比較優位と生産可能性曲線

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跡見学園女子大学マネジメント学部 国際経済学
比較優位と生産可能性曲線
丹野忠晋
2009年11月30日
比較優位の復習
 何を輸入して何を輸出するかを説明
 ある財は他の財に比べてどのくらい費用がか
かるかを示す相対費用
 日本と中国における今川焼きと杏仁豆腐の貿
易
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比較優位の復習/2
 ある財が他国と比べ相対的な費用が低い場合
にその国はその財に比較優位があると言いま
す
 日本は今川焼き,中国は杏仁豆腐に比較優位
がある
 ある国が特定の財のみを作ることを特化
 比較優位のある財に特化して輸出する
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比較優位の復習/3
 その代り比較劣位にある財を輸入する
 日本は今川焼きに特化し,中国は杏仁豆腐に
特化する.
 半分ずつ作るよりも世界全体の生産増
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比較優位をもう一度
 アメリカと日本
 小麦とコンピュータのみを作っている
 財を1単位生産するための労働費用
アメリカ
コンピュータ
100
小麦
5
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日本
120
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5
比較優位をもう一度/2
 小麦もコンピュータもアメリカの方が安く生産でき
ます
 つまりアメリカは絶対優位にあります
 効率的なコンピュータ産業を持っているアメリカは
日本からコンピュータを輸入しています.
 一方,日本はアメリカから小麦を輸入している
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比較優位をもう一度/3
 この貿易を説明するのが比較優位です
 日本の小麦の費用に対するコンピュータの相対的
な費用
=120/8=15
 アメリカの小麦の費用に対するコンピュータの相
対的な費用
=100/5=20
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比較優位をもう一度/4
 日本での小麦1トン当たりの生産費と比較したコン
ピュータの1台当たりの相対的な生産費はアメリカ
でのコンピュータ1台当たりの生産費よりも低くなっ
ている.
 このとき日本はコンピュータの生産に比較優位を
持っていると言います.
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生産可能性曲線
 比較優位を説明するために生産可能性曲線を
説明しましょう
 企業,個人,社会は様々な制約に直面
 ある財を沢山作れば,他の財を諦める必要が
ある
 勉強をすれば遊ぶ時間を削る
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生産可能性曲線/2
 世の中には様々なトレードオフが存在
 トレードオフとはあるものを選択するには他のも
のを諦めなければならないこと.
 生産可能曲線とは生産要素を効率的に使った
ときの生産物の組み合わせを図に表したもので
す.
 生産可能性曲線とはトレードオフを図解的に示
した曲線
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生産可能性曲線/2
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生産可能性曲線/3
 日本がすべての資源をお米に費やせば1500万
トンのお米
 反対にすべての資源をクルマに費やせば2000
万台のクルマが生産できます
 そうした可能性の中で日本はお米を900万トン,
自動車を1000万台生産しています
 内側の点は非効率な生産です
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生産可能性曲線/4
 生産可能性曲線はどうやって作ることができる
のか,なぜ2財しか考えないのかの疑問が浮か
ぶかもしれません.
 その作り方は経済学を深く学ぶと出て来る
 ここでは比較優位のアイディアを印象的に伝え
るために2財のような簡単化を行ったのです.
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生産可能性曲線/5
 ここでは比較優位のアイディアを印象的に伝え
るために2財のような簡単化を行ったのです.
 現実は複雑ですが,それを簡単化して経済の
エッセンスだけを取り出したモデルを考えていま
す.
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生産可能性曲線の特徴
生産可能性曲線にはいくつかの特徴があります.
1. 右下がりである
2. 外側に向かって凸である
 1はトレードオフを表します
 2は収益逓減を意味する
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収益逓減
 収益逓減-ある投入物の量を一単位増加さ
せる結果として生産量は増加するが,その増
加分は次第に小さくなっていくことを表す.
 つまりお米を生産するほど自動車の生産を減
らさなければなりません
 お米が増えれば増えるほど減らさなければな
らない自動車の台数は増えていきます
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収益逓減/2
 最初はお米作りに長けた人が自動車生産か
らお米生産へ移るでしょう
 そのうちそのような人々がいなくなって,お米
作りが不得意で自動車作りが上手い人も移
動する
 そうすると減らさなければならない自動車は
増えます
 生産は増加するが,その増加割合は減少
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生産可能性曲線を用いた比較優位の説明
 アメリカと中国が航空機と衣服を生産していると
します
 もちろん,中国は衣服に比較優位を持っていま
す
 二カ国の生産可能曲線を同じ図に描いてみま
しょう
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比較優位の説明/2
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比較優位の説明/3
 まずE点から始めましょう
 中国は航空機を100機減らすことにより衣服を1
万着分増加させることができます
 E→E’
 それとは逆にアメリカが航空機を100機増産した
場合に減らさなければならない衣服は1千着分
です
 E→E’’
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比較優位の説明/4
 つまり,両国で航空機を減らすことなく
100-100=0
 衣服を9千着増加させることができました
9000=10000-1000
 つまり両国の生産のトレードオフが異なる限り
中国が衣服にアメリカが航空機に特化するとこ
によって得をすることが分かります
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比較優位の説明/5
 特化とはある国が特定の財に集中して生産を
行うことです.
 ここで難しい用語を導入しますが,生産可能曲
線のトレードオフを限界変形率といいます
 ここでは航空機と衣服の限界変形率(marginal
rate of transformation)です
 限界変形率は MRT と記号で書きます
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比較優位の説明/6
 限界変形率(MRT)は航空機を1機増やすには
どれだけ衣服を減らさなければならないことを
示します
 限界変形率は生産可能性曲線の傾きの絶対値
に等しいことが分かります
 中国のMRT > 米国のMRT
 1単位の航空機生産による諦めなければならな
い衣服の量は,中国の方が大きい
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比較優位の説明/7
 つまりアメリカは航空機に比較優位をもつ
 反対に中国は衣服に比較優位を持つ
 限界変形率を知ることによって比較優位を知る
ことができる
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比較優位と特化
 なぜ特化は生産性を向上させるのか
 移動の時間の節約
 同じ事を繰り返すことによる熟練
 発明の基盤
 分業
Division of labor
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分業
 習熟から発明へ
 特化の限界
 規格化された財
 大量生産
 繰り返しによる退屈
 生産性の低下
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何が比較優位を決めるのか
 天然資源
 取得した資源
 優れた知識
 特化
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