写真教材

Download Report

Transcript 写真教材

日語教學法研究
(大学院)
11月30日(火・二)~
担当 神作晋一
第3章 教材・教具
ねらい


Ⅰ.主な教材・教具について、その特徴を
知り、効果的な使い方を考える。
Ⅱ.教材・教具の限界を知り、教室活動に
おける役割を再認識する。
教材と教具の効果的な使い方

教材・教具とは、教室活動を支え、学習が円滑に
行われるのを助けるための道具や手段で、それ
ぞれ次のように定義できる。


教材:学習内容(=シラバス)を具現化したもの
 例)教科書、ワークブック、会話テープ・ビデオ教材
など
教具:教室活動が円滑に行われるのを助ける道具
 例)黒板、絵教材、五十音図、テープレコーダー、
ビデオデッキなど
教材と教具の効果的な使い方


しかし、両者の区別は、ときとしてあいまいで
ある。
例えば学習者に新しい単語の意味を辞書で調
べさせるときの「辞書」は、単語の意味が学習
内容といえるので教材と考えられるが、意味を
調べるための道具と考えれば教具ともいえる。

たかが道具、されど道具。道具としての教材。教具
を適切に選択し、使いこなすことは、効果的に教室
活動を実践していく上で、大きな武器になる。
主教材の選択≒コース・デザイン





初級の曰本語コースを、新しく担当することになった。
そこで、ある市販教科書を主教材に選び、2週間に1課
のペースで、第1課から順番に教えていくことlこした。
授業では、教科書lこあるモデル会話とドリル練習を順
番に行い、モデル会話を練習するときは、付属の会話
テープを使う。
漢字については補助教材を作ることにしたが、この教科
書だけでは、書くことの練習が十分ではないので、作文
教材は自作することにした。
また、教室ではできるだけ口頭練習の時間をとりたいの
で、読解練習は宿題にすることにした。
コースデザインそのもの
教科書




ニーズ分析の結果に基づいて教師が自作
するもの。本屋で買ってくるものではない。
しかし、
コスト・パフォーマンス(cost performance)
例:市販の教科書を主教材に使い、足りな
いところは副教材で。
教科書の長所


教師側
授業の内容や進度の目安になる。




一人で複数クラスを担当
チーム・ティーチング(複数の教師で分担)
学生側
コースに対する安心感・達成感がある

何をどの順に学ぶかが明白
(教科書)選択の基準

学習者のニーズに最も合ったシラバスを採用
しているもの。(学習者、時間、形態)





1)媒介語が使われているか。
2)表記はローマ字か平仮名か、あるいは漢字仮
名混じりか。
3)漢字には振り仮名が振られているか。どの位
置(
)にあるか。
4)文法的な説明があるか。
大きさ、厚さ、文字の大きさ、レイアウトなど
良い教科書

学習者のニーズとの相対的な関係で決まる。



×「有名な先生が作ったから」
×「多くの機関で使われているから」
例:「なぜ『敬語』を勉強するのか」


→×「教科書にあるから」
学習者にとって「敬語」が必要な理由を説明。
モジュール型教材
module
モジュール型教材


各単元がそれぞれ完結している。
どれをどの順序で使うかを、自由に決められ
る形式のもの。



例:自動車教習所
例:旅行会話例
必要な部分から学習(途中からでも支障がな
い) ※未習単語・文型の問題

小説とエッセイ(随筆、随想)の違い
生教材
生教材

教育教材:(educational material)


教育のために作られたもの
生教材:(authentic material/raw material)




実際に使われているものを教材として使用
例
1)テレビのニュース番組を聴解クラスで使う。
2)新聞記事を読解クラスで読む。
生教材

初級でも利用可能




例:「新聞や雑誌の切り抜きを見て、片仮名語を
○で囲む」
→(カタカナ導入後)片仮名の文字認識の練習。
例:、「ラジオの天気予報を聞いて、自分が住ん
でいる地域の天気を聞き取る」
→(基本語彙習得後)、スキャニング(→p78)の
練習。
生教材


日本語学習の最終目標
 →実際に日本語を使いこなす。
早い時期から生教材に接触


→実践的な言語運用能力の養成
→学習の動機づけ(モチベーションmotivation)
を高める。
テープ教材(audio-tape
material音声テープ教材




