Transcript (07) 12/01

国際経済の基礎
比較優位
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
国際経済の基礎
2005年12月1日
比較優位の復習
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何を輸入して何を輸出するかを説明
ある財の費用は他の財に比べてどのくら
いかかるか →
相対費用
日本と中国における今川焼きと杏仁豆腐
の貿易
比較優位の復習/2
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ある財が他国と比べ相対的な費用が低い
場合にその国はその財に比較優位がある
と言います
日本は今川焼き,中国は杏仁豆腐のみを
作る →
特化
半分ずつ作るよりも世界全体の生産増
比較優位をもう一度
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教科書p.97
アメリカと日本
小麦とコンピュータのみを作っている
アメリカ
コンピュータ
100
小麦
5
日本
120
8
比較優位をもう一度/2
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小麦もコンピュータもアメリカの方が安く生産
できます
つまりアメリカは絶対優位にあります
効率的なコンピュータ産業を持っているアメリ
カは日本からコンピュータを輸入しています.
一方,日本はアメリカから小麦を輸入してい
る
比較優位をもう一度/3
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この貿易を説明するのが比較優位です
日本の小麦の費用に対するコンピュータの
相対的な費用
=120/8=15
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アメリカの小麦の費用に対するコンピュータ
の相対的な費用
=100/5=20
比較優位をもう一度/4
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日本での小麦1トン当たりの生産費と比較し
た,コンピュータの1台当たりの相対的な生産
費は,アメリカでのコンピュータ1台当たりの
生産費よりも低くなっている.
このとき日本はコンピュータの生産に比較優
位を持っていると言います.
生産可能性曲線
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比較優位を説明するために生産可能性曲
線を説明しましょう
テキストp.62
企業,個人,社会は様々な制約に直面
生産可能曲線とは生産要素を効率的に
使ったときの生産物の組み合わせを図に
表したものです.
生産可能性曲線/2
生産可能性曲線/3
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日本がすべての資源をお米に費やせば
1500万トンのお米
反対にすべての資源をクルマに費やせば
2000万台のクルマが生産できます
そうした可能性の中で日本はお米を900万
トン,自動車を1000万台生産しています
内側の点は不効率な生産です
生産可能性曲線/4
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生産可能性曲線はどうやって作ることがで
きるのか,なぜ2財しか考えないのかの疑
問が浮かぶかもしれません.
その作り方は経済学を深く学ぶと出て来る
ここでは比較優位のアイディアを印象的に
伝えるために2財のような簡単化を行った
のです.
生産可能性曲線/4
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生産可能性曲線はどうやって作ることがで
きるのか,なぜ2財しか考えないのかの疑
問が浮かぶかもしれません.
その作り方は経済学を深く学ぶと出て来る
ここでは比較優位のアイディアを印象的に
伝えるために2財のような簡単化を行った
のです.
生産可能性曲線/5
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ここでは比較優位のアイディアを印象的に
伝えるために2財のような簡単化を行った
のです.
現実は複雑ですが,それを簡単化して経
済のエッセンスだけを取り出したモデルを
考えています.
生産可能性曲線の特徴
生産可能性曲線にはいくつかの特徴があり
ます.
1. 右下がりである
2. 外側に向かって凸である
 1はトレードオフを表します
 2は収益逓減を意味する
収益逓減
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収益逓減は「ミクロ経済学の基礎」でやり
ました.
収益逓減-ある投入物の量を一単位増
加させる結果として生産量は増加するが,
その増加分は次第に小さくなっていくこと
を表す.
収益逓減/2
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つまりお米を生産するほど自動車の生産
を減らさなければなりません
お米が増えれば増えるほど減らさなけれ
ばならない自動車の台数は増えていきま
す
生産可能性曲線を用いた比較
優位の説明
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テキストp.98
アメリカと中国が航空機と織物を生産して
いるとします
もちろん,中国は織物に比較優位を持って
います
二カ国の生産可能曲線を同じ図に描いて
みましょう
比較優位の説明/2
比較優位の説明/3
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まずE点から始めましょう
中国は航空機を100機減らすことにより織
物を1万着分増加させることができます
それとは逆にアメリカが航空機を100機増
産した場合に減らさなければならない織物
は1千着分です
比較優位の説明/4
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つまり,両国で航空機を減らすことなく
100-100=0
織物を9千着増加させることができました
9000=10000-1000
つまり両国の生産のトレードオフが異なる
限り中国が織物にアメリカが航空機に特化
するとこによって得をすることが分かります
比較優位の説明/5
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特化とはある国が特定の財に集中して生
産を行うことです.
ここで難しい用語を導入しますが,生産可
能曲線のトレードオフを限界変形率といい
ます
ここでは航空機と織物の限界代替率
(marginal rate of transformation)です
比較優位の説明/6
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限界変形率(MRT)は航空機を1機増やす
にはどれだけ織物を減らさなければならな
いことを示します
限界変形率は生産可能性曲線の傾きに等
しいことが分かります