20070524JIKEI HEART Study (555520bytes)

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Japanese Investigation of Kinetic Evaluation In
Hypertensive Event And Remodeling Treatment Study
Valsartan in a Japanese population with hypertension
and other cardiovascular disease (JIKEI HEART Study):
a randomised, open-label, blinded endpoint
morbidity-mortality study
Professor Seibu Mochizuki
Lancet 2007,369;1431-1439
背
景
レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を阻
害する薬剤は、心血管疾患あるいはそのリスク
ファクターを有する患者において臨床的有用性
を示している
しかしながらアジア人、特に日本人における上記の
エビデンスは欠落している
Lancet 2007,369;1431-1439
JIKEI HEART Study
医師主導で実施された臨床試験
前向き・無作為化・オープン・エンドポイント盲検試験
(PROBE法)
対象は冠動脈疾患および/または心不全を有する高血圧患者3,081例
厳格な目標血圧値130/80mmHgを達成するためにバルサルタンによる治
療と従来降圧治療の強化を比較
Lancet 2007,369;1431-1439
試験デザイン
試験の仮説 :
 心血管疾患を合併した日本人高血圧患者において
バルサルタン(ディオバン)を従来降圧治療に加えると心血管イベン
ト(M&M)が改善される
1次エンドポイント :
 脳卒中を含む心血管複合エンドポイント
 脳卒中あるいはTIA、急性心筋梗塞、心不全による入院
狭心症による入院、解離性大動脈瘤あるいは下肢動脈閉塞症、血
清クレアチニン値倍化または透析導入
Lancet 2007,369;1431-1439
治療スケジュール
ARB以外の薬剤
ARB以外の薬剤
従来降圧治療強化群
ARB以外の薬剤
導入
従来降圧治療
バルサルタン
40-80mg/日
-4
0
無作為化
Lancet 2007,369;1431-1439
バルサルタン群
バルサルタン
40-160mg/日
8-12
増量/追加
ARB以外の薬剤
12-16
増量/追加
試験終了
(週)
ベースラインの患者背景
臨床的背景
性別(女性)
年齢(歳)
喫煙中
バルサルタン群
(n=1,541)
従来降圧
治療強化群
(n=1,540)
521(34%)
517(34%)
65(10)
65(10)
259(17%)
262(17%)
収縮期血圧 (mmHg)
139.2(11.4)
138.8(10.6)
拡張期血圧 (mmHg)
81.4(10.5)
81.4(10.8)
心拍数 (拍/分)
71(11)
72(11)
BMI(kg/cm2)
24(3)
24(3)
Lancet 2007,369;1431-1439
データは平均 (SD)または数 (%)
ベースラインの治療薬
治療薬
Ca拮抗薬
バルサルタン群
(n=1,541)
従来降圧
治療強化群
(n=1,540)
1,041(68%)
1,011(66%)
ACE阻害薬
548(36%)
525(34%)
β遮断薬
486(32%)
502(33%)
α遮断薬
74(5%)
93(6%)
サイアザイド系利尿薬
29(2%)
39(3%)
抗アルドステロン薬
52(3%)
64(4%)
他の利尿薬
117(8%)
126(8%)
スタチン
461(30%)
490(32%)
42(3%)
37(2%)
フィブラート系薬
Lancet 2007,369;1431-1439
Data are number (%)
ベースラインの患者背景
バルサルタン群
(n=1,541)
高血圧
従来降圧
治療強化群
(n=1,540)
1,358(88%)
1,341(87%)
冠動脈疾患
514(33%)
522(34%)
心不全
176(11%)
174(11%)
高脂血症
812(53%)
813(53%)
糖尿病
315(20%)
314(20%)
合併症
Lancet 2007,369;1431-1439
Data are number (%)
明確な有益性による試験終了
本試験は3年を超えた時点で、
バルサルタンの有益性が明らかになったため
データ安全性モニタリング委員会の勧告により
倫理的な理由により早期終了
Lancet 2007,369;1431-1439
厳格な血圧コントロール値
試験
掲載誌
ベースライン時
試験終了時
HOT1)
Lancet 1998
175/105
142/83
CAPPP2)
Lancet 1999
161/99
150/90
STOP-23)
Lancet 1999
194/98
159/81
ALLHAT4)
JAMA 2000
145/83
136/76
NORDIL5)
Lancet 2000
173/106
151/88
INSIGHT6)
Lancet 2000
173/99
138/82
LIFE7)
Lancet 2002
174/98
145/81
VALUE8)
Lancet 2004
154/88
138/79
ASCOT-BPLA9)
Lancet 2005
164/95
137/78
JIKEI HEART10)
Lancet 2007
139/81
131/77
1)Hansson L, et al. Lancet 1998; 35: 1755-1762.
