農学概論(Power Point)

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Transcript 農学概論(Power Point)

農学概論: 生命(いのち)を科学する
獣医学科長 岡本嘉六
農学憲章
(平成14年 全国農学系学部長会議制定)
農学は食料生産をはじめ、人類の生存を保障する科学
自然環境に調和した新しい食料生産技術開発
農学は環境調和型の生物機能開発の科学
生物機能の開発と応用
農学は人類の生存を視野に入れたグローバルな資源環境科学
自然生態系の保全・修復
農学は生命科学を採り入れ、発展しつつある学問
動物の医療、多面的機能開発・利用
農学は豊かな人間性を醸成する学問
人間の健康と生活社会環境の向上
はじめに
生命(いのち)の成り立ち
命って、何だろう?
生きるって、どういうこと?
自分が、今ここにいるのは、どうしてだろ
う?
明日は、どこにいるのだろうか?
そして、やがて来る死とは何だろう?
生命観 世界観
科学と宗教は
車の両輪
仏教
仏陀釈迦牟尼の教え
キリスト教
イエスの教え
自然科学
宗教
生物学、医学、農学、工学、・・・
社会科学
イスラム教
科学
マホメットの教え
法学、経済学、・・・
人文科学
現実によって動く心の世界の解明と導き
歴史、心理学、文学、・・・
2000年変わらぬ世界
現実にある事象の解析と解決方法の提示
日進月歩の世界
地球の誕生: 約46億年前
原始大気と原始海洋の誕生
最初の生命体(原核生物)
35億年前の最古の化石
緑藻類などの真核生物
10億年前
1991年5月普賢岳の噴火
二酸化炭素
CO2
酸素
O2
アオミドロ
原始大気
起源
その後
現在
大量
原始地球から
脱ガス
石灰岩CaCO3
地下有機物(化石燃料)
0.03%
ただし増加中
生物の光合成
縞状鉄鉱などの酸化物
その後は大気中に蓄積
成層圏のオゾンO3層
21%
なし
大気と水に恵まれた地球で生命が誕生し進化してきた
大
気
中
ガ
ス
濃
度
炭酸ガス
CO2
酸素
O2
46
35
地
球
誕
生
原
始
生
物
27
10
5.1 3.7
4.4
2.1
500万年前
人類の出現
ほ乳類の出現
脊椎動物の上陸
陸上植物の出現
脊椎動物の出現
緑藻類などの真核生物
光合成を行うラン藻類(シアノバクテリア)
ミラーの実験 「化学進化」
原始大気と放電でアミノ酸ができる
地球にも寿命があり、
地殻活動などの環境
変化により絶滅した
種もいる。人類は?
ダーウィンの著書 1859年
「種の起源」 進化論
パスツールの実験 1862年
「生物は生物からしか生まれない」
人類の進化
年代
(万年前)
分類
概要
類人猿 2000
猿人
500
原人
130
プロコンスル
類猿人からの分化
ホモ・エレクトス
100
50
40~25
旧人 15~4
ジャワ原人
北京原人
ホモ・サピエンス
ネアンデルタール人
新人
クロマニヨン人
4
発見年/発見場所
1948年/ビクトリア湖ルシンガ島
ミトコンドリアDNAの分析
大脳の発達(850ml)
「言語の発達・火の使用」
石器
1888年/ジャワ島/石器と火の使用
1929年/中国・周口店/石器と火の使用
古代ホモ・サピエンス
1856年/ドイツ・ネアンデル谷/中期旧石
器時代
1868年/フランス/後期旧石器時代
プロコンスル: チンパンジーと人類の共通の祖先
110万年前アフリカを出発した原人は、地球各地に広く生活
の場を求めて広がっていった。
ユーフラテス川沿岸で1万2000年前の定住村落遺跡の発
掘から、150種を超える植物の種子が発見された。9500
年前ころ農耕は西アジア各地に広がった。
約5000年前、世界各地に文明が発生する。
一人当たりのエネルギー消費量
人口
文明の発達は一人当たりのエネルギー消費量、および、人口の増加をもたらした。
植物界
菌界
動物界
光
合
成
吸
収
消
化
生物の系統発生図を念
頭におき、病原体、媒介動
物、食物連鎖、生態系、予
防・治療法など、疾病の流
行と関連する事象をみる。
真核生物、多細胞
プロティスタ 真核生物、単細胞
モネラ
原核生物、単細胞
生物の系統発生図
微生物の菌類・細菌類
などが中心。生産者や
消費者の遺体や排出物
の有機物を無機物に分
解し、もとの環境に返す。
太陽
一次消費者を食べる生物
肉食動物
二次消費者
菌界
動物界
分解者
一次消費者
植物界
生産者
生産者を直接食べる生物
草食動物
自分で栄養素を作る
光合成植物
大地・大気・水
エネルギー(生態)ピラミッド
炭素と酸素の循環
酸素を作り出すのは植物だけであり、炭酸ガスの増
加を止めるには、森を大切にすることが基本となる。
光合成: 炭酸ガスの炭素から、
太陽エネルギーを使って、デン
プン(炭水化物)を作ること
窒素の循環
タンパク質を構成するアミノ酸は、窒素化合物
おいしい肉を構成するアミノ酸
の基となる窒素を、大気から固
定してくれる根粒菌にも感謝!
