炭素-水 入射核破砕反応のデータ収集

Download Report

Transcript 炭素-水 入射核破砕反応のデータ収集

日本物理学会@東京理科大 2005.3.25
医療用炭素ビームの入射核破砕反応
炭素-水 入射核破砕反応断面積の測定
歳藤利行(名古屋大学)
NIRS HIMAC P152実験
名古屋大学、NIRS、GEANT4日本グループ(KEK,SLAC)、JAXA、東邦大学など
名大理,放医研A,高エ研B,宇宙研C,東大理D,神戸大発達E,東邦大理F,愛知教育大教育G,鳴門教育大H,群馬大医I,
SLACJ,立命館大理工K 歳藤利行,丹羽公雄,中野敏行,中村琢,伴尊行,高橋覚,兼松伸幸A,遊佐顕I,小森雅孝A,
村上晃一B,佐々木節B,尼子勝哉B,吉田肇H,田中覚K,小井辰巳A,浅井慎J,尾崎正伸C,国分紀秀D,青木茂樹E,
渋谷寛F,児玉康一G
P152実験の目的
入射核破砕反応
ビーム 標的(人体ではH,C,N,O,Ca,Pなど)
炭素ビーム
180MeV/u
zの小さな複数個の核に破砕
150μm
エマルション
すべての荷電2次粒子を検出・測定
個々の事象ごとに反応を再構成
原子核の多重度、角度、運動量などを測定。データベース化
GEANT4の重粒子線治療応用を確立させるのに必要な
調整用・検証用データとして利用
炭素-水 入射核破砕反応断面積の測定
炭素-水反応収集用
水ターゲットチェン
バー
人体の主要構成物質
430MeV/u β=0.72
12Cビーム
12000本/2cm×2cm
水中飛程~30cm
ビームが静止するまでの
エネルギー領域をカバー
2004年1月照射@HIMAC
30cm
87層
87層
水
3mm
遮光防水フィルム
厚さ~128μm
エマルションフィルム
44μm両面塗り205μmTACベース
エマルションフィルム 12.5cm
10cm
厚さ
293μm
OPERA実験用に大量生産中
水槽
87層
40cm
21cm
飛跡の高速自動読み取り
44μm
16層の断層映像
3次元画像解析
~120μm
中野敏行:三次元素粒子飛跡の並列画像処理
日本物理学会誌2001年6月号
S.Aoki, et al. NIM B 51(1990)466
重イオントラックに対して
位置精度~1μm
角度精度~5mrad
検出効率~100%(tanθ≦0.4)
3視野/秒
オンライン:各プレート上でのトラックの読み出し
オフライン処理:直線トラックを再構成
オフライン処理:バーテックスの再構成
バーテックスの再構成
上流側から77層(27cm)分を解析
エマルションフィルム
44μm両面塗り205μmTACベース
3mm
Ekine=430~100MeV/u
水
インパクトパラメータ(μm)
2cm
22cm
多重度(2次粒子の本数)
430MeV/u 12C
~12000本
~4000事象
2cm
22cm
上流側から66層(22cm)分のデータ
Ekine=430~200MeV/u
入射核破砕反応断面積の導出方法
仮定:
破砕反応=2本以上の2次粒子をともなった反応
ビームと2次粒子を同時測定して
反応を再構成・検出
x
Nint
P(反応確率)=
Nbeam(1)
P<<1ならば
M(=18分子量)P
σ=
NAρ(密度)x(厚さ)
Nbeam(1) Nint
Nbeam(2)
任意の深さ(=エネルギー)で分析
Energy Scaling
エネルギー
• 始点:加速器によるビームエネルギー(430MeV/u)
• 終点:反応を起こさないビームが到達する深さを
3mm間隔のサンプリングで測定
物質量の補正
• 途中:GEANT4によるモンテカルロ計算で内挿
反応点の深さ⇔炭素ビームのエネルギー
エネルギー絶対値の誤差<2%
12Cビーム
430MeV/u
深さ
終点:測定点
過去に測定された
Charge changing cross sectionとの比較
= σ(total)-σ(elastic)-σ(neutron removal)
A.N.Golovchenko
I.Schall
L.Sihver
モデル計算
Our results
統計誤差のみ考慮
検出効率などの補正なし
/ 5layers
ピクセル数のカウントによる電荷の分離
検出された飛跡
Z=1
Z=2
Z≧3
44μm
ピクセル
0.3μm× 0.3μm
パルスハイト
・・・・・・ 16層
2次粒子
Ekine=430~100MeV/u
入射粒子
Z=6