2)Hansson L, et al. Lancet 1999; 353: 611-616
3)Hansson L et al for the STOP-Hypertension-2 study group. Lancet 1999; 354: 1751-1756.
4)The ALLHAT Officers and Coordinators for the ALLHAT Collaborative Research Group. JAMA 2000; 283 :1967-1975
5) Hansson L, et al. Lancet 2000; 356: 359-365
6) Brown MJ, et al. Lancet 2000; 356: 366-372
7)Lindholm LH, et al. Lancet 2002; 359:1004-1010 8)Julius S, et al. Lancet 2004; 363: 2022-2031
9)Dahlöf B, et al. Lancet 2005; 366: 895-906
10)Mochizuki S, et al. Lancet 2007, in press
結果:血圧値の推移
ベースラインからの低下
(mmHg)
160
バルサルタン群(n=1,541)
従来降圧治療強化群(n=1,540)
バルサルタン群
従来降圧治療強化群
8.2/4.7 mmHg
7.2/3.7 mmHg
収縮期血圧
140
平均値 131 vs 132 mmHg △n.s
120
100
拡張期血圧
平均値 77 vs 78 mmHg △n.s
80
0
0
Lancet 2007,369;1431-1439
6
12
18
24
30
36
42 (月)
1次エンドポイント
15
バルサルタン群 92件
従来降圧治療強化群 149件
イ
ベ
ン
ト
発
生
率
(
%
)
10
5
39%
HR=0.61, p=0.0002
95% CI 0.47-0.79
0
6
12
18
24
30
36
42
48 (月)
1,541
1,504
1,441
1,257
1,092
855
689
368
368
従来降圧治療強化群 1,540
1,502
1,447
1,262
1,075
835
657
344
343
患者数
バルサルタン群
0
Lancet 2007,369;1431-1439
脳卒中の新規発症/再発
3.5
バルサルタン群 29件
従来降圧治療強化群 48件
3.0
イ
ベ
ン
ト
発
生
率
(
%
)
2.5
2.0
40%
1.5
1.0
0.5
HR=0.60, p=0.0280
95% CI 0.38-0.95
0.0
6
12
18
24
30
36
42
48 (月)
1,504
1,442
1,258
1,093
855
689
368
368
従来降圧治療強化群 1,540
1,502
Lancet 2007,369;1431-1439
1,450
1,266
1,079
836
656
343
343
患者数
0
バルサルタン群 1,541
心不全による入院
2.5
バルサルタン群 19件
従来降圧治療強化群 36件
2.0
イ
ベ
ン
ト
発
生
率
(
%
)
1.5
47%
1.0
0.5
HR=0.53, p=0.0293
95% CI 0.31-0.94
0.0
6
12
18
24
30
36
42
48 (月)
1,541
1,504
1,441
1,257
1,093
856
690
369
368
従来降圧治療強化群 1,540
1,502
1,448
1,264
1,077
837
657
343
343
患者数
バルサルタン群
0
Lancet 2007,369;1431-1439
狭心症による入院
4
バルサルタン群 19件
従来降圧治療強化群 53件
イ
ベ
ン
ト
発
生
率
(
%
)
3
2
65%
1
HR=0.35, p=0.0001
95% CI 0.20-0.58
0
6
12
18
24
30
36
42
48 (月)
バルサルタン群 1,541
1,504
1,441
1,257
1,092
855
689
368
368
従来降圧治療強化群 1,540
1,504
1,450
1,265
1,078
837
658
343
343
患者数
0
Lancet 2007,369;1431-1439
エンドポイントにおける治療効果
p値
1次エンドポイント
心血管複合エンドポイント
0.0002
2次エンドポイント
脳卒中/TIA
0.0280
心筋梗塞
0.7545
狭心症による入院
0.0001
心不全による入院
0.0293
解離性大動脈瘤
0.0340
血清クレアチニン値倍化、透析導入
0.8966
総死亡
0.7537
心血管死
0.9545
0.125 0.25 0.5
エンドポイント発生の減少
Lancet 2007,369;1431-1439
1
2
4
発生の増加
結論
バルサルタンの臨床的有用性は、血圧コントロールの有用性に加え、
初めて日本人にまで広げられた
JIKEI HEART Studyの結果は実臨床に深く関連する
厳格な血圧コントロールに加え、心血管イベントを抑制するために
ARBバルサルタンでAT1受容体をブロックすることが重要である
Lancet 2007,369;1431-1439
JIKEI HEART Studyは
CV Continuumのすべての段階をカバー
酸化ストレス
内皮機能障害
組織傷害
(心筋梗塞、脳卒中)
リモデリング
標的臓器障害
標的臓器機能不全
(うっ血性心不全、腎臓)
血管性疾患
VALIANT
血管機能不全
臓器不全
VALUE
リスクファクター
NAVIGATOR
・糖尿病
・高血圧
Adapted from Dzau V, Braunwald E. Am Heart J. 1991;121:1244-163.