食べ物は、全て生き物である
人間が使う水は、
大循環の一部
水の循環
生命誕生の元となる水は、生活空間において、固体、液体、気体の
三相を示し、様々な物質を溶かす不思議な力をもっている。人間の体
の70%は水分であり、食べた物が消化・吸収され、血液循環に乗って
細胞に供給され、老廃物を排出する上で欠かせないものである。
安全でおいしい水は、どのようにしてできるのか? そのために、何
をしなくてはならないのか?
大気と水に恵まれた地球で生命が誕生し進化してきた
大 炭酸ガス
気
生物は、他の生物を食べることによって命をつないでいる
CO2
中
ガ
酸素
ス
濃
O2
生命は今も進化の過程にある:
新興感染症、品種改良
度
46
35
地
球
誕
生
原
始
生
物
27
10
5.1 3.7
4.4
2.1
500万年前
人類の出現
ほ乳類の出現
脊椎動物の上陸
陸上植物の出現
脊椎動物の出現
緑藻類などの真核生物
光合成を行うラン藻類(シアノバクテリア)
ミラーの実験 「化学進化」
原始大気と放電でアミノ酸ができる
地球にも寿命があり、
地殻活動などの環境
変化により絶滅した
種もいる。人類は?
ダーウィンの著書 1859年
「種の起源」 進化論
パスツールの実験 1862年
「生物は生物からしか生まれない」
ヒトと動物の関係
ヒトと動物の絆(きづな)
Human-Animal’s Bond
絆: 動物を繋ぎとめておく綱
同じ生物(石ころではない)として「生命の成り立ち」を共有しているという意識
動物の愛護及び管理
に関する法律
産業動物と動物性食品
野生動物、伴侶動物
人畜共通感染症
生命科学と実験動物
動物福祉
共生
生態系保護
ヒトと動物の関係学会
1994年設立: 本学会は研究課題の方向性を次の二つのように考え
ております。
動物と人の間の現実的課題をいかに解釈しその対策を講じるかとい
う目的指向的な方向と、動物そのものの特性や人間自身を知り、私
たちの知識を豊かにしたいという知的指向的な方向です。
ぱーと1
産業動物と動物性食品
沿岸捕鯨が盛んだった日本
日本では仏教の影響で肉食が禁じられ魚が主な動物性蛋白源で
あったが、哺乳類として唯一、クジラが捕獲され、食べられてき
た。その食文化が生み出した感謝と慰霊の遺産が残っている。
山口県長門市の「鯨墓」
千葉県鋸南町の「くじら塚」
捕獲した鯨に感謝し弔う鯨墓があり、位牌と過去
帳が安置され今日も法要がいとなまれている。
野生牛の家畜化
原牛: オーロックスはユーラシア大陸とアフリカ大陸に
生息していたが、絶滅した。
ボスタラウス
約8000年前、西アジアで家畜化
ボスインディカス
ラスコーの洞窟壁画: 紀元前
2万年の人類最初の絵画
ア
フ
リ
カ
各
砂
漠
周
辺
の
岩
面
画
印章: インダス文字と牛
アルタミラの洞窟壁画:
クロマニョン人が描いた
アバディーン・アンガス (英)
ヘレフォード(英)
ショートホーン(英)
シャロレー(仏)
シンメンタール(スイス)
ホルスタイン(オランダ)
エアシャー(英)
ジャージー(英)
ガンジー(英)
野生種
南太平洋諸島
赤色野鶏
中国大陸
朝鮮半島
日本
名古屋
三河
シャモ
チャボ
尾長鶏
東天紅
東南アジア
コーチン
プラーマ
アシール
アジア種
灰色野鶏
日本種
インド南部
セイロン野鶏
セイロン島
緑襟野鶏
ジャワ島
BC2500
インド
BC700
ペルシャ
BC500
ローマ
AD1500
新大陸
ヨーロッパ
地中海沿岸種
英国種
米国種
レグホーン
ミノルカ
アンダルシア
サセックス
コーニッシュ
ドーキング
プリマスロック
ロードアイランドレッド
ワイアンドット
鶏の野生種の伝播・家畜化と改良された品種
イノシシが家畜化された場所と時期
(社)日本養豚協会 からの引用 (http://www.pig-pins.or.jp/youton/top.html)
オセアニア アフリカ
中国には、世界の
豚の約半数が飼育さ
れており、中華料理
は豚肉が中心となっ
ている。
北米その他
ヨーロッパ
その他
米国
中南米
その他
外周円
飼養頭数
92,290万頭
アジア
その他
内部円
豚肉生産量
91,188,000t
日本
中国
世界のおもな国での豚飼養頭数と豚肉生産量(2001年)
ヨークシャー
バークシャー
ランドレース
イギリス、1885年
イギリス、1862年
デンマーク、1896年
大ヨークシャー
ハンプシャー
デュロック
イギリス、1870~1880年頃
アメリカ、1904年
アメリカ、1885年
