Transcript ppt - KEK

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PHENIX実験と東大CNSにおける
GEMとGEMを用いた検出器の開発
東京大学原子核科学研究センター(東大CNS)
浜垣研D2 織田勧
2006年12月21日(木)
学術創成「リニアコライダー実験での
革新的測定器システムの開発研究」
第1回研究会
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わたしたちは
• 2000年からアメリカ・ブルックヘブン国立研究所の
RHIC加速器のPHENIX実験で核子当り100GeVの
エネルギーで原子核(p, d, 63Cu, 197Au)を衝突させ
て、高温で高密度の極限状態を作り出し、クォーク
が閉じ込めから開放されたクォーク・グルオン・プラ
ズマ(QGP)相を生成し、その性質を探っています。
RHIC加速器
PHENIX 実験
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カイラル対称性の回復を捉えたい
• QGP生成の数多くの兆候が得られて
いる。
• しかしQGPの性質は予期していたも
のと違ったので、様々な観点から研究
を深める必要がある。
• QGP相への相転移と同時にカイラル
対称性が回復して、ハドロンの質量が
変化すると予想されている。
• 電子は強い相互作用をしないので、ベ
クトル中間子のe+e-への崩壊モードで
測定することで、質量変化をとらえるこ
とができる。
r (m = 770MeV, t ~ 1.3fm/c)  e+ew (m = 782MeV, t ~ 20fm/c)  e+ef (m =1020MeV, t ~ 40fm/c)  e+e-
現状
期待
p0e+e-g(Dalitz崩壊)、ge+e-(gamma conversion)が多大
なバックグラウンドになる。
• e+e-のopening angleで区別する。
•
– ベクトル中間子 : 角度大
– Dalitz, conversion : 角度小
• 電子の識別とトラッキングを行ないたい。
• バックグラウンドを200分の1にすることが目標。
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http://www.phenix.bnl.gov/WWW/TPCHBD/
TPCとHBD (2001年時点)
Hadron Blind Detector
Drift regions
2つの検出器が
一体化している
Readout plane
CsI layer
Readout Plane
(GEM,mMega or PC)
Readout Pads
r ~ 1 cm
f ~ 2 mm
Grid
HV plane (~ -30kV)
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HBDの動作原理
量子効率
光電子のみを捉える。
HV
窓なし
CsI光電面
光電子の
検出効率
GEM1
GEM2
GEM3
dE/dxの電
子の波高
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ガス
N0
E cutoff
(eV)
Γth
屈折率
光電子数(50cm)
Ar
255
9
42
1.000283
6
CH4
185
8.5
34
1.000444
7
C2H6
170
7.8
22
1.001038
8
CF4
940
11.5
28
1.000620
51
ガス
電場
ドリフト
速度
拡散(横方向)
(1cm)
拡散(縦方向)
(1cm)
Ar(90%)-CH4(10%)
130 V/cm
5.48 cm/ms
570 mm
378 mm
Ar(70%)-C2H6(30%)
390 V/cm
5.01 cm/ms
306 mm
195 mm
CF4
570 V/cm
8.90 cm/ms
104 mm
82 mm
CF4ガスはHBDにもTPCにも良いガス。
HBDに対する利点
- 光電子数がとても多い。
TPCに対する利点(または欠点)
- ドリフト速度が速い。
- 拡散が小さい。
でも十分な増幅率を得るには高電圧が必要。
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• 問題点 : TPCとHBDを共存させるなら、TPC
用の電場をどうやって作るか?
• 2005年くらいの結論 : HBDを先に作り、TPC
は様子をみて、後で作る。磁場なし。
B~0
signal electron
qpair
Cherenkov
blobs
partner
positron
needed
for
rejection
opening
angle
ee+
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今秋、HBDできました。
• GEM
– 23cmx27cm (CERN製)
– ストリップにして一部が死んでも困らな
いようにしている。
• 今年10月に設置。
• 来年1月から本実験を開始する予定。
electrons
hadrons
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The GEM stacks
 GEMs produced at CERN
Tested for 500V in air @ CERN
Framed & tested @ WIS for gain
uniformity
Tested at SUNYSB prior to installation
Gain uniformity between 5% and 20%
20%
 GEM statistics
133 produced (85 standard, 48 Au plated)
65 standard, 37 Au plated passed all tests
48 standard, 24 Au plated installed
GEMs combined into stacks are matched to
minimize gain variation over the entire detector
5%
 All GEMs pumped for many days under 10-6
Torr prior to installation into detector
Quark Matter 2006, A. Milov
http://www.sinap.ac.cn/qm2006/ppt/Parallel/Parallel%201.4/2%20milov_hbd_session1_4_talk2.ppt
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東大CNSにおけるGEM-TPCの開発
• 2001年から2004年にかけて開発しました。
• 結果をまとめた論文が今年出版されました。
– T.Isobe et al., Nucl. Instr. and Meth. A 564 (2006) 190.
