九大タンデムにおけるビーム・バンチャー改良 - 実験核物理

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九大タンデムにおけるビーム・バンチャー
改良
藤田 訓裕 九州大学理学研究院
相良 建至,後藤 昂, 中野 桂樹, 岩淵 利恵, 谷口
雅弘, 大場 希美, 前田 豊和
実験概要
前段バンチャー(not in use)
反応: 12C + 4He → 16O + g
Ecm = 2.4~0.7 MeV
E(12C)=9.6~2.8 MeV
E(16O)=7.2~2.1 MeV
非常に断面積の小さい反応の為、
大電流ビーム、厚い標的、低バックグラウンド化が重要
ビームのパルス化、および
高いパルス化効率
バンチャー
加速
加速
減速
減速
I
12C-
入射時
連続ビーム
t
I
129mm
飛行距離 L(7m) 地点
疎密ビーム
(12C,150keVの半波長)
1
sin(x)
0.8
0.6
t
0.4
0.2
150keVの12Cをパルス化
0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1
-6
•
•
•
-4
-2
0
2
4
6
周波数:6MHz
電圧: 2.8kVpp
入射時間により入射12Cが加速、減速され粗密構造が作られる
– 入口で加速(減速)された物は出口でも加速(減速)される
等倍・2倍周期の2台を使用(f+2f型)
理想的には50%のビームが1カ所に集まる
チョッパー
スリット
I
12C1+
チョッパー後
t
V
バンチャー6MHz,150kV,12Cの場合
周波数:3.5MHz
電圧: 3.0kVpp
•
•
•
バンチャー後に残っているDC成分をはね除ける
電圧が0Vの時のみ粒子を通す
バンチャーの½周期
改良事項
• 測定する16Oのエネルギーが低くなると、BGのタイミングも変わる
• 共振周波数変更: 6(現状) →3.5 → 3.3 → 3.0 → 2.0 MHz
– 共振周波数: コイルのLを増加 f0  1 2 LC
– 電極管の長さ: 距離を増やす → 12Cが1/2周期間に進む距離
• 現状調査
– 管長: 320, 160mm ← AMS用の設計(200keVの14C, 又は36Cl)
– 150keVの12Cだと1.25周期分の長さ(気付かずに使っていた)
– それでもパルス化されていた
½波長からずれると効率は悪くなるが、
電圧を高くすればバンチは可能
(現状は1.3倍の電圧が必要)
→周波数を変える際、逐一電極管を作
り替える必要はない
変更作業
• 管の長さが半波長でなくとも良い
スピーカコンデンサ
共振器
RF in
– 3.3MHzの設定にする
– 必要な長さは 240, 120 mm
C2
• 3.5MHzとのズレは5%
• 実効電圧は2x99.5%以上
L
C1
• 共振器の変更
L
1
1
4 2C f 2

電極へ
より、Lを現状の3.3倍に
電極管
f40
L
C1
C2
240mm
時間幅測定
• 改良後のパルス化効率と時間幅の測定を行った
• 12C1+を用いる
– エネルギー: 6MeV
– ターミナル電圧: 3MV
– ガスストリッパー: N2, 約4x10-3 torr, 吹込み型
有効長: 500mm
口径: f12
ピポット軸受型ターボ分子ポンプx2
•タンデム入射3mAに対して、90°分析電磁石後700nA
→ターミナル電圧を高く使えば透過率は充分高くできる(九大タンデムは6-10MVの設計)
測定結果
•
測定方法
12C
12C
foil
beam
–
– 発振器の基準信号とSSDで検出される時間差を測定
12C(12C,12C)反応を用いる
バンチャーのみ
ピーク幅: 27.18ns (FWHM)
効率: 47.8 %
(全体のイベント数/ピークの面積)
Si-SSD
バンチャー+チョッパー
ピーク幅: 18.80ns (FWHM)
効率: 33.7 %
(チョッパー on/off時の電流比)
前段バンチャー改良案
• 現状
– 鋸歯状波によるパルス化:
理想的には100%のパルス化効率
• カソード電極のGND側に ± 0.3 kV (Vpp=600V)
– 電力の反射によるアンプの故障が多発
– 低周波数にする為にはより高電圧Vpp>1200Vが必要 →リスクが高い
cathode
5kV
12C
鋸歯状波入力
extraction
15kV
→バンチャーと同じf+2f型へ変更
設計
f+2f, 2つの電極で12Cが受ける電圧の和
cathode
5kV
12C
~300mm
focus
f
2f
extraction
15kV
バンチ出来る範囲
•
パラメータ
– 電圧: ±1kV (sin波なら問題ない電圧)
– 電極管長さ: 68(f), 34(2f)mm
•
理想的には効率は70%程度
•
最終目標は5pmAのパルスビーム
– タンデム入射にパルス化無しで30pmAは必要
まとめ
• 天体核実験では12C + 4He → 16O + g測定の為にビームをパルス化して
いる
• 16Oをより低いエネルギーで測定するにはパルス化周波数を6MHzから
2MHzまで下げる必要がある
• 周波数変更の為にコイルのインダクタンス、電極管の長さを変更した
• C-foilとの散乱を用いてパルス幅とパルス化効率を測定し、十分な性能
を持っている事を確認した
• 今後は前段バンチャーの製作に取りかかる
加速減速収束法
ビームの収束効率は電圧勾配に依存
加速管の一部をショートし、電圧勾配を上昇
ただし
• ショート棒とタンクの間での放電
• チェーン電流の増加
による制限がある
最大電圧が1.5MV以下に制限される
Ecm=1.15MeV以下の測定にはこの方法を用いて大強度ビームを加速できるようになる
過去に行われたテストでは、ターミナル1MVにおいて
通常運転時の10倍のビーム輸送効率を達成している