日本で多く飼育されている豚の品種
(交雑種を除く)
品種名
原産国名、品種確定年
畜産情報ネットワーク 「畜産Zoo鑑」からの引用 (http://zookan.lin.go.jp/)
バークシャー
ヨークシャー
ランドレース
大ヨークシャー
2004
種
雄 1990
豚 1970
ハンプシャー
デュロック
その他
交雑種
2004
種
雌 1990
豚 1970
2004
肉 1990
豚
1970
0
20
40
60
80
100
構成割合(%)
日本における種雄豚、種雌豚、肉豚の品種の移り変わり
繁殖・育成能力の
優れた大型品種
L♀ × W♂
原種豚
産肉形質の優れた品種
デュロック(D)
ランドレース(L)
大ヨークシャー(W)
ホモ
純
系
交
雑
種
×
F1雌豚
LW♀ × D♂
肥育豚
三元交雑種
LWD
W♀ × L♂
ハンプシャー(H)
バークシャー(B)
H♂
B♂
WL♀ × D♂
白の優性
遺伝子は、
赤の劣性遺伝子 ヘテロと
は、ヘテロとなる なっても
ことで発現しない 発現する
ヘテロ
WLD
三元交配による雑種強勢
万頭
日本における養豚のあゆみ
1400
900
一戸当り頭数
1200
1000
千戸
頭/戸
800
700
飼養戸数
600
800
500
600
400
飼養頭数
400
300
200
200
100
0
0
データは(社)日本養豚協会 からの引用 (http://www.pig-pins.or.jp/youton/top.html)
丹羽 太左衞門著 「20世紀における日本の豚改良増殖の歩み」
70
40
300-499
50
100-299
60
20
10
<100
30
0
肥育豚の飼養頭数規模別にみた飼養戸数
(註: 1989年までは、1000頭以上が一まとめとされていた)
>2000
500-999
80
1000-1999
90
繁殖専門
100
70
500-999
60
30
300-499
50
40
<100
20
10
>2000
80
100-299
90
1000-1999
100
0
肥育豚の飼養頭数規模別にみた飼養頭数
(註: 1989年までは、1000頭以上が一まとめとされていた)
都道府県別飼育頭数(上位10県)
肥育豚頭数 (%)
鹿児島県
農林水産省「畜産統計」
平成16年2月1日
1戸当り飼養頭数
1,117,000
13.9
岩手県
1902
宮崎県
694,400
8.6
島根県
1895
茨城県
547,900
6.8
青森県
1802
三重県
1583
47.5
群馬県
535,000
6.6
北海道
467,300
5.8
栃木県
1575
千葉県
463,300
5.8
石川県
1427
青森県
332,800
4.1
鹿児島県
1403
愛知県
324,600
4.0
北海道
1402
岩手県
324,200
4.0
大分県
1319
栃木県
255,900
3.2
愛媛県
1310
15.4
大
規
模
経
営
体
が
所
在
し
て
い
る
消費量
(g/人/日)
2002年の
自給率
53%
500
2010年の
努力目標値
73%
自給率(%)
100
400
80
300
60
1993年 農産物貿易の原則自由化
(ウルグアイ・ラウンドの合意)
200
40
国内生産量+輸入量
一人当たり
=
一日消費量
人口×365
100
1960年
4.5 g/人/日
20
2001年
48.7 g/人/日
0
0
1960
1970
1980
1990
豚肉の摂取量と自給率の推移
2000
ぱーと2
食と健康
「医食同源」という言葉は、4000年の歴史
をもつ中国に伝わるもので、古くは「薬食同
源」ともいわれ、不老長寿の道を深く突きつ
めたところに生まれた言葉です。
その意味は医も食も源は同じ。すなわち、
薬は健康を保つうえで毎日の食べものと同じ
く大切であり、おいしく食べることは薬を飲
むのと同様に心身をすこやかにしてくれると
いうことを教えています。
15
鶏肉
11.6
豚肉
8.27
乳
4.29
12.5
生 10
産
伸
び 7.5
率
の
推 5
移
2.5
鶏卵
牛肉
0
1960
1965
1970
1975
3.61
3.33
1980
1985
国内の畜産業の生産性向上の経過
1990
1995
(1960年を基準)
各畜産物の右に表示した数値は、2001年の伸び率
2000
500
(50)
400
一 (40)
人
当
た
り
一
日
消
費
量
g/人/日
国内生産量+輸入量
人口×365
4.5 豚肉 48.7
