Transcript RTO.MAX

無線環境におけるマルチホーム
Mobile IPv6の通信品質分析
早稲田大学大学院 基幹理工学研究科
情報理工学専攻 修士2年
後藤滋樹研究室
名倉俊哉
2011/2/4
修士論文
審査発表
1
研究背景①
「いつでもどこでも」ネットワークに
アクセスできるユビキタス社会の到来
 モバイル端末への通信継続性や
IPモビリティが求められるように
Mobile IPv6

・ネットワーク層のプロトコル
・移動によるIPアドレスの変化を上位層から隠蔽
 移動透過性
ノードが移動しても確立された
コネクションが維持できること
 着信可能性
ノード識別子が移動によって
変化しない
2011/2/4
修士論文
審査発表
2
研究背景②

実際は、HoA (Home Address)から
CoA (Care of Address)に切り替える
ときにHandoverが生じる
◦ SCTPへの注目

様々な無線環境
◦ 無線LAN、WiMAX、Bluetoothなどの混在
◦ 異なる無線環境での品質改善
2011/2/4
修士論文
審査発表
3
SCTP

Stream Control Transmission Protocol
◦ 輻輳制御を行い、到着順序を保証する
信頼性のあるメッセージ転送を行う

利点
◦ マルチホーミング
 複数のIPアドレスを持つことができ、障害時に
フェイルオーバーが可能
プライマリパス
Network0
if0
if0
if1
if1
Network1
セカンダリパス
2011/2/4
修士論文
審査発表
4
SCTPを利用したMobile IPv6
MN
Binding Update
HA
CN
Binding Update ACK
Session Established
SCTP association
change to Addr 0
Binding Update
Binding Update ACK
IF 0 IF 1
Addr0 HoA-CoA
2011/2/4
修士論文
審査発表
5
SCTPパラメータ (デフォルト値)
パラメータ
デフォルト値
PMR (Path.Max.Retrans)
5回
H.B.Interval
30sec
RTO.MIN
1sec
RTO.MAX
60sec
RTO.Initial
3sec
MaxInitRetransmits
8回
•Path.Max.Retrans
•再送を行った回数を数えるエラーカウンタ
•H.B.Intereval
•HeartBeatを送る間隔
•RTO.MIN
•再送タイムアウト (RTO) の下限値
•RTO.MAX
•再送タイムアウト (RTO) の上限値
•RTO.Initial
•初期再送タイムアウト (RTO) 値
•MaxInitRetransmits
•SCTP 終端が INIT チャンクの再送信位置で行う最大試行回数
2011/2/4
修士論文
審査発表
6
研究目的

片桐友之助、2009年度修士論文
◦ マルチホームMobile IPv6における
通信品質の分析
◦ Mobile IPv6 + SCTP + QoS
 SCTPのパラメータ: RTO.MAX, PMRを
変化させて実験 (802.11b環境)

実際には様々な無線環境が存在
様々な無線環境でさらなる通信
品質の向上
2011/2/4
修士論文
審査発表
7
提案手法

様々な無線環境でMobile IPv6 + SCTP
を実行し通信品質を分析
(IEEE802.11a, pで検証)

様々な無線環境でMobile IPv6 + SCTP
を実行した際に通信品質が向上する
パラメータを検討
(IEEE802.11a, pで検証)
2011/2/4
修士論文
審査発表
8
シミュレーション開始時の
マシン配置座標とシナリオ

Network Simulator 2によるシミュレーション

6秒後
◦ CNがMNにパケット送信:1500 byte

10秒後
◦ MNが異なるネットワークへ移動開始

300秒間のシミュレーション
2011/2/4
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審査発表
9
実験①
IEEE802.11bからIEEE802.11bへの移動
と
 IEEE802.11aからIEEE802.11aへの移動

◦ をMobile IPv6上で比較
MNの移動速度を3m/sとして実験
 測定項目

◦ シーケンス番号
2011/2/4
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審査発表
10
実験①結果
Sequence Number
赤:11b
緑:11a
Time(sec)
2011/2/4
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審査発表
11
実験②
IEEE802.11aからIEEE802.11aへの移動
 MNの移動速度を変化させて実験

◦ 3,10m/s

Mobile IPv6とMobile IPv6+SCTPで比較
◦ SCTPのパラメータ
 RTO.MIN 1.0 [sec]
 RTO.MAX 60.0 [sec]
 PMR 5.0 [回]

