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ホームレス問題
東京学芸大学
鈴木亘
ホームレスの分布状況
ホームレスの生活(墨田区、全国調査)
ホームレスの就労問題(墨田区)
ホームレスの健康問題(検診調査)
政府の対策
自立支援事業の課題(墨田区調査)
生活保護の課題(西成調査)
ホームレスの分布状況
•都市の中の分布状況(鈴木亘「小地域情報を用いた
ホームレス居住分布に関する実証分析」, 2004年10
月, 『季刊・住宅土地経済』No.54,pp. 30-37、
•鈴木亘「GISを用いたホームレスの生活圏分析と都
市政策」,2003年4月,山崎福寿・浅田義久編「都市再
生の経済分析」 )
• 1.ホームレスの規模と分布
• 少し古いが(現在、5年ぶりに全国調査を厚
生労働省が実施中)、平成13年12月5日厚
労省社会援護局取りまとめでは2万4千人。
実数は3万~5万程度が有力。
• 東京23区、大阪市、横浜市、川崎市、名古屋
市の5大都市に70%以上が集中。
• ただし、傾向としては周辺市町村を中心に面
的に広がりつつある。
地方自治体名
今回調査
(平成13年9月末)
17,081人
5都市計
5,600人
平成13年8月
横浜市
602人
平成13年8月
川崎市
901人
平成13年7月
名古屋市
1,318人
平成13年5月
大阪市
8,660人
平成10年8月
東京都23区
1,900人
その他指定都市計
札幌市
68人
平成12年12月
仙台市
131人
平成13年8月
千葉市
123人
平成13年8月
京都市
492人
平成12年6月
神戸市
341人
平成13年8月
広島市
207人
平成13年2月
北九州市
197人
平成13年8月
福岡市
341人
平成13年8月
• 居住地は、公園、河川敷が大半。
1.表2 調査地域別の状況
都市公園
河川
道路
男
8,082
5,182
3,127
1,165
3,105
20,661
女
325
151
102
62
109
749
不明
1,903
573
1,131
27
252
3,886
合計
10,310
5,906
4,360
1,254
3,466
25,296
40.8
23.3
17.2
5.0
13.7
100.0
%
駅舎 その他施設
合計
• 2.ホームレス数の趨勢
• 経年比較は困難であるが、平成6・7年頃から急増
した模様。最近は広域化。
• 後に述べるように、自立支援法施行後の各種対策
の結果、現在はやや減少していると思われる。
東京都23区
• 大阪市内の主要公園におけるテント・小屋居住の
ホームレス数推移
3000
人
2500
2000
1500
1000
500
年
8月
平
成
12
年
2月
平
成
12
年
8月
平
成
11
年
2月
平
成
11
年
8月
平
成
10
月
平
成
9年
11
平
成
8年
7月
0
• 都市の中の分布(大阪市)
定住者(公園、河川敷中心)
非定住者(日雇労働市場を中心に
分布、駅舎周辺にも分布)
• 職業へのアクセスが重要、食料環境、健康と
の関連性も高い。したがって、都市中心の商
業地・住宅地と重なることになる。
• ホームレス居住で住宅価格、家賃下落。
• 周辺住民との摩擦が必然的。
区市町村別ホームレス概数一覧(平成16年2月) 単位:人
千代田区
183(206) 品川区
47(27) 北区
100(72)
中央区
198(168) 目黒区
14(22) 荒川区
58(100)
港区
159(139) 大田区
103(105) 板橋区
85(81)
新宿区
982(772) 世田谷区
100(92) 練馬区
58(36)
文京区
72(123) 渋谷区
574(533) 足立区
65(79)
台東区
968(1,103) 中野区
56(70) 葛飾区
91(77)
墨田区
848(981) 杉並区
江東区
185(139) 豊島区
23区合計
42(39) 江戸川区
178(174)
199(195)
5,365(5,333)
八王子市 15(22) 小金井市 11(8) 東大和市
5(8)
立川市
2(8) 清瀬市
3(3)
武蔵野市 13(18) 日野市
4(2) 東久留米市
2(3)
三鷹市
16(20) 東村山市
7(8) 武蔵村山市
2(2)
青梅市
0(0) 国分寺市
府中市
5(9) 小平市
17(33) 国立市
昭島市
1(10) 西東京市
調布市
8(9) 福生市
町田市
11(15) 狛江市
市町村合計
4(5) 多摩市
16(11)
4(3) 稲城市
2(1)
2(2) 羽村市
0(1)
5(5) あきる野市
3(6)
1(0) 町村部
