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21世紀COE外国旅費補助・成果報告会
国際会議 TeV Particle Astrophysics 2007
Venice, Italy 27-31, August, 2007
京都大学基礎物理学研究所
博士課程1年
村瀬 孔大
出張概要
8月27日出国
9月2日帰国
国際会議名: TeV Particle
Astrophysics 2007 (毎年開催)
会議場所: ベニス イタリア
旅費宿泊費・会議登録費:
合わせて約30万円
補助していただきました
Nice boats.
会議の主旨及び概要
 Astroparticle Physics全般
ほぼ全ての研究分野を実験・観測及び
理論の側面から網羅
・High energy cosmic-rays
・High energy neutrinos
・High energy gamma-rays
・Dark Matter
・Particle physics
 Plenary Sessions (20名)+
9つのParallel Sessions
(ポスター発表はなし)
 会議参加者: USA, Italy, Germany
など世界各国から発表者約150名
京大からは長滝准教授(基研)、
戸谷准教授(宇物)、中森氏(宇宙線)、
西村氏(宇宙線)、青井氏(基研)が参加
会議の内容及び印象1
 Plenary Sessions
・最高エネルギー宇宙線関係 ← Olinto, Semikozら
Augerの結果に主な焦点がおかれる。会議全体で一番印象的。
・高エネルギーニュートリノ関係 ← Stanev, Spieringら
IceCube及びKM3Net(ANTARES,NEMO,NESTOR)の結果など。
・高エネルギーガンマ線関係 ← Hofmann, Michelsonら
HESS, AGILEの成果報告、及びGLASTで期待される結果。
・高エネルギー物理関係 ← Quiggら
LHCでわかること。HiggsやBH形成などの話。
・ダークマターとか ← Bergstromら
直接検出、間接検出のレビューなど。PAMELAの成果なども。
ICRC(Mexico)の発表内容と重複するものが多かったように思われる
会議の内容及び印象2
 Parallel Sessions 個人的に印象に残った発表等
○1日目
・Katz: 超新星残骸からのTeVガンマ線。陽子起源 vs 電子起源の
議論。 Aharonianがそれに対し反論し、穏やかでない空気に…
・Gabici: 最高エネルギー宇宙線がつくるカスケードガンマ線につい
て磁場入りの定量的な計算。
・Budnik: 準相対論的な衝撃波を起こす超新星残骸が存在する可
能性とそこでの宇宙線加速の議論。
○2日目
ニュートリノのセッション。私もここで発表。
○3日目
・Rodejohann, Blum, Kashtiらによる天体からのニュートリノにおけ
るニュートリノ振動の議論。
・Mena: 余剰次元があるときの宇宙背景ニュートリノ放射による
GZKニュートリノスペクトルへの補正効果の議論。
・Taylor: さまざまな天体からのニュートリノ放射のスペクトル計算と
検出予測。計算方法などについて私も質問した。
私の発表
Neutrinos
高エネルギーニュートリノ(>TeV)の
検出を狙ってIceCube, ANTARESな
どの大型ニュートリノ検出装置が建
設中。
観測グループからの参加者が多数。
理論の発表者はHooperと私のみ。
→ 私たちの理論的な成果を紹介す
るチャンスでした!
私の発表後Taboada氏、Kowalski氏
が発表。私の結果も紹介される。
(ちなみに彼らとは会議前から親交
がある。)
High Energy Neutrino Emission
from Gamma-Ray Bursts
Kohta Murase
(YITP, Kyoto Univ.)
Collaborators
Shigehiro Nagataki (YITP, Kyoto Univ.)
Kunihito Ioka (Phys. Dep. Kyoto Univ.)
Takashi Nakamura (Phys. Dep. Kyoto Univ.)
Fabio Iocco (KIPAC, Stanford Univ.)
Pasquale D. Serpico (CPA, Fermi Lab.)
研究目的:ニュートリノで陽子加速を見る
宇宙線スペクトル
宇宙には3×1018eVを越えるエネルギー
を持つ宇宙線(最高エネルギー宇宙線)
が存在。Emax ~ 3×1020 eV ~ 50 J!!
起源は未だに全くわかっていない!
しかし宇宙線を最高エネルギーまで
加速できる候補天体は多くはない
活動銀河
加速された陽子が天体の中にいる光子とぶつかると…
pγ 反応
p +γ → π , K → ν , γ
ガンマ線バース
ト
△
ニュートリノこそ天体での陽子加速の最も明確な証拠となる!
(・π0からのγは宇宙背景放射などに吸収される)
次世代大型ニュートリノ観測機器
IceCube (Antarctica)
KM3 (Mediterranean)
Km3 ice Cherenkov
Km3 water Cherenkov
ANTARES
Complementary sky coverage!
taken from IceCube homepage
+
NEMO, NESTOR
→数年後完成予定。予言されているモデルのテストが可能!
taken from ANTARES homepage
ガンマ線バーストとは?
私たちはガンマ線バーストという天体現象に注目!