Val-HeFT
死亡
有害事象*
バルサルタン群
従来降圧治療強化群
合計
癌 または 転移
7
7
14
めまい
9
3
12
頭痛
1
1
2
しっしん
2
0
2
帯状疱疹
0
2
2
胃部不快感
2
1
3
動悸
1
2
3
肝機能障害
2
1
3
骨折
1
2
3
眼底出血
0
2
2
喀血
0
2
2
空咳
1
1
2
高カリウム血症
2
0
2
すべての有害事象
42
36
78
(2.7%)
(2.3%)
(2.5%)
Lancet 2007,369;1431-1439
*有害事象数2以上発現したもののみ表示
補足データ
除外基準
1. 過去6ヵ月以内に急性冠症候群または心筋梗塞の
発症既往のある患者
2. 過去 3ヵ月以内に脳血管障害の発症既往のある患者
3. 血清クレアチニン 3.0mg/dL以上の腎障害を合併する患者
4. カリウム値5mmol/dL以上の患者
5. 無作為化前4週間以内にARBを使用した患者
6. その他主治医が不適当と判断した患者
Lancet 2007,369;1431-1439
Dose-adjusted*降圧治療薬数
ベースライン
6ヵ月後
12ヵ月後
試験終了時
24ヵ月後
バルサルタ
ン群
従来降圧
治療群
バルサルタ
ン群
従来降圧治
療群
バルサルタ
ン群
従来降圧治
療群
バルサルタ
ン群
従来降圧治
療群
バルサルタ
ン群
従来降圧治
療群
バルサルタン
0
0
0.93
0
0.93
0
0.93
0
0.95
0
ACE阻害薬
0.42
0.48
0.38
0.50
0.38
0.60
0.33
0.56
0.29
0.58
Ca拮抗薬
0.81
0.76
0.79
0.89
0.70
0.87
0.67
0.87
0.67
0.95
ß 遮断薬
0.23
0.18
0.22
0.19
0.23
0.21
0.20
0.21
0.20
0.22
利尿薬(計)
0.07
0.07
0.11
0.14
0.07
0.17
0.07
0.20
0.06
0.17
降圧薬(計)
1.79
1.79
2.69
2.11
2.55
2.39
2.55
2.39
2.41
2.44
*:日本における各薬剤の標準用量で補正した用量
Lancet 2007,369;1431-1439
降圧薬の増減
バルサルタン
CCB
ACE-Ⅰ
βブロッカー
バルサルタン群
2.4
2.0
2.0
1.6
1.6
1.2
1.2
0.8
0.8
0.4
0.4
0
0
Lancet 2007,369;1431-1439
終了時
降圧薬(計)
従来降圧治療強化群
2.4
ベースライン
利尿薬
ベースライン
終了時
急性心筋梗塞の新規発症または再発
15
バルサルタン群 17件
従来降圧治療強化群 19件
イ
ベ
ン
ト
発
生
率
(
%
)
10
5
HR=0.90, p=0.7545
95%CI 0.47-1.74
0
6
12
18
24
30
36
42
48 (月)
バルサルタン群 1,541
1,504
1,441
1,257
1,092
855
689
368
368
従来降圧治療強化群 1,540
1,504
1,452
1,267
1,081
839
658
344
343
患者数
0
Lancet 2007,369;1431-1439
解離性大動脈瘤
2
バルサルタン群 2件
従来降圧治療強化群 10件
イ
ベ
ン
ト
発
生
率
(
%
)
HR=0.19, p=0.0340
95%CI 0.04-0.88
81%
0
6
12
18
24
30
36
42
48 (月)
バルサルタン群 1,541
1,504
1,441
1,257
1,092
855
689
368
368
従来降圧治療強化群 1,540
1,502
1,447
1,262
1,075
835
657
344