– S.X. Oda et al., Nucl. Instr. and Meth. A 566 (2006) 312.
End cap
10cm
10cm
Preamp
Field cage
36x17x17cm3
115 strips
Gas vessel
60x29x29cm3
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CF4 ガスと
ワイヤーTPC
Readout
• 位置分解能
– パッド方向100mm
– ドリフト方向500mm
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GEM-TPCの性能評価のためのビームテスト
• 2004年5月にGEM-TPCの性能評価のためのビームテストを
KEK PS p2ビームラインで行なった
• ガスは3種類
– Ar(90%)-CH4(10%)(P10), Ar(70%)-C2H6(30%), CF4
• GEM-TPCの評価項目
– 検出効率(1GeV/c p)
– 位置分解能(1GeV/c p)
– ビームレートの影響(2GeV/c e,p,p)
– エネルギー損失の測定(0.5-3GeV/c、e,m,p,p,d)
• 磁場は無し
セットアップ
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GEM-TPCの信号
Ar-C2H6, ドリフト長85mm,
長方形パッド(1つ1.09mm x 12mm)
1GeV/c 電子ビームのとき
ADC
飛跡
時間(6.4ms=640bin, 1bin=10ns)
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測定結果1:検出効率
1st
2nd
3rd
1. 1番目と3番目のパッドの列にヒットがあるイベ
ントを取って来る。
2. 2番目のパッドにヒットがある割合を検出効率
として用いた。
結果: 十分大きな増幅率では99%以上の検出効
率が得られた。
Ar-CH4
99.3%
Ar-C2H6
99.6%
CF4
99.8%
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測定結果2:位置分解能
1.
2.
パッド方向 X
パッド3列ごとに、電荷を重みにした加重平
均によりX方向(パッド面内)とZ方向(ドリフト
方向)の位置を求めた
前後の2列から求めた位置と真ん中の列で
の位置との残差から、X方向とZ方向の位置
1
分解能を求めた
X  X  X 
1
0
2
結果
•
最も良かったのは、Ar-C2H6で、長方形パッ
ドで、ドリフト長13mmのとき、分解能は
80mm(X方向)、310mm(Z方向)だった。
•
ジグザグ形パッドでも位置分解能は良くなら
なかった
2
電場
ドリフト
速度
拡散(横方向)
@1cm
拡散(縦方向)
@1cm
Ar(90%)-CH4(10%)
130 V/cm
5.48 cm/ms
570 mm
378 mm
Ar(70%)-C2H6(30%)
390 V/cm
5.01 cm/ms
306 mm
195 mm
CF4
570 V/cm
8.90 cm/ms
104 mm
82 mm
ドリフト方向 Z
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測定結果3:
ビームレートの影響
目的 イオンフィードバックが抑えられるかどうかを検出効
率、位置分解能を見ることで調べる
•
•
•
ビームスリットの幅を変えることでビームレートを変化さ
せた
ビームレートは2.5cm角のプラスチックシンチで数えた
ガスはAr-CH4, ドリフト長は85mm
結果 レートを大きくしても(<5000cps/cm2)、高い検出効
率が得られた。位置分解能は10%程度悪化した
•
RHIC (Au-Au, √sNN=200GeV)
<dNch/dh>|h=0=170,
Luminosity=1.4x1027/cm2/s, sinel=7barn
⇒300cps/cm2 : 衝突点から30cm
•
LHC (Pb-Pb, √sNN=5.5 TeV)
<dNch/dh>|h=0~1000, Luminosity~1x1027/cm2/s,
sinel~8barn
⇒1400cps/cm2 : 衝突点から30cm
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測定結果4: dE/dxの
測定による粒子識別
•
•
•
•
1.0GeV/cのp+の
エネルギー損失
0.5 ~ 3.0GeV/cの運動量の領域でエネルギー損
失を測定した
増幅率が変動したので、パイオンが計算上の値
になるように補正した(最大30%)
ガスはAr-CH4, ドリフト長は85mm
大型のTPCの場合のエネルギー分解能を、
1GeV/cでの測定した分布をもとに評価した
– 飛跡が50cmのときに、エネルギー分解能は パイ
オン で9.1%、陽子で8.0%になると推測される
– これはBNLのRHICのSTARのTPCの性能(飛跡長
67cm以上で8%)より良い
1.0GeV/cのp+とpの50cmの
飛跡で予想される
エネルギー損失
pに対して99%の検出効率で、
pのrejection factor 180
p
p
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GEM-TPCのまとめ (2005年初め)
• 高レート・高粒子密度下で使える飛跡検出器を目指し、GEM-TPCのプロ
トタイプを製作した
• GEM-TPCの性能評価のためにビームテストを行なった
– 検出効率 : 3種のガスとも99%以上
– 位置分解能 : 80mm (パッド方向), 310mm (ドリフト方向) (Ar-C2H6、ドリフト長
13mm)
– ビームレート : 5000cps/cm2でも検出効率、位置分解能の悪化は小さかった
(Ar-CH4)
– エネルギー損失 : 50cmの飛跡で8-9%の分解能が期待できる(Ar-CH4)
• 実機の導入に向けての課題
GEM-TPCはPHENIX実験で使えそう。
– GEM : 放電対策、大型化
– 磁場中でのテスト
– シミュレーション
– 読み出しチャンネル数を多くしたい
• 高速、低ノイズ、小型、安価なエレクトロニクス
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日本でのGEM開発 2002年から
理研・渕上ミクロ・サイエナジー
• M. Inuzuka et al., Nucl. IM A 525 (2004) 529.