0(0)
159(212)
ホームレスの実像
•厚生労働省全国ホームレス実態調査(2003年)
•鈴木亘ほか「墨田区ホームレスの特徴~実態調査
の結果から~」, 2005年12月, 『季刊shelter-less』
No.27, pp 125-141
• 全国調査より
• 圧倒的な割合が男
表1 性別
人数
% 有効%
男性
2,014
93.1
95.2
女性
101
4.7
4.8
2,115
97.8
100.0
48
2.2
有効回答数
無回答
合計
2,163 100.0
表2 年齢分布(5歳ごと)
• 年齢は中高年
平均年齢は、
55.9蔵。「50
~64歳」が全
体の65.7%を
占める。
人
% 有効%
19歳以下
0
0.0
0.0
20~24歳
3
0.1
0.1
25~29歳
10
0.5
0.5
30~34歳
28
1.3
1.3
35~39歳
56
2.6
2.6
40~44歳
103
4.8
4.8
45~49歳
214
9.9
9.9
50~54歳
473 21.9
22.0
55~59歳
504 23.3
23.4
60~64歳
437 20.2
20.3
65~69歳
225 10.4
10.5
70~74歳
75
3.5
3.5
75~79歳
20
0.9
0.9
80歳以上
4
0.2
0.2
表2 問2 今の場所を寝(野宿)場所とするようになってどのくらいたちますか。
人数
% 有効%
1ヶ月未満
108
5.0
5.7
1ヶ月~3ヶ月未満
145
6.7
7.7
3ヶ月~6ヶ月未満
195
9.0
10.3
6ヶ月~1年未満
253
11.7
13.4
1~3年未満
587
27.1
31.1
3~5年未満
335
15.5
17.8
5年以上
262
12.1
13.0
1,885
87.1
100.0
無回答
8
0.4
非該当
270
12.5
有効回答数
合計
2,163 100.0
表3 問3 どのようにして寝(野宿)場所を作っていますか。
人数
% 有効%
廃材やダンボール、ブルーシートによるテント又は小屋を常設 1,109
51.3
54.4
ダンボール等を利用して寝場所をつくっている
472
21.8
23.2
簡単に敷物(寝袋・毛布等)を敷いて寝ている
254
11.7
12.5
91
4.2
4.5
111
5.1
5.4
2,037
942
100.0
126
5.8
寝場所は特につくらない
その他
有効回答数
無回答
合計
2,163 100.0
表4 問4 食事は1日どのくらい摂れていますか。最近一週間の状況を教えてください。
人数
% 有効%
1日1回
364
16.8
16.9
1日2回
995
46.0
46.2
1日3回
622
28.8
28.9
その他
173
8.0
8.0
有効回答数 2,154
99.6
100.0
無回答
合計
9
0.4
2,163 100.0
表5 問5 初めて路上(野宿)生活をしたのは、どのくらい前ですか。
人数
% 有効%
1,356
62.7
63.1
5年~10年未満
476
22.0
22.1
10年~15年未満
178
8.2
8.3
15年~20年未満
51
2.4
2.4
20年以上
89
4.1
4.1
2,150
99.4
100.0
13
0.6
5年未満
有効回答数
無回答
合計
2,163 100.0
表8-1 問8 現在収入ある仕事をしていますか。
人数
している
% 有効%
1,400
64.7
64.7
763
35.3
35.3
有効回答数 2,163 100.0
100.0
していない
無回答
合計
0
0.0
2,163 100.0
表8-2 問8 現在収入ある仕事をしていますか。(「している」と回答した者の内訳)
(複数回答)
件数 回答% ケース%
建設日雇
234
15.7
17.0
廃品回収
1,011
67.9
73.3
運輸日雇
30
2.0
2.2
その他雑業
23
1.5
1.7
191
12.8
13.8
1,489
100.0
107.9
有効回答者数 1,380
98.6
その他
有効回答数
無回答
合計
20
1.4
1,400
100.0
表9 問9 収入は月額どれくらいありますか。(ここ3ヶ月くらいの平均)
人数
% 有効%
28
1.3
2.0
1000~5000円未満
129
6.0
9.4
5000~1万円未満
186
8.6
13.6
1~3万円未満
481 22.2
35.2
3~5万円未満
258 11.9
18.9
5~10万円未満
185
8.6
13.5
10~15万円未満
38
1.8
2.8
15~20万円未満
17
0.8
1.2
20万円以上
18
0.8
1.3
その他
27
1.2
