ウイルス性出血熱(エボラ熱、ラッサ熱、マールブルグ熱)
西ナイル熱
その他の特別な国内的若しくは地域的懸念となる疾病(デング熱、
リフトバレー熱、髄膜炎菌性病など)
国
際
保
健
規
則
に
基
づ
く
事
象
の
通
告
義
務
Frequently asked questions and answers on smallpox (WHO)
Weren’t the remaining stocks of the smallpox virus
痘瘡が撲滅された後、痘瘡ウイルスの保存株は滅菌され残ってい
destroyed after smallpox was eradicated?
ないのではないか?
When smallpox was officially certified as eradicated, in December
痘瘡が公式に撲滅されたことが確認された際、1979年12月に、このウイルスの
1979,
an agreement was reached under which all remaining stocks of
the
virus would either be destroyed or passed to one of two secure
保存株は滅菌するかまたは次の2箇所の研究所に渡すことの合意が行われた:一
laboratories – one in the United States and one in the Russian
つは米国、もう一つはロシアである。その手続きは1980年代初期に完了し、それ以
Federation. That process was completed in the early 1980s and since
降、それ以外の研究施設は痘瘡を起こすウイルスを公式には利用できなくなって
then no other laboratory has officially had access to the virus which
いる。
causes smallpox.
Then
why is smallpox being talked about now?
それなのに、今、何故、痘瘡を問題にするのか?
Some governments believe there is a risk that the virus which causes
いくつかの政府は、痘瘡を起こし得るウイルスがそれらの研究所以外に存在し、
smallpox exists in places other than these laboratories and could be
危害を起こすために意図的に散布されるリスクが存在すると信じている。これが起
deliberately released to cause harm. It is impossible to assess the risk
きるリスクを査定することは不可能であるが、彼らの求めに応じて、
that this might happen, but at their request, WHO is making WHOは、その
efforts to
help
governments prepare for this possibility.
可能性に備えようとする政府を支援する努力をしている。
食の安全問題
テロリストの食への脅威
予防と対処のシステムを
確立・強化するための手引き
世界保健機構(WHO)
2002年5月、第55回世界保健総会は、
生物や化学物質あるいは放射性物質の意
図的悪用による市民に対する脅威につい
て深刻な懸念を表明する決議を採択した。
その中で、食料を介してそうした危害物質
を播種することが可能なことに留意し、国
のシステム強化に関して加盟国、とくに発
展途上国に対して防御手段と支援を提供
するよう事務局長に要求した。
その年12月、政府の政策立案者が食
へのテロ問題を既存の食の安全システム
の中に組み込むのを手助けすることを意
図した本書をWHOは発行した。そして
2008年5月に改訂版を出版した。リンク
テロリストの食への脅威
防止と対処のシステムを確立強化するための手引き
前文
短時間で全てを説明すること
総括
は困難です。全文を岡本の
1. 背景と概要
ホームページに掲示しますの
2. 予防
で、是非、御一読ください。
