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電気回路学のまとめ
平成20年度開講分
講義資料のダウンロード http://www5a.biglobe.ne.jp/~babe
質問等は E-mail: [email protected] まで
山田 博仁
8章 回路に関する諸定理
8.1 重ね合わせの理
・線形回路においては、重ね合わせの理が成り立つ
・重ね合わせの理とは、複数の電源(電圧源或いは電流源)からなる回路網の各節点での電圧、
各枝に流れる電流は、どれか一つの電源のみを残し、残りは全て殺した状態を、全ての電源
に対して重ね合わせたものになる
・電源を殺すとは、電圧源は除去して短絡し、電流源は除去して開放すること
E1
J1
E2
線
形
回
路
網
E1
=
線
形
回
路
網
E1のみを残した場合
3つの電源がある場合
+ J1
線
形
回
路
網
+
E2
J1のみを残した場合
線
形
回
路
網
E2のみを残した場合
8.2 逆回路
・二つの回路のインピーダンスを Z1, Z2 とするとき、その積が周波数 ω に関係なく Z1 Z2 = R02
(R0は正の定数)となるならば、二つの回路は R0 に関して互いに逆回路である
R
Z
L
R0 に関して
互いに逆回路
R02 / R
R02 / Z
C  L / R02
8章 回路に関する諸定理
8.2 逆回路の求め方
・まず、双対な回路を求めて、次に、対応する素子同士が、互いに逆回路の関係を満たすように
素子の値を決めていけばよい
・双対な回路を作るには、素子が直列なら並列に、並列ならば直列に接続し直し、対応する素子
同士も互いに双対(RはG(R)に、LならばCに、CならばLに)な関係となるように作っていく
R02
R1
R2
L1
R02
R2
R02
L
D
R02
R3
D
R1
R3
R02
D1 
L1
ただし、
1
C
1
C1 
D1
D
8章 回路に関する諸定理
8.2 定抵抗回路
定抵抗回路とは、そのインピーダンスの値が周波数 ω に依存しない二端子回路のこと
逆回路を組み合わせることによって、様々な定抵抗回路が得られる
以下は定抵抗回路の例であり、端子間のインピーダンスの値はいずれも R0 である
R0
Z
R0
Z
C
2
0
R
Z
Z
L
R0
R02
Z
R0
(a)
R02
Z
R0
R02
Z
(b)
Z
L
C
(c)
定抵抗回路の例
R0
L
R02
(d)
L
R02
8章 回路に関する諸定理
8.3 相反定理
内部に電源を含まない相反回路においては、
ある枝 p に電圧源 Epを入れた場合に、別の
ある枝 q を流れる電流が Iq だったとすると、
逆に枝 q に電圧源 Eq’を入れた場合に、枝 p
を流れる電流が Ip’となるとき、EpIp’ =Eq’Iq
の関係が成立つ (これを相反定理という)
Ep
Ip’
p
相反回路
q
p
相反回路
q
Iq
Eq’
内部に電源を含まない相反回路においては、
ある枝 p に電流源 Jpを入れた場合に、別の
ある枝 q に生じる電圧が Vq だったとすると、
逆に枝 q に電流源 Jq’を入れた場合に、枝 p
に生じる電圧が Vp’となるとき、JpVp’ =Jq’Vq
の関係が成立つ (これも相反定理である)
Jp
V p’
相反定理は、より一般的には同じグラフを持つ
異なる回路の間でも成り立ち、この場合は以
下の式で表され、Tellegenの定理と呼ばれる
{i
j 1
(1) ( 2 )
j
j
v
相反回路
q
p
相反回路
q
i1(1)
補足 Tellegenの定理
2
p
 i (j 2) v (j1) }  0
v1(1)
1
1
Jq’
i2(1)
回路1
i1(2)
v1(2)
Vq
2
v2(1)
i2(2)
回路2
2
v2(2)
8章 回路に関する諸定理
8.4 等価電源の定理
周波数の等しい複数個の電源を含む回路がある場合、その回路の一端子対から見た回路は、下
記の等価電源に置き換えられる。ただし、端子対から見たインピーダンスを Z0、端子を開放した時
に現れる電圧を V0、端子を短絡した時に流れる電流を I0とする。また、V0 = Z0 I0の関係がある。
複数の
電源を含
む回路
Z0
V0IZ
00
or
V0
等価電圧源
I0
I0 
Z0
V0
Z0
等価電流源
従って、この端子対に負荷インピーダンス Z を接続したとき、負荷に流れる電流 I は、
複数の
電源を含
む回路
I
Z I
V0
Z0  Z
で与えられる。(テブナンの定理 or
ヘルムホルツの定理)
また、この端子対に負荷アドミタンス Y を接続したとき、負荷の両端に現れる電圧Vは、
複数の
電源を含
む回路
V
Y V
I0
Y0  Y
で与えられる。(ノートンの定理)
ただし、 Y0 
1
Z0
補足 等価電源
例題8.5
下の回路と等価な電源を求めよ (ただし、電圧源と電流源は同相とする)
6W
6W
6V
3W
1A
6V
5A
2W
6A
1A
2W
または、
12V
とも表せる
6W
3W
6W 3W
5A
5A
補足 等価電源
例題8.6
下の回路と等価な電源を求めよ (ただし、全ての電圧源は同相である)
Y1
Y2
Yl
V0
E1
E2
I1+I2+‥ +Il
Y1+Y2+‥ +Yl
El
V0 
I1
Y1
I1=Y1E1
演習問題(8.16)
I2
Y2
I2=Y2E2
J1
Il
Yl
Y1 E1  Y2 E2    Yl El
Y1  Y2    Yl
帆足-ミルマンの定理
Il=YlEl
J2