2.0
1000円未満
表12 問12 同じテントで同居したり一緒に生活・移動をしている人はいますか。
人数
一人で
% 有効%
1,672
77.3
77.3
友人・知り合いと
363
16.8
16.8
配偶者(内縁を含む)と
106
4.9
4.9
子どもと
3
0.1
0.1
その他の親族と
5
0.2
0.2
13
0.6
0.6
2,162 100.0
100.0
その他
有効回答数
無回答
合計
1
0.0
2,163 100.0
表13 問13 路上(野宿)生活で、とても困ったり、辛かったりするのはどのようなこと
ですか。あてはまるものをいくつも選んでください。
(複数回答)
件数 回答% ケース%
食べ物が十分にないので辛い
838
22.8
40.1
寝る場所を探すのにとても苦労している
320
8.7
15.3
寒さをしのげず辛い
728
19.8
34.8
入浴、洗濯などができなくて、清潔に保つことができず困る
811
22.1
38.8
その他
973
26.5
46.6
有効回答数
3,670
100.0
175.7
有効回答者数
2,089
96.6
74
3.4
2,163
100.0
無回答
合計
表14 問14 路上(野宿)生活をする前にやっていた仕事は何ですか。
人数
% 有効%
専門・技術的従事者
21
1.0
1.0
管理的職業従事者
18
0.8
0.9
事務従事者
24
1.1
1.1
販売従事者
90
4.2
4.3
サービス従事者
187
8.6
8.9
保安職業従事者
56
2.6
2.7
農林漁業作業者
12
0.6
0.6
運輸、通信従事者
78
3.6
3.7
0
0.0
0.0
221 10.2
10.5
採掘作業者
生産工程・製造作業者
印刷・製本作業者
19
0.9
0.9
建設技能従事者(大工、配管工など)
426 19.7
20.3
建設作業従事者(土木工、現場片づけなど)
733 33.9
34.9
労務・運搬作業従事者
65
3.0
3.1
清掃作業・廃品回収
61
2.8
2.9
その他
91
4.2
4.3
2,102 97.2
100.0
有効回答数
表15 問15 その時の立場はなんでしたか。
人数
% 有効%
経営者・会社役員
46
2.1
2.2
自営・家族従業者
83
3.8
4.0
常勤職員・従業員(正社員)
834
38.6
39.8
臨時・パート・アルバイト
291
13.5
13.9
日雇
757
35.0
36.1
87
4.0
4.1
2,098
97.0
100.0
無回答
19
0.9
非該当
46
2.1
その他
有効回答数
合計
2,163 100.0
表16 問16 これまで一番長くやっていた仕事は何ですか。(主な仕事)
人数
% 有効%
専門・技術的従事者
30
1.4
1.4
管理的職業従事者
28
1.3
1.3
事務従事者
52
2.4
2.4
販売従事者
124
5.7
5.8
サービス従事者
252 11.7
11.7
保安職従事者
30
1.4
1.4
農林漁業作業者
30
1.4
1.4
108
5.0
5.0
3
0.1
0.1
368 17.0
17.2
運輸、通信従事者
採掘作業者
生産工程・製造作業者
印刷・製本作業者
27
1.2
1.3
建設技能従事者(大工、配管工など)
441 20.4
20.6
建設作業従事者(土木工、現場片づけなど)
473 21.9
22.1
労務・運搬作業従事者
58
2.7
2.7
清掃作業・廃品回収
31
1.4
1.4
その他
90
4.2
4.2
2,145 99.2
100.0
有効回答数
表18 問18 今回の路上(野宿)生活をするようになった主な理由は何ですか。あてはまる
ものをすべて選んでください。
(複数回答)
件数 回答% ケース%
倒産・失業
708
19.2
32.9
仕事が減った
768
20.8
35.6
病気・けが・高齢で仕事ができなくなった
406
11.0
18.8
収入が減った
354
9.6
16.4
49
1.3
2.3
家賃が払えなくなった
327
8.9
15.2
ホテル代、ドヤ代が払えなくなった
177
4.8
8.2
建て替え等による住宅の追い立てにあった
22
0.6
1.0
借金取立により家を出た
92
2.5
4.3
差し押さえによって立ち退きさせられた
12
0.3
0.6
病院や施設などから出た後行き先がなくなった
41
1.1
1.9
家庭内のいざこざ
160
4.3
7.4
飲酒、ギャンブル
126
3.4
5.8
その他
416
11.3
19.3
32
0.9
1.5
ローンが払えなくなった
理由無し
表19 問19 今回の路上(野宿)生活をする前に、住んでいたのはどこですか。