30.2 鶏肉 408.5
300
(30)
63.8 乳 262.8
200
(20)
4.3 牛肉 28.8
100
(10)
20.4 鶏卵 56.6
0
1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000
国民一人当たりの一日消費量の推移
表示:
1960年の値
畜産物
2001年の値
90
85.2
女性
矢印: 各年齢を超えた調査年
80
70
平
均
寿 60
命
50
80
70
44.3
60
50
40
42.8
30
日本人の平均寿命の推移
男性
78.3
70
60
50
割
合
40
(
人
口
千 30
対
) 20
(1950 ⇒2002)
:新生児死亡率 ( 27.4 ⇒ 1.7 )
:乳児死亡率 ( 60.1 ⇒ 3.0 )
:出 生 率
10
0
出生後早期死亡率の推移
( 28.1 ⇒ 9.2 )
農薬
輸入食品
添加物
汚染物質
組換え食品
健康食品
微生物
飼料
プリオン
器具・容器包装
カビ毒・自然毒
ウイルス
放射線照射
新開発食品
動物用医薬品
肥料
異物混入
その他
0
10
20
30
40
50
60
70
食品の安全性の観点からより不安を感じているもの
内閣府食品安全委員会: 平成15年 食品安全モニター・アンケート調査
「食の安全性に関する意識調査」結果
80
%
食中毒による健康被害の発生状況
年度
’69-’78
1,259
事故数
46.3
死者数
33,266
患者数
一事故当り
26.4
患者数
’79-’85 ’86-’95 ’96-’02
1,074
16.6
34,667
773
6.3
33,370
2,130
9.3
37,781
32.3
43.1
17.7
生産過程が見えない
ハイリスク集団の比重が増加
都市と農村の乖離
農産物の自由化(1994)
高齢化(絶対数)
少子化(希少価値)
「食農教育」、トレーサビリティー
食品衛生法に健康弱者を規定する
二つの要素を同時並行的に解決していかないと、抜本対策とはならない
細菌
40,000
35,000
細菌
600
30,000
25,000
自然毒
化学物質
自然毒
500
20,000
400
15,000
300
化学物質
200
100
0
食中毒患者数の推移
20
:総数
:細菌
:自然毒
化学物質による死亡者はいない
18
16
14
年
間 12
死
亡 10
数 8
6
4
2
0
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
原因物質別にみた食中毒による死者数の推移
25
累 20
積
死 15
亡
者
数 10
5
0
原因食品別にみた食中毒死亡者数
(1996~2002)
自然毒の脅威との戦いが人類史の一側面
50%致死量
μg/kg mouse
ボツリヌス毒
破傷風毒
ジフテリア毒
パリトキシン
テトロドトキシン
サキシトキシン
産生・保有
0.00003
細菌
0.0001
細菌
文化(Culture;耕す)
0.3
細菌
人間が改良を加えてきた物心両面の成果、
とくに西洋では精神的生活に関わるものを
0.6
イソギンチャク類
「文化」とし、「文明」と区別する。危害を取り
8.7
フグ、ヒョウモンダコ
除いて<安全に食べる>ことが文化であり、
「ナチュラル=非文化」は危険です。
10
二枚貝
ボツリヌス毒の1億倍食べないと死なない
ギンナン中毒:
10,000
青酸カリ 国内で過去約80人の患者が学会報告され、うち約30人が死亡
青酸配糖体:アミグダリン(ウメ、アンズ、モモ)、ドーリン(イネ科)
ファゼオルナチン(アオイマメ)、リナマリン(キャサバ)
青酸配糖体を含む生薬: キョウニン(杏仁)、トウニン、ショウキョウ
40
累 30
積
死
亡 20
者
数
10
0
食事場所別にみた食中毒死亡者数
(1996~2002)
4
2
0
累
積 12
死
亡 10
者 8
数
6
4
0~4
5~9
:動物性自然毒
:植物性自然毒
:大腸菌
:サルモネラ
:ぶどう球菌
:腸炎ビブリオ
10~14
15~19
20~29
ハイリスク者への特別対策
衛生教育
2
0
30~39
40~49
50~59
60~69
70~
年齢
年齢・死亡原因物質別にみた死亡者数
(1996~2002)
死者数
衛生教育
人口
50歳
15歳
患者数
0
20
40
60
80
100%
食中毒患者数および死者数の年齢別割合
:0~4
:30~39
:5~9
:40~49
:10~14