3. 広域調査、事前対策および対処
4. 国際的な連携と協調
附属文書1 食産業が考慮すべき特別措置
食料の意図的汚染を含む可能性があるある種の事件は、国際的
重要性があると判断され、改定された世界保健規則 IHR(2005)
の対象となる。WHOの国際食料安全担当局連携網(INFOSAN:
International Food Safety Authorities Network)は、IHR
(2005)の枠組みの中で活動し、必要に応じて食の安全上の出来事
を管理するために活用される。
1.5.3 公衆衛生業務への影響
食料媒介疾患は、意図的であるなしにかかわらず、公衆衛生業務を麻痺させる
ことができる。東京の地下鉄通勤者に対する1995年の神経ガス攻撃は、食品媒介
性ではないが、何も気付いていない人々に対する組織的なテロ攻撃の影響を明確
に描き出している。この発達した市街地での攻撃によって、12名が死亡し、5000名
が医療を求めて誘導された。事件への対処は、131台の救急車と1364名の救急
看護員が駆けつけ、救急医療および消防隊によって688名が病院に搬送されると
いう迅速かつ大規模なものであった。4000名以上が自力で病院をみつけた。
多くの国には、そのような大規模な緊急事態に対処する能力はない。この種の
緊急事態に対処し、継続的介護を提供するための公衆衛生施設は、限界に直面
するかも知れない。多くの国はある種の緊急事態時対処計画を持っているが、食
へのテロの脅威に対する考慮は含まれていない。事前対処におけるこの間隙は、
誤診、間違った検査、汚染された食品の特定と保管の失敗に繋がりかねない。こ
のことは、食への破壊活動事件に対する効果的対処を弱めるか不可能にする。
WHOは、日本で起きたテロを先行事例としているのだが、日本国内では・・・
2.4 食料業界における予防と対処のシステム
食料の意図的な破壊活動を防ぐ
能力は、主に食料業界にあり、
フードチェーン全体で取組まれな
ければならない。
フードチェーンの概要
農業生産と収穫
↓
原料の保管と輸送
↓
処理と製造
↓
処理製品と製造品の保管と輸送
↓
卸売と小売の流通業
↓
給食部門
魚、肉、家禽肉、果物、野菜などの多く
の食料は、最小限の処理で消費されてい
る。穀物製品や料理油のようなその他の
製品は、消費者へ届くまでに多くの処理過
程を経ている。したがって、生産システムと
攻撃に対して脆弱な箇所は、それぞれの
食料の種類によって異なっている。意図的
破壊行為に対して最も脆弱なのは、しばし
ば、食料の所有者が変わるフードチェーン
の各要素の境界面である。
製品の意図的汚染の可能性は、汚染箇
所が生産と流通の現場に近いほど高くな
る傾向にある。しかしながら、罹患率や死
亡率がより大きくなる可能性は、一般的に、
危害物質が消費場面に接近した所で混入
されるほど増大する。
テロ攻撃の手段として
何故、バイオなのか?
ヒトの健康を障害し、生命を奪う様々な危害物質の中で、入手が簡
単(自然界にある)、高度技術や大規模設備を必要としない、安価であ
ることから、資金力に限りがあるテロ組織には魅力的。
病原体は増殖することから、散布した地点に留まらず、広域に広が
る。ボツリヌス菌が産生する毒は、人工化学物質が及ばない地上最強
の経口毒である。
何故、食料なのか?
世界流通している食料は広範囲の被害を作り出す手段として最
適である。発展途上国で混入すれば、多数の輸入国を攻撃できる。
食は生命の基本であり、それを破壊することは、たとえ小規模で
あっても、心理的影響は絶大である。
農業テロに対する戦略的連携計画
Strategic Partnership Program Agroterrorism (SPPA) 2005年8月
国土安全保障省(DHS)、米国農務省(USDA)、食品医薬品局(FDA)、および連邦捜査局
(FBI)は、農業テロに対する戦略的連携計画 (SPPA)構想という共同構想の下で、民間産業
と国が共同作業することになった。 SPPA構想は、業界企業、商業団体あるいは州政府が
自主的に参加する真の連携計画である。
計画の目的: 連邦政府は、産業界と州政府の志願者と連携して以下のことを計画する
● 重要設備基盤/主要資源の査定によって食料部門全体の脆弱性を確認/特定する。
行政の谷間、行政と民間部門のズレ、生産者と消費者のズレ