人数
% 有効%
持ち家(一戸建て、マンションなど)
173
8.0
8.1
民間賃貸住宅(アパート・マンション)
805 37.2
37.5
公共賃貸住宅(公団賃貸住宅・公営住宅等)
勤め先の住宅や寮
69
3.2
3.2
297 13.7
13.8
親族・知人宅
66
3.1
3.1
住込み先
76
3.5
3.5
飯場・作業者宿舎(飯場など現場に仮設された宿舎)
299 13.8
13.9
簡易宿泊所(ドヤ)
254 11.7
11.8
ビジネス・カプセルホテル・サウナ・映画館
41
1.9
1.9
病院
15
0.7
0.7
更正施設等の福祉施設
13
0.6
0.6
その他
41
1.9
1.9
2,149 99.4
100.0
有効回答数
表22 問22 これまで東京・山谷、横浜・寿町、大阪・釜ヶ崎、名古屋・笹島などで、仕
事をしたり仕事を探したことがありますか。
(複数回答)
件数 回答% ケース%
山谷(東京)
245
22.4
31.3
寿町
158
14.4
20.2
釜ヶ崎
386
35.3
49.4
笹島
153
14.0
19.6
その他の寄せ場
152
13.9
19.4
1,094
100.0
139.9
782
36.2
1,376
63.6
5
0.2
2,163
100.0
有効回答数
有効回答者数
なし
無回答
合計
表23 問23 現在、どこか身体の具合の悪いところはありますか。
人数
% 有効%
はい
通院
202
9.3
19.7
売薬
122
5.6
11.9
何もしていない
701
32.4
68.4
1,025
47.4
100.0
22
1.0
いいえ
1,115
51.5
無回答
1
0.0
有効回答数
はい(無回答)
合計
2,163 100.0
表24 問24 現在、どのような持病や障害がありますか。
(複数回答)
件数 回答% ケース%
高血圧
256
9.7
12.0
胃・十二指腸潰瘍
153
5.8
7.2
糖尿病
126
4.8
5.9
74
2.8
3.5
138
5.2
6.5
皮膚の病気
41
1.6
1.9
アルコール依存症
51
1.9
2.4
結核
18
0.7
0.8
身体障害
64
2.4
3.0
その他
699
26.4
32.7
病気はない
865
32.7
40.5
病気かどうか分からない
160
6.0
7.5
肝炎
ヘルニア
表34 問34 今後どのような生活を望んでいますか。
人数
きちんと就職して働きたい
% 有効%
1,021 47.2
49.7
アルミ缶回収など都市雑業的な仕事
138
6.4
6.7
行政から支援を受けながらの軽い仕事
176
8.1
8.6
就職できないので福祉を利用して生活したい
155
7.2
7.5
15
0.7
0.7
270 12.5
13.1
入院したい
今のままでいい(路上(野宿)生活)
わからない
その他
有効回答数
97
4.5
4.7
184
8.5
8.9
2,056 95.1
100.0
表35 問35 現在、就職するための求職活動をしていますか。
人数
% 有効%
求職活動をしている
688
31.8
32.0
求職活動をしていないし、今後も求職活動する予定はない
904
41.8
42.0
今は求職活動をしていないが、今後求職活動をする予定である
561
25.9
26.1
2,153
99.5
100.0
10
0.5
有効回答数
無回答
合計
2,163 100.0
事項(複数回答)
件数 回答% ケース%
近隣住民等からの嫌がらせ
158
7.0
7.4
通行人からの暴力
189
8.4
8.9
債権者等からの嫌がらせ
26
1.2
1.2
家族の問題
75
3.3
3.5
163
7.3
7.6
特にない
1,636
72.8
76.6
有効回答数
2,247
100.0
105.2
有効回答者数
2,135
98.7
28
1.3
2,163
100.0
その他
無回答
合計
• ホームレスの大半は単身の男、50歳以上の
中高年、慢性疾患を持っている場合も多い。
• その多くは、常勤職から日雇を経てホームレ
スにいたるというルートで説明できる。
• ホームレスの多くは、怠け者という見方は虚
像であり、就労率も高く、就労意欲も基本的
に高い。
• 現金収入も持っており、乞食・物貰いではなく、
自活している。
• 最近の調査になるほど以下の傾向がある。
• 常勤職・安定居住からいきなりのホームレス
化
• 高齢化が進んでいる。野宿暦も長期化。
• 「高齢者の参入」も増加。
• 緊急一時保護センター・自立支援センターを
利用したにも関わらず再路上化するケースが
2割も存在している。