音声を提示する手段
カセットデッキ(最近はどうか)
音楽CD(Compact Disk)
MP3(コンピュータ上で音声を表す手段)


MPEG Audio Layer-3
Moving Picture Experts Group
テープ教材(audio-tap material
音声テープ教材

モデルの提示


ディクテーション dictation


会話や発音練習の手本となる音声を聴かせる。
音声を聴いて文字で書く
聴解練習
テープ教材(audio-tap material
音声テープ教材



教師の発話
テープ(CD、MP3)教材
→いずれも「音声を提示する手段」
両者のメリット
テープ音声





理想的なモデル
学習者の観察とフィ
ードバックに集中
進度別に異なる教材
女性と男性の違い
効果音
教師の発話


(レベルや段階に応
じて)速さや明瞭さ、
音量などを(細かく)
調整可能。
繰り返しに対応。

→MP3などではどう
か。
ビデオ教材とレーザー・ディスク
教材
DVD(VCD)
ブルーレイ(blue Lay)
ビデオ教材とレーザー・ディスク
教材 普及

音声を伴った動画を提示する機能がある。



cf:静止画(絵や写真)
cf:音声情報(テープ、CD、MP3)
→ビデオテープの教材で(動画、音声とも)
可能になった。
ビデオ教材とレーザー・ディスク
教材

日本語教育用ビデオ


文型理解を目的(教材5)
ドラマ仕立て(教材6)
個人で購入す
るにはちょっと
(値段が)高い
ビデオ教材とレーザー・ディスク
教材

レーザー・ディスク(LaserDisk)



(→今はDVD、VCD、ブルーレイなど)
マルチメディア教材の一部 多媒體
ランダムアクセス(random access)が可能


→ある部分を任意に取り出すこと。
→巻き戻し、早送りに時間がかからない。
ビデオ教材とレーザー・ディスク教材


唯一絶対の使い方があるわけではない。
理解する教材としての例





例:映像(と音声)を見て、
「文型や表現が使われる状況」
「文末イントネーションやプロミネンスなどの音声
情報」
「お辞儀の仕方や相手との距離などの非言語情
報」
など
ビデオ教材とレーザー・ディスク教材


唯一絶対の使い方があるわけではない。
教具としての例



1)学習者を2グループに分け、一つのグループに
は映像だけ、もう一つには音声だけを提示し、互い
の情報を持ち寄ってインフォメーション・ギャップ(
→p67)を埋める
2)音声を消した映像に台詞や解説をつける
3)ディスカッションや文章作成の話題提供に使う
CAlとCALL
CAlとCALL


CAl(Computer Assisted lnstruction)
→教育を目的とするコンピューターの利用法




例:「外科手術のシミュレーション」「スポーツ選手
のイメージトレーニング」など
コンピューターを教育に利用すること全般
特に、言語教育での利用について
CALL (Computer Assisted Language
Learning)ということもある。
CAlとCALL

例:漢字のCAI教材



学習者は、授業の空き時間を利用したり、プログラ
ムを自宅のコンピューターに入れたりして、好きなと
きに好きなだけ予習復習ができる。
学習者ごとに学習履歴(利用回数.正答誤答数.反
応時間など)が記録できる。
教師は学習履歴によって、個々の学生の学習状況
や誤答の傾向などを知り、教室活動に生かすことが
できる。
CAlとCALL
タブレットで記入
CAlとCALL

例:ひらがなのCAI教材



「分割されたパネルを1枚ずつめくり、どの平仮名か
を答える」という、ゲーム的要素を組み込んだもので
ある。
早く正解にたどり着くには、手当たり次第にめくるの
ではなく、例えば、どこを開ければ「ね」と「わ」が区
別できるかを考えなければならないので、
無意識のうちに平仮名の弁別的特性(→p7l)を認
識する訓練ができるようになっている。
CAlとCALL
タブレットで記入
CAl教材の特徴

CAI教材の特徴



1)学習者が自分のペースで学習できる
2)個別学習の記録が残せる
紙(教科書やワークブック)との違い



1)内容の改訂や入れ替えが容易にできる
2)学習者の反応によってフィード・バックの方法
や回数を変えられる
といった利点
コンピューターの機能を利用



1)キーボードから日本語を入力する
2)ワープロ・ソフトを使って作文を書く
3)インターネットを利用して情報を得る
マルチメディア教材
Multi-media
マルチメディア教材



