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補償光学装置の概要
観測装置ゼミ
2013/09/06
補償光学(Adaptive Optics ; AO)とは?
• 地球の大気のゆらぎ(シーイング)によって歪
められた天体からの光を補正する装置
• 1953年にH.W. Babcockによって概念が発表
• 太陽望遠鏡では1998年に初めて実用化
• AOの目的は望遠鏡の回折限界
1.22 λ/D
(D: 望遠鏡の口径 , λ: 観測波長)
を達成すること
なぜ太陽観測にAOが必要か?
• 太陽表面において磁場は直径50-100km程度
の磁気要素とよばれる構成単位から成る
• 太陽表面の光の平均自由行程も同程度
太陽表面で70kmに相当する角度分解能0.1”
もしくは望遠鏡の回折限界で出来るだけ
長時間観測したい
AOが必要不可欠!
DSTでAOによって目指す科学
• ゼーマン効果とハンレ効果によるプロミネン
ス磁場構造の解明
– 従来より偏光観測に用いられているゼーマン効
果に加え、ハンレ効果による偏光を観測すること
によって、今までわからなかったプロミネンスや彩
層の磁場などを解明できる可能性がある
• シュタルク効果による電場の検出 ,,,etc
ただし、これらはAOによって
直接的に可能になるわけではない
AOの原理
(1)
観測装置
(3)
波面センサ
(2)
補償光学系
波面センサー
シャックハルトマンセンサー
ゆらぎが
ない場合の
結像位置
望遠鏡
からの光
乱れのない
波面
検出器
マイクロレンズ
アレイ
波面センサー
シャックハルトマンセンサー
このずれ
を測ると
波面の傾き
がわかる
望遠鏡
からの光
乱れた
波面
検出器
マイクロレンズ
アレイ
可変形鏡
• フェースプレート鏡
– 連続した鏡に複数の素
子をとりつけ、それぞれ
を単独に動かし変形さ
せる
• バイモルフ鏡
– 横方向に伸縮特性が正
反対の圧電素子を2枚
張り合わせて作成
– 一方が縮み、もう一方
が伸びることで曲率を
作ることができる
飛騨ではフェースプレートを採用
tip-tilt鏡
Z
Y
• 前述の可変形鏡で波面の
補正を行う前に、平面の傾き X
を変えて、波面の大まかな
向きを揃えるための鏡
• 制御系は前述の可変形鏡と
同じループで行われる場合と、 X方向
より高次なAOを設計するため ピエゾ素子
にそれぞれの制御系を
分ける場合がある
飛騨では高次な後者の方を採用
回転軸
次世代の補償光学装置
• 超高性能補償光学装置(Extreme Adaptive
Optics; ExAO)
– 素子数を1000以上に増やすことによって狭い視
野でのストレール比0.8以上の高精度の観測を目
指す
次世代の補償光学装置
• 多層共役補償光学(MCAO)
– 複数のガイド星を用いて断層
写真法で高さ方向情報を獲得
し、複数の大気ゆらぎの高さに
光学的に共役な位置に可変形
鏡を配置し、それぞれが対応し
た高さにある大気ゆらぎを補正
する
→広い範囲で補正できる
MCAOのデモンストレーション
MCAO実験結果
Vacuum Tower Telescope(VTT) von der Lühe et al.,2005
波長: 430nm
左: AOなし
中: AO
右:MCAO
FOV: 45”×45”
左: AO
右:MCAO
Dunn Solar Telescope(DST) Rimmele et al. ,2010c
F i gur e 50: Top: Result s from K I S M CAO experiment at t he V T T , Tenerife. Shown is t he field dep
次世代の補償光学装置
• 接地境界層補償光学
(GLAO)
– 大気揺らぎのもっとも影響の
大きい地表付近のゆらぎだ
けを補正することによって広
い視野でシーイングサイズを
半分程度にする
strehl比
DSTのAOの現状
Without AO
With AO
2秒角程度の
構造は見え
ている
0.8秒角程度
の構造
AO-OFF 分解能=1.5秒角程度
AO-ON 分解能0.6秒角程度
DST(430nm)の回折限界=0.15”
DSTにおけるAO
波面センサー
N
N
位置ずれセンサー
可変形鏡
Tip-Tilt 鏡
レンズ
2. 常設新AO装置の概要
偏光較正装置
簡単化した概念図
望遠鏡より
補償光学装置
真空窓
切り替えミラー
波面センサー
偏光解析装置-2
水平分光器へ
補償光学装置
可変形状鏡
垂直分光器へ
偏光解析装置-1
新補償光学装置
M12
M11
M14
M9
M1
M10(DM)
M13(parab
ola)
M16
M8(parabola)
M7
M15
M6(parabola)
M3
M5(TTM)
M2
M4(parabola)
Vacuum Tower Telescope(VTT)
• テネリフェ島(スペイン領カナリア諸島)
• 口径70cm
Dunn Solar Telescope(DST)
• アメリカニューメキシコ州サクラメントピーク
• 口径76cm