• 高齢を主な理由として求職率が低くなる。今
後望む生活にしても、高齢化を背景として、
行政による軽い仕事の提供や生活保護の適
用といった行政の支援を求める声が多い。
• 一方、ごく最近の調査(にじれん調査)では、
若い層の存在も顕著になっている。
ホームレスの就労問題
• 鈴木亘「ホームレスの健康と就労」(2006年春
季日本経済学会発表論文)HP掲載
データ(墨田区ホームレス実態調査)
(1)調査方法
• (1)第一次調査
• ①調査地域 墨田区全域
• ②調査対象 墨田区内に起居する全ホームレス
• ③調査期間 平成16年10月~11月
•
•
•
•
(2)第二次調査(本調査)
①調査地域 墨田区全域
②調査対象 第一次調査で把握されたホームレス
③調査期間 平成16年12月
• ・墨田区委託調査。
• ・調査の実施は、NPOふるさとの会、研究者、
緊急地域雇用創出特別対策推進事業費 を
用いた元ホームレス調査員。
• NPOふるさとの会はアウトリーチや炊き出し
を通じてこの地区のホームレスとのコミュニ
ケーションを持つ。元ホームレス調査員の動
員によりさらに信頼性が確保。
• 質問をプラカードにして恣意性を統御。
表Ⅰ-1 地区分類表
地区分類名
地区の区間
地区略称
地区の具体的説明
A(白 鬚 橋 )地 区
綾瀬橋―白鬚橋―
銅像堀公園
白鬚橋地区
隅 田 川 沿 岸 の 綾 瀬 橋 か ら白 鬚 橋 を経 由 して
銅 像 堀 公 園 の 北 側 まで
B(隅 田 公 園 )地 区
銅像堀公園―隅田
公園
隅田公園地区
隅 田 川 沿 岸 の 銅 像 堀 公 園 か ら隅 田 公 園 ま
で
C(両 国 橋 )地 区
東武鉄橋―両国橋
両国橋地区
隅 田 川 沿 岸 の 東 武 鉄 橋 か ら両 国 橋 ま で
D(荒 川 )地 区
荒川河川敷全域
荒川地区
荒川沿岸全域
E(そ の 他 )地 区
隅 田 川 ・荒 川 河 川
域以外
その 他 地 区
上記以外の公園等
表Ⅰ-2 第一次調査:墨田区内のホームレスを把握する調査
地区
人
A(白 鬚 橋 )地 区
356
B(隅 田 公 園 )地 区
181
C(両 国 橋 )地 区
201
D(荒 川 )地 区
69
E(そ の 他 )地 区
28
合計
835
表Ⅰ-3 第二次調査:墨田区のホームレス生活実態調査
地区
対象者数
回収数
回収率
A(白鬚橋)地区
356
150
42.1%
B(隅田公園)地区
181
118
65.2%
C(両国橋)地区
201
97
48.3%
D(荒川)地区
69
46
66.7%
E(その他)地区
28
9
32.1%
835
420
50.3%
合計
データ説明
表 4
就労の有無
サンプル数
割 合 (% )
仕事あり
362
86.4
仕事なし
57
13.6
全体
表 5
419
100
職種(複数回答)
廃品回収
建設日雇
公的就労
運輸日雇
サ ンドイッチ マン
チ ケ ットな らび
屋台
その他雑業
その他
サンプル数
152
125
97
20
0
0
6
19
13
割 合 (複 数 回 答 )
43.6
35.8
27.8
5.7
0
0
1.7
5.4
3.7
注 )その 他 雑 業 とは 、家 電 修 理 ,車 整 理 ,交 代 勤 務 ,引 っ越 し,片 づ け ,宿 直 な
ど。その 他 は 、ホ テ ル 清 掃 ,近 所 手 伝 い ,缶 詰 販 売 ,衣 類 販 売 ,印 刷 ,小 屋 ば らし
手 伝 い ,倉 庫 フ ォ ー ク リフ トなど。
表 6
1 ヶ月あたりの収入
サンプル数
千円未満
千 円 ~ 5千 円 未 満
5千 円 ~ 1万 円 未 満
1~ 2万 円 未 満
2~ 3万 円 未 満
3~ 5万 円 未 満
5~ 10万 円 未 満
10~ 15万 円 未 満
15~ 20万 円
20万 円 以 上
全体
表 7
割 合 (% )
2
20
22
103
93
62
35
11
3
7
358
0 .6
5 .6
6 .2
2 8 .8
26
1 7 .3
9 .8
3 .1
0 .8
2
100
1 ヶ月あたりの労働日数
サンプル数
0 日 (就 労 な し と し て 処 理 )
1 , 2日
3 , 4日
5~ 9日
10~ 14日
15~ 19日
2 0 日 以 上 (具 体 的 日 数 あ り )
全体
5
55
82
63
32
19
66
322
割 合 (% )
1 .6
1 7 .0
2 5 .7
1 9 .5
9 .9
5 .9
2 0 .4
100
-2
-4
-6
lw a g e
0
2
賃金率(1日あたり収入)と労働日数の関係(対数)
0
1
2
ljo b d a y m
3
4
表 13