I1  I 2    I l
Y1  Y2    Yl
l
Z
Jl
n 1
Z1J1
Z1
Z1
Z2J2
Z2
Z2
ZlJl
Zl
Zl
n
l
Z
n 1
n
Jn
V0
補足 供給電力最大の法則
電源の内部インピーダンス
電源から最大の電力を引き出すには、
インピーダンス整合を行う
Z0 = R0 + jX0
インピーダンス整合条件
E
Z = Z0 即ち、 R = R0, X = X0
Z = R + jX
または、 Z = Z0* 即ち、 R = R0, X =-X0
電源側 負荷側
負荷インピーダンス
Pmax 負荷に向かう電力
 ' Pmax
2
負荷から
反射され
る電力
P: 負荷で消費
される電力
共役整合
Z  Z0


反射係数
Z  Z0
Z  Z 0*
或いは  ' 
Z  Z0
Z0 = R0の時、 = ’
つまり、 1   '  '*  1   ' 
2
P
Pmax
Z = R + jX
'
2
:電力(パワー)反射率
9章 二端子対回路網
9.3 インピーダンス行列 (Z行列)
I1
1
V1
1’
I2
z11
z12
z21
z22
2
V2
2’
V1 = z11 I1 + z12 I2
V2 = z21 I1 + z22 I2
V1   z11
V    z
 2   21
z11, z12, z21, z22 を
インピーダンスパラメータ
or Zパラメータと言う
z12   I1 
z22   I 2 
インピーダンス行列 (Z行列)
各々のZパラメータの意味とその求め方
z11 
z12 
z 21 
z 22 
V1
I1
V1
I2
V2
I1
V2
I2
I 2 0
(開放駆動点インピーダンス)
I2 = 0、即ち出力端(2-2’)を開放した状態でのV1/I1の値
I1  0
(開放伝達インピーダンス)
I1 = 0、即ち入力端(1-1’)を開放した状態でのV1/I2の値
I 2 0
(開放伝達インピーダンス)
I2 = 0、即ち出力端(2-2’)を開放した状態でのV2/I1の値
I1  0
(開放駆動点インピーダンス)
I1 = 0、即ち入力端(1-1’)を開放した状態でのV2/I2の値
相反回路なら、
z12 = z21
対称回路なら、
z11 = z22
2-2’にI2を流した場
合のV1を求め、その
比をとる
1-1’にI1を流した場
合のV2を求め、その
比をとる
9章 二端子対回路網
9.2 アドミタンス行列 (Y行列)
I1
1
I2
V1
1’
y11
y12
y21
y22
2
V2
2’
I1 = y11 V1 + y12 V2
I2 = y21 V1 + y22 V2
 I1   y11
I    y
 2   21
y11, y12, y21, y22 を
アドミタンスパラメータ
or Yパラメータと言う
y12  V1 
y22  V2 
アドミタンス行列 (Y行列)
各々のYパラメータの意味とその求め方
y11 
y12 
y21 
y22 
I1
V1 V
2 0
(短絡駆動点アドミタンス)
V2 = 0、即ち出力端(2-2’)を短絡した状態でのI1/V1の値
I1
V2
V1  0
(短絡伝達アドミタンス)