評価項目
 MN側のスループット、シーケンス番号
ハンドオーバー
2011/2/4
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審査発表
12
Throughput (bps)
Throughput (bps)
実験②結果 (11a, 3m/s)
Time(sec)
Time(sec)
Mobile IPv6
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修士論文
Mobile IPv6+SCTP
審査発表
13
Throughput (bps)
Throughput (bps)
実験②結果 (11a, 10m/s)
Time(sec)
Time(sec)
Mobile IPv6
Mobile IPv6+SCTP
2011/2/4
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審査発表
14
Sequence Number
Sequence Number
実験②結果 (3m/s,10m/s)
赤:Mobile IPv6
緑:Mobile IPv6+SCTP
Time(sec)
3m/s
Time(sec)
10m/s
シーケンスナンバーの推移
MNが3m/sで移動するときハンドオーバーに要した時間
3m/s
10m/s
Mobile IPv6
174.3355(sec)
71.8260(sec)
Mobile IPv6+SCTP
14.4556(sec)
14.4374(sec)
2011/2/4
修士論文
審査発表
15
実験③
IEEE802.11pからIEEE802.11pへの移動
 MNの移動速度を変化させて実験

◦ 3,27m/s

Mobile IPv6とMobile IPv6+SCTPで比較
◦ SCTPのパラメータ
 RTO.MIN 1.0 [sec]
 RTO.MAX 60.0 [sec]
 PMR 5.0 [回]

評価項目
 MN側のスループット、シーケンス番号
ハンドオーバー
2011/2/4
修士論文
審査発表
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Throughput (bps)
Throughput (bps)
実験③結果 (11p, 3m/s)
Time(sec)
Time(sec)
Mobile IPv6+SCTP
Mobile IPv6
2011/2/4
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審査発表
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Throughput (bps)
Throughput (bps)
実験③結果 (11p, 27m/s)
Time(sec)
Time(sec)
Mobile IPv6+SCTP
Mobile IPv6
2011/2/4
修士論文
審査発表
18
Sequence Number
Sequence Number
IPv6+SCTP
実験③結果 (3m/s,27m/s) 赤:Mobile
緑:Mobile IPv6
Time(sec)
3m/s
シーケンスナンバーの推移
Time(sec)
27m/s
MNが3m/s、27m/sで移動するときハンドオーバーに要した時間
3m/s
27m/s
Mobile IPv6
174.3355(sec)
25.2819(sec)
Mobile IPv6+SCTP
25.2017(sec)
5.7420(sec)
2011/2/4
修士論文
審査発表
19
実験④
IEEE802.11aからIEEE802.11aへの移動
 MNの移動速度は3m/s
 Mobile IPv6+SCTP

◦ SCTPのパラメータ
 RTO.MIN 1.0 [sec]
 RTO.MAX 60.0 [sec]
 PMR 5.0 [回]
パラメータを変化させて実験
 評価項目→ハンドオーバー

2011/2/4
修士論文
審査発表
20
実験④結果
8秒の短縮
→PMRを小さく設定=再送回数を少なくする
→RTO.MAXを小さく設定=再送タイムアウトを短くする
RTO.MAX
60
PMR
50
40
30
20
10
1 [sec]
5 [回]
14.4556 5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
4
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
3
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
2
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
1
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
0
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
5.7639
2011/2/4
修士論文
審査発表
21
実験⑤
IEEE802.11pからIEEE802.11pへの移動
 MNの移動速度は27m/s
 Mobile IPv6+SCTPで比較

◦ SCTPのパラメータ
 RTO.MIN 1.0 [sec]
 RTO.MAX 60.0 [sec]
 PMR 5.0 [回]
パラメータを変化させて実験
 評価項目→ハンドオーバー

2011/2/4
修士論文
審査発表
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実験⑤結果
3秒の短縮
→PMRを小さく設定=再送回数を少なくする
→RTO.MAXを小さく設定=再送タイムアウトを短くする
RTO.MAX
PMR
60
50
40
30
20
10
1 [sec]
5 [回]
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
2.4622
4
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
2.4622
3
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
2.4622
2
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
2.4622
1
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
2.4622
0
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
5.7420
2.4622
2011/2/4
修士論文
審査発表
23
結論
IEEE 802.11a, pにおいてもMobile IPv6
環境でSCTPを用いたほうが安定した
通信ができるようになった
 SCTPのパラメータであるPMR,
RTO.MAXは値が小さいほうがハンド
オーバーにかかる時間が小さくなる

