伝統的企業分析とキャッシュフロー分析による、東芝・SONY分析

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Transcript 伝統的企業分析とキャッシュフロー分析による、東芝・SONY分析

伝統的企業分析と
キャッシュフロー分析に
よる、東芝・SONY分析
目次
1 このテーマを選んだ理由
2 はじめに~企業分析とは~
3 企業データ
4 企業分析の方法
5 伝統的企業分析
(1)指標を使った分析
(2)デュポンシステムによる分析
6 キャッシュフローからの分析
(1)DCF法
(2)MVAとEVA
7 総結論
8 終わりに
9 参考文献
1.このテーマを選んだ理由
①夏合宿などで企業分析を行ったが、分析方
法は指標による分析のみだったので、違う観
点からの分析に興味を持った。
②DCF法などで使用されるWACCなどの概念
は既にゼミで学習しているので、机上の理論
でなく、実践的に知識を行かせるから。
2.はじめに~企業分析とは~
日本企業は、戦後経済の発展に伴って、順調に拡大成長を遂げてきた
がバブル経済の崩壊により、利益の生まない過大投資と借入金依存型
の経営が行き詰まった。
そして今、不良債権問題に端を発した金融機関の弱体化により、これま
での企業と銀行との関係が大きく変わり始めた。企業は、銀行借り入れ
を当てにできず、自社のキャッシュフローに頼らねばならない時代がやっ
て来た。
これに伴い、企業分析もいままでの指標を使った分析よりも、新規事業
や企業が新たに生むであろうキャッシュフローにより評価する分析方法
が重視されるようになってきた。
本プレゼンでは、SONYと東芝の2企業をテーマに、伝統的な財務分析と
キャッシュフロー分析の2パターンで行ってみる。
3.SONYの基本情報
社名
ソニー(株)
社名よみ
そにー
英文社名
SONY
設立年月日
1946年05月07日
本社所在地
【本社】 〒108-0075 東京都港区港南1-7-1 [地図]
電話番号
03-6748-2111
代表者
代表執行役 H.ストリンガー
事業内容
【連結事業】エレクトロニクス65、ゲーム12、映画12、金融8、他4【海外】74(2007.3)
URL
http://www.sony.co.jp/
上場年月日
1958年11月30日
上場市場
「東京,大阪」,NY,LON
海外上場数
2
店頭公開年月日
1955年07月31日
業種
電気機器
単元株数
100株
決算期
3月末
従業員数(単独)
16,632人(2007年03月時点)
従業員数(連結)
163,000人(2007年03月時点)
平均年齢
39.6歳(2007年03月時点)
平均年収
9,330,000円(2007年03月時点)
CORPORATION
3.東芝の基本情報
社名
(株)東芝
社名よみ
とうしば
英文社名
TOSHIBA
設立年月日
1904年06月25日
本社所在地
【本社】 〒105-8001 東京都港区芝浦1-1-1 [地図]
電話番号
03-3457-4511
代表者
代表執行役 西田 厚聰
事業内容
【連結事業】デジタルプロダクツ36、電子デバイス22、社会インフラ27、家庭電器10、他5【海外】
49(2007.3)
URL
http://www.toshiba.co.jp/
上場年月日
1949年04月30日
上場市場
「東京,大阪,名古屋」,LON
海外上場数
1
店頭公開年月日
-
業種
電気機器
単元株数
1,000株
決算期
3月末
従業員数(単独)
32,309人(2007年03月時点)
従業員数(連結)
190,708人(2007年03月時点)
平均年齢
40.3歳(2007年03月時点)
平均年収
7,820,000円(2007年03月時点)
CORPORATION
4.企業分析の方法
企業分析の方法は大きく分けて2つある。
①過去の財務情報を分析し、現状を分析する方法
・・・ROEや当座比率などの指標やデュポンシステムをつかった伝統的な企業