V1 = 0、即ち入力端(1-1’)を短絡した状態でのI1/V2の値
V2  0
(短絡伝達アドミタンス)
V2 = 0、即ち出力端(2-2’)を短絡した状態でのI2/V1の値
V1  0
(短絡駆動点アドミタンス)
V1 = 0、即ち入力端(1-1’)を短絡した状態でのI2/V2の値
I2
V1
I2
V2
相反回路なら、
y12 = y21
対称回路なら、
y11 = y22
2-2’にV2を印加した
場合のI1を求め、そ
の比をとる
1-1’にV1を印加した
場合のI2を求め、そ
の比をとる
9章 二端子対回路網
9.4 縦続行列 (K行列 or F行列)
I1
1
V1
1’
I2
向きに注意
A
B
2
V2
C
D
2’
V1 = A V2 + B I2
I1 = C V 2 + D I 2
V1   A B  V2 
 I   C D   I 
 2 
 1 
縦続行列 (K行列 or F行列)
A, B, C, D を
Kパラ、Fパラ、
四端子定数などと言う
相反回路なら、
AD – BC = 1
入出力を逆にした回路に
対しては、   D B
各々のKパラメータの意味とその求め方
A
B
C
D
V1
V2
V1
I2
I1
V2
I1
I2
K 
C
A
I 2 0
(出力端開放時の電圧帰還率)
I2 = 0、即ち出力端(2-2’)を開放した状態でのV1/V2の値
1-1’にV1を印加した
場合のV2を求め、そ
の比をとる
V2  0
(出力端短絡時の伝達インピーダンス)
V2 = 0、即ち出力端(2-2’)を短絡した状態でのV1/I2の値
1-1’にV1を印加した
場合のI2を求め、そ
の比をとる
I 2 0
(出力端開放時の伝達アドミタンス)
I2 = 0、即ち出力端(2-2’)を開放した状態でのI1/V2の値
1-1’にI1を流した場
合のV2を求め、その
比をとる
V2  0
(出力端短絡時の電流帰還率)
V2 = 0、即ち出力端(2-2’)を短絡した状態でのI1/I2の値
1-1’にI1を流した場
合のI2を求め、その
比をとる
9章 二端子対回路網
9.3 直列接続 (回路の直列接続を扱うにはZ行列が便利)
I1
z11’ z12’
z21’ z22’
I2
V1
V2
V1   z11 ' z11" z12 ' z12 "  I1 
V    z ' z " z ' z "  I 
22
22   2 
 2   21 21
z11” z12”
I1
z21” z22”
I2
9.2 並列接続 (回路の並列接続を扱うにはY行列が便利)
y11’ y12’
I1
y21’ y22’
I2
V1
I1
V2
y11” y12”
y21” y22”
I2
 I1   y11 ' y11" y12 ' y12 " V1 
 I    y ' y " y ' y " V 
22
22   2 
 2   21 21
9章 二端子対回路網
9.4 縦続接続 (回路の縦続接続を扱うにはK行列が便利)
I1
A’
V1
B’
C’
A”
D’
B”
C” D”
I2
V2
V1   A' B'   A" B"  V2 
 I   C' D'  C" D"   I 