マルチメディア(multimedia)教材
情報のデジタル処理(1か0)が可能な複
数のメディア(media、媒体)を統合的に組
み合わせて作られた教材
コンピューターが利用される。
マルチメディア教材

例:




「レーザー・ディスクの映画と台詞を、コンピュ
ータ画面に同時に映して聴解練習に使う」
「インターネットから取り込んだ新聞記事を画
面上で読みながら、知らない単語の意味を辞
書検索ソフトで探す」
といったシステムが挙げられる。
一台のコンピュータですべて行う
マルチメディア教材

「単なる組み合わせ」以上の可能性


オーサリング機能:authoring


教師がプログラムに手を加えられる。
インタラクティブ(双方向的)な機能


同時使用や即時性など
学習者の反応が随時システムに取り込まれるなど
個々の学習者に応じた、よりきめ細やかな教育
システムの構築も可能である。
マルチメディア教材の負の面



導入には、機器やプログラムの準備に、ある程
度の初期投資が必要。
教師にハードとソフトの両面の知識が要求され
る。
日常のメンテナンスにも気を配らなければなら
ない。Maintenance(維持 維修)
マルチメディア教材の負の面

マルチメディア教材に対する抵抗感(学習者)


例:(多くの費用と労力を費やしたのに、)教科書、
ノート、鉛筆を使った昔ながらの学習方法と両じ効
果しか得られない。
→意味がない。
マルチメディア教材



使う教材によってどのような(教育上の)効果
が得られるか
他の手段や媒体を使うより効果的か
→常に考えることが大切。
文字カード
文字カード
文字カード
文字カード
文字カード
フラッシュ・カード
flash card




文字カードを閃光(フラッシュ)のように出す
→素早く反応して答える
使い方の問題
文字カード≒フラッシュカード
五十音図


文字体系の表示
発音練習や動詞の活用規則の導入
五十音図
レアリア(realia)
レアリア(realia)

教具として用いられる実物






対訳:例:本「book(英)/libro(伊・義)/書(中)
名詞:「実物の本」
形容詞「赤い/大きい/きれいな本」
授受動詞の練習(実際に本の受け渡し)
教師のジェスチャー(gesture)
※キューcue
絵教材・写真教材
絵教材・写真教材


市販教材と自作教材
絵教材


余分な情報をカットして、注目させたい情報を際立
たせ、単純な動作を引き出すキューとして利用。
写真教材


臨場感や現実感
情報量が多いと邪魔になることも
絵教材・写真教材
絵教材・写真教材
絵教材・写真教材
OHP
(over head projector)
OHP


静止画や文字を提示する機能は、絵/写
真教材や文字カードと同じ。
「透明をシートで、もとの文字や絵を拡大し
て提示できる」ことが、紙媒体にはない特
徴といえる。
プロジェクター projector


ディスプレイ装置の一
種で、画像や映像を
大型スクリーンなどに
投影することにより表
示する装置である。
パソコン(PC)をつなぎ
、PPTなどを表示する
ことができる。
http://japan.cnet.com/story_media/203823
84/1c648fe73cd_460.jpg
プロジェクター projector



書画カメラ
(教材提示機)
その場で手書きをしな
がら説明、などという
ときに便利。
http://www.cinefocus.co.jp/c
atalog/detail.php?code=1392
100
プロジェクター projector
プロジェクター projector


少ない人数なら必要ないかもしれないが…
大人数では必要
プロジェクター projector

プリント配付/どこを指しているか
プロジェクター projector


同時に見られる。
書き込みも可能(タブレット、あるいはキーボード
で)
スライド(SLIDE)

ポジフィルムを映写機で映す。
現在はポジ
フィルムに
残すこと自
体が少ない。
ロール・カード
role-card
ロール・カード(role-card)


ロール・プレイを行うときに、役割や状況の説
明に用いられる。
必要に応じてロールカードを使用。



状況設定は教師が口頭で与えてもよい。
例:「複雑な指示ならロール・カードで、簡単な指示
なら口頭で」
例:「媒介語が使えないなら学習者の母語で書か
れたロール・カードで、媒介語や日本語で説明でき
るなら口頭で」
ロール・カード(role-card)
まとめ
まとめ
※普段から収集