分析。
どちらかというと、過去的な分析方法
②過去の財務情報を利用しつつも、具体的にCFを予測し、5年後・10年後の
企業価値を予測する方法
・・・DCF方式・EVA方式などの最近取り入れられている分析方法。
どちらかというと、未来的な分析方法
5.伝統的企業分析
(1)指標を使った分析
安全性
○自己資産比率・・・資産のうちの自己資本の比率。50%よ
り上が望ましい。
○流動比率・・・短期的な支払い能力。200%より上が望まし
い。
○当座比率・・・超短期的な支払い能力。100%より上が望ま
しい。
○固定比率・・・長期的支払い能力。100%以下が望ましい。
(S O N Y )
安全性
自己資本比率
流動比率
当座比率
固定比率
2006
55.1%
147%
90.5%
122%
2005
56.9%
109%
72.0%
129%
2004
55.4%
88%
56.0%
135%
2006
2 2 .2 %
88%
4 5 .8 %
89%
2005
2 5 .6 %
96%
5 1 .0 %
94%
2004
2 7 .2 %
99%
4 5 .8 %
99%
2003
46.7%
67%
44.6%
167%
2002
51.7%
80%
52.7%
153%
(東 芝 )
安全性
自己資本比率
流動比率
当座比率
固定比率
2003
2 7 .7 %
98%
4 5 .3 %
99%
2002
2 4 .6 %
89%
5 0 .6 %
91%
SONY・東芝ともに基準より下回っている項目が多い。2
社とも安全性に不安がある。
収益性
○自己資本比率(ROE)・・・自己資本で稼いだ利益率。
○総資本利益率(ROA)・・・総資本で稼いだ利益率。
○営業利益率・・・本業で稼いだ利益。
○経常利益率・・・本業+アルファで稼いだ利益。
(S O N Y )
収益性
RO E
RO A
営業利益率
経常利益率
2006
5.55%
3.06%
3.54%
2.44%
2005
1.66%
0.94%
1.09%
3.39%
2004
2.77%
1.54%
-2.23%
1.86%
2003
-5.71%
-2.67%
-4.96%
1.89%
2002
-0.27%
-0.14%
-5.41%
1.72%
2003
2.75%
0.76%
1.34%
1.77%
2002
11.76%
2.90%
1.03%
1.27%
(東 芝 )
収益性
RO E
RO A
営業利益率
経常利益率
2006
9.67%
2.15%
2.04%
2.77%
2005
3.23%
0.83%
3.84%
3.31%
2004
2.44%
0.67%
1.90%
1.92%
SONY・東芝ともに、ほとんどの指標が成長している。しかしSONYに関
しては、-成長から一転して+成長になっているので、単に悪すぎた経
営状態が正常に戻っただけの可能性がある。
効率性
○売上債権回転率・・・売掛金などの未回収金を回収するま
での期間。優秀だとだと6回転。
○棚卸資産回転率・・・製造、販売、仕入までの期間。20回
転から30回転が優秀。
(S O N Y )
効率性
売上債権回転率
棚卸資産回転率
2006
9.96
114.5
2005
8.43
108.5
2004
7.85
4,360.6
2003
6.98
4,946.5
2002
6.46
2,011.4
(東 芝 )
効率性
売上債権回転率
棚卸資産回転率
2006
6.19
11.2
2005
6.05
10.7
2004
5.59
10.6
2003
5.41
12.1
2002
5.59
12.0
売上債権回転率の基準は6回転なので、両企業共に水準を満たし
ている。
棚卸資産回転率は、SONYは異様に高く東芝は低い。東芝と
SONYを比べると、効率性はSONYのほうが上である。
割安性
○PER・・・割安性を示す指標。電機メーカーだと25倍~30倍
が平均。
○PBR・・・1倍に近いほど割安。