 2 
 1 
9.8 Y-D変換
Z12
Z31
Z1
Z23
p形回路 (D接続)
Z2
Z3
T形回路 (Y接続)
Z12 
Z1Z 2  Z 2 Z 3  Z 3 Z1
Z3
Z1 
Z 31Z12
Z12  Z 23  Z 31
Z 23 
Z1Z 2  Z 2 Z 3  Z 3 Z1
Z1
Z2 
Z12 Z 23
Z12  Z 23  Z 31
Z 31 
Z1Z 2  Z 2 Z 3  Z 3 Z1
Z2
Z3 
Z 23 Z 31
Z12  Z 23  Z 31
補足 諸行列間の関係
 y11
Y 
 y21
y12  1  z22  z12  1  D  K 

 

y22  Z  z21 z11  B  1 A 
 z11
Z 
 z21
z12  1  y22  y12  1  A

 
z22  Y  y21 y11  C  1
 A B   1  y22
K 
 y Y
C
D


21 
ただし、
1  1  z11

y11  z21  1
Z  z11 z22  z12 z21
Y  y11 y22  y12 y21
K  AD  BC
K

D
Z

z22 
10章 二端子対回路網
10.1 二端子対網における入力、出力インピーダンス
ZG : 電源の内部インピーダンス
右の図のように、二端子対回路に
電源と負荷を繋いだ場合
ZG
二端子対
回路
E
ZL
電源
負荷
入力インピーダンス Zin : 電源から負荷側を見たインピーダンス
I1
Z in 
V1
I1
Zin
V1
二端子対
回路
ZL
出力インピーダンス Zout : 電源を殺した状態で、負荷から電源側を見たインピーダンス
I2
ZG
Z out 
V2
I2
E=0
二端子対
回路
V2
Zout
補足 伝送量
対数(デシベル)表示
電圧、電流の比
20 log10
V1
V2
[dB]
P1
P2
[dB ]
20 log 10
I1
I2
電力(パワー)の比
10 log 10
絶対レベル
P  1 [mW]  0 [dBm]
覚えておくと便利
・ 電力比で10倍 = 10 dB (電圧比、電流比なら20 dB)
・ 電力比で2倍 = 約3 dB (電圧比、電流比なら約6 dB)
・ 電力比で5倍 = 約7 dB (電圧比、電流比なら約14 dB)
・ 絶対レベルで1 mW = 0 dBm
[dB ]
10章 円線図
円線図とは、回路の何らかの特性を複素平面上に円や直線の軌跡として描いたもの
例えば、ZLの変化に応じてZinが変化する様子は、
AZL  B
Z in 
CZ L  D
で表される
A B
C D 


Zin
ZL
このような式の形を、一次分数関数 (双一次関数)という
w
Az  B
Cz  D
(z の一次分数関数)
複素平面上で z が円(直線も r = ∞の円と考える)を描くならば、 w も円を描く
つまり、一次分数関数は、複素平面上の円を円に写像する
w  z  H1
w  H2z
(平行移動)
(相似回転)
j
z の円
ejr
H 2  H 2 e jr
wの円
回転
|H2|z の円
H1
0
wの円
j
r
0
相似変換
z の円
10章 円線図
j
1
w
z
(反転鏡像)
1
z の円を反転( をとること)し、実軸に対しての鏡像(その複素共役)をとる
z
反転
z の円
鏡像
0
反転操作とは、
wの円
点Aに対しての反転である点Bは、点Aと原点0を結ぶ直線上にある
(a) z が原点を含まない円を描く場合 (b) z が原点を含む円を描く場合
j
j
j
(c) z が直線を描く場合
A
z
A
A
z
z
B
B
0
1/ z
(1, 0)
B
0
1/ z
(1, 0)
1/ z
0
(1, 0)
10章 円線図の描き方
インピーダンスの場合
j
R=0
R
R
R=∞
Z  R  jX
Z
jX
jX
X=0
0
0
R と jX の直列接続
Z
Z
R
X = +∞
j
X 固定、R 可変(R > 0)の場合
R=∞
1
1