入門編では、いろいろな教材・教具をみてきた。
学習者の顔を思い浮かべながら、教材や教具
を作ったり、新しい使い方を考えたりするのは、
とても楽しい。
しかし、教材準備というものは思いのほか時間
がかかるものなので、日ごろから、目にした雑
誌から写真を切り抜いておいたり、-つの話題
に関連する新聞記事やテレビのニュース番組を
集めておいたりするとよい。 ※普段から収集
まとめ
※適材適所とタイミング(時機)


教材・教具の使い方は一通りとは限らないし、ど
の学習者にも適当な、オールマイティーな教材
というのもありえない。※Almighty いつも強い
まだ、手元にある教材が、当初は予想もしなか
った使い方で再利用できることもあるし、先学期
の学生には効果的だったが今学期は使えない
、ということも頻繁にある。
まとめ
※柔軟な発想と探究力


教材・教具を使いこなすには、柔軟な発想が大
切である。
部屋の窓から見える風景や事物、駅のホーム
で聞いたアナウンスなど、あらためて机の前に
座らなくても、教材研究の素材は身近なところに
転がっている。
エキスパート編
教材の限界・弊害を
知る
レアリアの長所



1)教案に現実感をもたらす
2)媒介語なしに意味を導入できる
例:「本」そのものを見せる
歩く?
歩く?
歩く?
レアリアの限界





「教室に媒介語が表れない」ことと、
「学習者がどのように理解しているか」は、
まったく別のもの
「教室に母語や媒介語を持ち込まない」と
いう点では、一定の効用が見いだせる。
しかし、「翻訳による理解や誤解を根本的
に排除する」ことにはならない
絵教材の弊害
「~てから~(新聞を読んでから洗濯をしました)」
「~前に~(洗濯をする前に新聞を読みました)
絵教材の弊害


「洗濯する」
「洗濯をする=洗う
、干す」と誤解?
絵教材の弊害

基本動詞だけでなく、進
行などアスペクト、テン
スの問題もある。

例:食べる、食べた、食べ
ているなど
まとめ



教材、教具をふんだんに使った授業は、-見
、楽しく見える。
しかし、絵教材もレアリアも文字カードも教科
書も、あくまで教えるための道具にすぎないこ
とを忘れないようにしたい。
「同じ教材を使えば、同じ授業ができる」という
ものではないし、鉛筆1本で効果的な授業を
することだってできる。
指導教員決定について


12月15日(三)15:00~の会議で決定。
決まった学生については、その日のうちに
通知する予定


通知を受けたらすぐにあいさつ・打ち合わせに
行くこと
決まらなかった学生については、再度教員
と相談の上、書類の再提出が必要
日語教學法研究
期末課題 2010年1月18日(二)

テーマ:シラバスデザインとカリキュラムデ
ザインの作成






ターゲット(対象)を決める
ニーズを調査(あるいは予測)し、到達目標を
決める。
シラバスのデザイン(教材等の決定)
カリキュラムのデザイン(教材・教具)、教案(
進行)を書く。
評価(テストなど)も考慮。
二人以上でも可
日語教學法研究
期末課題 2010年1月18日(二)

テーマ:ニーズ分析


日本語教育学会(1991)のリストを利用し、ア
ンケートやインタビューをしてニーズ分析の結
果をまとめる。
二人以上でも可
2学期の授業について



日語誤用分析(2年次)※1年次履修可
第二言語習得研究(SLA)
※東呉大學 LARP 陳淑娟
今後の予定
9月14日
9月21日
終了
終了
ガイダンス
台湾の日本語教育事情
9月28日
終了
台湾の日本語教育事情
10月5日
10月12日
10月19日
10月26日
11月2日
11月9日
11月16日
終了
終了
終了
終了
終了
終了
終了
台湾の日本語教育事情
台湾の日本語教育事情
コースデザイン
コースデザイン
コースデザイン
コースデザイン
コースデザイン
今後の予定
11月16日 終了
11月23日 終了
コースデザイン
11月30日 終了
教室活動
12月7日
12月14日
12月21日
12月28日
終了
終了
本日
休講
教室活動
教室活動
教室活動
集中講義・評鑑などのため
1月4日
通常授業
教室活動
1月11日
?
次回は、
12月14日(月・一)
14:50~
です