○EV/EBIDA比率・・・簡易買収倍率といい、企業を丸ごと
のっとる場合、もとをとるまで何年かかるかを表す。低いほう
が割安。電機メーカー平均は25倍程度。
(S O N Y )
割安性
P E R (倍 )
P B R (倍 )
E V /E B ID A
2006
2005
54.8
175.5
3.04
2.91
41.7 -12,661.3
2004
82.9
2.30
-89.5
2003
-43.9
2.51
-36.0
2002
-1,418.8
3.77
-58.3
(東 芝 )
割安性
P E R (倍 )
P B R (倍 )
E V /E B ID A
2006
37.39
3.61
22.84
2005
115.46
3.73
23.37
2004
33.34
2.57
13.89
2003
28.71
2.43
7.93
2002
23.59
2.78
11.05
・SONYは業界平均を見ても、すべての値は割高を示している。
・東芝はPERはちょっと高めだが、EV/EBIDA率を見るとやや割
安感がある。
成長性
○営業利益伸び率・・・本業営業利益の伸び率
○経常利益伸び率・・・本業英領利益+アルファの伸び率
(S O N Y )
成長性
営 業 利 益 伸 び率
経 常 利 益 伸 び率
2006
2005
2004
2003
1011% マイナ ス成 長 なの で計 算 不 可
-9.07%
100.07%
1.37%
22.62%
(東 芝 )
成長性
営 業 利 益 伸 び率
経 常 利 益 伸 び率
2006
-42.3%
-9.1%
2005
133.4%
99.8%
2004
32.9%
1.5%
2003
14.5%
22.7%
・SONYの成長率はあまりに不安定。2006年度になって持ち直した
が、それ以前はマイナス成長であった。2006年度の成長率は単に、
悪すぎた状態が回復しただけだと考えられる。
・東芝は2006年度以外は順調に成長している。
○指標を使った分析の総括
SONY
財務諸表を見ても2006年度以外は赤字の部分が多く、指標を使用して
も上記の結果から、不安定な面が多々見られる。
また、その低い財務状態に比べ、株価は高めであり、割高である。
これから考えると、SONYの将来に確固たる展望が無い限り、現時点で
の株式購入は控えるべきである。
東芝
安定度と効率性には若干の不安があるが、成長はしており、効率性を高
めればより成長性が増す可能性がある。
また、PERはやや高いがEV/EBIDA率を見ると、業界平均より低く、割安
感があるため、買い時である。
伝統的企業分析
(2)デュポンシステムによる分析
デュポンシステムとは
1919年にデュポン社によって考案された財務管理シ
ステムをいう。このシステムの特徴は、株主資本利
益率(ROE)の上昇が企業価値・株価の上昇をとら
え、ROEを売上高純利益率(収益性)・総資本回転
率(効率性)・財務レバレッジ(安定性)の3つに分解
する点である。
これら3つの指標をさらに分析することにより、企業
の強み・弱みを割り出し、効率的な経営・企業価値
上昇を目指すことが出来る。
デュポンシステムの基礎
カバレッジ
営業効率
総資本利
益率(ROA)
一株あたり
利益
分解
売上高営
業利益率
(収益性)
株主資本
利益率
(ROE)
生産効率
分解
株価
売上高純
利益率
一株当たり
株主資本
分解
分解
現金回転
率
株価収益率
レバレッジ
(安定性)
総資本回
転率
(効率性)
売上債権
回転率
棚卸資産
回転率
固定資産
回転率
カバ レッジ
SONYのデュポンシステム
(2002年~2006年の間での平均伸び率で測定)
上
昇
横ばい
営業効率
一 株 あたり
利益
株価
上
昇
株主資本利
益 率 (R O E )
総資本利
益率
(R O A )
上
昇
売上高利
益率
上
昇
売上高営
業利益率
上
昇
生産効率
上
昇
上
昇
現金回転率
上
昇
売上債権回
転率
上
昇
株価収益率