R jX
jX
X 増大
鏡像
X
R=0
R 増大
1/X 0 R = ∞
X
R と jX の並列接続
R 固定、X 可変
j
j
1
X = -∞
R=0
1
1

反転 R jX
R=∞
X 固定、R 可変
X=0
0
R
1/R
鏡像
X = +∞
X = ∞ X = -∞
反転
X 減少
X=0
1
1

R jX
> 0)
R 固定、X 可変(X <
10章 円線図の描き方
電圧、電流の場合
I
どちらかを基準(実軸上)にとる
j
X = +∞
j
R
V
Z
jX
V  ZI
R = 0 RI
Z  R  jX
V
R と jX の直列接続
電圧線図を描いてみよう
0
RI
R=∞
jXI
V
jXI
I
0
X=0
I
X 固定、R 可変(R > 0)の場合
電流フェーザを実軸上にとると
j
さらに大きくなると
R = 0の時
Rが大きくなるにつれて
jXI
V V
jXIV
0
I
X 固定、R 可変の場合
X = -∞
電圧線図
R 固定、X 可変の場合
第8章 分布定数線路
8.1 線路の伝送方程式
i+Di RDx
v+Dv
LDx
CDx
i
伝送線路の一次定数
R: 線路単位長当りの抵抗 (W/m)
L: 線路単位長当りのインダクタンス (H/m)
C: 線路単位長当りの容量 (F/m)
G: 線路単位長当りのコンダクタンス (S/m)
GDx v
Dx
伝送線路の一部を切り取ったものの等価回路
伝送路微小区間Dxの等価回路に対してキルヒホッフの法則を用いると、
Dv  RDx(i  Di)  LDx{(i  Di) / t}
Di  GDx  v  CDx(v / t )
従って、
Dv
 (i  Di )
 R (i  Di )  L
Dx
t
Di
v
 Gv  C
Dx
t
Dv v
i

 Ri  L
Dx 0 Dx
x
t
Di i
v
lim

 Gv  C
Dx 0 Dx
x
t
lim
伝送の
基礎方程式
v, i は t および x の関数、即ちv(t, x), i(t, x)
第8章 分布定数線路
8.2 伝送方程式の定常解
正弦波交流の場合、v(t, x), i(t, x) は、 v(t , x)  V e j t
x
i(t , x)  I x e j t
で与えられる。
ここで、 : 角周波数
伝送の基礎方程式に当てはめて解くと、
d 2Vx
 zyVx
2
dx
d 2Ix
 zyI x
dx2
波動方程式
が得られる。
ただし、R + j L = z, G + j C = y と置いた
この波動方程式の解は、以下の形で与えられる。
Vx  V0 e
I x  I 0 e
zy x
zy x
 V0 e 
 I 0 e 
zy x
従って、
Vx  V e
よって定まる積分定数
zy x
ここで、 I 0  V0 / z y ,
 x
0
V0 , V0 , I 0 , I 0 は境界条件(電源や負荷の状態)に
  x
0
V e
V0  x V0  x
Ix 
e 
e
Z0
Z0
I0  V0 / z y
伝送線路の二次定数
    j  yz , Z0  z y
 : 伝搬定数
 : 減衰定数 単位: ネーパ (Np)
 : 位相定数 単位: ラジアン (rad)
Z0 : 特性インピーダンス 単位: オーム (W)
第8章 分布定数線路
8.3 波の伝搬
時間依存因子e j t を含む伝送式
Vx e
I xe
j t
j t
 x
0
V e e
j ( t   x )
  x
0
V e
e
j ( t   x )
V0  x j ( t   x ) V0  x j ( t   x )

e e

e e
Z0
Z0
e j( t± x) は、∓ x方向に進む角周波数
, 位相定数  の正弦波を表す
ここで、
-x方向に進む波 +x方向に進む波
(入射波)
送電端
(反射波)