:50~59
:15~19
:60~69
:20~29
:70~
年齢
昭 和 25 年(1950)
85~
80~84
75~79
70~74
65~69
60~64
55~59
50~54
45~49
40~44
35~39
30~34
25~29
20~24
15~19
10~14
5~9
0~4
総人口: 84,114,574
:女性
:男性
600
400
200
平 成 12 年(2000)
0
総人口: 126,925,843
0
200
日本における人口構成の変化
400
600
万人
ぱーと3
安全性の基礎知識
「危害とは、ヒトに障害を起す可能性のある食品の、生物
学的、化学的、あるいは物理学的因子、もしくは状態をいう。
他方、リスクとは、食品中の危害の結果として起こる、暴
露集団の健康に対する悪影響の発生確率と重篤度の推
定値である。」
「危害を減らすこととリスクを減らすことの関係を理解す
ることは、適切な食品の安全性制御を発展させる上でとく
に重要である。 不幸なことに、食品について『ゼロ・リス
ク』のような事態はありえない(その他の何についても言え
ることだが)。」
「食品の品質と安全性システム」 国連食糧農業機関(FAO)
一日摂取許容量(ADI )=
無有害作用濃度
100
食品中の残留許容濃度
生
体
反
応
の
強
度
閾
値
致死量
無
有
害
作
用
濃
度
中毒量
閾値がある
化学物質
薬効
用量
一日摂取許容量と残留許容濃度(一般毒性)
一日摂取許容量(ADI )
許容残留量(MRL)
食品A
食品B
食品C
動物の生涯に亘る投与試験から求め
られた一日摂取許容量(ADI)は、ヒト
が生涯に亘って摂取しても健康に影
響しない量である。
食品D
食品E
食品F
当該の有害物質が含まれる全ての食
品について、摂取量を加味しながら、
それぞれの食品について許容残留量
(MRL)が設定される。
実際の残留量
食品A
食品D
一過性の超過は健康に影響せず
食品A
食品D
食品B
食品B
食品E
食品C
食品F
それぞれの食品の実際の残留分析値
はMRLを大幅に下回っている。
時々、農薬の残留が報道されるが、
「不安」に駆られる必要はない。
食品E
食品C
食品F
仮に、特定食品Bの残留値がMRLを超
えても、総体としてはADIの範囲内にある。
しかも、一過性のことであり、一生涯を通
しての摂取を想定したADIであるから、短
期間の暴露は健康に全く影響しない。
(μg/ Kg/ day)
1
カビ毒
AFB1
アフラトキシン
ニトロソアミン
癌 1O
原
性
の
強 1O 2
さ
(
動
物 1O 3
に
癌
を
4
作 1O
る
用
量 1O 5
)
STRC
(魚の二級アミン + 野菜の硝酸塩)
4NQO
BP
BNU
DMBA
MNU
DBNA
3MCA
魚の焼け焦げ
Trp-P2
TOX
DBA
Trp-P1
AF2
DAN
1O 6~
TCE
~
~
~
-3
10
-2
-1
2
3
4
5
10
10
1
10
10
10
10
10
Ames法による突然変異原性の強さ(変異コロニー数/μg)
生活環境中物質の発癌性と突然変異原性
10
6
日常的に暴露されているリスク、避けることのできないリスクより
十分に低いことをもって安全とする。
一生の間に100万人に1人以下でしか起きない確率
発
癌
率
閾値がない
化学物質
10-6
低濃度直線性
実質的安全量
用量
DNA 障害性物質の安全性基準
◆ 健康と食事の関係 ◆
閾値がない
化学物質
▲
栄養素
▲
健
康
へ
の
悪
影
響
▲
閾値がある
化学物質
●
●
●
NOAEL
●
無有害作用
濃度
●
●
●
●
●
●
●
化学物質の用量・反応関係
LOAEL
最小有害作用
濃度
用量(摂取量)
WHO: Hazardous chemicals in human and environmental health - A resource
book for school, college and university students. 2000
糖尿病による人口10万人当り死亡率
男
女
1960
3.2
3.6
1965
5.1
5.3
1970
7.4
7.4
1975
8.0
8.2
1980
7.1
7.5
1985
7.3
8.0
1990
7.5
8.0
1995
11.7
11.2
2000
10.7
9.1
2004
10.9
9.2
40
:糖尿病の可能性を否定できない人
(ヘモグロビンA1c値が5.6~6.1未満)