a. 間隙の特定
b. 特定された研究の必要性を中核的研究拠点と部門別機関に知らせる
c. 判明した教訓の一覧を作る
● 攻撃計画を意味する指標と警告を特定する。
● 脅威を減らし、攻撃を防ぐための緩和戦略を策定する。戦略には、産業界または政
府が脆弱性を減らすために採用可能な行動を含む。
● 食料と農業部門のために米国政府が実施した査定を検証する。
● 米国政府と産業界が採用している既存の手法を強化するための情報を収集する。
● 警告と指標、主な脆弱性、および可能な緩和戦略を含む包括的な報告書を米国政府
と産業界に提供する。
● 国家重要インフラ防護計画( NIPP )および国の事前準備目標を支えるため、国の重
要設備基盤の脆弱箇所を判定するため査定結果を取りまとめて米国政府への報告書の一
部とする。
● 訪問した重要な食料と農業部門と一緒になって、連邦政府、州政府、地方自治体、な
らびに、食料と農業部門との関係を確立・強化する。
食の安全に関わる獣医師の責務
食料生産
Food Production
食の安全
Food Safety
食文化
食の防犯
Food Security
食料の品質
Food Quality
生産者、処理・加工業者、流通業者、飲食業者、ならびに、
一般消費者に対して、正確な情報を提供し、食に対する健全な
考え方を広め、食の安全と防犯の向上を図り、過失、犯罪、な
らびに、テロによる社会的混乱を最小限に食い止める。
パート 4
食の確保
世界の食糧事情
自給率40%の日本
● 国際的食料事情
新世紀の発展目標に関する報告 2005
国際連合
目標 1:
目標 2:
目標 3:
目標 4 :
目標 5 :
目標 6 :
目標 7 :
目標 8:
極度の貧困と飢餓の克服
一般的な初等教育の達成
男女平等の推進と女性への公的権限の付与
小児死亡率の低減
母体の健康増進
HIV/AIDS, マラリアおよびその他の疾病の克服
環境の持続性を確保
発展のための地球的規模での提携の推進
新世紀の発展目標に関する報告
2005 2005
国際連合
The Millennium
Development Goals Report
United Nations
サハラ以南のアフリカ
南アジア
目標
Goal1.1. 極度の貧困と飢餓の
Eradicate extreme
poverty
克服
& hunger
サハラ以南のアフリカ
南アジア
東南アジア
東アジア
ラテンアメリカとカリブ海沿岸
西アジア
北アフリカ
発展途上地域
2015年の目標
不十分な食事で生活し
ている人口の割合(%)
Global poverty rates are falling, led
世界の貧困率は低下しており、それは
東南アジア
by
Asia. But millions more people
アジアがもたらした。しかし、サハラ以南
have sunk deep into poverty in subのアフリカだけで100万人以上が貧困に
東アジア
Saharan Africa, where
the poor are
体重が足りない5歳以
喘いでおり、しかも貧困が更なる貧困を
getting poorer. 下の子供の割合(%)
西アジア
生んでいる。
Progress has been made against
飢餓対策は進展してきたが、農業生産
hunger,
but slow growth of agricultural
北アフリカ
output
and expanding populations
高の成長が遅く、ある地域では増大する
have led to setbacks in some regions.
人口が後戻りさせている。1990年以降、
ラテンアメリカとカリブ海沿岸
Since 1990, millions more people are
サハラ以南のアフリカと南アジアにおい
chronically hungry in sub-Saharan
て数100万人が恒常的な飢餓状態にあ
発展途上地域
Africa
and in Southern Asia, where
り、それらの地域では5歳以下の子供達
half the children under age 5 are
の半数が栄養失調に陥っている。
malnourished.