一 株 当 たり
株主資本
54.83
175.48
82.90
-43.91
-1419.35
上
昇
レバ レッジ
総資本回
転率
横ばい
上
昇
棚卸資産回
転率
固定資産回
転率
減
少
上
昇
上
昇
SONYのデュポンシステムの結果(1)
○確かに全体的な指標は回復している。しかし、この回復は過去5年の業績が
悪すぎたためであり、この成長率を鵜呑みには出来ない。
○また、レバレッジの平均が2%程度であり、平均レバレッジが4%であること
を考えると、低すぎる。これは自己資本に頼るあまり、負債を使用しての利益創
造をしていないことになる。
SONYの財務状態が回復したのは2006年度からであり、今後の業績が未知
数なので投資するには不安が残る。
SONYのデュポンシステムの結果(2)
デュポンシステムによると、この先SONYの業績を回復させるには
①2006年度の成長率をこの先も維持する。
②負債をうまく使い、成長率へのてこ入れを強くする。
③おおむねの指標は回復しているのに、棚卸資産回転率のみ減少しているので、対
策を打つ。
などが考えられる。
カバレッジ
東芝のデュポンシステム
減
少
(2002年~2006年の間での平均伸び率で測定)
営業効率
一株あたり
利益
株価
上
昇
株主資本
利益率
(ROE)
総資本利
益率
(ROA)
上
昇
上
昇
売上高利
益率
上
昇
売上高営
業利益率
生産効率
上
昇
上
昇
株価収益率
37
115
33
29
24
現金回転
率
一株当たり
株主資本
レバレッジ
総資本回
転率
横ばい
横ばい
横ばい
上
昇
売上債権
回転率
棚卸資産
回転率
固定資産
回転率
上
昇
上
昇
上
昇
減
少
上
昇
東芝のデュポンシステムの結果
・全体的な指標は成長している。安定性を示すレバ
レッジも4%前後と業界平均であり、問題ない。
・ディポンシステムによると、この先東芝の業績をより
成長させるには、固定資産回転率をより高め、効率
性を高めることにあると分かる。
○伝統的財務分析まとめ~SONY~
・2006年以前の財務状態は赤字の部分が多々あり、ディポン
システムでの成長率も一見高く見えるが、赤字から黒字に転化
しただけであり、先行きは不安である。
指標を使用した分析でも、安全性・成長性が低く、その割に株価
は割高である。
現在のSONYの株式は投資対象としては適さな
い。
○伝統的財務分析まとめ~東芝~
指標からの分析で安全性に若干の不安要素はあるが、ディポン
システムでの安全性の分析は問題はなく、成長性もある。
また程よく負債を利用しており、負債を利益に転化することもうま
くいっている。
この先東芝の業績をさらに伸ばすには、指標からでは効率性を
上昇させることであり、ディポンシステムを使用すると特に固定
資産回転率を高めればいいということが分かる。
今後、より一層の成長が見込まれるので、投資対象として適し
ている。
6.キャッシュフローからの分析
(1)DCF法
DCF法とは何か。
この評価方法の本質は、ある収益資産を持ち続けたとき、それ
が生み出すキャッシュ・フローの割引現在価値をもって、その理
論価格とすることにある。
つまり企業が将来生み出すキャッシュフローを予測し、それを現
在価値に割り引く。その値こそが今の適切な「株価」であるという
考え方。
(1)DCF法の流れ
ⅰ.WACC(割引率)の算出。
ⅱ.成長率の予測。
ⅲ.フリーキャッシュフロー(FCF)の算出。
ⅳ.WACCを使いFCF、継続価値を現在価値に割り引き、企業
価値を算出する。
ⅴ.理論株価を算出する。
ⅰ.WACC(割引率)の算出
WACC=株主資本の割合×株主資本コスト+負債資本
の割合×金利×(1-法人税率)
(注)WACCとは?
企業を評価する際、価値を現在価値を割り引く必要がある。しかし、企業は株主に
毎年払う配当があったり、負債に払う利子があったり、割引率を求めるには一筋縄
ではいかない難しさがある。それを簡単に表す割引率がWACCである!!