30
:糖尿病が強く疑われる人
(ヘモグロビンA1c値が6.1以上で治療中)
割
合 20
(
%
)
10
0
全体
20-29 30-39 40-49 50-59 60-69
年齢 (左が男性、右が女性)
>70
年齢別にみた糖尿病およびその予備群の割合
食品自体の安全性を危惧する前に
14
安全に食べる
0.28
糖尿病(男)
0.24
12
糖
尿 10
病
に 8
よ
る
死 6
亡
率 4
2
糖尿病(女)
食中毒
0
食
0.2 中
毒
0.16 に
よ
る
0.12 死
亡
0.08 率
0.04
0
人口10万人当り死亡率の年次推移
ぱーと3
人畜共通感染症
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
一類感染症(7種):エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ熱、
重症急性呼吸器症候群(SARS)、痘そう、ペスト、マールブルグ病
二類感染症(6種) :急性灰白髄炎、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、
腸チフス、パラチフス
三類感染症(1種) :腸管出血性大腸菌感染症(O157)
四類感染症(30種) :E型肝炎、ウエストナイル熱、エキノコックス症、
黄熱、オウム病、狂犬病、高病原性鳥インフルエンザ、腎症候性出
血熱、炭疸、日本脳炎、Bウイルス病、ブルセラ症、・・・・
五類感染症(42種) :クロイツフェルト・ヤコブ病(BSEによる新型ヤコ
ブ病)、破傷風、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、・・・・
「家畜伝染病予防法」に定められた 豚を含む監視伝染病
病名
日
本
に
存
在
し
な
い
日
本
に
存
在
す
る
人畜共通感染症
狂犬病
水胞性口炎
牛疫、口蹄疫、出血性敗血症、ブルセラ病
アフリカ豚コレラ、豚水胞病
類鼻疽
ニパウイルス感染症
豚水疱疹
対象動物
全ての温血動物
偶蹄類、馬
偶蹄類
豚、いのしし
偶蹄類、馬
馬、豚、いのしし
豚、いのしし
「
と
畜
場
法
」
炭疽、流行性脳炎
豚コレラ
気腫疽
トキソプラズマ病
レプトスピラ症
偶蹄類、馬
豚、いのしし
病
偶蹄類
畜
めん羊、山羊、豚、いのしし
牛、水牛、しか、豚、いのしし、犬は
サルモネラ症
牛、水牛、しか、豚、いのしし、鶏、
わ
あひる、七面鳥、うずら
オーエスキー病、伝染性胃腸炎、豚エンテロウイ
ルス性脳脊髄炎、豚繁殖・呼吸障害症候群、豚流
行性下痢、萎縮性鼻炎、豚丹毒、豚赤痢
食
豚、いのしし
ず
註: 法定伝染病、届出伝染病、偶蹄類(牛、水牛、めん羊、山羊、しか、豚、いのしし)
ウイルスの感染環: 矢印はコガタ
アカイエカの吸血による伝播
家畜における日本脳炎の主な被害:
馬における死亡と予後不良、繁殖豚
渡り鳥?
における死流産と無精子症
日本脳炎
6000
ブタ
人畜共通感染症
5000
4000
年
間
患 3000
者
数
2000
ブタ
ブタ
増幅動物
ウイルス血症
ブタ
ヒト
1960年代に
激減にした
1000
ヒト
0
1950
55
60
65
70
日本脳炎患者数の推移
75
80
6000
900
千戸
頭/戸
5000
4000
年
間
患 3000
者
数
2000
600
300
1000
養
豚
農
家
数
と
一
戸
当
り
飼
養
頭
数
0
0
1950
55
60
65
70
75
80
日本脳炎患者数と養豚業の推移
1960年代に激減にした理由
1.予防接種法に基づくワクチン接種が浸透した。
2.農地整理が行われ、コガタアカイエカが発生する水田地帯が様変わりした。
3.有畜農業から養豚業が専業化、大規模化し、水田地帯を離れ、山間部に移動した。
トキソプラズマ症
有性生殖
オーシスト(虫卵)
消化管寄生
糞便
捕食
無性生殖
シスト(嚢子)
筋肉内寄生
捕食
砂場
飲用水
食品汚染
感染豚由
来の豚肉
一般健康人は
発病しない。
妊婦および
免疫低下者のみ
2500
発
生
率
(
豚
飼
養
1
千
万
頭
当
り
)
養豚業が専業化、大規模化し、衛生管理技術
が向上したことにより、豚の感染は激減した。
一戸当り飼養頭数
頭数
750
2000
発生率
1500
500
1000
250
500
0
ブタにおけるトキソプラズマ症の発生推移
0
リスクは?
現在、ヒトインフルエンザで、
何人死亡しているか、知ってい
ますか?