( v p )

2p


vp: 位相速度
 : 波の波長
受電端
入射波
反射波
E

x

x
Vx  V  V  (入射電圧波 )  (反射電圧波 )
I x  I x  I x  (入射電流波 )  (反射電流波 )
1
1
(Vx  Vx )  {(入射電圧波 )  (反射電圧波 )}
Z0
Z0
ただし、 Vx  V0 e x , Vx  V0 e  x


x
 x
0
I I e
V0 e x
V0 e  x

  x

, I x  I0 e  
Z0
Z0
ZL
x
x=0
第8章 分布定数線路
8.4 線路の縦続行列
送電端
受電端
l
Z0,

Ix
Vx
x
I0
受電端
送電端
V0
A
B
C
D
x=0
受電端電圧 V0 および電流 I0で、伝送線路上の任意の点 x での電圧 Vx および電流 Ix を表すと、
1
1
(V0  Z 0 I 0 )e x  (V0  Z 0 I 0 )e  x
2
2
1
1
Ix 
(V0  Z 0 I 0 )e x 
(V0  Z 0 I 0 )e  x
2Z 0
2Z 0
Vx 
または、
Vx  V0 cosh x  Z 0 I 0 sinh  x
Ix 
V0
sinh  x  I 0 cosh x
Z0
特性インピーダンス: Z0, 伝搬定数: , 長さ: l の線路に対するK行列
 cosh  l
A B 
C D    1 sinh  l


 Z0
Z 0 sinh  l 

cosh  l 

A  D,
AD  BC  1
線路は、対称、相反(可逆)回路
第8章 分布定数線路
8.5 波の反射
1. 半無限長線路 (x →∞)
Is
送電端
Vs
Ix

Z0,
Zin
xs = x + l
Zin  Z0
Zx
l
無限長
Vx
無反射
x
Vx  Vs e l
I x  (Vs / Z0 )e
 l
 I se
Zx 
 l
Vx
 Z0
Ix
2. 線路の特性インピーダンスに等しいインピーダンスの値の負荷 Z0で終端した場合
Is
送電端
Vs
Ix

Z0,
Zin
xs
Zin  Z0
l
Zx
I0 受電端
Vx
x
V0 Z0
x=0
Vx  V0e x  Vs e l
I x  (V0 / Z0 )e x  (Vs / Z0 )e l  I s e l
V0
 Z0
I0
インピーダンス整合
無反射
Zx 
Vx
 Z0
Ix
第8章 分布定数線路
8.5 波の反射 (続き)
3. 受電端を短絡した場合
送電端
Vs
Is
I0 受電端
Ix

Z0,
Zin
xs
Zx
1
Z 0 I 0 (e x  e  x )  Z 0 I 0 sinh  x
2
1
I x  I 0 (e x  e  x )  I 0 cosh  x
2
Vx 
3p
p
3p

t

0
 p
5p
2
x=0
x
l
定在波
V0= 0 短絡
Vx
2p
Zx 
3p
2
p
全反射
Vx
 Z 0 tanh x
Ix
p
2
x=0
244
電圧
電流
短絡
xs
x=0
第8章 分布定数線路
8.5 波の反射 (続き)
4. 受電端を開放した場合
送電端
Vs
Is
I0= 0 受電端
Ix

Z0,
Zin
xs
Zx
1
Vx  V0 (e x  e  x )  V0 cosh x
2
V
1 V0  x  x
Ix 
(e  e )  0 sinh  x
2 Z0
Z0
定在波
3p
p
3p

t

0
 p
5p
2
x=0
x
l
2p
Zx 
3p
2
p
開放
V0
Vx
全反射
Vx
 Z 0 coth x
Ix
p
2
x=0
244
電圧
電流
開放
xs
x=0
第8章 分布定数線路
8.6 反射係数

x
V
Zx
Vx  V0e x , Vx  V0e x
Vx
Z0, 
x
Zx 
Vx
1 Γx
 Z0
Ix
1 Γx
V0
V0
Z
x=0
V0 Z  Z 0
Γ0   
V0
Z  Z0
Vx Vx  Z 0 I x Z x  Z 0
電圧反射係数 Γ x 
  