343
患者数
0
Lancet 2007,369;1431-1439
研究組織
執行委員会
委員長
望月 正武 (東京慈恵会医科大学)
Co-chair
Björn Dahlöf (Sahlgrenska University Hospital, Sweden)
Lancet 2007,369;1431-1439
研究組織
運営委員会
望月 正武 (東京慈恵会医科大学)
Bjorn Dahlof (Sahlgrenska University Hospital/Sweden)
清水光行, 谷口郁夫, 池脇克則, 杉本健一, 小川和彦, 溝上恒男, 芝田貴裕, 吉田哲,
本郷賢一, 佐々木英樹, 青山尚文, 八木秀憲, 小川崇之, 南俊郎, 岡崎史子, 金江清,
谷口正幸, 関晋吾, 吉川誠, 山崎辰男, 山田拓, 川井三恵, 梶原秀俊, 野間健司
(東京慈恵会医科大学附属4病院)
小野寺達之 (国立病院機構西埼玉中央病院)
石川眞一郎, 林裕作 (町立津南病院)
三川秀文 (富士市立中央病院)
真家健一, 富永伸徳 (厚木市立病院)
武藤誠 (埼玉県立循環器・呼吸器病センター)
吉武典昭, 鈴木英明 (湘南病院)
会沢治 (大洗海岸病院)
鈴木清文 (関病院)
伊藤哲志
(社会保険桜ヶ丘総合病院)
Lancet
2007,369;1431-1439
研究組織
エンドポイント委員会
堀内 正嗣 (委員長,愛媛大学)
山﨑 純一 (東邦大学)
楽木 宏実 (大阪大学)
データ安全性評価委員会
景山 茂 (委員長、東京慈恵会医科大学)
佐藤 哲夫,松島 雅人,村上 重人(東京慈恵会医科大学)
Lancet 2007,369;1431-1439
協力研究者
東京慈恵会医科大学循環器内科:望月正武,谷口郁夫,池脇克則,太田眞,杉本健一,小川和彦,吉田哲,芝田貴裕,本郷賢一,佐々木英樹,山根
禎一,青山尚文,川井真,八木秀憲,小武海公明,小川崇之,岡崎史子,安澤龍宏,伊達太郎,中江佐八郎,高塚久史,田村忠司, 溝上恒男,
栗須修,横溝絵里子,檜垣有司,柏木秀彦,丸谷公一,水庭弘進,酒井朋久,笠井督雄,岩野圭二,妹尾篤史.
東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科:田嶼尚子,阪本要一,蔵田英明.
東京慈恵会医科大学附属 青戸病院循環器内科:関晋吾,谷口正幸,有野亨,佐藤周,武田聡,宮崎秀和,金江清,中田秀二,宮入誠,加々美明彦,
野間健司,中村出.
東京慈恵会医科大学附属 第三病院循環器内科:吉川誠,瀧川和俊,栗須崇,陳勁一,橋爪良幸,島津義久.
東京慈恵会医科大学附属 柏病院循環器内科:清水光行,山田拓,日下雅文,蓮田聡雄,上原良樹,東吉志,滝沢信一郎,吉田博,鈴木智毅,川井三
恵,奥村啓之.
厚木市立病院循環器内科:真家健一,橋本浩一,岡田拓也,富永伸徳,青木和弘.
富士市立中央病院循環器内科:三川秀文,武田博,荒瀬聡史,大貫勝美,南井孝介.
社会保険桜ヶ丘総合病院循環器科:島田孝夫,伊藤哲志,野木村健.
西埼玉中央病院循環器科:小野寺達之,桑田雅雄,西林由美.
埼玉県立循環器・呼吸器病センター循環器内科:武藤誠,石川哲也,阪本宏志,鶴崎哲士,小野田学.
湘南病院内科:吉武典昭,鈴木英明,阿部邦彦.
大洗海岸病院循環器科:会沢治,和泉武彦,堀越一昭,田村俊一.
町田市民病院循環器科:南俊郎,今本諭,松山明正.
関病院循環器科:鈴木清文,伊藤高史,古賀純,久能守.
津南病院内科:石川眞一郎,林裕作.
東京武蔵野病院:阪本琢也,外丸晃久.
加納岩総合病院:佐藤健司.
湘南記念病院:中村尚夫.
三鷹病院:山崎辰男.
東山武田病院:桝田出.
さがみ野中央病院内科:岩井孝明.
聖隷三方原病院循環器科:宮澤総介,梶原秀俊,杉浦徹.
Lancet 2007,369;1431-1439