Dietary
Energy Consumption (2000
(2000 -- 2002)
2002)
1日当りカロリー摂取量
サハラ以南のアフリカにおける栄養不足人口(100万人)
1969-71 1979-81
92.8
127.0
1990-92
169.0
1995-97 2001-3
196.6
206.2
Undernourished
Population (2000
(2000 -- 2002)
2002)
栄養不足の人口割合
穀類
インド
砂糖類
中国
芋・豆・野菜
エジプト
肉類
日本
卵類
乳製品
イギリス
魚介類
ドイツ
その他
フランス
米国
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
1人1日当たりKcal
カロリー供給量の食品別割合の比較 (2002年)
(総務省統計局)
食品1kgを生産するた
めに必要な穀物量
(農水省試算)
牛肉
11 kg
豚肉
7 kg
鶏肉
4 kg
鶏卵
3 kg
大豆油
5 kg
菜種油
2 kg
食肉については、可食部の
生産に必要なとうもろこし量。
油については、各原料の量。
飼料要求率=
飼料摂取量
増体量
鶏肉の飼料要求率=約2
100
90
80
70
60
億 50
人 40
30
20
10
0
世界
発展途上国
先進国
世界人口の推移と予測
(総務省統計局)
食事内容が改善され、動物性蛋白や油脂の摂取
量が増えると、そのまま食べる穀物量は相対的に
少なくなる。かつては穀物輸出国であった中国が
輸入国に転じた理由は、経済的発展による食事内
容の改善であった(日本も同様)。
肉(kg)、伸び率(%)
60
乳(kg)
600
Live stock to 2020
The Next Food Revolution
50
500
1999, FAO
40
400
30
300
20
200
10
100
0
0
-5
先進国 途上国
先進国 途上国
先進国 途上国
先進国 途上国
牛肉
豚肉
鶏肉
乳
一人当たり年間摂取量の予測
:1993年、
:2020年(推定)、
:伸び率=2020年/1993年
ECOSYSTEMS
AND HUMAN WELL-BEING
: Health Synthesis
生態系と人類の福祉:
健康の創生
A Report of新世紀の生態系アセスメント報告
the Millennium Ecosystem Assessment
World Health
Organization
2005
WHO
2005
死亡率の低い先進国では、食事と関連するリスクは主に栄養過剰と
運動不足によるものですが、病気に罹る10分の1から3分の1に及んで
おり、それらは、主として高血圧、冠状動脈性心臓病ならびに糖尿病
のような健康状態に起因する。
5歳未満死亡率
(2003年推定)
170~318
110~170
55~110
25~55
3~25
データなし
1000名の新生児の中で、5歳までの死亡数
WHO 2005
主要国の食料自給率の推移
(農水省)
35
大豆
30
25
割
合 20
(
%
) 15
10
5
33.8%
肉類
24.8%
とうもろこし
10.2 %
5.8%
0.7%
3.1%
農産物合計
小麦
人口 2%
0
世界の人口と農産物輸入額に占める日本の割合
海外食料需給レポート2002(農水省)より
食の権利
Hunger
is both a violation of human dignity and an obstacle to social,
飢餓は、人間としての尊厳への侵害であり、また、社会的、政治的、ならびに経
political
and economic progress. International law recognizes that
済的発展への障害となっている。国際法では、何人も飢餓から解放される基本的
everyone has the fundamental right to be free from hunger, and 22
権利を有するとしており、22カ国が「食の権利」を憲法において定めている。一国
countries have enshrined food rights in their constitutions. National
の政府は、国民が健康で活気に満ちた生活を過ごすために、十分量の、安全で、
governments must do everything possible to ensure that people have
栄養価の高い食品を物理的および経済的に手にすることができることを保証する
the physical and economic access to enough safe, nutritious food to
上で可能なあらゆる方策を実施しなければならない。
lead healthy and active lives.
食の権利は、無制限の食料ではない
The right to food, not free food
A common misunderstanding is that the right to food requires the State
一般的に広まっている誤解は、食の権利は人々を養うことを国連に求めることで
to feed its people. This is not necessarily the case. Rather, the State must
あるという見解である。これは必ずしも正しくはない。むしろ、個人が自ら食べる権利
respect and protect the rights of individuals to feed themselves. Direct
を国連は尊重し保護すべきである。直接的な食料援助は、主として、自然災害や戦
food assistance is mainly called for in emergencies, such as natural
争のような緊急事態に要請されることである。国家が自らの資源でこの要請に応え
disasters or war. When a country cannot meet this need through its own
ることができない時に、国連は国際的支援を要請しなければならない。
resources, the State must request international assistance.