就労の有無と主観健康度
い つ も良 い ときどき悪 い 悪 いことが 多
い
こともある
仕事あり
割 合 (% )
仕事なし
割 合 (% )
全体
割 合 (% )
表 16
100
10 0
賃金率と主観健康度
いつ も良 い ときどき悪 い 悪 い ことが 多
い
こともある
賃 金 (万 円 )
0.784
0.59
0.778
0.55
いつ も悪い
0.664
0.603
0.53
0.68
合計
その他
25
24
22
102
138
サ ンプル 数
標準偏差
1 00
100
1 00
100
413
32
31
34
127
189
サ ンプル 数
13 .5
1 0.3
18.2
23 .5
10.9
13 .2
56
3
6
8
14
25
サ ンプル 数
86 .5
8 9.7
81.8
76 .5
89.2
86 .8
358
26
27
26
115
164
サ ンプル 数
合計
その他
いつ も悪い
0.772
0.53
315
0.760
0.57
まとめ
①ホームレスの賃金率と労働日数には負の関
係がある。⇒バックワードベンド+生活費・生
命維持費のターゲットがあるのではないか。
②賃金と健康間の悪循環も明確(健康の悪化
⇔賃金率低下、賃金率低下(→)労働日数→
健康の悪化、就労選択には健康は関係なし)
③職種選択の介在の可能性
①高賃金率のバックワードベンドならば、生活保護同
様の貧困の罠の可能性→罠の障壁除去により自
立促進ができる(移行支援事業、敷金支給、生活
費貸付、生活支援の継続、保険料・税の免除)
• 生活維持費ターゲットの低賃金率の人々は、最低
賃金を割り、過酷な長時間労働。廃品回収を条件
とした食料援助、一般的な食糧援助の可能性。
②健康と就労間の悪循環を断つ方法として、労働市
場への介入(就労創出、賃金補助、最低賃金)は
非効率、医療・健康への支援は効率的。
ホームレスの健康
• 鈴木亘「仮設一時避難所検診データを利用した
ホームレスの健康状態の分析」,2006年2月,『医療
と社会』Vol.15 No.3,pp.53-74
• 鈴木亘「医療扶助の適正化と改革のあり方に関す
る一試論」,単著, 2006年12月,『季刊shelter-less』
No.30,pp.125-137
• 大阪城一時仮設避難所入所ホームレスの検
診データの分析
• 慢性疾患を抱えるものの割合が8割以上
• 糖尿、高血圧、高脂血など、心臓関係の疾
患や脳関係の疾患に繋がるリスク群が多い。
また、肝機能障害も多い。
• 野宿期間が長くなるほど基本的に悪化。はじ
めの1年で急激に悪化する。
• 野宿期間における逆転現象。
要 精 検 ・ 指 導 以 上
(1) 最高血圧
(2) 最低血圧
(3) GOT
(4) GPT
(5) γ-GTP
(6) 血糖
(7) 総たんぱく
(8) A/G比
(9) 総コレステロール
(10) トリグリセリド
(11) HDLコレステロール
(12) BMI
(13) 尿酸
(14) クレアチニン
(15) 赤血球数
(16) ヘモグロビン
(17) ヘマトクリット
仮設一時避難所
0.262
(0.441)
0.191
(0.394)
0.052
(0.223)
0.023
(0.151)
0.133
(0.341)
0.295
(0.457)
0.012
(0.107)
0.029
(0.168)
0.162
(0.369)
0.289
(0.455)
0.040
(0.198)
0.011
(0.104)
0.092
(0.291)
0.491
(0.501)
0.012
(0.107)
0.006
(0.076)
0.058
(0.234)
組合
0.050
(0.219)
0.061
(0.239)
0.005
(0.067)
0.012
(0.110)
0.082
(0.275)
0.102
(0.302)
0.001
(0.038)
0.062
(0.241)
0.162
(0.369)
0.150
(0.357)
0.018
(0.133)
0.003
(0.055)
0.054
(0.227)
0.091
(0.287)
0.002
(0.041)
0.001
(0.037)
0.012
(0.110)
要 医 療
差
仮設一時避難所
+ ***
0.082
(0.275)
+ ***
0.077
(0.267)
+ ***
0.017
(0.131)
+
0.012
(0.107)
+ **
0.092
(0.291)
+ ***
0.173
(0.380)
+ ***
0.000
(0.000)
- *
+ ***
組合
0.007
(0.081)
0.014
(0.115)
0.000
(0.011)