• ドライエッチング
– レーザーエッチング+プラズマエッチング
– 円筒形の穴
CERN-GEM
エッチング
方法
chemical
CNS-GEM
plasma
plasma+laser
穴の断面図
bi-conical shape
cylindrical shape
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増幅率の時間安定性
• 穴のでっぱりが増幅率に関係していそう。
• GEMの表面にごみが付着していると増幅率
がより変動するようだ。
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これからもより良いGEMを開発したい
• 物質量を減らす。
– ポリマーの厚みを大きくして、使う枚数を減らす。
• 100mm, 150mm(GEM3枚で得られる増幅率を1枚で実現する。)
– アルミGEM
• 技術的に難しいことがわかった。
– 銅の層を薄くする 5-8mm200nm
• 放電確率を減らす。
– 長年の課題
– 以前よりは格段に安定になってきた。
– でもCF4では十分安定とは言えない。
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厚いGEMの増幅率
150mm-GEM
270V/50mm
(Gain=約4000)
で放電。
38762
10688
● 150mm-GEM
● 100mm-GEM (Gain3/2)
[理研玉川さん達の測定結果]
● Standard-GEM (3層構造)
 150mm-GEM,100mm-GEMは同
じVGEM/50mmでStandard-GEM(3
層)よりもはるかに高いGainを達成。
 300V/50mmにおけるStandardGEMとのGain比
23
 Standard-GEM:150mm-GEM
= 1 : 1646
 Standard-GEM:100mm-GEM
= 1 : 454
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イオンフィードバック
X線
(約17keV)
chamber
Ic
HV1
ArCH4
Shield
3mm
Mesh(cathode)
A
ドリフト領域
GEM3
2mm
R
0.30
0.25
0.20
0.15
0.10
0.05
0.00
3mm Ed
HV2
0.35
ion feedback F
50mm
メッシュ電流
F(Triple)
F(Double)
F(Single)
0.40
GEM2
2mm
2mm
A
HV1<HV2
典型的な値:HV1=-2200V,
HV2=-2100V,VGEM =350V
290
300
310
320
330
340
350
360
VGEM(V)
Ed =0.33(kV/cm)
GEM1
Pad(anode)
• VGEM を上げるとF が下
がる
パッド電流
• GEM3枚のときは2枚や1
枚と比べてF が大きい
Ia
• Tripleの曲線は高い
VGEM でDouble, Singleの
曲線へと近づく
25/31 • Ed が大きくなるとF が大きくなる
HV1
HV2
• Ed を十分小さくすることで、イオンフィード
バックを5%以下に抑えることに成功
Ed
• 低いEd でも、要求される分解能や検出効
率を達成できるか検討中
0.3
F(Triple)
F(Double)
F(Single)
0.25
R
R’
Et
Ei
0.2
0.15
0.4
0.1
Ed =0.5 kV/cm
0.35
0.05
ion feedback F
ion feedback F
R’/ R
= 0.5
1
2
0.3
0.25
0
0.00
0.05
0.10
0.15
0.20
Ed(kV/cm)
0.25
0.30
0.35
VGEM =320(V)
0.2
0.15
Ed =0.33kV/cm
● Et /Ei = 0.5
▲ Et /Ei = 1
■ Et /Ei = 2
0.1
0.05
• Et / Ei が大きいほどF が小さくなる
• イオンフィードバックFはEd 依存性
に比べてEt 依存性が小さい
0
300
310
320
330
340
350
VGEM(V)
Ei = 1.55-1.75 [kV/cm]
360
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シミュレーション
• 電場 Maxwell 3D
• ガス Garfield
電場計算結果
 穴中の電位分布
 VGEM = 350 V
電子の進行方向
350 V
CERN-GEM
CNS-GEM
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実験結果とSimulation結果の比較
■ CNS-GEM (Monte-Carlo)
Gain  Aexp(B  VGEM )
■ CERN-GEM (Monte-Carlo)