1930年代の世界不況
自国の産業保護
関税引き上げ
貿易数量制限
為替制限
1944年 ブレトン・ウッズ会議(米国)
世界戦争の回避策
1947年 第1回関税交渉妥結 → ガット採択
第二次世界大戦
国際復興開発銀行( IBRD ;1945)
国際通貨基金( IMF ;1947)
ガット体制(GATT; 1948 )
「関税及び貿易に関する一般協定」
経済紛争の元となる貿易障壁をなくし、自由貿易を確保する基本原則
(i)貿易制限措置の削減
(ii)貿易の無差別待遇(最恵国待遇、内国民待遇)
GATT 第20条 一般的例外: 動植物防疫に係る検疫等の措置
「衛生植物検疫措置の適用に関する(SPS)協定」
ケネディ・ラウンド(1967) 、東京ラウンド(1979 )妥結
ウルグアイ・ラウンド(1986 ~1994)妥結: 農産物貿易の原則自由化
1995年 世界貿易機関( WTO ) ← ガット体制
「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(通称:WTO設立協定)」
「農業に関する協定」
食料の輸出入における安全性確保と関わる国際的枠組み
リスクが減るのは2箇所だけ
リ
ス
ク
・
レ
ベ
ル
の
モ
デ
ル
薬食動病
剤中物気
耐毒薬
性菌残
菌 留
農
食用に供するニワトリやブタは、生成熟前の子
供であり、養鶏場や養豚場は「大規模な保育
ばを し を調
園」に相当する。衛生環境が整った保育園でも
、室 か 殺理
的温 間増 る 輸
菌温 し 滅時
感染症の流行は避けられず、医者に掛らずに
基度 も殖 に 送
はで 、 すの
つ
準
管
に
距
長
子育てをすることは不可能である。まして、トイ
増の 食 る加
れ
必
く
も
理
離
査に に と
殖放 材 。熱
、
レを使用しない家畜においては・・・・
要
な等 な 細 が
基よ畜
す置 や
づる検
く法査
検律員
いの るな 菌 延
。法 。時 び
場
食肉センター
流 通 過 程
素 飼 畜 動
畜 料 舎 物
薬
・
飲 環
水 境
食 解 カ 出
肉 体 ッ 荷
ト
検
査
輸 市 問 小
送 場 屋 売
店
るす 料
。れ 理
は
細
菌
消費過程
調 保 喫
理 存 食
食肉の安全性に関わる社会システム(1)
リ
ス
ク
・
レ
ベ
ル
の
モ
デ
ル
農場における
適正な衛生管理
Pathogen
Reduction / HACCP
病原体低減/HACCP
解体処理工程など
食肉センターの
衛生管理
GAP
QAP
?
HACCP
流通過程が
変わらなければ
農
消費者は
?
リスクは
残る!
場
食肉センター
流 通 過 程
消費過程
素 飼 畜 動
畜 料 舎 物
薬
・
飲 環
水 境
食 解 カ 出
肉 体 ッ 荷
ト
検
査
輸 市 問 小
送 場 屋 売
店
調 保 喫
理 存 食
食肉の安全性に関わる社会システム(2)
Sanitary
Food Transportation
Act
食品輸送衛生法
(米国、1990)
Kitchen
HACCP
台所のHACCP
Good適正取扱い規範
Handling Practice
リ
ス
ク
・
レ
ベ
ル
の
モ
デ
ル
GAP
QAP
流通過程の
衛生基準
?
消費者
教育
?
HACCP
農
場
食肉センター
流 通 過 程
消費過程
素 飼 畜 動 食 解 カ 出
輸 市 問 小
調 保 喫
「農場から食卓まで」の、全ての段階で安全性確保対策を実
畜 料 舎 物 肉 体 ッ 荷
送 場 屋 売
理 存 食
ト
環
薬
検
店
・
飲
施することによって、初めてリスクが小さくなる。
査
水 境
食肉の安全性に関わる社会システム(3)
安心立命
科学と宗教は
車の両輪
安全性
仏教
仏陀釈迦牟尼の教え
キリスト教
イエスの教え
自然科学
宗教
生物学、医学、農学、工学、・・・
社会科学
イスラム教
科学
マホメットの教え
法学、経済学、・・・
人文科学
現実によって動く心の世界の解明と導き
歴史、心理学、文学、・・・
2000年変わらぬ世界
現実にある事象の解析と解決方法の提示
日進月歩の世界
世界観
生命観