Transcript 公共経済学
公共経済学 18. 課税の同等性 18 同等性な課税 18.1 消費税と労働所得税の同等性 18.2 資産所得課税と資産課税の同等性 18.1 消費税と労働所得税の同等性 17.5 節と 17.6 節 ⇒累進所得税と累進支出税の比較 with 特殊な消費関数 本節 ⇒ (一般)消費税と(比例)労働所得税の比較 with 2 期間モデル + 一般的な消費関数 <消費税も労働所得税も存在しないときの予算制約式> 消費財の税抜きの価格=1 c t :第 t 期の消費量( t 1, 2 ) wt :第t期の賃金所得( t 1, 2 ) s :第1期の貯蓄 r :利子率 c1 s w1 :第 1 期の予算制約式 c2 w2 (1 r )s :第 2 期の予算制約式 (18-1) (18-2) c2 w2 (1 r )(w1 c1 ) ⇒ c2 w2 c1 w1 1 r 1 r :2 期間を通じた予算制約式 (18-3) <労働所得税のもとでの予算制約式と賃金所得税額> t w =労働所得税率 c1 s (1 t w )w1 :第 1 期の予算制約式 c2 (1 t w )w2 (1 r )s :第 2 期の予算制約式 (18-4) (18-5) c2 w2 c1 (1 t w ) w1 1 r 1 r :2 期間を通じた予算制約式 (18-6) 第 t 期の労働税額= t w wt Tw =第 1 期と第 2 期の労働所得税額の割引現在価値 w Tw = t w w1 2 1 r (18-7) (問題 18-1)消費平面 c1c2 に、税が存在しない場合の予算制約式(18-3)と労働所得税 のもとでの予算制約式(18-6)を図示するとともに、労働所得税額の割引現 在価値 Tw を図示しなさい。 c2 c1 c2 w w1 2 1 r 1 r c1 c2 w (1 t w ) w1 2 1 r 1 r w2 (1 tw )w2 1 r (1 t w ) w1 w1 c1 w t w w1 2 Tw 1 r <消費税のもとでの予算制約式と消費税額> t c =消費税率 (1 t c )c1 s w1 :第 1 期の予算制約式 (1 t c )c2 w2 (1 r )s :第 2 期の予算制約式 (18-8) (18-9) (1 t c )c2 w2 (1 r )w1 (1 tC )c1 ⇒ c2 w2 (1 t c ) c1 w1 1 r 1 r :2 期間を通じた予算制約式 (18-10) ct* =第 t 期の最適消費量 t c ct* =第 t 期の消費税額 Tc =第 1 期と第 2 期の消費税額の割引現在価値 * tc w2 c 2* = Tc = t c c1 w1 1 r 1 r 1 tc (18-11) (c1* , c2* ) =最適消費量の組 * c2* w2 (1 tc ) c1 w1 1 r 1 r (18-12) tc w Tc = w1 2 1 tc 1 r (18-13) (問題 18-2)消費平面 c1c2 に、税が存在しない場合の予算制約式(18-3)、消費税のもとでの 予算制約式(18-10)、最適消費の組合せ (c1* , c2* ) を図示しなさい。また、消費税額の 割引現在価値 Tc を図示しなさい。 c2 c1 c2 w w1 2 1 r 1 r c w (1 t c ) c1 2 w1 2 1 r 1 r (1 tc )c2* c2* 1 r (1 tc )c1* c1 Tc = c1* * c2* * c2* * c2* c1 tc c1 (1 t c ) c1 1 r 1 r 1 r <労働所得税と消費税の同等性> Tw = Tc tw = ⇒ tc 1 tc or 1 tw = 1 1 tc (18-14)&(18-10)⇒ w Tw t w w1 2 1 r t w Tc c w1 2 1 tc 1 r c w (1 t c ) c1 2 w1 2 1 r 1 r 消費税のもとでの予算制約式 労働税額の割引現在価値と消費税額の割引現在価値が一致 ⇒予算制約式が一致 * (18-13) (18-14) c2 w2 w2 1 c1 w1 (1 t w ) w1 1 r 1 tc 1 r 1 r * (18-7) ⇒最適消費の組合せ (c1 , c2 ) はどちらの税制のもとでも同一 (18-15) (18-10) <労働所得税と消費税の同等性> Tw = Tc tw = ⇒ tc 1 tc or 1 tw = 1 1 tc (18-14)&(18-10)⇒ c1 w Tw t w w1 2 1 r t w Tc c w1 2 1 tc 1 r c w (1 t c ) c1 2 w1 2 1 r 1 r 賃金所得税のもとでの予算制約式 労働税額の割引現在価値と消費税額の割引現在価値が一致 ⇒予算制約式が一致 * (18-13) (18-14) w c2 (1 t w ) w1 2 1 r 1 r * (18-7) ⇒最適消費の組合せ (c1 , c2 ) はどちらの税制のもとでも同一 (18-15) (18-10) (問題 18-3) 既に(比例)労働所得税が導入されているとする。 