● CNS-GEM (Experiment)
● CERN-GEM (Experiment)
Gain Triple
▲ CNS-GEM (Runge-Kutta)
▲ CERN-GEM (Runge-Kutta)
B [1/V]
GainCNS/GainCERN
Monte-Carlo
0.034
1.08
Experiment
0.024
1.06
Runge-Kutta
0.017
1.07
Gainの絶対値・fit functionのslopeはともに一致しないが、
GainCNSとGainCERNの比はほぼ一致している。
1
3
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東大CNSでもHBDを開発しています。
回折格子
真空紫外分光器
50 ~ 300 nm
分解能 0.5nm
PMT
Half mirror
( MgF2 )
GEM光検出器
重水素ランプ
115 nm ~ 400 nm
MgF2 window
( Cutoff 115nm )
• Ar/CH4(90/10)中での
CsI GEMの量子効率
• 180nmで10%程度の量子効率がある。
• 180nm以下で量子効率が下がっている。
波長( nm )
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• 広島大学放射光科学研究センターの
REFER(150MeV電子)で現在テスト中。
– GEM(サイエナジー)
– CsI蒸着(浜松ホトニクス)
– プリアンプ(CNS, KEK)
– Ar/CH4(9/1), Ar/CF4(5/5), CF4
– GEMは動作しているが、
加速器のノイズが大きくて大変。
• J-PARCでの実験での使用を目標に開発中。
– http://j-parc.jp/NuclPart/pac_0606/pdf/p16-Yokkaichi_2.pdf
– 10cmx10cm GEM 2,700枚を使う。
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GEMの応用のために中性子検出器用
2次元読み出し回路も開発中です。
• n+10B7Li+a
• n+Gde-+g
• 自動車のエンジン内部の液体の動
作を捕らえる。
• ピクセルに届いた電荷を順番にス
イッチングして、少数のADCで毎秒
1000フレームで読み出す。
• 目標位置分解能数十mm
• X線イメージングにも使える。
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まとめ
• QGP相転移にともなうカイラル対称性の回復による
ベクトル中間子の質量変化を調べるために
PHENIX実験にGEMを用いた検出器がインストー
ルされた。来月からデータ収集開始予定。
• GEM-TPCは高エネルギー重イオン衝突実験で使う
ことができるだろう。
• 日本で開発しているGEMは安定に動作するように
なって来た。
• よりよいGEMの開発。
• GEMを用いた検出器の開発も進めている。
浜垣研 現+元メンバー + 関連のある人たち
浜垣秀樹、小沢恭一郎、犬塚将英、坂口貴男、
木野幸一、松元貴志、亀谷聡一朗、洞口拓
磨、梶原福太郎、郡司卓、磯部忠昭、栗原成
美、織田勧、森野雄平、斎藤翔太、荒巻陽紀、
山口頼人、佐野哲、菅原章太、玉川徹、四日
市悟、真木祥千子
People in PHENIX-HBD project
 Weizmann Institute of Science (Israel)
A.Dubey, Z.Fraenkel, A. Kozlov, M.Naglis, I.Ravinovich,
D.Sharma, L.Shekhtman (on leave from BINP),
I.Tserruya (project leader)
 Stony Brook University (USA)
W.Anderson, A.Drees, M.Durham, T.Hemmick, R.Hutter,
B.Jacak, J.Kamin
 Brookhaven National Lab (USA)
B.Azmoun, A.Milov, R.Pisani, T.Sakaguchi,
S.Stoll, C.Woody (Physics)
J.Harder, P.O’Connor, V.Radeka, B.Yu
(Instrumentation Division)
A.Sickles,
 Columbia University, Nevis Labs (USA)
C-Y. Chi
 University of Tokyo (Japan)
T. Gunji, H.Hamagaki, M.Inuzuka, T.Isobe,
S.X.Oda, K.Ozawa, S.Saito
 RIKEN (Japan)
S. Yokkaichi
 Waseda University (Japan)
Y. Yamaguchi
 KEK (Japan)
S. Sawada
Y.Morino,