課題
複数の無線規格間の移動を想定して実験をする必要
 様々なシミュレーション環境の想定
 実機での検証

2011/2/4
修士論文
審査発表
24
ご清聴ありがとうございました
2011/2/4
修士論文
審査発表
25
補足
2011/2/4
修士論文
審査発表
26
ネットワーク構成
Network A
MN
CN
100Mb ,1.80ms
Network B
HA
2011/2/4
修士論文
審査発表
27
Mobile IPv6
2004年7月:RFC3775
通信を継続したままネットワーク間の移動が可能
 ノードの移動透過性をネットワーク層において保
障するプロトコル→移動を隠匿
 HoA (Home Address)


◦ MNに割り当てられる不変のアドレス

CoA (Care of Address)
◦ MNが移動先のネットワークで使用するアドレス

Home Agent (HA)
◦ Foreign Link上のMNに対し、パケットを転送する

TCP、UDP
◦ エンドポイントの識別にIPアドレスを利用
◦ IPアドレスが変わると通信を一時的に継続できない
2010.02.05 修士論文審査発表
28
Mobile IPv6用語1

Mobile Node (MN)
◦ ネットワーク間を移動するノード

Correspondent Node (CN)
◦ MNの通信相手となるノード

Home Address (HoA)
◦ MNに割り当てられる不変のIPアドレス

Care of Address (CoA)
◦ MNが移動先のサブネットで使用する一時的なア
ドレス

Home Link
◦ MNがもともと接続しているネットワーク
2010.02.05 修士論文審査発表
29
Mobile IPv6用語2

Foreign Link
◦ MNの移動先のネットワーク

Binding
◦ HoAとCoAの関係を示す情報

Binding Update
◦ Bindingの登録および更新
2010.02.05 修士論文審査発表
30
Mobile IPv6用語3

Dynamic Home Agent Address
Discovery
◦ 動的にHAを探索するAnycast通信

Home Test Init (HoTI)
◦ MNが行う、HAを経由する冗長経路を用
いたCNに対する経路認証要求

Care of Test Init (CoTI)
◦ MNが行う、CoAによる直接経路を用いた
CNに対する経路認証要求
2010.02.05 修士論文審査発表
31
Mobile IPv6用語4

Home Test (HoT)
◦ CNが行う、HAを経由する冗長経路を利用した
HoTIに対する経路認証応答通信

Care of Test (CoT)
◦ CNが行う、CoAによる直接経路を利用したCoTI
に対する経路認証応答通信

Binding Refresh Request (BRR)
◦ CNが行う、MNに対するBinding情報の更新要求

Return Routability Procedure (RRP)
◦ MN、CN間で行う、一連の経路認証処理全体
2010.02.05 修士論文審査発表
32
Mobile IPv6の通信
HA
HoA
Home Link
Binding Update
INTERNET
CN
Foreign Link
Binding Update
CoA
2009/02/04
MN
卒業論文発表資料
33
パスのスイッチオーバーメカニ
ズム1





プライマリパス:データ転送用
セカンダリパス:バックアップ用経路
プライマリパスを利用中にデータチャンクがロス
し、SACKチャンクを受信せずにいると、直前の
データチャンク送信からRetransmission Timeout
(RTO) が経過してから再送される
バイナリバックオフアルゴリズムに従い、RTOを
前回の2倍に設定する
エラーカウンタがPath Max Retransmission
(PMR) を超えると、プライマリパスを到達不能状
態(INACTIVE)とし、到達可能状態(ACTIVE
)のセカンダリパスを介した通信に切り替える。
2010.02.05 修士論文審査発表
34
パスのスイッチオーバーメカニ
ズム2
プライマリパスへの切り替え
 プライマリパスをINACTIVE と判断する
と、ホストはHEARTBEATチャンクを送
信し、パスの到達性を確認する
 HEARTBEATチャンクを送信する間隔Hi

◦ パスがACTIVE かつIDLE 状態の場合
 Hi = RTOi + H.B.Interval(1 + α)
◦ パスがINACTIVE 状態の場合
 Hi = RTO.Initial + H.B.Interval(1 + α)
#αは-0.5 ~ 0.5 の範囲のランダムな値
2010.02.05 修士論文審査発表
35
SCTPのパラメータ
ハンドオーバーに影響を与えるパラメ
ータ
 RTO (Retransmission Time Out)

◦ TCPの再送タイムアウトと同じ

PMR (Path Max Retransmission)
◦ 再送回数の最大値
◦ PMRの値に達すると、宛先のアドレスを
inactiveにする
2010.02.05 修士論文審査発表
36