望遠鏡と地上アレイによるハイブリッド観測 - 垣本研究室

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Telescope Array Project
テレスコープアレイ計画54:
望遠鏡と地上アレイによるハイブリッド観測
Telescope Array Collaboration
東京工業大学 理工学研究科 基礎物理学専攻 荻尾 彰一
2003/03/29
日本物理学会第58回年会
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Telescope Array Project
共同研究者:
井上直也H、内堀幸夫P、大岡秀行L、大盛信晴F、荻尾彰一、垣本史雄、賀来純一D、
笠原克昌I、門多顕司Q、河合秀幸K、川上三郎B、川隅典雄R、木谷誠、小井辰巳P、
榊直人S、坂田通徳G、櫻井信之L、篠野雅彦M、篠崎健児L、下平英明L、竹田成宏S、
田中公一N、田中真伸E、千川道幸D、手嶋政廣L、鳥居礼子L、永野元彦O、中村亨F、
橋本勝巳R、林嘉夫B、林田直明L、日比野欣也C、福島正己L、藤井啓文E、本田健R、
間瀬圭一L、松田武E、宗像一起J、安田仲宏P、吉井尚A、吉越貴紀B、吉田滋K
所属機関:
東工大理、愛媛大理A、大阪市大理B、神奈川大工C、近畿大理工D、高エ研E、
高知大理F、甲南大理G、埼大理H、芝浦工大システム工I、信州大理J、千葉大理K、
東大宇宙線研L、通総研M、広島市大情報N、福井工大応用理化O、放医研P、
武蔵工大工Q、山梨大工R、理研S
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AGASAによる観測:エネルギースペクトル
GZK限界を超える高エネルギー
宇宙線を観測
10年間 期待値1.6事象
(均一な宇宙線源分布を仮定)
観測10事象 4.0σ
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AGASAによる観測:到来方向分布
同一の点(2.5°以内)から
2つ以上の宇宙線が到来す
る事象
5 doublets、1 triplet
●E>1019.6eV
銀河面とは無相関
■E>1020eV
1019.6eV(59事象)の任意
の2事象の離角分布
E > 10 19.6 eV
点源からの到来
E > 10 19 eV
点源の存在を示唆
(5σ有意性)
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GZK限界を示唆するHiResの結果
1020eV以上2事象(1998年以来)
宇宙線強度: 1019.6eV以下でも
AGASAの1/2
●HiRes-Ⅰ Mono
■HiRes-Ⅱ Mono
▼AGASA
AGASAに比べエネルギーが系統
的に低い(単眼観測、散乱補正な
ど)
エネルギー決定の系統誤差
AGASA: 18%
HiRes:
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25%
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ハイブリッド検出法による同時観測の重要性
地表アレイ法
大気蛍光法
•粒子数の横方向分布
•縦方向発達
•地表での総粒子数
•カロリメトリックなエネル
ギー推定
•粒子種によるエネルギー
推定の系統誤差
•ステレオ観測による幾
何学的な到来方向の推
定
•蛍光の散乱、量子効率、
反射率などの補正
•地表でのシャワーサイズから縦方向発達曲線のスケール補正
•大気蛍光の補正を高精度化
•横方向分布からのエネルギー推定法の実験的評価
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最高エネルギー宇宙線源の同定
EHE
Yes
Gamma rays
Components?
No
Cosmic Rays
Galactic Center?
Point sources?
Supergalactic plane?
Strong
Normal
Magnetic Galaxies
Field
Astrophysics
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GRBs
Particle Physics
Cosmology
Astrophysical Relic
Counterparts? Particles
T.D.
EHE
neutrinos
AGNs
NS
Correlation?