0.001
(0.030)
0.035
(0.185)
0.048
(0.213)
0.000
(0.014)
差
+ ***
0.046
(0.211)
0.046
(0.211)
0.023
(0.151)
0.012
(0.111)
+ *
0.000
(0.000)
0.000
(0.011)
-
+ ***
+ ***
+ ***
+ ***
+ ***
-
+ ***
+ **
+ *
+ **
+ ***
+ **
+
+ ***
注)***は1%基準、**は5%基準、*は10%基準で差が有意であることを示す。( )内は標準偏差。
• 「体の具合がわるい」と回答したホームレスの有訴
率は、47.4%に上っているが、実際に通院をしてい
る者はそのうち(有訴者)の19.7%
• ホームレス達が既に健康保険証を保持しておらず、
全額自己負担をする余裕もないこと、あるいは通常
の医療機関に通院することが心理的にも困難であ
ること等が背景
• 「無料低額診療所」があるが、外傷や急性疾患の治
療が主であり、高齢者が大半を占めるホームレス達
にとってより深刻な問題である慢性疾患の治療には
事実上対応できていない
• 多くのホームレス達は自覚症状がありながら
治療を放置しているというのが現状であり、
最終的に疾患が重篤化した段階で、「救急搬
送」という形で入院を行うこととなる。
• 救急搬送による入院は、急迫保護として生活
保護の医療扶助単独給付(以下、医療単給)
が認められるため、ホームレス達のいわば
「最後の切り札」
• 医療扶助の生活保護費総額に対する割合は
51.8%で生活扶助費
• 大阪市は①巡回相談による早期発見および②シェ
ルター・自立支援施設の健康診断実施
• 大阪府は①街頭相談事業やシェルター、自立支援
施設の入所時検診から医療機関へつなぐ、②無料
低額事業の活用、③救急搬送の利用、東京都は①
保健所等における健康診断や健康相談等の実施、
②「ホームレス地域生活移行支援事業」の医師によ
る問診及び健康相談、③救急搬送の積極活用・民
間医療機関への協力者金交付と特に目新しい改善
策はみられない。
•
•
•
•
•
•
その前の段階での青空通院
無低の拡大
協力謝金
巡回相談
健康診断の拡大
保険証の特別交付といった方策が可能であ
る。
• また、理解が得やすいと思われる。
• 行路病院の問題
• 国境無き医師団の活動
行政の対策
• 鈴木亘・阪東美智子「ホームレスの側からみ
た自立支援事業の課題」,2006年12月,『季
刊・住宅土地経済』No.63,pp.15-23
• 1.経過
• ~各自治体が独自の取り組みを実施
• 平成11年2月・・・関係省庁と大阪市をはじめ
関係自治体で構成する「ホームレス問題連絡
会議」が設置
• 平成11年5月・・・「ホームレス問題に対する
当面の対応策について」が取りまとめ。各自
治体が財政支援を要望。
• 平成14年8月7日・・・「ホームレスの自立の
支援等に関する特別措置法」施行。
•
•
•
•
•
•
•
自立支援事業
巡回相談事業
就労対策(特別清掃、就職支援会社)
越冬対策、シェルター
医療対策(結核事業、検診、無料低額診療)
アセスメントの一元化
公園対策
• 地域生活移行支援事業
• 「ホームレス自立支援法」施行後、来年には
中間見直しを行う5年目の節目。
• ここ数年のホームレス対策の中心は、自立援
助事業。自立支援センターによる就労支援が
中核。全国で16施設。
• 東京都の自立支援センターでは、2006年5月
末現在の公式統計で、入所累計者6,569名、
就職率84%、就労自立率51%という高い実
績。
• 実際には評判はあまりよくない。自立支援事
業は限界に達しつつあるとの見方も。
• 第一に、実績は瞬間風速。再路上化が相当
する存在している。
• 第二に、自立支援センター入所を拒む層が
明らかに存在。彼らの支援にならない。
• 第三に、時間の経過とともに、空室率が目
立ってきている。
東京都の自立支援事業
第1ステップ
(緊急一時保護とアセスメント)
第2ステップ
(自立支援プログラム)
緊急一時保護センター
自立支援センター
・心身の健康回復
・能力に応じた処遇方針
の決定
(原則1ヶ月入所)
就労自立を支援
(原則2ヶ月入所)
全体計画700人程度
(5箇所)
13年度
14年度
15年度
16年度
1箇所
1箇所
1箇所
2箇所
全体計画400人程度
(5箇所)
12年度 2箇所
13年度 2箇所
15年度 1箇所
第3ステップ
(地域生活のサポート)
社会生活へ
の復帰
就労自立
(都営住宅)
グループホーム
生活・就労指導
就労自立
(アパート等)
16年度 1箇所
半福祉・半就労