•宇宙で最も明るい爆発現象 (L~1051-52 ergs s-1 太陽の1018倍)
•宇宙論的距離で起こっている (~100億光年程度)
•年間~1000発程度起きている (超新星の千分の一程度)
•ジェットだと考えられている(生成機構はよくわかっていない)
•大質量星の最期と関係している (一部に超新星が付随)
光度
変動時間~ ms
残光
即時放射(GRB)
X線、光学、電波
ガンマ線~250 keV
継続時間:10-3s~103s
10-102s
103-104s
時間
内部&外部衝撃波モデル
即時放射(GRB)
残光
ローレンツ因子G>100
運動エネルギー
↓
衝撃波
加速
磁場
光度
熱
時間
研究の特徴
Waxman & Bahcall (1997(即時放射), 2000(残光))
•GRBが最高エネルギー宇宙線の起源と仮定
•即時放射と残光に伴うニュートリノの検出の可能性を初めて指摘
KM & Nagataki, PRD, 73, 063002 (2006)
KM, PRD, in press (2007)
•pγ反応断面積の扱い:
長方形近似→断面積をより正しく評価
•GRB発生率の扱い:
宇宙進化を考慮せず→宇宙進化を考慮
•パイオンやミューオンの冷却効果
Δ共鳴
+
Swift衛星による最近の新たな発見をうけて
GRBからの宇宙線、ニュートリノの新たな可能性を指摘
KM & Nagataki, PRL, 97, 051101 (2006) KM, Ioka, Nagataki, & Nakamura, ApJL, 651, L5 (2006)
即時放射、残光からのニュートリノ
KM & Nagataki, PRD, 73, 063002 (2006)
KM, PRD, in press (2007)
即時放射
残光
(最高エネルギー領域の加速陽子エネルギー)~(GRBの放射エネルギー)と仮定
•ν即時放射→即時ガンマ線と相関、IceCubeで年間10イベント程度
•ν残光→残光と相関、IceCubeで年間1イベント以下
断面積をより精密に評価→高エネルギー側でファクター程度
→テンプレートとしてIceCubeグループが利用 (Achterberg et al. 07)
しかし、ニュートリノが出る可能性はこれだけではない
Swift衛星による新しい発見
①初期残光中のフレア
• 主にX線くらいで光っている
• 全エネルギーが即時放射に
匹敵するものもある
• 比較的低いローレンツ因子
• バリオンあり?vsバリオンなし?
発
生
率
Liang et al. (06b)
×100-1000倍
暗
明
光度
フレア
Burrows et al. (07)
②光度の暗いGRB
• GRB060218は超新星と相関
した近傍のGRB
• 普通のGRBよりもずっと暗い
(~200Mpcより遠いと見えない)
• 普通のGRBより発生率が高い
フレアや暗いGRBでもバリオン加速が起こっているならば、
ニュートリノや宇宙線を作るソースとして重要な寄与!!
Swift観測から示唆される新たな可能性
KM & Nagataki, PRL, 97, 051101 (2006)
KM, Ioka, Nagataki, & Nakamura, ApJL, 651, L5 (2006)
KM, PRD, in press (2007)
明るいGRB
暗いGRB
高エネルギー側で即時放射
より支配的な寄与
フレア
νフレア→フレア及び初期残光と相関、IceCubeで年間数イベント程度
暗いGRB→暗いので相関期待できず、IceCubeで年間数イベント程度
ニュートリノによるアプローチ
フレア→νでバリオンありかバリオンなしか、モデルを判定できる
暗いGRB→νを見てGRBに付随した遠方超新星を見つける可能性
GRBからのニュートリノ・まとめ
 GRB中での陽子加速はニュートリノで見ることができる
 GRBの標準モデルにおけるニュートリノ即時放射、残光
のスペクトルに対するより定量的な計算
→IceCubeグループがテンプレートとして利用
 Swiftの観測にもとづいてGRBからニュートリノを観測す
る新たな可能性を指摘
1. フレア及び初期残光からのニュートリノ放射
2. 光度の暗いGRBでの宇宙線加速及びニュートリノ放射
 観測できればGRBのモデル、及びGRB中での陽子加速
に迫る重要な手がかり
 GRB=最高エネルギー宇宙線起源仮説の検証
 ニュートリノ天文学はこれから!
Meszaros (2001)
EeV neutrinos
PeV neutrinos
TeV neutrinos
from external shocks
from
internal
shocks
MeV neutrinos
from inside the star
(Waxman & Bahcall 2000)
HL GRBs
at collapse (Meszaros & Waxman 2001)
(Dermer 2001)
(Waxman & Bahcall 1997)
(KM 2007)
( Razzaque et al. 2003)
(KM & Nagataki 2006) PeV-EeV neutrinos
(Iocco, KM et al. 2007)
LL GRBs
from flares
(KM et al. 2006)
(KM &Nagataki 2006)
(KM et al. in prep.)
聴衆の質問及び反応
 Kowalski氏からニュートリノ残光についての質問を受けた。質問に
答えた後、私の最近の論文(KM 2007, PRD, in press)で詳細な議論をし
たので紹介した。
 私と同様な計算をしているTaylor氏から私の計算で採用しているパ
ラメータの値などについて細かい質問を受けた。
 UC BerkeleyのTaboada氏と
TeVニュートリノについて議
論。スペクトル計算の要請。
またUC Berkeleyでセミナーを
させていただけるそう。
 IceCube,KM3Netの人々に
Dinnerに誘ってもらえた。
有益な話を聞くことができた。
総括
•最高エネルギー宇宙線、高エネルギーニュートリノ及びGeV以上のガ
ンマ線観測は最近著しい進展を見せています。
•本会議では特に「ガンマ線バーストからのニュートリノ」というテーマに
絞って発表し、私たちの成果を十分に宣伝することができました。
特にIceCubeグループの人々と仲良くなり、本会議の約1週間後仙台
で行われた国際会議TAUP2007でもHalzen教授などWisconsinMadisonの人々をはじめ彼らと更に交流を深めることに繋がりました。
•最高エネルギー宇宙線の観測の現状を始め、幅広い知見が得られま
した。既に本会議で動機づけられて調べていることもあります。
またニュートリノだけでなく、ガンマ線及び宇宙線についての研究も
行っていますので本国際会議を足がかりとして自身の研究の更なる
発展が見込めると考えております。
Grazie!
補助を頂きましてありがとうございました