消費税を導入 + 労働所得税の税率を低下 ⇒ 税収総額が変化しないようにする。 ⇒ 世代間にどのような所得再分配効果? 18.2 資産所得課税と資産課税の同等性 資産所得の捕捉=相対的に困難 資産価格の把握=相対的に容易 ⇒ 資産所得課税を資産課税で代替(補完)できる。 (問題 18-4) 資産価格は捕捉しやすいが資産所得は捕捉しにくいケースは? とくに、土地資産のケースについて? 土地の売買市場は発達しているが、(使用)貸借市場が発達していない場合 日本の土地税制 取得時 税目 保有時 課税標準 税目 国 相続税 相続税評価額 地価税 税 登録免許税 登記時の価額 地 方 税 道府県民税 市町村税 譲渡時 課税標準 相続税評価額 税目 課税標準 所得税 譲渡益 法人税 譲渡益 不動産取得税 取得価額 固定資産税 固定資産税評価額 都市計画税 固定資産税評価額 譲渡益(譲渡所得)=収入金額(売却代金)-取得費(取得価額)-譲渡費用 譲渡費用=売却に要した費用 <資産所得税も資産課税も存在しないときの 資産所得と資産価格との関連性> R =(年間の)資産所得 (地代) P =資産価格 (地価) i =(定期預金の)利子率 年利 土地1単位あたりの 資産を所有し続けた場合に得られる毎年の資産所得= R 資産を売却して売却代金= P 定期預金で運用した場合に毎年得られる利子所得= iP R > iP ⇒ 誰もが資産の購入を望む R < iP ⇒ 誰もが資産の売却を望む 裁定 ⇒ R = iP ⇒ arbitrage R P= i (18-16) (問題 18-5) i =0.05 かつ R =300 万円 ⇒ 資産価格 P =? P R 300 6000(万円) i 0.05 <資産所得課税が存在するときの 資産所得 R と資産価格 PR との関連性> t R =資産所得税率 資産所得間の税率を「均等化」する必要性 t R R =資産を所有し続けた場合の年間の資産所得税 (1 t R ) R =資産を所有した場合の資産所得 (18-17) PR =資産価格 PR =資産を売却した場合の売却代金 iPR =定期預金で運用した場合の利子所得 裁定 ⇒ (1 t R ) R = iPR ⇒ (1 t R ) R PR = i (18-18) <資産課税が存在するときの 資産所得 R と資産価格 PP との関連性> t P =資産税率 PP =資産価格 t P PP =資産税額 R - t P PP =資産を所有するときの税引き後資産所得 PP =資産を売却して売却代金 iPP =定期預金で運用した場合の利子所得 裁定 ⇒ PP = R - t P PP = iPP R i tP ⇒ (18-19) <資産所得課税と資産課税の同等性> t R R =資産所得課税だけが存在するもとでの税額 t P PP =資産課税だけが存在するもとでの税額 t R R = t P PP Pp ⇒ tP R tR R = i tP ⇒ tP R i tP (18-20) i tR 1 tR (18-21) (18-21)のもとでは両税制度のもとでの税額が一致 (問題 18-6) i =0.05 かる t R =20%のとき t P =? tP 0.05 0.2 0.01 i tR 0.0125 1 0 .2 0 .8 1 tR 固定資産税の標準税率=0.014 (18-21) ⇒ (18-19)で決まる資産課税のもとでの資産価格 PP と tP (18-18)で決まる資産所得税のもとでの資産価格 PR との関係? i tR 1 tR (18-18)、(18-19)、(18-21) PP ⇒ (1 t R ) R (1 t R ) R R = = = PR (18-23) i tR i (1 t R )i i t R i (18-18) (18-21) 1 tR R = i tP (18-19) 「資産所得課税のもとでの税額=資産課税のもとでの税額」 ⇒「資産所得課税のもとでの資産価格=資産課税のもとでの資産価格」 (問題 18-7)問題(18-6)の設定とそこで求めた t P のもとで、 R =300 万円のときの PR と PP を求めなさい。 PR 240 (1 t R ) R (1 0.2)300 4800 0.05 0.05 i