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電磁気学C
Electromagnetics C
7/1講義分
光導波路と光共振器
山田 博仁
光共振器
q=1
完全導体による平行平板間に存在するこ
とができる電磁波の波長は離散的になり、
n 
2L
q
(q = 1, 2, 3 ‥)
で与えられた。このように、完全導体の平
行平板によるFabry-Perot共振器によって
電磁波は量子化され、この量子化された
電磁波をモードと呼ぶ。(q はモード番号)
完
全
導
体
q=2
q=3
完
全
導
体
z=0
z=L
光の場合は、完全導体の代わりに、2枚の平行平面鏡によりFabry-Perot共振器を
構成し、レーザーの光共振器などに広く用いられている。
光ビーム
平行平面鏡
レーザーの光共振器の概略
Fabry-Perot 光共振器
Fabry-Perot (FP)共振器の共振モード
共振器長 L のFP共振器内に立つ定在波の
腹の数(モード番号 q )と共振器内での光の
波長 λ との間には、 L  q / 2 の関係がある
モード番号が十分大きい(q >>1)場合に、
隣り合うモード間での共振波長の差 Δλ は、
鏡
L
 
鏡
2
2L
Δλ Δλ
半導体レーザー
q+2 q+1 q q-1 q-2
FP共振器の共振モード
発振波長
q 
FP共振器型半導体レーザーの構造
2neff L
q
q: モード番号 1,2 ‥‥
neff: 半導体の屈折率
出展: www.phlab.ecl.ntt.co.jp/master/04_module/002.html
λ
発振スペクトル

光導波路
コア
n2
n1> n2
クラッド
n1
屈折率分布
n2
光ファイバー
n1> n2
n1
屈折率分布
コア
クラッド
スラブ導波路
光導波路が光を導くメカニズム
n1< n2の場合
n1> n2の場合
入射波
反射波
φ1
入射波
φ1
φ1
n1
n1
n2
Snellの法則
2
屈折波
n2
2θmax
n2
sin 1 n2

sin  2 n1
全反射
φ1
全反射
c
φ2
c
全反射
全反射
n1> n2
光が伝搬可能な入射角度の範囲
屈折波
n 
臨界角  c  cos 1  2 
 n1 
放射モード
n1
n2
反射波
開口数: NA= sin(θmax)
全反射角
 n2 
コアとクラッド界面での全反射角θcは、前スライドの臨界角より  c  cos  
 n1 
1
2
 n2 
n12  n22
2
sin  c  1  cos  c  1    
 2
2
n1
 n1 
で与えられるが、
n12  n22
ここで、  
と置いたが、Δは比屈折率差と呼ばれている
2n12
従って、n1と n2との差が小さい時、全反射角 θcは以下の式で与えられる
c  sin 1 2  2 [rad]
さらに、導波路が受け入れることのできる受光角(2θmax)は、
2max  2 sin 1 (n1 sin c )  2 sin 1 n1 2  2n1 2
また特に、 NA  sin max  2n1 を開口数 (Numerical Aperture)という
屈折率 n の媒質中
・光の速度: 1/n
・光の波長: 1/n
・波数: n 倍
n2
a
導波路内での光伝搬
クラッドへの光の浸み出し
ϕ
n2
ϕ
k0n1sinθ
n1
コア
-a
ϕ: Goos-Haenchen Shift
n1> n2
ϕ
k0n1
θ
k0n1cosθ
自由空間中での波数: k0=2π/λ (λ: 波長)、媒質中では k0n1
光の伝搬方向の伝搬定数成分 β は、 β = k0n1cosθ
c
光が伝搬方向に伝わる速度は、 vg  cos であり、vgを群速度(Group
n1
Velocity)という (c は光速度)
光の伝搬と垂直方向の伝搬定数成分 (k0n1sinθ)に対して、以下の式が成り
立つ時、光伝搬と垂直方向に定在波ができる
  4k0an1 sin   2  2 N
N: モード番号 (0, 1, 2 ‥‥)
導波モードと定在波
E
N=0
Δϕ = 0
E
N=1
2π
E
N=2
4π
モード番号N は、横方向の強度分布における節の数を表す
入射角度
光伝搬と垂直方向での定在波条件の式より、モード番号Nに対する入射角度θNは、
4k0 an1 sin  N  2N  2 N
ここで、 Goos-Haenchen Shiftの値 ϕN は一般的には入射角度 θN の関数になるが、
θN が全反射角 θc よりも十分に小さい場合には、 N   と近似できる。
従って、モード番号 N に対する入射角度 θN は、
 N  sin  N 