 Γ 0 e  2 x
入射 (電圧 )波 Vx
Vx  Z 0 I x Z x  Z 0
反射 (電圧 )波
Z 1  Γ0

Z0 1  Γ0
補足 理想線路と無歪線路
理想線路
R = G = 0 の時、無損失( = 0)かつ無歪となり、理想線路と呼ぶ
    j  ( R  jL)( G  jC )    2 LC  j LC
よって、
  0,    LC ,
また、 Z 0 
R  jL
L

G  jC
C
無歪線路
f(t) 入力信号波形
g(t) 出力信号波形
A0
t
t0
t
g (t )  A0 f (t  t0 )
(ⅰ) 減衰定数(或いは増幅利得)が周波数に無関係に一定 (A0は周波数に依らない)
(ⅱ) 位相定数は周波数に比例する (或いは、位相速度 vp が一定である)

2p


2p f 

vp
vp
伝送線路のパラメータとしてこの条件を与えるには、
・  が一定
L C
・  が  に比例
 は無歪の条件でもある
R G
・ Z0が一様
第9章 分布定数回路としての線路
9.1 複合線路
2種類の線路の縦続接続
I0
I1(x)
Z01 1
V1(x)
I2(x)
V0
x
V2(x)
Z02 2
ZL
x=0
各々の線路上の電圧、電流
I1 I1
接続点(x = 0)での
電圧、電流

1
V
Z01 1

1
V
I 2 I 2

2
I1 ( x )  I e
 2 x
2
I 2 ( x)  I e
  1 x
1
I e
  2 x
2
I e
電圧および電流ベク
トルの方向
V

2
V
V1 ( x)  V1 e 1 x  V1 e  1 x , V2 ( x)  V2 e 2 x  V2 e  2 x
 1 x
1
および
Z02 2
電圧波および電
流波の進行方向




ただし、 V1  V1  V2  V2  V0
V1  1 x V1  1 x

e 
e ,
Z 01
Z 01
V1 V1
I I 

Z 01 Z 01
V2  2 x V2  2 x

e 
e
Z 02
Z 02
V2 V2
I I 

 I0
Z 02 Z 02

1

1

2

2
第9章 分布定数回路としての線路
9.1 複合線路 (続き)

1

1
I
I0
I
V1
V1
Z01 1
I 2

2
V0 V
即ち、
Z02 2
Z02
V2  0
I 2  0
x=0
負荷インピーダンス ZLが第二の線路の特性インピーダンス Z02に等しいか、或いは第二の線路が
無限に長いとき、第二の線路上に反射波はない。

1

1

2
従って、 V  V  V  V0 ,
V1 V1
V2

I I 

 I2 
 I0
Z 01 Z 01
Z 02

1

1
接続点での
V1 Z 02  Z 01
電圧反射係数

Γ

I1
V1
電流反射係数
    Γ
I1
V1
( I1  V1 / Z0 , I1  V1 / Z0 )
2Z 02
V2
電圧透過係数

 1 Γ

V1
Z 02  Z 01
2Z 01
I 2 V2 / Z 02
電流透過係数   

 1 Γ
I1 V1 / Z 01 Z 02  Z 01
V1
Z 02  Z 01
接続点における電圧 V0および電流 I0によって
各線路上の電圧および電流を表せば、
V1  V0 /(1  Γ ), V1  ΓV0 /(1  Γ )
I1  I 0 /(1  Γ ), I1   ΓI 0 /(1  Γ )
e 1 x  Γe  1 x
e 1 x  Γe  1 x
V1 ( x)  V0
, I1 ( x)  I 0
1 Γ
1 Γ
V2 ( x)  V0e 2 x ,
I 2 ( x )  I 0 e 2 x
第9章 分布定数回路としての線路
9.1 複合線路 (続き)
複合線路の縦続行列
l1
l2
Z01, 1
 A B   A1
C D   C