ⅱ.成長率の予測
将来のキャッシュフローを予測する以上、これから企業がどのように成長するかを予測
することが重要である。
この成長率の予測方法は人により、様々な方法がある。
本格的な人なら、業界の先行き、海外動向、金利状況、事業内容を吟味して予測するこ
ともある。
本プレゼンでは、細かい分析は出来なかったので、「過去のデー
タ・成長率」をもとに予想している。
ⅲ.FCF算出
FCF=営業キャッシュフロー-投資キャッシュフロー
=税引営業利益+減価償却費-設備投資額-運転資本需要
(注)FCFとは?
フリーキャッシュフローとは、会社が稼いだお金から、会社が活動するのに必要な
お金を差し引いた、余剰資金のことをいう。
フリーキャッシュフローは、会社の価値を表すので、会社が経営努力を行う場合の
判断基準として利用されます。使い道は、投資家への配当や、設備投資など。
ⅳ.WACCを使いFCF、継続価値を現在価値に
割り引き、企業価値を算出する。
企業価値=予測期間中のフリーキャッシュフローの現在価値合計
(予測した5年間のFCFの現在価値合計)
+
継続価値
(企業がもともと持っていた資産の現在価値)
ⅴ.理論株価を算出する。
株式価値=企業価値-負債
理論株価=株式価値/発行済株式総数
企業価値から負債を引くと、株式価値(企業が破産した際、株主に分割される価値)とな
り、それをさらに株数で割ると、一株あたりの理論株価が算出される。
SONY分析~DCF方式~
(1)WACC算出
WACC=株主資本の割合×株主資本コスト
+負債資本の割合×負債コスト×(1-法人税率)
市場リスクプレミアム
β
個別リスクプレミアム
資本コスト
0.7%
1.03
0.72%
2.52%
負債コスト
株主資本割合
負債割合
WACC
0.87%
90.7%
9.3%
2.33%
(2)成長率を求める
2006
2005
2004
2003
2002
4,015,101
3,179,697
2,895,413
2,814,577
2,526,264
7.62%
2.41%
3.40%
1.87%
1.90%
1.74%
2.27%
-0.26%
-0.41%
-0.31%
1.62%
-0.64%
0.0022%
売上高償却率
0.38%
0.48%
0.42%
0.70%
0.74%
0.54%
売上債権率
17.3%
17.0%
16.8%
16.4%
16.5%
16.80%
売上高棚卸資産率
0.87%
0.92%
0.02%
0.02%
0.05%
0.38%
売上高買入債務率
13.1%
15.8%
15.0%
14.1%
14.2%
14.46%
実効税率
54.6%
19.1%
61.2%
売上高成長率予測
売上高EBIT率
売上高設備投資率
運転資本伸び率
平均成長率
44.95%
5.00%
基本的に平均伸び率を使用。しかし、運転資本伸び率だけは、マイナス成長や
かなりの幅で上がったり下がったりしているので、業界基準の5%を適用。
(3)FCFを求め、WACCで割り引く
2007
2008
2009
2010
2011
4,321,167
4,650,564
5,005,071
5,386,602
5,797,216
予想EBIT率
99,010
101,253
103,547
105,892
108,291
予想設備投資
-10,314
-10,314
-10,314
-10,314
-10,314
15,353
15,436
15,436
15,436
15,436
予想売上債権
813,430
950,121
950,121
950,121
950,121
予想棚卸資産
35,198
35,331
35,331
35,331
35,331
予想買入債務
602,507
689,601
789,286
903,380
1,033,967
予想運転資本
106,034
125,694
143,864
164,660
188,462
予想運転資本増減
19,660
18,170
20,796
23,802
28,215
NOPAT(税引後営業利益)
68,713
70,270
71,861
73,489
75,154
FCF
74,720
77,851
76,816
75,438
72,689
2,778,085
1.0233171
1.0471778
1.0715950
1.0965814
1.1221505
1.1483158
73,018
74,343
71,684
68,794
64,777
2,419,269
予想売上高
予想減価償却費
割引係数(WACC)
FCF(現在価値)
継続価値
(4)企業価値算出
企業価値=
73,018(2007年FCF)+74,343(2008年FCF)
+71,684(2009年FCF)+68,794(2010年FCF)+64,777
(2011年FCF)+2,419,269(企業の資産価値)
企業価値=2,771,885
(5)理論株価算出
株式価値=2,771,885-220,451(2007年度有利子負債)
株式価値=2,551,434
理論株価=株式価値/発行済み株式数なので、
理論株価=2,551,434/1,003=2,543.8
SONYの理論株価は2,543.8円!!