ν---γ
AGN ν
Fe
EHE ν
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ハイブリッド観測装置:TA phase-Ⅰ
大気蛍光望遠鏡
3ステーション 全40台
直径3m合成鏡、256PMTカメラ
方位角120°、仰角3°-34°
40km間隔
地表アレイ
シンチレーション検出器 576台
厚さ1cm、面積3m2、1.2km間
エネルギー下限 1018.5eV
FADCの利用
到来方向決定精度 1.0°
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期待される装置感度、観測事象数
AGASA
装置感度
相対
角度
年間事象数
(km2sr)
感度
分解能
>1019eV
>1020eV
162
=1
1.6°
100
1
1371
8.5
1.0°
700
9
大気蛍光望遠鏡*
670
4.1
0.6°
300
4
同時観測**
165
1.0
0.4°
80
1
地表アレイ
*観測時間効率10%と仮定
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**同12%と仮定
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期待される結果:エネルギースペクトル、点源観測
エネルギースペクトル:super GZK事象
AGASA 10年
TA-Ⅰ 3年
観測数
期待値(GZKカットオフ)
有意性
点源観測:doublet事象
角度
分解能
10
35.3
1.6
5.6
4.0σ
8.3σ
doublet数(3年、>1019.6eV)
信号
有意性
ノイズ
AGASA
1.6°
8
1.6
2.2×10-4
地表アレイ
1.0°
20.3
1.6
1.2×10-15
大気蛍光望遠鏡*
0.6°
9.9
0.3
3.3×10-13
同時観測**
0.4°
8.0
0.1
2.2×10-14
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同時観測による系統誤差の圧縮
•地表でのシャワーサイズを用いた縦方向発達曲線の補正
•到来方向、コアポジションの補正
エネルギー決定
縦方向発達曲線決定
シミュレーション
•エネルギー 1019、1020、1021eV
各200イベント
•インパクトパラメーター Rp<10km
•天頂角 <60°
•地表アレイによるサイズ決定精度 1
0%
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エネルギー決定の系統誤差の要因
•大気蛍光発光量、波長スペクトル
•大気中での光のRayleigh散乱、Mie散乱
•鏡面反射率、フィルターの透過率、PMTの量子効率とその非一様性
•幾何学的シャワー再構成
•シャワー粒子のエネルギー損失率、その他
今回のシミュレーションでは、系統誤差の原因をMie散乱に負わせる
シミュレーション:減衰長20km、
スケール高1200m
解析: 減衰長20km、
スケール高400m、2000m
-20%、+20%の系統誤差
1020eV
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縦方向発達曲線の地表シャワーサイズによる補正
E=1020eV
400m
2000m
Neア(X地上) / Ne望(X地上)
補正前
補正後
補正なし
補正あり
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縦方向発達曲線の地表シャワーサイズによる補正
Mie散乱スケール高
補正なし
(1200
m)
1019eV
1020eV
1021eV
地表サイズで補正
400m
-9.5±6.0%
+14.9±16.7%
2000m
+21.7±6.0%
-4.1±12.5%
400m
-13.9±6.3%
+10.1±18.4%
2000m
+21.2±4.8%
+4.8±13.1%
400m
-17.7±6.8%
+8.6±17.1%
2000m
+21.8±5.8%
+2.9±11.7%
10%以下の系統誤差(補正が効き過ぎ)
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まとめ
エネルギースペクトルの高精度測定
AGASAとHiResの不一致
エネルギー決定の系統誤差の圧縮
粒子組成測定、点源探索
空気シャワーの縦方向発達の高精度観測
高い角度分解能
•地表でのシャワーサイズから縦方向発達曲線のスケール補正
•大気蛍光の補正を高精度化
•横方向分布からのエネルギー推定法の実験的評価
•幾何学的シャワー再構成の補正
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まとめ
AGASAの成果を継承し、super-GZK宇宙線の存在を確立する
ハイブリッド検出器による高精度観測
• エネルギースペクトルの高精度測定
• 粒子組成測定
• 点源探索
粒子線天文学の開拓
宇宙開闢の素粒子物理
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大気蛍光望遠鏡
口径:3m、18枚の球面鏡の合成
仰角:10.5°(上)、22.5°(下)
視野:18°×15.5°
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HexgonalPMT(60mm)
×256
FOV: 18°×15.5°
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BG3フィルター
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