  1
A1
Z02, 2
B1   A2
D1  C2
cosh 1 l1
B2  
 1

sinh  1 l1
D2  
 Z 01
B1
A2
B2
C1 D1
C2
D2
Z 01 sinh  1 l1   cosh 2 l2
 1
cosh 1 l1  
sinh  2 l2
  Z 02
Z 02 sinh  2 l2 

cosh 2 l2 

インピーダンス整合
特性インピーダンスが Z01および Z02の線路の間に、特性インピーダンス Z0の値が Z 0 
長さ l = /4の無損失線路を挿入すれば、インピーダンス整合がとれる。
l =/4
Z01, 1
Z0, j
伝搬定数  = j (無損失)
Z02, 2
l
2p  p

 4 2
Z 01Z 02
第9章 分布定数回路としての線路
9.2 無損失線路の伝送式
R = G = 0の線路、即ち無損失線路では = 0より、 = j となり、任意点 x (受電端を x = 0)に
おける電圧、電流は以下の式で与えられる。ただし、V0, I0 は受電端の電圧、電流
Vx  V0 cos  x  jZ0 I 0 sin  x
cosh jx  cosx
sinh jx  j sin x
I x  j (V0 / Z 0 ) sin  x  I 0 cos  x
の公式を使用
入射波と反射波成分で表せば、
Vx Γ0 e j ( 2 x )
1
1
(V0  Z 0 I 0 )e j x  (V0  Z 0 I 0 )e  j x
2
2
1
1
Z 0 I x  (V0  Z 0 I 0 )e j x  (V0  Z 0 I 0 )e  j x
2
2
Vx 
上式を、受電端における電圧反射係数 Γ 0 
Z0 I x
Vx
0
V0  Z 0 I 0
で表せば、
V0  Z 0 I 0
2 x  
Vx
Vx  Vx (1  Γ 0e  j 2  x )  V0 e j x (1  Γ 0e  j 2  x )

x
Z 0 I x  V (1  Γ 0e
 j 2 x

0
) V e
j x

j x
ただし、 Vx  (1 / 2)(V0  Z 0 I 0 )e
V0  (1 / 2)(V0  Z 0 I 0 )
(1  Γ 0e
 j 2 x
)
Γ0  Γ0 e
j
Vx Γ0 e j (2 x )
(点 x における入射電圧波)
(受電端 x = 0 における入射電圧波)
補足 線路上の電圧、電流の円線図
線路上の2つの点 x1 と x2 における電圧と電流の関係がちょうど下図のように逆になった時、
x = x2
x = x1
Vx1
Z0 I x2
Vx2
0
Vx1
0
p
p
Vx 2
Z 0 I x1
Z 0 I max
Vmax
Vmax
Z0 I x
2点間の距離は、
Vx
Z 0 I min
Z 0 I min
Vmin
x2  x1 
ZL
Z0
x2
/4
x1
x=0
p p  


2 2 2p 4
第9章 分布定数回路としての線路
9.2.3 定在波比
無損失線路の受電端に任意の負荷 Z を接続すると、線路上の電圧 Vx および電流 Ix は、/4間
隔ごとに最大値と最小値を繰り返し、電圧が最大(小)値となる点では電流が最小(大)値をとる。
Vmax
Vmax
Z 0 I max
定在波比
Z0 I x
Vx
Vmin
Z 0 I min
/4
ZL
/4
x=0
Vmax I max

Vmin I min
定在波比SWRと反射係数G0との間には
以下の関係がある
Z 0 I min
Z0
SWR 
SWR 
1  Γ0
1  SWR  
1  Γ0
0  Γ0  1