Transcript Document

これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
学生のためのものです。
原稿を改竄したり、許可無く勝手に他人に配布したり
しないで下さい。
[email protected]
原子物理学
本日の講義の内容
1. はじめに
2. 古典物理学の復習
(気体分子運動論)
3. ボルツマン因子
4. まとめと演習問題
原子物理学
(1) 熱放射、物質の比熱等の現象をミクロな
視点から議論し、ニュートンの力学、
マックスウェルの電磁気学が物理現象を
記述するのに不十分であることを理解する。
(2) ミクロな世界を支配する自然法則について
学び、量子力学への発展の過程を理解する。
量子論
物
理
学
の
発
展
前期量子論
古典論の破綻(3つの不思議)
統計力学
相対論
熱力学
電磁気学
力学
古典論で説明できない3不思議
1.固体の比熱
低温でデュロン・プチ(Dulong・Petit)
の法則からずれる。
2.黒体輻射
高温での発光スペクトルが説明
できない。
3.原子の発光スペクトル
シャープな発光スペクトルが説明
できない。
固体の比熱
デュロン・プチの法則
1
CV/3R
V=一定
?
熱:δQ
0.5
δT↑
Cv =δQ/δT
0
Θ(デバイ温度)
T
黒体輻射
T=1646K
1
エ
ネ
ル
ギ
ー 0.5
密
度
0
?
1
2
3
4
λ(μm)
5
6
水素の発光スペクトル
1
エ
ネ
ル
ギ
ー 0.5
密
度
0
?
0.2
0.3
0.4 0.5
λ(μm)
0.6
0.7
気体分子運動論
ボイルの法則
PV  const .
気体
シャルルの法則
V
 const .
T
体積:V
ボイルシャルルの法則
温度:T
圧力:P
PV  aRT
モル数: a
気体定数
1
1
1
1
R  8.314J  K  mol  1.987cal  K  mol
アボガドロの仮説
(1) すべての気体は、原子あるいは分子から
成り立っている。
(2) 等しい容積の気体はその種類に関係なく
同温同圧のときは同数の分子を含んでいる。
アボガドロ数
1モル(物質量)の物質に含まれる分子の数
L = 6.024x1023
ボルツマン定数
n : 単位体積中の分子の数
N :容積V中の分子の総数
a :容積V中の気体のモル数
N = aL = nV
pV = aRT = NkT
k = R/L
k:ボルツマン定数
気体分子運動論
仮定
(1) 気体は、分子(または原子)と呼ばれる多数の
小さな粒子からできている。
(2) これらの気体分子の運動エネルギーが気体の
熱エネルギーである。
(3) 閉じた空間の中で、気体分子はどこにでも同じ確率
で存在し、速度もあらゆる方向に均等に取り得る。
z
N
x方向の速度の平均 v x 
v
i 1
ix
N
0
vz
v
v v v v
2
2
x
2
y
N
v2 
2
v
i
i 1
N
N

2
v
 ix
i 1
N
 v
N

2
ix
i 1
2
v
 iy
i 1
N
 viy2  viz2 
N

2
v
 iz
i 1
N
 v x2  v 2y  vz2
1 2
v v v  v
3
2
x
2
y
vx
vy
x
N
N

2
z
y
2
z
気体分子運動論
仮定
(1) 一辺がLの立方体の中の気体分子を考える。
(2)x軸に垂直な壁に向かう分子の数は、平均して
全体の1/3で、速度はv
z
分子がLの距離を 2 L
往復する時間:
v
気体分子がΔtの時間 N  vt
に壁に衝突する回数: 3 2 L
一回の衝突当たりの運動量変化: 2mv
L
x
気体分子運動論
運動量の変化 = 力積
Nvt
 2mv  F  t
6L
L V
3
であるから
2
1 2
pV  N  mv
3
2
2
F Nm v
P 2 
3
L
3L
z
L
比較
pV  aRT  NkT
L
x
運動量の変化 = 力積
v(t  t )  v(t )
F  m  m
t
m v(t  t )  m v(t ) p (t  t )  p (t ) p



t
t
t
F  t  mp
エネルギー等分配の法則
1 2 3
mv  kT
2
2
1 2 1 2 1 2 1
mv x  mv y  mvz  kT
2
2
2
2
温度Tにおいて1自由度当たり平均で
kT/2の熱エネルギーが分配される。
気体の熱力学
熱エネルギー:δQ
δT↑
Heの気体1モル当たりの内部エネルギー:U
気体が膨張することにより外部にする仕事:W
熱力学第1法則(エネルギー保存則)
Q  U  W
等積比熱:CV
Q U
CV 

T T
気体の等積比熱
V=一定
1 2 3
mv  kT
2
2
熱:δQ
δT↑
Heの気体1モル当たりの内部エネルギー:U
3
U (T )  L  kT
2
等積比熱:CV
Q U
CV 

T T
3
Q  U  LkT
2
ボルツマンの分布則
気
柱
温度:一定
ボルツマンの分布則
:
高
さ
x
気
柱
温度:一定
密度:n
ボルツマンの分布則
:
高
さ
x
気
柱
温度:一定
高い
位
置
の
エ
ネ
ル
ギ
ー
低い
密度:n
気中
F2  F1  S p
S
F2
x
F1
F1  F2  nmgSx
圧力
p  p
p
p  nm gx
ボルツマン定数
n : 単位体積中の分子の数
N :容積V中の分子の総数
a :容積V中の気体のモル数
N = aL = nV
pV = aRT = NkT
k = R/L
k:ボルツマン定数
気体の状態方程式
pV  NkT
p  nkT
p  kTn 温度T は一定
p  nm gx
n( x) dn ( x)
mgx


x
dx
kT
mgx は位置のエネルギー
mgx

n  n0 exp( 
)  n0 exp(  )
kT
kT
ボルツマンの分布則
n( )  n0 exp( 

kT
密
度
n
位置のエネルギー: 
)