(宿泊所等)
生活保護
(居宅、施設、入院)
≪多分野にわたる総合的対策の推進(目的)≫
公共施設の適正管理
保健・医療の充実
就労機会の拡大
住宅の確保
• 墨田寮、渋谷寮、北寮、中央寮、杉並寮の5
施設が存在(合計で342名)
• 各寮は東京都区部を5ブロックに分け、その
中で5年ごとに違う区に施設を移動してゆく
• 管理は特別区人事・厚生事務組合が行い、
運営は委託を受けた社会福祉法人。
• 入所期間は原則2ヶ月 (延長2ヶ月)
• 生活相談、住宅相談、就労相談、技能講習、
法律相談が提供。就労相談はハローワーク
出向。
• ベッドのある相部屋、入浴、娯楽室、洗濯機
(乾燥機)、エアコンなどが整備
• 食事提供、日用品や理髪等も提供。
• 支給金:日曜品費、求職交通費、外食費、就
労支度金が提供、面接衣類の貸出
• 入所中は、飲酒や金銭の貸借、ギャンブル、
ケンカ・口論、無断外出・外泊などが禁止
• 門限も設定
• 持ち込める荷物はダンボール1箱から2箱分
程度に制限
• ペット、動物を飼うことも禁止、家族も離散
緊急一時保護センター・自立支援セン
ターを利用したにも関わらず再路上化
するケースが2割も存在している。
緊 急 一 時 保 護 センター の 元 入 所 者
緊 急 一 時 保 護 センター へ の 入 所 希 望 者
自 立 支 援 センター の 元 入 所 者
自 立 支 援 センター へ の 入 所 希 望 者
自 立 支 援 センター へ の 入 所 希 望 者 (非 利 用 者 の み )
生 活 保 護 経 験 者 (医 療 扶 助 単 給 を含 む )
平均
1 6 .4 %
1 9 .0 %
1 1 .8 %
1 4 .9 %
1 4 .0 %
1 5 .6 %
結論
•
•
自立支援センターの利用を希望しないホー
ムレスは、現在の就労からの賃金率が高い、
年齢層が高く保護までの期間が短いといっ
た理由のために、ある程度合理的に意思決
定をしている。
意識調査からは、自由を失う、家族や動物
の存在、荷物や居場所を失うといった機会
費用や逸失効用の存在がセンター利用の
障害になっていることが示唆される。
• また、自立支援センター元入所者のホームレ
スの就労に関する資質は、入所経験のない
ホームレスと比較して必ずしも低くはなく、特
に入所希望者と比較すると明らかに高い。
政策提言
• 自立支援事業ではカバーできない対象者に
対しては、それ以外の方策を模索する必要性
• ホームレス移行生活支援事業(新宿中央公
園、戸山公園、代々木公園、隅田公園、上野
公園) 1,190名 (H18.5月)。今年度も400人
規模で実施。他の自治体、東京都内のさらな
る拡大も視野に。
• 「東京ホームレス就職支援事業」
• 巡回相談事業とあわせた就労支援等
○現行の自立支援センター改善の余地大
• 動物や家族の問題
• 生活の自由度の確保
• 個室化
• 再路上化を防ぐためのアフターフォロー
• 生活サポート
○再入所者への再支援等
• 再入所の弾力化(一定期間、一定条件など、
名古屋は実施)
• 期間の長期化(就労困難層増加のため)
• 半就労・半福祉の明示化(自立支援の枠組
みに福祉的支援要望者が混在化)
• 地域生活移行支援事業の現在
• 生活保護3割、就労自立2割、延長5割。それ
ほど就労自立率が高いわけではないようで
ある。
• 就労支援事業、再就職支援会社もマッチング
機能を果たさず。
生活保護化のうごき
• 水内俊雄・大阪就労福祉居住問題調査研究
会「大阪市西成区の高齢生活保護受給者の
現状」
• 自立能力、生活能力の問題
• 近隣との適応の問題
• 支援ネットワークの重要性、特に公的機関以
外のNPOの存在
• 生活保護ビジネスの問題とガイドライン化
• 悪質な居住環境の問題
• 介護や医療の問題
• 生活保護の適正化との関係
ホームレス対策の今後のあり方
• 高齢、疾病、要介護、障害者の存在⇒生活保
護等、扶助・福祉の枠内で対処。
• このとき、借金や扶養者の問題など困難な
ケースに対する対処のために、ノウハウを持
つ民間の支援NPOなどの力を最大限に利用
する。
• 就労支援、自立支援について⇒これに限られ
すぎる。また、あまりに短期的過ぎる。また、
公的業者、社福を中心とした枠組みの限界。
• これもノウハウがある民間の支援NPOなど
の力を最大限に利用する。
•
•
•
•
•
•
•
•
最低賃金法の適用除外を進める。
人材派遣業法の規制緩和。
アフターフォローの重要性。
新宿らいふさぽーとプランのような生活支援
からの対策。
畳の上にあがってからの重要性
しかし、まずは畳の上に上げることの重要性
住宅扶助単給、公的住宅提供
ホームレスの罠の除去