2n1k0 a
( N  1)
( N  0, 1, 2, ) [rad]
モード番号がある値よりも大きくなると、全反射条件が満たされなくなり、伝搬でき
なくなる。つまり、伝搬可能なモードは、以下の条件を満たす。
 N  c
従って、導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値 Nmaxが存在し、以下の条件
を満たす。
N
max
 c
モードの数
導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値 Nmaxは以下の式で与えられる。
N max  1 
V
V  k0 a n12  n22  k0 an1 2
 (1)
( 2)
ここで V は、Vパラメータ或いは規格化周波数と呼ばれている
Nmaxよりも大きなモード番号のモードは伝搬できないので、カットオフにあると言う
注) 式(1)は光線近似によるもので、厳密な波動方程式から導くと、 N = 0の基本モードに対してカットオフは存在しない
カットオフ領域
(放射モード) N=2
ω/c
(k0)
N=3
群速度 v g 


曲線の傾きはvg /cで 、群速度に対応
1/n2
モードによって群速度の値は異なる
N=0
n1=1
ライトライン
N=1
1/n1
β
導波路の分散関係
単一モード条件: V < π /2
ライトラインよりも上の領域では、光の速
度を超えることになるので、伝搬できない
物質中でのMaxwell方程式の解
B ( x , t )
rot E ( x , t )  
t
D( x, t )
rot H ( x, t )  ie 
t
(1)
(2)
div D( x, t )  e
(3)
div B( x, t )  0
(4)
構造関係式
教科書p.189~190
D( x, t )   E ( x, t )
(5)
B( x , t )   H ( x , t )
(6)
オームの法則
ie ( x, t )   E ( x, t )
(7)
式(1)の両辺の rotation をとる
式(2)を代入 式(7)を代入 式(5)を代入

D 
B

E
2 E
 H 
rot(rotE )  rot
 rot 
  2
  
   rotH    ie 

t

t
t

t

t

t
t




ベクトル恒等式より
rot(rotE )  grad(divE )  E
媒質中に真電荷が存在しなければ、式(3), 式(5)より、divE = 0
E
2 E
E  
  2  0
(8)
の関係式が導かれる
t
t
同様にして、式(2)の両辺の rotation をとってやると、磁場に関する関係式
H
2 H
H  
  2  0
(9)
も導ける
t
t
従って、
物質中でのMaxwell方程式の解
式(8), (9)を電信方程式と呼ぶ。
絶縁体媒質(誘電体なども)や真空中の時、σ = 0であるから、式(8), (9)は各々、
2 E
2 H
E   2  0
(8' )
H   2  0
(9' )
t
t
となり、電磁波の波動方程式が得られる。
一方、導体中(金属など)では、式(8), (9)において左辺第3項が無視できるようになる。
E
2 E
E  
  2  0
t
t
jE ( x, t )
  E ( x, t )
2
Eは、E(x, t) = E(x)e jωt のように表されるので、
左辺第2項と第3項の大きさを比較すると、
7
通常の金属において、導電率 σ の値は、  10 (S/m)
10
誘電率 ε の値は、  10 (F/m)
マイクロ波帯においても ω の値は、
  2 1010
従って、σ >> εω の関係が成り立っており、
式(8), (9)において左辺第3項は第2項に対して無視できるくらい小さな値となる。
導体中の電磁場の式
従って、導体中において式(8), (9)は、以下の式に簡略化できる。
E
0
t
H
H  
0
t
E  
準定常電流、即ち交流回路では、
変位電流の寄与を無視しているこ
とと、オームの法則が成り立つこと
を仮定している
(8" )
(9" )
式(8”)に式(7)の関係を代入してやると、
ie  
ie
0
t
(10)
の関係も導ける。
式(8”), (9”), (10)は、拡散方程式と呼ばれている。
式(8”), (9”)は、Maxwell方程式において、変位電流の項を無視することによっても得ら
れる。つまり、式(2)の右辺において、第1項の伝導電流に比べて第2項の変位電流の寄
与が無視できる場合、式(2)は式(2’)となり、これを用いて解いてやっても求められる。
rot H ( x, t )  ie
(2' )
変位電流が伝導電流に対して無視できるのは、先の σ >> εω の条件が成り立つ場合
であり、このときの伝導電流を準定常電流と呼んでいる。電気回路における交流回路
は、この準定常電流の場合を扱っている。
導体中の電磁場と表皮効果
E  
z
E
0
t
真空
(8" )
導体中での電場は、式(8”)で与えられ、その解として、
金属導体
δ
x
E( x, t )  E0 ( x)e jt の形の平面電磁波を仮定すると、
E0 ( x)  E0 ( x)e
 j x

x
 E0 ( x)e  e

jx


で与えられる。(∵ x →∞で電界は有限)
また、複素数の公式
i
2

真空中から導体中への電磁波の入射
1 i
を用いた
2
ここで、δ は表皮の深さ(Skin depth)と言い、電磁波が金属導体中に侵入できる深さである。
このように、電磁場が金属導体の内部深くには侵入できない現象を、表皮効果(Skin
effect)と呼ぶ
例えば銅の場合、導電率 σ = 5.8×107 S/m なので、表皮の深さ δ は、

2


2
2 f  4 107 

1
2.291011 f [GHz ]
1GHzで約 2.1 μm