リスクは、総体的に評価する
ものであって、個々の健康危
害要因を「危険か 安全か」と
いう二者択一の物差しで計る
ものではない。
現段階で、鳥インフルエンザ
がヒトの健康に及ぼす影響は、
ヒトインフルエンザに比べて
微々たるものである。
ニワトリが大量死することで、
食料が減ることの影響が大き
い。
2003年から2007年3月29日まで、世界における患者数285名、
死亡者数170名、致命率は約60%。感染例は稀であるが、致
命率が高い。感染者は、病気に罹った鳥を調理する過程で鳥
の糞便に含まれるウイルスを大量に吸込んでしまったことによ
る(WHO発表)。
ヒト
豚
鳥
馬
H
1,2,3
1,3
1-15
3,7
N
1,2
1,2
1-9
7,8
H:ヘム・アグルチニン
N:ノイラミニダーゼ
遺伝子
インフルエンザウイルスの模式構造
ウイルス抗原の循環説: 10~20年毎に大変異を起こす
1890
1900
1910
1940
1950
1960
1970
1980
ウイルス発見
H0N1
イタリアかぜ
H1N1
H3N2
1930
スペインかぜ
Hsw1N1
H2N2
1920
旧アジアかぜ
旧香港かぜ
ソ連かぜ
アジアかぜ
香港かぜ
1918年に西フランスで発生したスペイン風邪は瞬く間に全世界に広が
り、発病者5億人、死亡者2000万人を超え、日本でも2400万人が罹患
し40万人が死亡した。10万人当りの死亡率が数百名とされ、単なるか
ぜではなく、新型ウイルス登場初期は、非常に怖い病気である。
このウイルスは1930年にブタから分離されたタイプと等しく、ブタから
広がったとの推測がある。同タイプのウイルスが1976年に米国の軍隊
内で小流行し、一時は非常事態宣言が発令された。
1957年2月に雲南に誕生したアジアかぜの広がり方
X
4月
5月
6月
7月
8月
9月
船を主要な交通網とした時代でも、世界の主要都市に流行が広がる
までわずか半年であり、ジェット機が飛ぶ現在では1ヶ月もあれば世界
に広がってしまうであろう。新型ウイルスが誕生した暁には、渡り鳥
云々というのんびりした話ではない。誕生させない対策が重要!
世界流行
新型ウイルスが人に感
染するようになった
5
界
5:かなりの
「人―人感染」
が発生してい
る証拠がある
世
動物の新型ウイル
スはみられるが、
人の感染例はない
6
流
行
4
へ
人への感染
リスクは低い
世
1
界
の
4:「人―人感
染」が増加してい
る証拠がある
警
戒
3
体
3:「人―人感染」がな
いかまたは極めてまれ
流
人への感染
リスクが高い
行
2
制
間
期
インフルエンザ時計
期
1回り20年?
(”Current WHO phase of pandemic alert”を改編)
第3段階における戦略
1.鶏におけるH5N1流行の制圧
発展途上国への資材と技術の支援
2.既存のインフルエンザ・ワクチン
の接種拡大
ヒト体内での新型ウイルス誕生防止
3.汎流行株ワクチンの開発
先進国の責任
4.ワクチン生産体制の確立
発展途上国における工場建設
=先進国の支援
鶏の発生とヒトの感染
5.隔離病院の建設
先進国の支援
第4段階における戦略
1.ヒトーヒト感染ウイルスの封じ込め
発生地域周辺への汎流行株ワクチン接種
2.汎流行株ワクチンの改良
新たなH5N1ウイルスを基に汎流行株の
予測を修正
汎流行株ワクチン
接種地帯
ヒトーヒト感染
発生地
第4段階のH5N1は、まだ世界
流行するほどの感染力を持っ
ていない。さらに変異して汎流
行株へと進化するのを止める
ことが最大の目標。
第5段階における戦略
1.ヒトーヒト感染ウイルスの封じ込め
2.汎流行株ワクチンの改良
3.非汚染国における
侵入防止策の強化
この段階では、まだ、
非汚染国で汎流行ワ
クチンを接種する必
要はない。支援に出
向くヒトのみ。
第6段階(世界流行)における戦略
全てのヒトに汎流行株ワクチンを接種
こうした事態が起きないように、今、総力を挙
げて発展途上国を支援する必要がある!
おわりに
21世紀の課題:人口、食料、環境
世界規模で考え、
地域で活動する
食品安全教育
国際会議
交通網の発達によって世界は狭くなった。
宇宙船「地球号」を護るのはあなた!