SONYのDCF分析結果
○2006年度SONY株価は6,540円であるのに関わ
らず、理論株価は2,543.8円ということは、明らかに
割高である。
○SONYの価値は理論株価よりも2.5倍近く高く見
積もられており、今後適正株価まで下落する可能性
がある。
DCF法での分析によるとSONYの株式は買うべきでない。
東芝分析~DCF方式~
(1)WACC算出
市場リスクプレミアム
0.7%
β
1.04
個別リスクプレミアム
0.73%
資本コスト
2.53%
負債コスト
株主資本割合
負債割合
WACC
1.12%
58.0%
42.0%
1.73%
(2)成長率を求める。
2006
2005
2004
2003
3,544,860
3,257,451
2,816,317
3,013,164
3,408,251
20.31%
売上高EBIT率
2.77%
3.21%
1.83%
1.69%
1.18%
2.14%
売上高設備投資率
1.21%
0.32%
1.99%
-1.26%
-3.11%
2.00%
売上高償却率
2.99%
2.90%
2.83%
2.38%
2.44%
2.71%
売上債権率
17.7%
17.2%
16.1%
14.3%
17.0%
16.45%
売上高棚卸資産率
8.93%
9.33%
9.43%
8.27%
8.30%
8.85%
売上高買入債務率
24.9%
20.3%
17.8%
16.4%
19.1%
19.72%
実効税率
36.0%
36.0%
36.6%
69.8%
37.6%
43.20%
運転資本
212,054
187,131
216,013
201,506
58,121
174,965
売上高成長率予測
運転資本伸び率
2002 平均成長率
5%
(3)FCFを求め、WACCで割り引く
2007
2008
2009
2010
4,264,811
5,130,981
6,173,068
7,426,800
8,935,161
100,394
102,541
104,733
106,972
109,259
43,828
44,705
45,599
46,511
47,441
予想減価償却費
108,739
111,684
114,708
117,815
121,005
予想売上債権
728,807
848,727
988,380
1,151,011
1,340,402
予想棚卸資産
344,399
374,883
408,065
444,185
483,501
予想買入債務
1,058,450
1,267,177
1,517,066
1,816,233
2,174,395
予想運転資本
183,713
192,899
202,544
212,671
223,305
9,186
9,645
10,127
10,634
10,846
64,252
65,626
67,029
68,462
69,926
119,977
122,960
126,011
129,132
132,644
7,686,817
1.0172560
1.0348098
1.0526664
1.0708312
1.0893095
1.108107
117,942
118,824
119,707
120,591
121,769
6,936,893
予想売上高
予想EBIT
予想設備投資
予想運転資本増減
NOPAT(税引後営業利益)
FCF
割引係数(WACC)
FCF(現在価値)
2011 継続価値
(4)企業価値算出
企業価値=
117,942(2007年FCF)+118,824(2008年FCF)
+119,707(2009年FCF)+120,591(2010年FCF)+
121,769(2011年FCF)+6,936,893(企業の資産価値)
企業価値=7,535,725.3
(5)理論株価算出
株式価値=7,535,725.3-669,220(2007年度有利子負債)
株式価値=6,866,525
理論株価=株式価値/発行済み株式数なので
理論株価=6,866,525/3,214=2136.4
東芝の理論株価は2136.4円!!