パルスハイト:プレート1枚あたりの平均ピクセル数
2次粒子の電荷別角度分布
Ekine=430~100MeV/u
Z=1
Z=2
2cm
22cm
Z≧3
0.1
0.3
0.5
入射粒子との角度差(tanθ)
2次粒子に含まれる水素原子核(Z=1)の速度分布
炭素ビームのエネルギー
領域ごとに区別
β
Ekine:430~395MeV/u
Ekine:395~360MeV/u
パルスハイト⇔dE/dx⇔速度
Ekine:360~325MeV/u
Ekine:325~285MeV/u
Ekine:285~245MeV/u
Ekine:245~195MeV/u
検出器のアップグレード
2004年12月1日 照射チェンバー
水(H2O)とアクリル(C5H8O2)の複合ターゲット
電荷の区別可能:低感度エマルションの導入
アクリル(厚さ1mm)
水
水
水
リフレッシュ
ビーム照射後、高温、高湿環境下に
エマルションをさらし、潜像を破壊。
2004秋JPS高知
低感度:~1/5
38℃リフレッシュ
2mm
低感度:~1/7
40℃リフレッシュ
Normal エマルション
破砕反応の2次粒子
(多重度2以上)
100
40℃リフレッシュ
77
C
B
Be
Li
10.7cm
He
パルスハイト
38℃リフレッシュ
Z=6まで電荷識別可能
まとめと今後の展開
放医研P152実験
2004年1月マシンタイム 430MeV/u 12C
炭素-水 入射核破砕反応のデータ収集
Ek=430~100MeV/uにおいて断面積を測定した
多重度、電荷、放出角、速度分布も測定
検出効率などの評価
オフライン処理の改良
2004年12月マシンタイム 400MeV/u 12C :電荷情報を付加
炭素-水、炭素-アクリル反応のデータ収集 飛跡読み取り進行中
データベース化
GEANT4 に組み込まれたQMDに基づく核破砕反応ルーチン
(JQMD)の検証、調整
2005年秋:C-Ca,C-P反応のデータ集収
430MeV/u 12C
青:Z=1,緑:Z=2,赤:Z≧3
3840事象
~12000本
2cm
22cm
角度依存性
θ依存性:放物線で近似
Ph(θ,φ,dE/dx)
=A(dE/dxの3次式)+B(φ,dE/dx)×tan2θ
φ依存性:三角関数で近似
B(φ)=-cos(2φ)×(B(90o)-B(0o))/2
+ (B(90o)+B(0o))/2
B(φ)
0
B(90o)
B(0o)
φ
φ=0°
φ=90°
実はB(φ)=B(φ,dE/dx)
:KEKテストビームの測定結果に合うように滑らかに補間
速度・角度相関
Track Fiducial Cut
各trackのend pointに対して要求
水中反応の選び出し
• ECC : 549 micron
• margin : +- 150 micron
リフレッシュ処理による電荷の分離
Z=1
Z=2
Z=6
180MeV/u
12Cビーム
リファレンス
ピクセル数
δ線~5本/44μm
ビーム照射後のフィルムを高温・高湿下に
さらして、主にデルタ線(電子)が生成した
潜像核を消去する。
現像後の飛跡が細くなる
リファレンス リフレッシュ処理
38℃ R.H.98% 3日
Z=6
Z=2
Z=1
リフレッシュ処理後 ピクセル数
リフレッシュ
2004年12月 40℃リフレッシュ試験
(2次ビーム:2004年5月照射フィルム)
He
Li
Be
B
C
40℃ 30℃
no refresh
45℃ 38℃
40℃と38℃(いずれもR.H.98%,3日間)の2種類に決定
2005年1月 水ターゲットチェンバーのフィルムをリフレッシュ処理
リファレンス用2次ビーム照射フィルムも同時に処理
すべて現像を完了した
400MeV/u
鉛ECC
12C
OPERA-film(29)+Pb(1mm)
+OPERA-film(28)+Pb(1mm)+ …
+Pb(1mm)+OPERA-film(1)
アクリル窓(厚さ1mm)
100
99
98
37
36
・・・
28.75cm
4.65cm
スペーサー(厚さ2mm)
OPERA-film4枚とアクリル板(厚さ1mm)をパックしたもの
リフレッシュなしフィルムのスキャン
水ターゲットチェンバー、スポット1、3
2.5cm×2.5cm
15000×2スポット=30000本
プレート100から77まで(24層)上流側スキャン完了(1月30日)
上流
Normal エマルション
パルスハイト
低感度38℃リフレッシュ
低感度40℃リフレッシュ