● 国際的食料事情
新世紀の発展目標に関する報告 2005
国際連合
目標 1:
目標 2:
目標 3:
目標 4 :
目標 5 :
目標 6 :
目標 7 :
目標 8:
極度の貧困と飢餓の克服
一般的な初等教育の達成
男女平等の推進と女性への公的権限の付与
小児死亡率の低減
母体の健康増進
HIV/AIDS, マラリアおよびその他の疾病の克服
環境の持続性を確保
発展のための地球的規模での提携の推進
Dietary
Energy Consumption (2000
(2000 -- 2002)
2002)
1日当りカロリー摂取量
Undernourished
Population (2000
(2000 -- 2002)
2002)
栄養不足の人口割合
サハラ以南のアフリカにおける栄養不足人口(100万人)
1969-71 1979-81
92.8
127.0
1990-92
169.0
1995-97 2001-3
196.6
206.2
穀類
インド
砂糖類
中国
芋・豆・野菜
エジプト
肉類
日本
卵類
乳製品
イギリス
魚介類
ドイツ
その他
フランス
米国
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
1人1日当たりKcal
カロリー供給量の食品別割合の比較 (2002年)
(総務省統計局)
食品1kgを生産するた
めに必要な穀物量
(農水省試算)
牛肉
11 kg
豚肉
7 kg
鶏肉
4 kg
鶏卵
3 kg
大豆油
5 kg
菜種油
2 kg
食肉については、可食部の
生産に必要なとうもろこし量。
油については、各原料の量。
飼料要求率=
飼料摂取量
増体量
鶏肉の飼料要求率=約2
100
90
80
70
60
億 50
人 40
30
20
10
0
世界
発展途上国
先進国
世界人口の推移と予測
(総務省統計局)
食事内容が改善され、動物性蛋白や油脂の摂取
量が増えると、そのまま食べる穀物量は相対的に
少なくなる。かつては穀物輸出国であった中国が
輸入国に転じた理由は、経済的発展による食事内
容の改善であった(日本も同様)。
肉(kg)、伸び率(%)
60
乳(kg)
600
Live stock to 2020
The Next Food Revolution
50
500
1999, FAO
40
400
30
300
20
200
10
100
0
0
-5
先進国 途上国
先進国 途上国
先進国 途上国
先進国 途上国
牛肉
豚肉
鶏肉
乳
一人当たり年間摂取量の予測
:1993年、
:2020年(推定)、
:伸び率=2020年/1993年
ECOSYSTEMS
AND HUMAN WELL-BEING
: Health Synthesis
生態系と人類の福祉:
健康の創生
A Report of新世紀の生態系アセスメント報告
the Millennium Ecosystem Assessment
World Health
Organization
2005
WHO
2005
死亡率の低い先進国では、食事と関連するリスクは主に栄養過剰と
運動不足によるものですが、病気に罹る10分の1から3分の1に及んで
おり、それらは、主として高血圧、冠状動脈性心臓病ならびに糖尿病
のような健康状態に起因する。
5歳未満死亡率
(2003年推定)
170~318
110~170
55~110
25~55
3~25
データなし
1000名の新生児の中で、5歳までの死亡数
WHO 2005
35
大豆
30
25
割
合 20
(
%
) 15
10
5
33.8%
肉類
24.8%
とうもろこし
10.2 %
5.8%
0.7%
3.1%
農産物合計
小麦
人口 2%
0
世界の人口と農産物輸入額に占める日本の割合
海外食料需給レポート2002(農水省)より
食の権利
Hunger
is both a violation of human dignity and an obstacle to social,
飢餓は、人間としての尊厳への侵害であり、また、社会的、政治的、ならびに経
political
and economic progress. International law recognizes that
済的発展への障害となっている。国際法では、何人も飢餓から解放される基本的
everyone has the fundamental right to be free from hunger, and 22
権利を有するとしており、22カ国が「食の権利」を憲法において定めている。一国
countries have enshrined food rights in their constitutions. National
の政府は、国民が健康で活気に満ちた生活を過ごすために、十分量の、安全で、
governments must do everything possible to ensure that people have
栄養価の高い食品を物理的および経済的に手にすることができることを保証する
the physical and economic access to enough safe, nutritious food to
上で可能なあらゆる方策を実施しなければならない。
lead healthy and active lives.
食の権利は、無制限の食料ではない
The right to food, not free food
A common misunderstanding is that the right to food requires the State
一般的に広まっている誤解は、食の権利は人々を養うことを国連に求めることで
to feed its people. This is not necessarily the case. Rather, the State must
あるという見解である。これは必ずしも正しくはない。むしろ、個人が自ら食べる権利
respect and protect the rights of individuals to feed themselves. Direct
を国連は尊重し保護すべきである。直接的な食料援助は、主として、自然災害や戦
food assistance is mainly called for in emergencies, such as natural
争のような緊急事態に要請されることである。国家が自らの資源でこの要請に応え
disasters or war. When a country cannot meet this need through its own
ることができない時に、国連は国際的支援を要請しなければならない。
resources, the State must request international assistance.