Transcript mg/dL
職員健診;判定基準変更 ~血圧・脂質・尿酸等の疫学、 診療ガイドラインを背景として~ 冠動脈疾患と脳卒中の発症リスク アジア(日本を含む)、オセアニアの疫学調査より 7.0 6.0 ハ ザ ー ド 比 5.0 4.0 3.0 (mg/dL) 2.0 1.0 <130 130~144 145~159 収縮期血圧 ≧160 ≧242 213~241 184~212 <184 (mmHg) 総コレステロール 対象:アジアの29コホート研究、オーストラリアおよびニュージーランドの7コホート研究に参加した380,216名の地域住民。 日本からは11コホート研究の24,901名が参加。 方法:コホート登録時の収縮期血圧および総コレステロール値で対象を層別して、冠動脈疾患と脳卒中の発症リスクを比較検討した。 ほとんどのコホート研究が1980年代に開始されており、追跡期間は平均で5.9年、中央値で4年。 Asia Pacific Cohort Studies collaboration:Circulation 112(22):3384, 2005より改変 先進国† における死亡の重要な危険因子 高血圧 喫煙 脂質代謝異常 高BMI値 果物・野菜不足 運動不足 飲酒 安全でない性行為 安全でない水、不衛生 低体重 0 †:ヨーロッパ, 北米,オーストラリア 1 2 3 4 死亡者数 (100万人) The World Health Report 2002: reducing risks, promoting healthy life. Geneva, Switzerland: World Health Organisation; 2002より改変 LDLコレステロール値とイベント発生の関連 4S-Pl1) (%) Rx - 薬物群 25 PI - プラセボ群 2次予防 20 イ ベ ン 15 ト 発 生 率 10 1次予防 LIPID-Pl1) 4S-Rx1) HPS CARE-Pl1) ASCOT LIPID-Rx1) HPS-Rx2) WOSCOPS-Rx1) CARDS-Rx4) CARDS HPS-Pl2) CARE-Rx1) WOSCOPS-Pl1) CARDS-Pl4) 5 AFCAPS-Rx1) AFCAPS-Pl1) ASCOT-Rx3) ASCOT-Pl3) 0 50 70 90 110 130 150 試験終了時のLDL-C 170 190 210 (mg/dL) 1)Kastelein, J.J.P.: Atherosclerosis 143(suppl 1):S17, 1999 2)Heart Protection Study Collaborative Group.: Lancet 360(9326):7,2002より作図 3)Sever, P.S. et al.: Lancet 361(9364):1149, 2003より作図 4)Colhoun, H.M. et al.: Lancet 364(9435):685,2004 より作図 日米の総コレステロール値の年次推移 (mg/dL) 230 女性(米国) 220 総 コ 210 レ ス テ 200 ロ ー 190 ル 値 180 男性(米国) 女性(日本) 男性(日本) 170 1960 1970 1980 1990 2000 (年) 米国:米国国民健康調査(NHES)/米国国民健康栄養調査(NHANES)より作図 日本:第3次/第4次/第5次厚生労働省循環器疾患基礎調査 (1980年/1990年/2000年)より作図 大島研三 他:動脈硬化 1(2):101, 1973 / Okinaka, S. et al.: Jpn Circ J 29(6):505, 1965より作図 脳心血管イベント抑制のために、 降圧目標は、より低く設定されてきました。 降圧目標の変遷(JSH) JSH 若年者・中年者 20001) JSH 20042) JSH 20093) 診察室血圧 家庭血圧 <130/85mmHg <130/85mmHg <130/85mmHg <125/80mmHg ≦140~160/ <90mmHg <140/90mmHg <140/90mmHg <135/85mmHg <130/85mmHg <130/80mmHg <130/80mmHg <125/75mmHg 腎障害患者/ 慢性腎臓病患者 ― <130/80mmHg <130/80mmHg <125/75mmHg 心筋梗塞後患者 ― ― <130/80mmHg <125/75mmHg 脳血管障害患者 ― ― <140/90mmHg <135/85mmHg 高齢者 糖尿病患者 注:診察室血圧と家庭血圧の目標値の差は、診察室血圧140/90mmHg、家庭血圧135/85mmHgが、高血圧の診断基準であることから、この二者の差を単純にあてはめたものである。 1)高血圧治療ガイドライン2000 第3章 日本高血圧学会: 21, 2000[L49990129422] 2)高血圧治療ガイドライン2004 第3章 日本高血圧学会: 16, 2004[L20050106005] 3)高血圧治療ガイドライン2009 第2章 日本高血圧学会: 8, 2009[L20090119078] 脂質異常症の診断基準(空腹時採血) 高LDLコレステロール 血症 LDLコレステロール ≧140mg/dL 低HDLコレステロール 血症 HDLコレステロール <40mg/dL 高トリグリセライド 血症 トリグリセライド ≧150mg/dL LDL-C値は直接測定法を用いるかFriedewaldの式で計算する。(LDL-C=TC–HDL-C–TG/5(TG値が400mg/dL未満の場合)) TG値が400mg/dL以上の場合は直接測定法にてLDL-C値を測定する。 日本動脈硬化学会編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版 リスク別脂質管理目標値 カテゴリー 脂質管理目標値(mg/dL) 治療方針の原則 一次予防 まず生活習慣の改善を 行った後、薬物治療の適 応を考慮する 二次予防 生活習慣の改善とともに 薬物治療を考慮する LDL-C以外の 主要危険因子* LDL-C Ⅰ (低リスク群) 0 <160 Ⅱ (中リスク群) 1~2 <140 Ⅲ (高リスク群) HDL-C TG ≧40 >150 <120 3以上 冠動脈疾患の既往 <100 脂質管理と同時に他の危険因子(喫煙、高血圧や糖尿病の治療など)を是正する必要がある。 *LDL-C値以外の主要危険因子 加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、冠動脈疾患の家族歴、低HDL-C 血症(<40mg/dL) ・糖尿病、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併はカテゴリーⅢとする。 日本動脈硬化学会編:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版 高尿酸血症の治療ガイドライン 高尿酸血症の治療ガイドライン(2002)より 空腹時血糖の区分 (2008年 日本糖尿病学会) 最後に 以上の背景から千葉大学職員健診の判定基 準をこのたび、変更いたしました。今後も最 新の研究成果、報告などを踏まえ、より良い 健康管理の実現に向けて、随時改良を重ね ていきたいと考えております。ご意見、ご提案 などございましたら総合安全衛生管理機構ま で、どうぞ宜しくお願い致します。