東芝のDCF分析結果
○2007年9月の時点での東芝の株価は
1,185円であり、理論株価2136.4円と比べる
と、割安である。
DCF方式での、東芝の分析では現在の東芝の株
式は買い時であるといえる。
キャッシュフローからの分析
(2)MVAとEVA~
EVAとは?(1)
今まで説明してきたFCFとは、自由に配当とし
て株主などに支払えるお金を意味している。
しかし、株主などに配当を支払ったあとに企業
に残る利益はいくらくらいになるのだろうか?
この疑問に答えるのがEVAである。
FCFが株主資本コスト(株主への配当等)を含まないのに対し、
EVAは株主資本コストを含んだ上での、利益を算出できる。
EVAとは?(2)
つまり、EVAとFCFは、株主資本コスト(配当等)を含
むか否かの違い以外は、ほぼ同じ使い方ができる。
FCFから理論株価を求めたように、EVAか
らも理論株価が算出できる。
MVAとは?(1)
企業の市場価値とは、以下の式で表される。
企業価値=投下資本(負債+株式時価総額)
+プレミアム(市場の企業への期待)
このプレミアムが、MVA(市場付加価値)といわれる。
MVAとは?(2)
MVAというのは、市場が企業に期待するプラスアルファであり、企業が将来生み出
すであろう価値である。
将来を利益を予測する点でMVAは、EVAと密接に関係しており、MVAの式は以下
のとおりになる。
MVA=1年目のEVAの現在価値+2年目のEVAの現在価
値+3年目のEVAの現在価値・・・・・・
FCFとEVAとMVAのまとめ
FCF・・・企業が将来生み出すであろうキャッシュフロー。主に株主への配当等に
使用される。
EVA・・・企業が将来生み出すであろうキャッシュフロー。株主への配当等も含ん
でおり、もっとも純粋に企業のキャッシュフローの増減を理解することができる。
→EVAを使って企業価値を算出する指標がMVA。
FCFもMVAも企業価値を表すという点において、理論は同じであ
る。そのため、それぞれの値は異なっていても、最終的に算出され
る企業価値の値は一緒となる。
7.総結論~SONY~
○2006年以前の財務状態は赤字の部分が多々あり、ディポンシステム
での成長率も一見高く見えるが、赤字から黒字に転化しただけであり、先
行きは不安である。
○指標を使用した分析でも、安全性・成長性が低く、その割に株価は割高
である。
DCF法の理論株価と実際の株価の乖離も大きく、実際よりも高い価格で
取引されているところをみても、割高である。
○今後SONYを回復させるには、デュポン方式によると①現在の成長率
の維持②負債の利用③棚卸資産回転率の増加などが挙げられる。
伝統的財務分析・キャッシュフロー分析結果から見ると、現在の
SONYの株式は投資対象としては適さない。
7.総結論~東芝~
○指標からの分析で安全性に若干の不安要素はあるが、ディポンシステムでの安
全性の分析は問題はなく、成長性もある。
○程よく負債を利用しており、負債を利益に転化することもうまくいっている。
○この先東芝の業績をさらに伸ばすには、指標からでは効率性を上昇させることで
あり、ディポンシステムによると特に固定資産回転率を高めればいいということが分
かる。
○割安性を見ても、指標のPERではちょっと高めだが、EV/EBIDA率や理論株価を
見ると、実際より安く見られている可能性があり、買い時である。
割安性と一層の成長が見込まれるので、投資対象として適している。
8.おわりに
今回、さまざまな企業分析についてみてきましたがいかがだったでしょ
うか?
この発表では財務諸表だけを主に分析してきましたが、財務分析に加
えて事業内容なども織り込んで分析すればより正確なものが出来上
がると思います。
今後、夏合宿などで企業分析をする機会がまだたくさんあると思いま
すし、企業に入ってからでも企業分析はやる機会があるかもしれませ
ん。
そのときは、いままでどおりの指標の分析だけでなく、DCF法やMVA
などを使用するとより説得力が増すと思います。
ぜひ、活用してみてください。
9.参考文献
企業財務論入門
証券経済論入門
株式投資帝国
(http://suninvestor.com/index.htm)
野村證券HP(http://www.nomura.co.jp/)
ETC・・・